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初夜オムニバス1・献身の初夜
メイアに会いに
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一週間ほど暫く考えていた。
どうすべきかと最悪の場合も考えて。
それで、やはりメイアを迎えに行こうと決めた時、なんとメイア自ら戻ってきた。
知らせを受けた俺は急いでエントランスへ駆けつける。
まずは情けない自分を謝ろうと、それからゆっくり距離を詰めていきたいと、それから自分の気持ちを打ち明けようと思っていた。
エントランスに着く。扉の前で、メイアは恥ずかしそうに俯いて立っていた。
「……ラシュエル様、突然家を空けてしまい申し訳ありませんでした」
小さな声だった。よく知るメイアの声だ。
「いや、いい。此方こそ……」
上げた顔に違和感を覚えた。全く同じ顔のはずだ。声も同じ。しかし……。
ベルハムがメイアの荷物を持つ。
「お部屋にお持ちしましょう」
「あっ、すいません……。ありがとうございます」
申し訳なさそうな表情を浮かべていた。
何かがおかしい。
「……よく戻ってきてくれた」
訝しみながらも声を掛ける。
メイアは小さく微笑んだ。
「……はい」
メイアがベルハムに呼ばれて返事をする。
「では、申し訳ありません。荷物を置いてまいります」
立ち去ろうとする姿を引き留めた。
「待て……」
振り向いた顔に、違和感が広がっていく。
「はい?」
「……お前は誰だ」
その声に、メイアは喜色満面に微笑んだ。
どうすべきかと最悪の場合も考えて。
それで、やはりメイアを迎えに行こうと決めた時、なんとメイア自ら戻ってきた。
知らせを受けた俺は急いでエントランスへ駆けつける。
まずは情けない自分を謝ろうと、それからゆっくり距離を詰めていきたいと、それから自分の気持ちを打ち明けようと思っていた。
エントランスに着く。扉の前で、メイアは恥ずかしそうに俯いて立っていた。
「……ラシュエル様、突然家を空けてしまい申し訳ありませんでした」
小さな声だった。よく知るメイアの声だ。
「いや、いい。此方こそ……」
上げた顔に違和感を覚えた。全く同じ顔のはずだ。声も同じ。しかし……。
ベルハムがメイアの荷物を持つ。
「お部屋にお持ちしましょう」
「あっ、すいません……。ありがとうございます」
申し訳なさそうな表情を浮かべていた。
何かがおかしい。
「……よく戻ってきてくれた」
訝しみながらも声を掛ける。
メイアは小さく微笑んだ。
「……はい」
メイアがベルハムに呼ばれて返事をする。
「では、申し訳ありません。荷物を置いてまいります」
立ち去ろうとする姿を引き留めた。
「待て……」
振り向いた顔に、違和感が広がっていく。
「はい?」
「……お前は誰だ」
その声に、メイアは喜色満面に微笑んだ。
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