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3章 平和主義者達

129話 自分に合った正しさ

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 ファルコは、行動派の人間だ。新しい攻撃手段を編み出す為にいろんな鍛錬を試してきた。

 話しかけづらい人とも積極的にコミュニケーションを取ろうとしたし、新種の魔物への挑戦も幾度となく行っていた。

 しかし、なんでもかんでも考えなしに突っ込むタイプではない。ダメだと思ったら必ず引くし、逃げる。その柔軟な考えのおかげでアタシは今まで生きてこられたんだと思う。

 はっきり言ってアタシがA級冒険者になれたのはファルコのおかげであり、アタシのおかげではない。アタシ1人では、到底A級になんて昇れなかった。むしろ、B級すら危うい。

 だからこそ、ファルコを助けかった。しかし、ファルコはアタシの助けを拒んだ。必要ないと言わんばかりに払い除けた。

 前述した通り、ファルコは行動力があり、考え方に柔軟性のある人間だ。ダメだと思ったらすぐに逃げるタイプだ。レボルスの思想もやばいと判断してアタシの手を握ってくれる。そう思っていた。

 ・・・思って、いたのに・・・。

「ファルコにとって、魔族と組むことが正しい事だったの?」

 正しさっていうのは1つとは限らない。考え方や、思想の数だけ正解は存在する。人は、自分に合った正しさを生きているうちに探して、その正しさに従うんだ。

 人が正しさを作っているんじゃない。正しさが人間を作っているんだ。人は、自分の信じたい正しさを見つけて、真に人間となる。

 アタシは見つけられていない。別に今まで自分の頭で決断してこなかったからではない。分からないんだ。

 何がアタシに合った正しさなのかが。

 分かんないアタシは、真に人間にはなれない。一人前にはなれない。相棒を・・・愛する人が手から離れてしまってショックから立ち直れない。

 ・・・そうだ。彼なら知っているかもしれない。アタシが信じるべき正しさとは何かを。アタシをここまで導いてくれた彼ならきっと知っているはずだ。

「聞か、なきゃ・・・」

「おい、ヘリナ?何立ち上がってんだ?やめとけ!お前は戦える状態じゃ─────」

 他冒険者の手がアタシの左腕を掴む。体が前に進まない。邪魔だ。

 右手で手刀を作り、アタシの腕を掴む手を思い切り叩く。すると、不快な音と共に手を押さえながら痛がり始めた。

「な、何するんだ・・・!!」

「ファルコに、聞きに行かなきゃいけないんです。アタシがいるべき正しさを知る為に」

「正しさってなんだよぉ・・・!!」

 分からない。けど、彼なら分かるはずだ。アタシの唯一無二の親友であり、愛する人であり、相棒であるファルコなら、きっと・・・。
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