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4章 偽りの歴史
197話 迫りくる
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「地下牢に収監されている人は定期的に部屋が代わるんだ。間隔は大体2週間ぐらいだと思う。刑が軽い人は、地上に繋がってる階段の方に。刑が重い人はアタシ達が立ってる地下水路に繋がってる階段の方に移動させられるんだ」
「多分処刑を手っ取り早く終わらせるためだろうな」
「地上に繋がってる階段の方に移動される人はそろそろ釈放が近い人・・・って事かな?」
「だろうよ。ところで・・・この地下牢はもう使われていないのか?」
俺達が出てきた地下牢の檻の中には、人どころかネズミすらいなかった。見張りである看守の姿も見当たらない。
「これが間違いなくアレだな」
「ああ・・・罠だな」
よく考えてみれば、敵である俺達がこの都市にいる事は、昨日のルナとの遭遇で知られているはず。一番警戒しなければいけない地下水路に繋がってる地下牢をトラップ部屋にするのは妥当という他ないだろう。
どこかで見張られているのだろう。足元・・・いや、部屋全体が揺れ始めた。一瞬地震かと思ったが、恐らくは罠が発動した結果だろう。
檻が、次々と床に収納されていき、四角い何もない地下室が完成する。また強い魔物と戦わせる為に檻を退けて部隊を作ったのかと思ったのだが・・・。
「・・・なあ、私の見間違えであれば良いんだが・・・壁、迫ってきていないか?」
襲い掛かってきたのは魔物ではなく、壁だった。
「マジかよ!急げ!!」
幸いにも、目の前に地上へ続く階段がある。壁の迫る速度は大した事はない。全力で走れば間に合うはず・・・。
しかし、その希望を叩き潰すように、階段の前の天井が降りてきて、階段へと向かう俺達の行方を阻んだ。
「どうして行けると思った!?ここは敵地だぞ!階段を塞ぐなんて容易にできると何故想像できない!」
「アンタだって走り出してたじゃないか!!」
「喧嘩してる場合じゃないって!!戻ろう!!」
昇ってきた階段の方を見ると、既に姿を消していた。いや、壁によって隠されたと言った方が良いだろう。
出口も入り口をふさがれた密室になった瞬間、迫って来る壁の速度が急激に上がる。1分に1m進んできているペースだ。
「あら?あらあらら?侵入者圧縮システムが軌道したから急いできたんだけど・・・まさか貴方達だとは思わなかったわ♪」
目の前に突如として現れる妙齢の美女。ルナだ。何もない場所から現れた事から察するに幻だろう。
「地下水路から侵入なんて悪いネズミさんだこと☆鎧の彼をどうやって欺いだのかしらね?まあ、良いわ。貴方達にチャンスをあげちゃう」
「チャンスって?」
「今すぐヘリナちゃんをウチによこしなさい?」
何となく分かりきった条件が提示された。
「多分処刑を手っ取り早く終わらせるためだろうな」
「地上に繋がってる階段の方に移動される人はそろそろ釈放が近い人・・・って事かな?」
「だろうよ。ところで・・・この地下牢はもう使われていないのか?」
俺達が出てきた地下牢の檻の中には、人どころかネズミすらいなかった。見張りである看守の姿も見当たらない。
「これが間違いなくアレだな」
「ああ・・・罠だな」
よく考えてみれば、敵である俺達がこの都市にいる事は、昨日のルナとの遭遇で知られているはず。一番警戒しなければいけない地下水路に繋がってる地下牢をトラップ部屋にするのは妥当という他ないだろう。
どこかで見張られているのだろう。足元・・・いや、部屋全体が揺れ始めた。一瞬地震かと思ったが、恐らくは罠が発動した結果だろう。
檻が、次々と床に収納されていき、四角い何もない地下室が完成する。また強い魔物と戦わせる為に檻を退けて部隊を作ったのかと思ったのだが・・・。
「・・・なあ、私の見間違えであれば良いんだが・・・壁、迫ってきていないか?」
襲い掛かってきたのは魔物ではなく、壁だった。
「マジかよ!急げ!!」
幸いにも、目の前に地上へ続く階段がある。壁の迫る速度は大した事はない。全力で走れば間に合うはず・・・。
しかし、その希望を叩き潰すように、階段の前の天井が降りてきて、階段へと向かう俺達の行方を阻んだ。
「どうして行けると思った!?ここは敵地だぞ!階段を塞ぐなんて容易にできると何故想像できない!」
「アンタだって走り出してたじゃないか!!」
「喧嘩してる場合じゃないって!!戻ろう!!」
昇ってきた階段の方を見ると、既に姿を消していた。いや、壁によって隠されたと言った方が良いだろう。
出口も入り口をふさがれた密室になった瞬間、迫って来る壁の速度が急激に上がる。1分に1m進んできているペースだ。
「あら?あらあらら?侵入者圧縮システムが軌道したから急いできたんだけど・・・まさか貴方達だとは思わなかったわ♪」
目の前に突如として現れる妙齢の美女。ルナだ。何もない場所から現れた事から察するに幻だろう。
「地下水路から侵入なんて悪いネズミさんだこと☆鎧の彼をどうやって欺いだのかしらね?まあ、良いわ。貴方達にチャンスをあげちゃう」
「チャンスって?」
「今すぐヘリナちゃんをウチによこしなさい?」
何となく分かりきった条件が提示された。
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