上 下
70 / 341
2章 Aを目指せ

69話 頭脳で倒す

しおりを挟む
「とりあえず、ここいらの魔物は全部殺す?殺して良いよね?アタシとファルコの思い出の場所を汚したんだから」

「そしたら、今度は魔物の血でここが汚れますよ、ヘリナ先輩」

 この温度なら、血なんかすぐに凍ってしまう。凍った血を落とすのは一筋縄では行かないぞ・・・。

「じゃあ、どうすんの?このまま奥にいるかもしれない魔族を直接叩きに行くの?」

「それもあんまり良い案ではないですね。魔族は魔物を操ります。魔族にここにいる魔物を呼ばれたらひとたまりもありません」

「じゃあ、なんか良い案はある?頭の回転が良いアンタなら良い解決案があるんでしょう?」

「はい。まず、魔物達を誘き寄せます。そして、外へと誘導する。そしたら────」

「デビン洞窟を汚さずに魔物が殺せるってわけね」

「洞窟を汚さないが、結局戦うのかよ・・・面倒くさ」

「そんな事言わないの。ほら、さっさと始めるよ」

 これは推測に過ぎないが、デビン洞窟に入った時点で魔族には存在を気づかれていると思う。洞窟に入った時、痛くはなかったが、体がピリッと痺れた。しかも、俺だけでなく他の3人も感じたという。

 恐らく、入り口に出入りを管理する結界のようなものを張っていたのだろう。用意周到だ。

 なので、気づかれたく無いから小さな音でというのはしない。しっかりと大音を立てて魔物達の注目を引く。しかし、大きな音が出る道具なんか持っていない。かと言って、叫ぶのもなんか違うような気がする。

 そんな気がしたので。

「『ファイア』」

 1番近くにいた魔物を燃やしてみせた。するとどうだろう?熱さに耐え斬れなくなった魔物がゴロゴロと悶え苦しみ、絶叫し始めたではないか。

 数分後、魔物の体から燃える部分は失われ、残ったのはかつて生き物だった黒焦げた物体。それを見た他の魔物達は────。

「キェェエエエエエ!!」「キュアン!キュアン!」「フロォオオオオオ!!」

 怒った。その怒りが侵入に気づいたことによるものなのか、仲間を殺されたことによるものなのかは定かではないが、周辺の魔物達が一斉に襲いかかってきた。

 全魔物が、だ。誰1人として洞窟の奥へは行こうとしなかった。普通なら侵入者の報告する状況だが、それを魔物達は行わなかったのだ。

 普段、魔物の中には天敵から身を守る為に、天敵の出現を仲間達に伝える連絡係という役割が存在する今、洞窟に集まっている魔物の中にも連絡係が種の習性として身についている種族がいる。

 それをやらないという事は、つまり自由を奪われているという事。つまりこの奥に魔族がいることは確定だ。

「『スパーク』ッ!!」

 デビン洞窟には全体に氷が張っている。その為、電気を流して電気を走らせる事が可能となっている。

「「「ウビビビビビビ・・・!!」」」

 こちらに向かってきていた魔物の方へと向かい、魔物達を感電死させた。因みに電気の魔法を使ったのはファルコでも無ければ、パルスでもない。

 ラーバさんだ。

「これなら、一体ずつ倒さずに楽に討伐できるでしょ?」

「・・・ちょっと頭が固かったかもしれません」

 この機転の速さは俺も見習わなくては。

 魔物を倒しきった事を確認した俺達は、奥へと進むことにした。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした

服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜 大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。  目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!  そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。  まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!  魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!

外れスキルは、レベル1!~異世界転生したのに、外れスキルでした!

武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生したユウトは、十三歳になり成人の儀式を受け神様からスキルを授かった。 しかし、授かったスキルは『レベル1』という聞いたこともないスキルだった。 『ハズレスキルだ!』 同世代の仲間からバカにされるが、ユウトが冒険者として活動を始めると『レベル1』はとんでもないチートスキルだった。ユウトは仲間と一緒にダンジョンを探索し成り上がっていく。 そんなユウトたちに一人の少女た頼み事をする。『お父さんを助けて!』

「残念でした~。レベル1だしチートスキルなんてありませ~ん笑」と女神に言われ異世界転生させられましたが、転移先がレベルアップの実の宝庫でした

御浦祥太
ファンタジー
どこにでもいる高校生、朝比奈結人《あさひなゆいと》は修学旅行で京都を訪れた際に、突然清水寺から落下してしまう。不思議な空間にワープした結人は女神を名乗る女性に会い、自分がこれから異世界転生することを告げられる。 異世界と聞いて結人は、何かチートのような特別なスキルがもらえるのか女神に尋ねるが、返ってきたのは「残念でした~~。レベル1だしチートスキルなんてありませ~~ん(笑)」という強烈な言葉だった。 女神の言葉に落胆しつつも異世界に転生させられる結人。 ――しかし、彼は知らなかった。 転移先がまさかの禁断のレベルアップの実の群生地であり、その実を食べることで自身のレベルが世界最高となることを――

【改稿版】休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。

ゆう
ファンタジー
剣と魔法の異世界に転生したクリス・レガード。 剣聖を輩出したことのあるレガード家において剣術スキルは必要不可欠だが12歳の儀式で手に入れたスキルは【休憩】だった。 しかしこのスキル、想像していた以上にチートだ。 休憩を使いスキルを強化、更に新しいスキルを獲得できてしまう… そして強敵と相対する中、クリスは伝説のスキルである覇王を取得する。 ルミナス初代国王が有したスキルである覇王。 その覇王発現は王国の長い歴史の中で悲願だった。 それ以降、クリスを取り巻く環境は目まぐるしく変化していく…… ※アルファポリスに投稿した作品の改稿版です。 ホットランキング最高位2位でした。 カクヨムにも別シナリオで掲載。

異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!

夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。 ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。 そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。 視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。 二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。 *カクヨムでも先行更新しております。

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

チートスキル【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得&スローライフ!?

桜井正宗
ファンタジー
「アウルム・キルクルスお前は勇者ではない、追放だ!!」  その後、第二勇者・セクンドスが召喚され、彼が魔王を倒した。俺はその日に聖女フルクと出会い、レベル0ながらも【レベル投げ】を習得した。レベル0だから投げても魔力(MP)が減らないし、無限なのだ。  影響するステータスは『運』。  聖女フルクさえいれば運が向上され、俺は幸運に恵まれ、スキルの威力も倍増した。  第二勇者が魔王を倒すとエンディングと共に『EXダンジョン』が出現する。その隙を狙い、フルクと共にダンジョンの所有権をゲット、独占する。ダンジョンのレアアイテムを入手しまくり売却、やがて莫大な富を手に入れ、最強にもなる。  すると、第二勇者がEXダンジョンを返せとやって来る。しかし、先に侵入した者が所有権を持つため譲渡は不可能。第二勇者を拒絶する。  より強くなった俺は元ギルドメンバーや世界の国中から戻ってこいとせがまれるが、もう遅い!!  真の仲間と共にダンジョン攻略スローライフを送る。 【簡単な流れ】 勇者がボコボコにされます→元勇者として活動→聖女と出会います→レベル投げを習得→EXダンジョンゲット→レア装備ゲットしまくり→元パーティざまぁ 【原題】 『お前は勇者ではないとギルドを追放され、第二勇者が魔王を倒しエンディングの最中レベル0の俺は出現したEXダンジョンを独占~【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得~戻って来いと言われても、もう遅いんだが』

異世界転生!俺はここで生きていく

おとなのふりかけ紅鮭
ファンタジー
俺の名前は長瀬達也。特に特徴のない、その辺の高校生男子だ。 同じクラスの女の子に恋をしているが、告白も出来ずにいるチキン野郎である。 今日も部活の朝練に向かう為朝も早くに家を出た。 だけど、俺は朝練に向かう途中で事故にあってしまう。 意識を失った後、目覚めたらそこは俺の知らない世界だった! 魔法あり、剣あり、ドラゴンあり!のまさに小説で読んだファンタジーの世界。 俺はそんな世界で冒険者として生きて行く事になる、はずだったのだが、何やら色々と問題が起きそうな世界だったようだ。 それでも俺は楽しくこの新しい生を歩んで行くのだ! 小説家になろうでも投稿しています。 メインはあちらですが、こちらも同じように投稿していきます。 宜しくお願いします。

処理中です...