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グルタス伯爵との戦い
0147話
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「え? ミニメテオを?」
「はい。隕石二個と交換して魔剣を……こういう短剣じゃなくて、普通の長剣の魔剣を貰うことになったので」
ソフィアにそう言うと、イオは自分の持っている短剣の魔剣を見せる。
最初は隕石を三個渡して長剣型の魔剣を貰うつもりだったのだが、イオのその言葉に研究者の女は二個でいいと言ったのだ。
本心を言えば、女は三個でも四個でも五個でも、貰えるだけ貰った方がいいと思っている。
しかし、もし自分がそんなにたくさんの魔石を持っているのを知られれば、それを狙って誰かに襲われるといった可能性もあった。
そうなった場合、女は自分の身を守れない。
もちろん、魔剣を持っているのを見れば分かるように、その辺のいる一般人よりは荒事には対応出来るだろう。
しかし、それはあくまでも一般人と比べての話でしかない。
女は自分が魔剣を作ることは出来ても、実戦で魔剣を使う……ただ魔剣を使うのではなく、使いこなせるかと言われれば、とてもではないが頷くことは出来なかった。
だからこそ、隕石をたくさん持っている状況で襲撃されるようなことがあった場合、どうしても対処は難しいと判断して、新たな隕石は二個で我慢することにした。
……二個の隕石であっても、欲しい者にしてみれば十分襲う価値があるのは間違いないのだが。
それでも二個くらいならと思ってしまい、そして実際にその個数で取引をしたのなら、女にとっては利益の方が大きい。
使い捨てとはいえ、魔剣を作るには相応の素材が必要となる。
中には特殊な触媒が必要となることもあり、それを集めるには当然だが相応の資金が必要だった。
その資金を集めるためには、最悪隕石を売るといったことをする必要もあるだろう。
だからこそ、隕石というのは複数あった方がいいのは間違いない。
もっとも、女の場合は今まで魔剣を売って相当の資産があるから、隕石を売るつもりはなかったが。
女の作る魔剣は、普通の……それこそ何度使っても壊れない魔剣と比べると、使い捨てという点が大きな問題だ。
だが同時に、使い捨てだからこその利点があるのも事実。
たとえば、普通の魔剣は長い間使う必要があるので、無理な設計は出来ない。
それに比べると、使い捨ての魔剣の場合は一定の回数を使えば壊れる……壊れてもいいという前提で設計出来るので、普通の魔剣よりも魔法の威力が強くなる。
また、何よりの利点はそのような無茶な魔剣である以上、素材も普通の魔剣と比べると劣っている物で何とかなるので、魔剣の値段も安くなるというが大きいだろう。
長く使い続けられるが非常に高価な魔剣と、それなりに高価であっても頑張れば購入出来る金額だが使い捨ての魔剣。
そのどちらが欲しいかと言われれば、多くの者は前者だろうが……金銭的な問題で購入出来るのは後者となる。
そのような理由から女は金に困っていなかった。
だからといって、無駄に金を使うといった真似はするつもりはなかったが。
「魔剣、ね。……いいわ。ただ、出発まで時間がないからすぐにやってちょうだい」
ソフィアからは予想外にあっさりと許可が出た。
とはいえ、それは当然のことでもある。
流星魔法を使うのに、別に黎明の覇者が持っている何らかの素材や触媒の類が必要になったりする訳ではない。
これで使う魔法がミニメテオではなく普通のメテオであれば、使ったときに周囲に出る被害が大きいので、止めて欲しいと言っただろう。
だが、ミニメテオの場合は空から振ってくる隕石がかなり小さく、周囲に与える影響も少ない。
それなら特に問題ないとソフィアも判断したのだろう。
「そういうことなので、ちょっと野営地の外に行きましょうか。さっそくミニメテオを使いますから」
「イオ、野営地の外に出るのなら、一応レックスを連れて行きなさい。問題はないと思うけど、それでも何かがあるかもしれないから」
ソフィアの言葉にイオは頷き、研究者の女と共にその場から移動する。
幸いにもレックスはすぐに見つかり……
「じゃあ、いいですか? まず一回目のミニメテオを使いますよ」
「イオさん、ドレミナの兵士たちが見てるけど、構わないんですか?」
野営地の外に出てミニメテオを使おうとすると、レックスがそう尋ねてくる。
レックスの言葉通り、少し離れた場所には何人かのドレミナの兵士たちがいる。
やって来た兵士たちの中でも指揮官たちは引き継ぎを行っているものの、それ以外の兵士は今のところ特に何らかの仕事がない。
せいぜいが、この野営地にいる者たちと接触して友好的な関係になりつつ、何らかの情報を聞き出すといったところだ。
「構わない。もう俺が流星魔法を使うってのはかなり知られてるんだ。やって来た兵士たちの中にも、俺が流星魔法を使えるというのを知ってる奴は多いだろうし。なら、それを隠す必要はないだろ」
レックスにそう答える。
イオにしてみれば、最初は出来れば隠しておいた方がいいと思ってはいた。
しかし、ベヒモスとの戦いで使ってしまった時点でもう自分が流星魔法を使うのを隠すことが出来るとは、思っていなかった。
だからこそ、それ以降の戦いでも結構頻繁に使っている。
そもそも、ドレミナで騎士団に襲撃されて脱出し、それを追跡されていたときも流星魔法は使っている。
そういう意味では、もう何も隠す必要はないのだ。
隠す必要がないからとはいえ、ミニメテオならともかくメテオを頻繁に使うつもりはなかったが。
周囲の環境に大きく影響を与えるメテオは、そう頻繁に使うのは不味いとイオも判断していたのだ。
もっとも、こうしてミニメテオを使って隕石を欲しがるのなら、この近辺にある隕石はともかく、ゴブリンの軍勢を倒した時の隕石辺りを探しに行けばいいのでは? と思わないでもない。
使い捨てとはいえ、魔剣を入手出来る以上、イオはこの機会を見逃すつもりはなかったが。
「じゃあ、使いますね」
「ええ、お願い」
周囲にいる視線を出来るだけ無視するようにしながら――そうして意識しているだけで無視しているとは言えないのだが――女に確認を取り、呪文を唱え始める。
『空に漂いし小さな石よ、我の意思に従い小さなその姿を我が前に現し、我が敵を射貫け……ミニメテオ』
呪文を唱え、魔法を発動し……そして若干のタイムラグのあと、空から隕石が降ってくる。
イオの使う流星魔法を今まで何度か見た者たちですら、予定通り隕石が降ってくる光景に驚きの表情を浮かべていた。
それだけに、新たにやって来た兵士たちは目の前で使われた流星魔法に完全に意識を奪われている。
「はい、まずはこれで一個ですね」
「え、ええ。これで一個だけど……正直なところ、ここまで簡単に隕石を入手するのを見ていると、色々と思うところがあるわね」
普通なら隕石を入手するには、苦労に苦労を重ねてようやく入手出来るのだ。
だというのに、イオにかかればこうして呆気なく隕石が入手出来てしまう。
そのことについて、研究者の女は色々と……非常に色々と思うところがあった。
とはいえ、それでもこうしてあっさりと隕石を入手するのは二度目である以上、自分の中にある複雑な思いを顔に出すようなことはないのだが。
それに今回の件で隕石を入手出来たのは、間違いなく自分なのだ。
そうである以上、色々と思うところがあっても、だからといってそれを不満に思う必要もない。
しかし、それはあくまでもその女がそう思っての話であり……
「ちょっと待ったぁっ!」
空から降ってきたばかりだというのに、すでにそこまで熱くはない……普通に手で持てる、イオの感覚だとコンビニで買った肉まんといったくらいの暖かさになっているそれを女に渡したところで、不意にそんな声が周囲に響く。
一体何だ?
そんな思いで視線を向けると、そこには一人の男の姿があった。
見覚えがあるような、ないような、そんな顔。
そんな男は、イオが自分の方を見ているのを知った上で、改めて口を開く。
「イオ殿。どうせ隕石を渡すのなら、私に渡してはどうですか? もちろん、無料でとは言いません。相応の値段で買い取ることを約束しましょう」
あ、この男は商人だ。
男の言葉を聞いたイオは、色々と交渉をしたときにベヒモスの素材を買い取りたいとして、ローザと交渉をしていた商人だと思い出す。
ただし、上手く交渉してある程度のベヒモスの素材を購入する契約が出来た商人ではなく、ベヒモスの骨をドレミナまで運ぶのは難しく、また何らかの訳ありだろうと理解した上でローザの足元を見て、普通ではとても考えられないような値段でベヒモスの骨を購入しようとした商人。
当然だがローザを相手にそのような取引が出来るはずもなく、商談はあっさりと打ち切られた。
商人の男にしてみれば、それは完全に予想外だったのだろう。
相手は黎明の覇者というランクA傭兵団であっても、結局のところ傭兵でしかない。
商売ということになれば、商人の自分が有利だと。
そのように思ったのだろうが、残念ながらローザにそのような態度で通じるはずもない。
そもそも、ローザは黎明の覇者の中でも補給を任されており、商人と取引をすることも多いのだ。
当然、商人との取引にも慣れており、見るからに質の悪そうな商人と取引をするつもりにはなれなかった。
そして当然の話ながら、そのような光景を見ていたイオもまた、目の前の男と取引をするつもりにはなれない。
「申し訳ありませんが、俺が今回取引をするのは魔剣が欲しいからです」
なので、貴方とは取引出来ません。
そういうイオに対し、男はそれでも……と、何とか交渉を続けようとする。
あるいは、この男が魔剣を取り扱っているのであれば、もしかしたらイオと交渉が出来たかもしれない。
イオが魔剣を欲しいのなら、自分がその魔剣を用意するので自分と取引をして欲しいと。
だが、男にとっては不幸なことに、そしてイオにとって幸運なことに、男は魔剣を……正確には武器を取り扱ってはいない。
そうである以上、当然ながら商談は出来ず……それでも何とかしようと男は足掻くも、最終的にイオはそれを無視するのだった。
「はい。隕石二個と交換して魔剣を……こういう短剣じゃなくて、普通の長剣の魔剣を貰うことになったので」
ソフィアにそう言うと、イオは自分の持っている短剣の魔剣を見せる。
最初は隕石を三個渡して長剣型の魔剣を貰うつもりだったのだが、イオのその言葉に研究者の女は二個でいいと言ったのだ。
本心を言えば、女は三個でも四個でも五個でも、貰えるだけ貰った方がいいと思っている。
しかし、もし自分がそんなにたくさんの魔石を持っているのを知られれば、それを狙って誰かに襲われるといった可能性もあった。
そうなった場合、女は自分の身を守れない。
もちろん、魔剣を持っているのを見れば分かるように、その辺のいる一般人よりは荒事には対応出来るだろう。
しかし、それはあくまでも一般人と比べての話でしかない。
女は自分が魔剣を作ることは出来ても、実戦で魔剣を使う……ただ魔剣を使うのではなく、使いこなせるかと言われれば、とてもではないが頷くことは出来なかった。
だからこそ、隕石をたくさん持っている状況で襲撃されるようなことがあった場合、どうしても対処は難しいと判断して、新たな隕石は二個で我慢することにした。
……二個の隕石であっても、欲しい者にしてみれば十分襲う価値があるのは間違いないのだが。
それでも二個くらいならと思ってしまい、そして実際にその個数で取引をしたのなら、女にとっては利益の方が大きい。
使い捨てとはいえ、魔剣を作るには相応の素材が必要となる。
中には特殊な触媒が必要となることもあり、それを集めるには当然だが相応の資金が必要だった。
その資金を集めるためには、最悪隕石を売るといったことをする必要もあるだろう。
だからこそ、隕石というのは複数あった方がいいのは間違いない。
もっとも、女の場合は今まで魔剣を売って相当の資産があるから、隕石を売るつもりはなかったが。
女の作る魔剣は、普通の……それこそ何度使っても壊れない魔剣と比べると、使い捨てという点が大きな問題だ。
だが同時に、使い捨てだからこその利点があるのも事実。
たとえば、普通の魔剣は長い間使う必要があるので、無理な設計は出来ない。
それに比べると、使い捨ての魔剣の場合は一定の回数を使えば壊れる……壊れてもいいという前提で設計出来るので、普通の魔剣よりも魔法の威力が強くなる。
また、何よりの利点はそのような無茶な魔剣である以上、素材も普通の魔剣と比べると劣っている物で何とかなるので、魔剣の値段も安くなるというが大きいだろう。
長く使い続けられるが非常に高価な魔剣と、それなりに高価であっても頑張れば購入出来る金額だが使い捨ての魔剣。
そのどちらが欲しいかと言われれば、多くの者は前者だろうが……金銭的な問題で購入出来るのは後者となる。
そのような理由から女は金に困っていなかった。
だからといって、無駄に金を使うといった真似はするつもりはなかったが。
「魔剣、ね。……いいわ。ただ、出発まで時間がないからすぐにやってちょうだい」
ソフィアからは予想外にあっさりと許可が出た。
とはいえ、それは当然のことでもある。
流星魔法を使うのに、別に黎明の覇者が持っている何らかの素材や触媒の類が必要になったりする訳ではない。
これで使う魔法がミニメテオではなく普通のメテオであれば、使ったときに周囲に出る被害が大きいので、止めて欲しいと言っただろう。
だが、ミニメテオの場合は空から振ってくる隕石がかなり小さく、周囲に与える影響も少ない。
それなら特に問題ないとソフィアも判断したのだろう。
「そういうことなので、ちょっと野営地の外に行きましょうか。さっそくミニメテオを使いますから」
「イオ、野営地の外に出るのなら、一応レックスを連れて行きなさい。問題はないと思うけど、それでも何かがあるかもしれないから」
ソフィアの言葉にイオは頷き、研究者の女と共にその場から移動する。
幸いにもレックスはすぐに見つかり……
「じゃあ、いいですか? まず一回目のミニメテオを使いますよ」
「イオさん、ドレミナの兵士たちが見てるけど、構わないんですか?」
野営地の外に出てミニメテオを使おうとすると、レックスがそう尋ねてくる。
レックスの言葉通り、少し離れた場所には何人かのドレミナの兵士たちがいる。
やって来た兵士たちの中でも指揮官たちは引き継ぎを行っているものの、それ以外の兵士は今のところ特に何らかの仕事がない。
せいぜいが、この野営地にいる者たちと接触して友好的な関係になりつつ、何らかの情報を聞き出すといったところだ。
「構わない。もう俺が流星魔法を使うってのはかなり知られてるんだ。やって来た兵士たちの中にも、俺が流星魔法を使えるというのを知ってる奴は多いだろうし。なら、それを隠す必要はないだろ」
レックスにそう答える。
イオにしてみれば、最初は出来れば隠しておいた方がいいと思ってはいた。
しかし、ベヒモスとの戦いで使ってしまった時点でもう自分が流星魔法を使うのを隠すことが出来るとは、思っていなかった。
だからこそ、それ以降の戦いでも結構頻繁に使っている。
そもそも、ドレミナで騎士団に襲撃されて脱出し、それを追跡されていたときも流星魔法は使っている。
そういう意味では、もう何も隠す必要はないのだ。
隠す必要がないからとはいえ、ミニメテオならともかくメテオを頻繁に使うつもりはなかったが。
周囲の環境に大きく影響を与えるメテオは、そう頻繁に使うのは不味いとイオも判断していたのだ。
もっとも、こうしてミニメテオを使って隕石を欲しがるのなら、この近辺にある隕石はともかく、ゴブリンの軍勢を倒した時の隕石辺りを探しに行けばいいのでは? と思わないでもない。
使い捨てとはいえ、魔剣を入手出来る以上、イオはこの機会を見逃すつもりはなかったが。
「じゃあ、使いますね」
「ええ、お願い」
周囲にいる視線を出来るだけ無視するようにしながら――そうして意識しているだけで無視しているとは言えないのだが――女に確認を取り、呪文を唱え始める。
『空に漂いし小さな石よ、我の意思に従い小さなその姿を我が前に現し、我が敵を射貫け……ミニメテオ』
呪文を唱え、魔法を発動し……そして若干のタイムラグのあと、空から隕石が降ってくる。
イオの使う流星魔法を今まで何度か見た者たちですら、予定通り隕石が降ってくる光景に驚きの表情を浮かべていた。
それだけに、新たにやって来た兵士たちは目の前で使われた流星魔法に完全に意識を奪われている。
「はい、まずはこれで一個ですね」
「え、ええ。これで一個だけど……正直なところ、ここまで簡単に隕石を入手するのを見ていると、色々と思うところがあるわね」
普通なら隕石を入手するには、苦労に苦労を重ねてようやく入手出来るのだ。
だというのに、イオにかかればこうして呆気なく隕石が入手出来てしまう。
そのことについて、研究者の女は色々と……非常に色々と思うところがあった。
とはいえ、それでもこうしてあっさりと隕石を入手するのは二度目である以上、自分の中にある複雑な思いを顔に出すようなことはないのだが。
それに今回の件で隕石を入手出来たのは、間違いなく自分なのだ。
そうである以上、色々と思うところがあっても、だからといってそれを不満に思う必要もない。
しかし、それはあくまでもその女がそう思っての話であり……
「ちょっと待ったぁっ!」
空から降ってきたばかりだというのに、すでにそこまで熱くはない……普通に手で持てる、イオの感覚だとコンビニで買った肉まんといったくらいの暖かさになっているそれを女に渡したところで、不意にそんな声が周囲に響く。
一体何だ?
そんな思いで視線を向けると、そこには一人の男の姿があった。
見覚えがあるような、ないような、そんな顔。
そんな男は、イオが自分の方を見ているのを知った上で、改めて口を開く。
「イオ殿。どうせ隕石を渡すのなら、私に渡してはどうですか? もちろん、無料でとは言いません。相応の値段で買い取ることを約束しましょう」
あ、この男は商人だ。
男の言葉を聞いたイオは、色々と交渉をしたときにベヒモスの素材を買い取りたいとして、ローザと交渉をしていた商人だと思い出す。
ただし、上手く交渉してある程度のベヒモスの素材を購入する契約が出来た商人ではなく、ベヒモスの骨をドレミナまで運ぶのは難しく、また何らかの訳ありだろうと理解した上でローザの足元を見て、普通ではとても考えられないような値段でベヒモスの骨を購入しようとした商人。
当然だがローザを相手にそのような取引が出来るはずもなく、商談はあっさりと打ち切られた。
商人の男にしてみれば、それは完全に予想外だったのだろう。
相手は黎明の覇者というランクA傭兵団であっても、結局のところ傭兵でしかない。
商売ということになれば、商人の自分が有利だと。
そのように思ったのだろうが、残念ながらローザにそのような態度で通じるはずもない。
そもそも、ローザは黎明の覇者の中でも補給を任されており、商人と取引をすることも多いのだ。
当然、商人との取引にも慣れており、見るからに質の悪そうな商人と取引をするつもりにはなれなかった。
そして当然の話ながら、そのような光景を見ていたイオもまた、目の前の男と取引をするつもりにはなれない。
「申し訳ありませんが、俺が今回取引をするのは魔剣が欲しいからです」
なので、貴方とは取引出来ません。
そういうイオに対し、男はそれでも……と、何とか交渉を続けようとする。
あるいは、この男が魔剣を取り扱っているのであれば、もしかしたらイオと交渉が出来たかもしれない。
イオが魔剣を欲しいのなら、自分がその魔剣を用意するので自分と取引をして欲しいと。
だが、男にとっては不幸なことに、そしてイオにとって幸運なことに、男は魔剣を……正確には武器を取り扱ってはいない。
そうである以上、当然ながら商談は出来ず……それでも何とかしようと男は足掻くも、最終的にイオはそれを無視するのだった。
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