4 / 191
1章 就職!異世界の門日本支部!
2話 交通機関の遅延原因はだいたい魔物
しおりを挟む
よく少年漫画の主人公は、入学初日や入社1日目で寝坊し、大目玉を喰らう。
漫画ではギャグで済まされるが、現実ではそうはいかない。初日から遅刻したら当然怒られるし、今後の出世街道にも影響が出る。
出勤時間は9時。アパートから門までは徒歩で15分。8時に起きれば余裕だが、初日で経路に不安があるので、7時半に起きて8時15分には家を出た。
8時半には到着している予定だ。そして、現在時刻は8時32分。職場には・・・全くつけていない。
原因は・・・魔物だ。門から出てきた魔物が町で暴れてしまい、警察が道を一時的に閉鎖してしまったのだ。
出勤途中のサラリーマンも足を止めて、会社に遅刻の旨を伝えている。俺も事前に聞いておいた上司の電話番号から遅刻の電話をしようとしたが──────。
「いや、それはダサくないか?」
魔物と戦う職についている者が、魔物に阻止されて遅刻。戦っていたのならまだしも、ただ邪魔されて遅刻。
あまりにも格好がつかないのではないか?下手したら、「そんなヘタレはいらん!」なんて言われてしまうのではないのか?
それだけは勘弁だ。折角門番職につけたのに、クビだけは御免だ!
「絶対に、遅刻なんてするもんかぁ!!」
絶対に遅刻しないことを心に誓った翡翠。彼は、真横におった電柱をよじ登り、てっぺんまで到達すると、ジャンプで別の電柱へと移動を繰り返していく。
電線を誤って踏まないように慎重に。けれども、迅速に移動する。
警察も予想外の行動に驚いているようで、止める様子はない。どうしても立ち入らせたくなかったなら、空中も規制しておくべきだったな!!
「これで間に合うぜぇ!!ひゃっはぁー!!」
遅刻の危機は避けることに成功した。後は閉鎖されていない道まで行って電柱から降りるのみ。
「ん?なんか熱いな・・・外にいるのにヒーターの熱風を浴びてるみたいだ・・・」
熱風は地上の方から来ている模様。電柱から下を見てみると、何と炎が走っていた。比喩ではなく、目で見える情報そのものを伝えている。
何事かと凝視すると、走る炎が魔物の一部であることに気がついた。炎を赤い毛の虎が四肢に纏っているのだ。
魔物の名称はヘルファイガー。獰猛な肉食の動物として有名な魔物だ。男の大人2人分ぐらいの大きさから察するに成長しきった個体、大人のヘルファイガーだ。
骨をも噛み砕く強靭な顎と骨をも焼き尽くし、灰にする炎を持つヘルファイガーは確かに強力な魔物だが、門番職は日常的にそのレベルの魔物と戦っているはず。
なのにどうして居住地区への侵入を許してしまったのだろうか。
気になって、電柱の上から数分間だけ眺めていると、ヘルファイガーを追いかけてきた女性の門番と一瞬だけ目が合った。
本当に一瞬だったが、睨みつけられたような気がする。気を散らせてしまったのだろう。
これ以上見ていると、警察にも仕事中の門番にも迷惑がかかる。その事に気づいた翡翠はさっさと電柱から降りて、門の方へと向かう。
戦う門番達を背にして歩いていると、背中に視線を感じたが、気にしないようにして門を目指した。
漫画ではギャグで済まされるが、現実ではそうはいかない。初日から遅刻したら当然怒られるし、今後の出世街道にも影響が出る。
出勤時間は9時。アパートから門までは徒歩で15分。8時に起きれば余裕だが、初日で経路に不安があるので、7時半に起きて8時15分には家を出た。
8時半には到着している予定だ。そして、現在時刻は8時32分。職場には・・・全くつけていない。
原因は・・・魔物だ。門から出てきた魔物が町で暴れてしまい、警察が道を一時的に閉鎖してしまったのだ。
出勤途中のサラリーマンも足を止めて、会社に遅刻の旨を伝えている。俺も事前に聞いておいた上司の電話番号から遅刻の電話をしようとしたが──────。
「いや、それはダサくないか?」
魔物と戦う職についている者が、魔物に阻止されて遅刻。戦っていたのならまだしも、ただ邪魔されて遅刻。
あまりにも格好がつかないのではないか?下手したら、「そんなヘタレはいらん!」なんて言われてしまうのではないのか?
それだけは勘弁だ。折角門番職につけたのに、クビだけは御免だ!
「絶対に、遅刻なんてするもんかぁ!!」
絶対に遅刻しないことを心に誓った翡翠。彼は、真横におった電柱をよじ登り、てっぺんまで到達すると、ジャンプで別の電柱へと移動を繰り返していく。
電線を誤って踏まないように慎重に。けれども、迅速に移動する。
警察も予想外の行動に驚いているようで、止める様子はない。どうしても立ち入らせたくなかったなら、空中も規制しておくべきだったな!!
「これで間に合うぜぇ!!ひゃっはぁー!!」
遅刻の危機は避けることに成功した。後は閉鎖されていない道まで行って電柱から降りるのみ。
「ん?なんか熱いな・・・外にいるのにヒーターの熱風を浴びてるみたいだ・・・」
熱風は地上の方から来ている模様。電柱から下を見てみると、何と炎が走っていた。比喩ではなく、目で見える情報そのものを伝えている。
何事かと凝視すると、走る炎が魔物の一部であることに気がついた。炎を赤い毛の虎が四肢に纏っているのだ。
魔物の名称はヘルファイガー。獰猛な肉食の動物として有名な魔物だ。男の大人2人分ぐらいの大きさから察するに成長しきった個体、大人のヘルファイガーだ。
骨をも噛み砕く強靭な顎と骨をも焼き尽くし、灰にする炎を持つヘルファイガーは確かに強力な魔物だが、門番職は日常的にそのレベルの魔物と戦っているはず。
なのにどうして居住地区への侵入を許してしまったのだろうか。
気になって、電柱の上から数分間だけ眺めていると、ヘルファイガーを追いかけてきた女性の門番と一瞬だけ目が合った。
本当に一瞬だったが、睨みつけられたような気がする。気を散らせてしまったのだろう。
これ以上見ていると、警察にも仕事中の門番にも迷惑がかかる。その事に気づいた翡翠はさっさと電柱から降りて、門の方へと向かう。
戦う門番達を背にして歩いていると、背中に視線を感じたが、気にしないようにして門を目指した。
1
お気に入りに追加
25
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
神々の間では異世界転移がブームらしいです。
はぐれメタボ
ファンタジー
第1部《漆黒の少女》
楠木 優香は神様によって異世界に送られる事になった。
理由は『最近流行ってるから』
数々のチートを手にした優香は、ユウと名を変えて、薬師兼冒険者として異世界で生きる事を決める。
優しくて単純な少女の異世界冒険譚。
第2部 《精霊の紋章》
ユウの冒険の裏で、田舎の少年エリオは多くの仲間と共に、世界の命運を掛けた戦いに身を投じて行く事になる。
それは、英雄に憧れた少年の英雄譚。
第3部 《交錯する戦場》
各国が手を結び結成された人類連合と邪神を奉じる魔王に率いられた魔族軍による戦争が始まった。
人間と魔族、様々な意思と策謀が交錯する群像劇。
第4部 《新たなる神話》
戦争が終結し、邪神の討伐を残すのみとなった。
連合からの依頼を受けたユウは、援軍を率いて勇者の後を追い邪神の神殿を目指す。
それは、この世界で最も新しい神話。
最強執事の恩返し~大魔王を倒して100年ぶりに戻ってきたら世話になっていた侯爵家が没落していました。恩返しのため復興させます~
榊与一
ファンタジー
異世界転生した日本人、大和猛(やまとたける)。
彼は異世界エデンで、コーガス侯爵家によって拾われタケル・コーガスとして育てられる。
それまでの孤独な人生で何も持つ事の出来なかった彼にとって、コーガス家は生まれて初めて手に入れた家であり家族だった。
その家を守るために転生時のチート能力で魔王を退け。
そしてその裏にいる大魔王を倒すため、タケルは魔界に乗り込んだ。
――それから100年。
遂にタケルは大魔王を討伐する事に成功する。
そして彼はエデンへと帰還した。
「さあ、帰ろう」
だが余りに時間が立ちすぎていた為に、タケルの事を覚えている者はいない。
それでも彼は満足していた。
何故なら、コーガス家を守れたからだ。
そう思っていたのだが……
「コーガス家が没落!?そんな馬鹿な!?」
これは世界を救った勇者が、かつて自分を拾い温かく育ててくれた没落した侯爵家をチートな能力で再興させる物語である。
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
NTRエロゲの世界に転移した俺、ヒロインの好感度は限界突破。レベルアップ出来ない俺はスキルを取得して無双する。~お前らNTRを狙いすぎだろ~
ぐうのすけ
ファンタジー
高校生で18才の【黒野 速人】はクラス転移で異世界に召喚される。
城に召喚され、ステータス確認で他の者はレア固有スキルを持つ中、速人の固有スキルは呪い扱いされ城を追い出された。
速人は気づく。
この世界、俺がやっていたエロゲ、プリンセストラップダンジョン学園・NTRと同じ世界だ!
この世界の攻略法を俺は知っている!
そして自分のステータスを見て気づく。
そうか、俺の固有スキルは大器晩成型の強スキルだ!
こうして速人は徐々に頭角を現し、ハーレムと大きな地位を築いていく。
一方速人を追放したクラスメートの勇者源氏朝陽はゲームの仕様を知らず、徐々に成長が止まり、落ちぶれていく。
そしてクラス1の美人【姫野 姫】にも逃げられ更に追い込まれる。
順調に強くなっていく中速人は気づく。
俺達が転移した事でゲームの歴史が変わっていく。
更にゲームオーバーを回避するためにヒロインを助けた事でヒロインの好感度が限界突破していく。
強くなり、ヒロインを救いつつ成り上がっていくお話。
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
カクヨムとアルファポリス同時掲載。
クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
ドロップキング 〜 平均的な才能の冒険者ですが、ドロップアイテムが異常です。 〜
出汁の素
ファンタジー
アレックスは、地方の騎士爵家の五男。食い扶持を得る為に13歳で冒険者学校に通い始めた、極々一般的な冒険者。
これと言った特技はなく、冒険者としては平凡な才能しか持たない戦士として、冒険者学校3か月の授業を終え、最低ランクHランクの認定を受け、実地研修としての初ダンジョンアタックを冒険者学校の同級生で組んだパーティーでで挑んだ。
そんなアレックスが、初めてモンスターを倒した時に手に入れたドロップアイテムが異常だった。
のちにドロップキングと呼ばれる冒険者と、仲間達の成長ストーリーここに開幕する。
第一章は、1カ月以内に2人で1000体のモンスターを倒せば一気にEランクに昇格出来る冒険者学校の最終試験ダンジョンアタック研修から、クラン設立までのお話。
第二章は、設立したクラン アクア。その本部となる街アクアを中心としたお話。
第三章は、クラン アクアのオーナーアリアの婚約破棄から始まる、ドタバタなお話。
第四章は、帝都での混乱から派生した戦いのお話(ざまぁ要素を含む)。
1章20話(除く閑話)予定です。
-------------------------------------------------------------
書いて出し状態で、1話2,000字~3,000字程度予定ですが、大きくぶれがあります。
全部書きあがってから、情景描写、戦闘描写、心理描写等を増やしていく予定です。
下手な文章で申し訳ございませんがよろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる