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1章 就職!異世界の門日本支部!

12話 持ち歩きに便利な守護者

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「携帯式ゴーレム!?何それ!?」

「僕も初めて聞いた!多分、最新型のゴーレムだと思う!」

「ゴーレムに旧型とか、新型あるんだ!?」

 ゴーレム。土や石で作られるザナの魔術ロボット。あらゆる技術面でザナに勝っているリオだが、ゴーレムに関しては未だに勝てないらしい。

 作り手によって、強さが大きく変わるのが特徴だが、俺とシャープ君では戦う事が難しい。何せ、俺の武器は刀で、シャープ君の武器は両刃剣だからだ。

 硬い土でできたゴーレムに刃を入れようとしても、先にこちらの武器が駄目になるだけ。

 魔術なら些かマシだろうが、そもそも魔術を用いて作られているのがゴーレムなので、致命傷などは期待できない。

 消去法で、残された戦法は打撃系の武器での攻撃しかないわけだが、今現在打撃系の武器を持っているのは────

「ハハハハ!無理だろう?勝てないだろう?強そうだろぉぉぉぉぉ!?」

「ホンット強そうね・・・ま、アタシの前ではただの砂の城だけど」

「なっ・・・ドワーフ!?モグラが・・・!」

「カメムシに何言われても何とも思わないわ。だって、今からアタシが圧勝して、アンタに負け惜しみ言わせるんだから!!」

 肩に担いでいたハンマーを床に叩きつけケル―ビを威嚇。それに反応するかのように、ルービックゴーレムはモネを敵として補足した。

「我が守護者よ!そこのモグラをぶっ殺せ!」

 ルービックゴーレムの目が赤く光り、土の拳が飛んでくる。モネはそれを避ける事なく真正面からハンマーで受け止めた。どちらも壊れず、押し合いが始まる。大きさはゴーレムの方が上。下から上の力よりも、上から下への力の方が強い。しかし、下側が上を遥かに上回るパワーを持っていたら?

「パワーが弱いわねーー!!」

「な、なんだとぉー!!」

 当然ながら、下の方が勝つ。モネとの押し合いに負け、仰向けに倒れるルービックゴーレム。すぐさま起き上がろうと試みるが、モネの追撃がそれを許さない!

「甘いわ!!」

 大きく振りかぶり、放った一撃はゴーレムの体を支える足を破壊する。これで、ゴーレムは立ち上がる事が不可能になった。

「あははははは!!脆い!弱い!低性能!!こんなおもちゃでドワーフの血に勝てると思うな!カメムシ!!」

「くっそぉぉぉぉぉぉ!!」

 小型化・携帯化において最大の弱点は性能の低下だ。小さくなればなる程に中に機能を詰め込むことが出来なくなる。リオでも、スマホよりもタブレットの方が性能が良い事がほとんどだ。

 ゴーレムっも同様で、ルービックゴーレムは持ち運びが簡単になった結果、性能面に問題が発生してしまったようだ。モネさんがハンマーで叩いたら、意図も簡単に砕けてしまった。まるで子供が砂場で作った砂の城のようにあっけなく。

「わ、私のルービックゴーレムがぁ・・・5000トレジャーもしたのに・・・・」

 トレジャーとは、ザナの国の多く使用されている通貨だ。円相場によって、細かく変わるが、1トレジャーにつき約100円。5000トレジャーなら、約50万円なわけだ。

 ザナ人のシャープ君が知らないくらい最新型だったことから、性能に対して高額だったのだろう。

「さぁてと・・・尋問タイムと行きましょうか」

 エルフとドワーフは犬猿の仲。その仲の悪さは遺伝子に染み込んでいる程。それはダークエルフも例外ではない。

「ヒィッ・・・!あ、アンタが尋問やってくれ!コイツはドワーフだ!ダークエルフの私に何してくるか分からない!」

 俺の尋問を図々しくも要求してくるケル―ビ。俺もなるべくそうしてあげたいが、モネさんが怖いので、聴こえないふりをした。シャープ君も次のザナ人の対応を何もなかったかのように自然と始めた。

「薄情者!ダークエルフ差別主義者!劣等種族!!」

「その劣等種族にこれから拷も─────尋問されるんだよ!!アハハハハハハハァッ!!」

「イヤァァァァァァァァ!!」

 モネさんはケル―ビを拘束し、身動きを取れなくすると、尋問室へと入って行く。時々、尋問室から悲鳴ンのような声が聴こえてきたが、シャープ君と一緒に聴こえないふりをした。

 1時間後、様子を見に来た主任が異変に気付き、尋問室からケル―ビを救出した頃には、ケル―ビは既にボロ雑巾のようになっていた。

 モネ・ロックマン。主武器ハンマー。特技、パワー任せの叩きのめし。
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