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一章 貴方のスキル買い取らせて下さい
5話 仲間も食料も生き残る術もない
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(俺・・・ツイてるのかどうか分からないな・・・)
まだ周りを歩いているサイクロプスにバレないように先輩傭兵の死体の横で死人のふりをする。
右には優しかった剣士の傭兵さんの上半身だけが転がっている。
左には少し厳し目だったけど、俺に気を遣ってくれた魔法使いの女性が頭を半分潰された状態で動かないでいる。
「Bofuuu・・・」
サイクロプスは馬車を引いていた馬と、馬車の中に詰め込まれていた食料を手にすると何処かへと歩いて行ってしまった。人間を食べる風習はなかったようで安心した。
「何で・・・俺だけ生き残ってるんだ」
2人の先輩傭兵の体に手を当ててみるとまだ暖かい。まだ生きていた痕跡が残っている。でももう動くことはない。心臓は既に動いていない。
馬車の中に何故かあったスコップ使い、3人分の穴を掘る。左右にいる先輩傭兵2人と、岩に叩きつけられ死んだ商人の分だ。
ザクッザクッとスコップを土に差し込む度に涙が溢れてくる。たった2時間の交流のせいで涙の理由が曖昧だ。
自分の境遇に泣いているのか、仲間の死に泣いているのか分からない。そんな自分に嫌気がさす。
3人の遺体を埋め、近くにあった木の棒2つで十字架を作り、手を合わせる。これで無事成仏してくれればいいのだが・・・。
「そういえば、剣士さんの剣・・・どうしよう」
相棒のようなものだ。置いておくべきなのだろうが、俺はここから町まで歩いて帰らなくてはならない。身を守る武器が必要だ。申し訳ないが、拝借しておこう。
鞘に納め、右腰に収める。体が剣の重みに慣れていないせいで体が右に傾く。もう少し運動しておけばよかったとここにきて後悔。
「さて、行くか・・・ん?」
今いるのは、木々が生い茂る森の中。道もサイクロプスから逃げる為必死だった為、忘れてしまった。東西南北すら分からない最悪の状態。食料は全てサイクロプスが持って行ってしまった。手元にあるのは腹を満たせない硬貨と、傭兵さんから拝借した一振りの剣のみ。
サバイバル経験無し、松明無し、既に太陽は沈みかけている。周りが暗くなるにつれて心細くなっていくのを感じ取る。
死にたくない。絶対に死にたくないという気持ちが頭の中を駆け巡る。明かりも無く、周りも怖かった俺は近くにあった木の中の空洞に入って夜をやり過ごす事にした。俺以外に何かがいるような気がして眠る事は出来ず、起きたまま、朝日が昇るのを待っていた。
その間恐らく6時間程だろうが、一週間程の時間に感じた。
まだ周りを歩いているサイクロプスにバレないように先輩傭兵の死体の横で死人のふりをする。
右には優しかった剣士の傭兵さんの上半身だけが転がっている。
左には少し厳し目だったけど、俺に気を遣ってくれた魔法使いの女性が頭を半分潰された状態で動かないでいる。
「Bofuuu・・・」
サイクロプスは馬車を引いていた馬と、馬車の中に詰め込まれていた食料を手にすると何処かへと歩いて行ってしまった。人間を食べる風習はなかったようで安心した。
「何で・・・俺だけ生き残ってるんだ」
2人の先輩傭兵の体に手を当ててみるとまだ暖かい。まだ生きていた痕跡が残っている。でももう動くことはない。心臓は既に動いていない。
馬車の中に何故かあったスコップ使い、3人分の穴を掘る。左右にいる先輩傭兵2人と、岩に叩きつけられ死んだ商人の分だ。
ザクッザクッとスコップを土に差し込む度に涙が溢れてくる。たった2時間の交流のせいで涙の理由が曖昧だ。
自分の境遇に泣いているのか、仲間の死に泣いているのか分からない。そんな自分に嫌気がさす。
3人の遺体を埋め、近くにあった木の棒2つで十字架を作り、手を合わせる。これで無事成仏してくれればいいのだが・・・。
「そういえば、剣士さんの剣・・・どうしよう」
相棒のようなものだ。置いておくべきなのだろうが、俺はここから町まで歩いて帰らなくてはならない。身を守る武器が必要だ。申し訳ないが、拝借しておこう。
鞘に納め、右腰に収める。体が剣の重みに慣れていないせいで体が右に傾く。もう少し運動しておけばよかったとここにきて後悔。
「さて、行くか・・・ん?」
今いるのは、木々が生い茂る森の中。道もサイクロプスから逃げる為必死だった為、忘れてしまった。東西南北すら分からない最悪の状態。食料は全てサイクロプスが持って行ってしまった。手元にあるのは腹を満たせない硬貨と、傭兵さんから拝借した一振りの剣のみ。
サバイバル経験無し、松明無し、既に太陽は沈みかけている。周りが暗くなるにつれて心細くなっていくのを感じ取る。
死にたくない。絶対に死にたくないという気持ちが頭の中を駆け巡る。明かりも無く、周りも怖かった俺は近くにあった木の中の空洞に入って夜をやり過ごす事にした。俺以外に何かがいるような気がして眠る事は出来ず、起きたまま、朝日が昇るのを待っていた。
その間恐らく6時間程だろうが、一週間程の時間に感じた。
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