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異世界へ
0038話
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朝、イオはベッドの上で目が覚める。
昨日はローザとの夕食が終わって部屋に戻ってきたところで、そのまま眠ってしまったのだ。
眠っているときに無意識に脱いだのか、服の類はシャツとパンツ以外は着ていない。
寝苦しいから脱いだのだろうが、起きたイオには全くそんな記憶はない。
「んんー……ぐっすり寝たな……」
呟きながら、大きく伸びをするイオ。
一体何時間くらい寝たのか、正直なところ自分でも分からない。
分からないが、それでも久しぶりに敵襲の心配も何もなくぐっすりと眠ることが出来たので、起きたばかりでも寝惚ける様子もなく、頭の中はすっきりしていた。
起き上がり、窓の外を見る。
すると太陽は完全に昇っており、結構な寝坊をしたのだろうと理解出来た。
「こんなにぐっすりと眠ったのは久しぶりだったしな。自覚はなくても疲れていたのか」
森の中で生活を続け、寝不足で体調を崩すようなことがなかったのは喜ぶべきだろう。
それでも寝心地がよすぎて寝坊をしたのは若干気まずかったが。
「さて、疲れもなくなって全快になったことだし……今日はどうするかな」
窓から降り注ぐ太陽の光を浴びながら、今日はどうするかを考えるイオ。
するとそんなイオの言葉に反応するかのように、腹が自己主張する。
イオは夕食後すぐに眠ったので、意識としてはつい先程夕食を終えたばかりといったような状況ではあるが、身体の方は正直に空腹を訴えている。
夕食が終わって部屋に戻ってからすぐに寝たので、イオの精神的にはともかく、実際にはかなり長時間何も食べておらず、何も飲んでいない。
それを自覚すると急に喉の渇きを覚え、部屋にあった水差しからコップに水を注いで口に運ぶ。
「冷たいし、美味いな」
その水は一晩中部屋の中にあったにもかかわらず、冷たいままだ。
それだけではなく、ただの水であるのに何故か美味いと思ってしまう。
具体的に何らかの味がついている訳ではないのだが。
水を飲んで喉の渇きを癒やしたイオは、朝食を求めて食堂に向かうのだった。
「やぁ、イオ」
食堂に入ってテーブルに座ろうとした瞬間、不意にそんな声をかけられる。
声のした方を見たイオは、その動きを止め……数秒後、やっと口を開く。
「え? ウルフィさん……何でここに?」
そう言いながらも、改めてイオは目の前にいる人物に視線を向ける。
それは間違いなくウルフィで、イオの見間違いという訳ではない。
何故ここにウルフィがいるのかイオには全く理解出来ず、だが同時に自分の一件を知っている部外者ということで、慌ててその場から逃げようとし……
「待った、待った。逃げなくても大丈夫だよ。私がここにいるのを考えれば、別に敵じゃないというのは分かるだろう?」
そう言われたイオは足を止める。
たしかに自分を脅しに来たのなら、こうして黎明の覇者が借り切っている英雄の宴亭にに食堂にウルフィがいるのはおかしい。
それに咄嗟のことで頭が回らなかったものの、昨日イオがソフィアやローザと話したときにはウルフィに自分の秘密について口止めしておくといったように言ってなかったか。
しかしそうなると、何故ウルフィがこの場にいるのかといった疑問を抱く。
「えっと、それでウルフィさんは何でここにいるんですか?」
自分を脅すため、あるいはもっと詳しい話を聞くために忍び込んできたのではないかと思いもしたものの、英雄の宴亭を借り切っているのは黎明の覇者の傭兵たちなのだ。
ウルフィが腕利きであっても、人知れず侵入するような真似は出来ないと思われた。
それ以前に、現在の食堂にも何人か黎明の覇者に所属する傭兵がいるのだから、もし部外者が勝手に入ってきたのならその者たちが対処しているはずだった。
「現在英雄の宴亭は黎明の覇者が借り切っている、そうである以上、ここにいることが出来るのは黎明の覇者に所属している者か、あるいは黎明の覇者の客人かだろう? なら、あとは考えなくても分かるんじゃないか?」
「え? それってつまり……ウルフィさんも黎明の覇者の客人になったってことですか?」
「正解。正確には黎明の覇者に入団するように誘われたんだけど、ソロで活動してきた私はあまりそんな気になれなくてね。それでも黎明の覇者がどういう活動をしているのか、見てから決めればいいと言われてしまっては……それを断ることは出来なかったんだよ」
実際には黎明の覇者に所属させようとするギュンターと、ソロでいたいというウルフィの交渉の結果、妥協としてウルフィは黎明の客人となることになったのだが。
ウルフィとしてはたとえ黎明の覇者というランクA傭兵団であっても、そこに所属するのは気が進まない。
しかし、イオと一緒に行動していれば面白いものを見られるかもしれないというギュンターの誘いの言葉には非常に惹かれるものがあった。
その結果として、ウルフィはイオと同じように黎明の覇者の客人という立場を選んだのだ。
もちろん客人ではあってもウルフィとイオでは色々と立場は違う。
たとえばウルフィはかなりの強さを持つので、もし黎明の覇者との行動において戦力が足りなくなった場合は積極的に協力するといったように。
立場上はイオと同じ客人ではあったものの、実際には黎明の覇者が雇った補助戦力的な存在であった。
「そう、なんですか」
イオはそのような言葉を返す。
ウルフィの言葉を全て信じるといった訳にはいかないものの、実際にこうして英雄の宴亭にいるのだから、あながちデタラメでもないだろうと判断したのだ。
「そうだよ。それより、イオも座ったらどうだい? 店員がちょっと困っているよ」
ウルフィの言葉に、イオはテーブルに着く。
そうしてやって来た店員に軽い朝食を頼み、店員がいなくなると改めてウルフィは口を開く。
「さて、こうしてイオと会った以上、昨日の件は謝っておくべきだろうね」
「え? それなら謝るのは俺だと思いますけど。いきなり逃げ出したんだし」
「そっちの件じゃないよ。いやまぁ、その件について思うところない訳でもないけど。そうではなく、私を慕っている彼に襲撃されたんだろう?」
「ああ、そっちですか。でも、あれって別にウルフィさんが指示した訳じゃないですよね?」
ウルフィにとっては、決して自分が指示をしてイオを襲わせた訳ではない。
しかしギュンターに指摘されたように、以前にもっと厳しく注意しておけばこのようなことにならなかったのだろうと思えた。
だからこその謝罪。
「ああ、決してそんな真似はしていない。けど、前々から色々と問題のある行為をする相手だったんだ。それを考えれば、やはりもっと前にしっかりと厳しく言っておくべきだった。今回はジャミレさんのおかげで大きな騒動にはならなかったようだけど……」
もしジャミレが介入しなかった場合、一体どうなっていたのか。
チンピラたちもいたことを考えると、イオが一方的に暴行を受けるといったようなことにはならなかった可能性もある。
あるいは、イオを取り合って二つの集団が乱闘になり、その隙を突いてイオは逃げ出した可能性もある。
それら全てを考えた上でも、イオが危険なことになっていた可能性は十分にあったのだ。
それが理解出来るからこそ、ウルフィはイオに頭を下げているのだろう。
そんなイオの考えを全て読んだ訳ではないだろうが、本来は頭を下げる必要もないのにイオに頭を下げているということで、イオはその真剣さを理解した。
とはいえ、イオとウルフィが決定的に忘れていたことがいくつかる。
その一つは、ここは食堂で数は少ないが黎明の覇者の傭兵が食事をしたり、談笑したりといったようなことをしていたこと。
そしてもう一つは、ウルフィはソロのランクB傭兵として相応に名前が売れていたということ。
そんなウルフィがイオに頭を下げたのだ。
食堂の中でその光景を見ていた者たちの多くは、一体何があったのかとざわめく。
「あ……」
最初に周囲の状況に気が付いたのは、イオ。
いくつかのテーブルにいた傭兵たちの多くが、驚愕の視線をイオに向けているのだ。
幸か不幸か、食堂に残っていた傭兵の中にはイオの真実……流星魔法が使えるということを知ってる者はいない。
イオがゴブリンの軍勢を倒したのは、あくまでも使い捨ての強力なマジックアイテムを使ってのものだと思っていた者たちだ。
だからこそ、一体何故ウルフィがイオに頭を下げるようなことになるのかと、驚くと共にそんな疑問を抱くのは当然だった。
「頭を上げて下さい! 別に俺はもうその件については気にしてませんから!」
「そうかい? なら、そうさせて貰うよ。ただ、私の不注意でイオに迷惑をかけたのは事実だ。だからイオに許して貰っても、今回の一件は借りということにしておこう。今度何かあったら、私は一度だけは無条件で君を助けると約束するよ」
ウルフィの口から出たのは、イオにとっても予想外の言葉だった。
ソロのランクB傭兵という腕利きが、一度だけとはいえ自分に協力してくれるのだから。
それが一体どれだけの価値を持つのかは、考えるまでもない。
それこそ、イオが昨日の騒動で受けた被害など比べものにならない。
そもそもの話、何だかんだと昨日の騒動ではイオは無傷で潜り抜けたのだから。
複数の傭兵に見知らぬ街で追われるという恐怖はあったものの、言ってみれば受けた被害はそれだけでしかない。
そうである以上、イオとしては特に気にするようなことはないと思う。
……普通なら見知らぬ相手に追われたという時点で被害を受けていると認識してもいいのだが、実際にイオはその辺はあまり気にしていなかったし、ウルフィのせいでないというのも分かっていた。
それに何より、最終的な損益を見れば明らかにイオの方が得をしている。
そうである以上、イオにとってこの結果は決して悪いものではない。
そんなイオの様子を見て、ウルフィもまたイオは今回の件を許してくれたと判断したのろう。
安堵した様子を浮かべ、笑みを浮かべるのだった。
昨日はローザとの夕食が終わって部屋に戻ってきたところで、そのまま眠ってしまったのだ。
眠っているときに無意識に脱いだのか、服の類はシャツとパンツ以外は着ていない。
寝苦しいから脱いだのだろうが、起きたイオには全くそんな記憶はない。
「んんー……ぐっすり寝たな……」
呟きながら、大きく伸びをするイオ。
一体何時間くらい寝たのか、正直なところ自分でも分からない。
分からないが、それでも久しぶりに敵襲の心配も何もなくぐっすりと眠ることが出来たので、起きたばかりでも寝惚ける様子もなく、頭の中はすっきりしていた。
起き上がり、窓の外を見る。
すると太陽は完全に昇っており、結構な寝坊をしたのだろうと理解出来た。
「こんなにぐっすりと眠ったのは久しぶりだったしな。自覚はなくても疲れていたのか」
森の中で生活を続け、寝不足で体調を崩すようなことがなかったのは喜ぶべきだろう。
それでも寝心地がよすぎて寝坊をしたのは若干気まずかったが。
「さて、疲れもなくなって全快になったことだし……今日はどうするかな」
窓から降り注ぐ太陽の光を浴びながら、今日はどうするかを考えるイオ。
するとそんなイオの言葉に反応するかのように、腹が自己主張する。
イオは夕食後すぐに眠ったので、意識としてはつい先程夕食を終えたばかりといったような状況ではあるが、身体の方は正直に空腹を訴えている。
夕食が終わって部屋に戻ってからすぐに寝たので、イオの精神的にはともかく、実際にはかなり長時間何も食べておらず、何も飲んでいない。
それを自覚すると急に喉の渇きを覚え、部屋にあった水差しからコップに水を注いで口に運ぶ。
「冷たいし、美味いな」
その水は一晩中部屋の中にあったにもかかわらず、冷たいままだ。
それだけではなく、ただの水であるのに何故か美味いと思ってしまう。
具体的に何らかの味がついている訳ではないのだが。
水を飲んで喉の渇きを癒やしたイオは、朝食を求めて食堂に向かうのだった。
「やぁ、イオ」
食堂に入ってテーブルに座ろうとした瞬間、不意にそんな声をかけられる。
声のした方を見たイオは、その動きを止め……数秒後、やっと口を開く。
「え? ウルフィさん……何でここに?」
そう言いながらも、改めてイオは目の前にいる人物に視線を向ける。
それは間違いなくウルフィで、イオの見間違いという訳ではない。
何故ここにウルフィがいるのかイオには全く理解出来ず、だが同時に自分の一件を知っている部外者ということで、慌ててその場から逃げようとし……
「待った、待った。逃げなくても大丈夫だよ。私がここにいるのを考えれば、別に敵じゃないというのは分かるだろう?」
そう言われたイオは足を止める。
たしかに自分を脅しに来たのなら、こうして黎明の覇者が借り切っている英雄の宴亭にに食堂にウルフィがいるのはおかしい。
それに咄嗟のことで頭が回らなかったものの、昨日イオがソフィアやローザと話したときにはウルフィに自分の秘密について口止めしておくといったように言ってなかったか。
しかしそうなると、何故ウルフィがこの場にいるのかといった疑問を抱く。
「えっと、それでウルフィさんは何でここにいるんですか?」
自分を脅すため、あるいはもっと詳しい話を聞くために忍び込んできたのではないかと思いもしたものの、英雄の宴亭を借り切っているのは黎明の覇者の傭兵たちなのだ。
ウルフィが腕利きであっても、人知れず侵入するような真似は出来ないと思われた。
それ以前に、現在の食堂にも何人か黎明の覇者に所属する傭兵がいるのだから、もし部外者が勝手に入ってきたのならその者たちが対処しているはずだった。
「現在英雄の宴亭は黎明の覇者が借り切っている、そうである以上、ここにいることが出来るのは黎明の覇者に所属している者か、あるいは黎明の覇者の客人かだろう? なら、あとは考えなくても分かるんじゃないか?」
「え? それってつまり……ウルフィさんも黎明の覇者の客人になったってことですか?」
「正解。正確には黎明の覇者に入団するように誘われたんだけど、ソロで活動してきた私はあまりそんな気になれなくてね。それでも黎明の覇者がどういう活動をしているのか、見てから決めればいいと言われてしまっては……それを断ることは出来なかったんだよ」
実際には黎明の覇者に所属させようとするギュンターと、ソロでいたいというウルフィの交渉の結果、妥協としてウルフィは黎明の客人となることになったのだが。
ウルフィとしてはたとえ黎明の覇者というランクA傭兵団であっても、そこに所属するのは気が進まない。
しかし、イオと一緒に行動していれば面白いものを見られるかもしれないというギュンターの誘いの言葉には非常に惹かれるものがあった。
その結果として、ウルフィはイオと同じように黎明の覇者の客人という立場を選んだのだ。
もちろん客人ではあってもウルフィとイオでは色々と立場は違う。
たとえばウルフィはかなりの強さを持つので、もし黎明の覇者との行動において戦力が足りなくなった場合は積極的に協力するといったように。
立場上はイオと同じ客人ではあったものの、実際には黎明の覇者が雇った補助戦力的な存在であった。
「そう、なんですか」
イオはそのような言葉を返す。
ウルフィの言葉を全て信じるといった訳にはいかないものの、実際にこうして英雄の宴亭にいるのだから、あながちデタラメでもないだろうと判断したのだ。
「そうだよ。それより、イオも座ったらどうだい? 店員がちょっと困っているよ」
ウルフィの言葉に、イオはテーブルに着く。
そうしてやって来た店員に軽い朝食を頼み、店員がいなくなると改めてウルフィは口を開く。
「さて、こうしてイオと会った以上、昨日の件は謝っておくべきだろうね」
「え? それなら謝るのは俺だと思いますけど。いきなり逃げ出したんだし」
「そっちの件じゃないよ。いやまぁ、その件について思うところない訳でもないけど。そうではなく、私を慕っている彼に襲撃されたんだろう?」
「ああ、そっちですか。でも、あれって別にウルフィさんが指示した訳じゃないですよね?」
ウルフィにとっては、決して自分が指示をしてイオを襲わせた訳ではない。
しかしギュンターに指摘されたように、以前にもっと厳しく注意しておけばこのようなことにならなかったのだろうと思えた。
だからこその謝罪。
「ああ、決してそんな真似はしていない。けど、前々から色々と問題のある行為をする相手だったんだ。それを考えれば、やはりもっと前にしっかりと厳しく言っておくべきだった。今回はジャミレさんのおかげで大きな騒動にはならなかったようだけど……」
もしジャミレが介入しなかった場合、一体どうなっていたのか。
チンピラたちもいたことを考えると、イオが一方的に暴行を受けるといったようなことにはならなかった可能性もある。
あるいは、イオを取り合って二つの集団が乱闘になり、その隙を突いてイオは逃げ出した可能性もある。
それら全てを考えた上でも、イオが危険なことになっていた可能性は十分にあったのだ。
それが理解出来るからこそ、ウルフィはイオに頭を下げているのだろう。
そんなイオの考えを全て読んだ訳ではないだろうが、本来は頭を下げる必要もないのにイオに頭を下げているということで、イオはその真剣さを理解した。
とはいえ、イオとウルフィが決定的に忘れていたことがいくつかる。
その一つは、ここは食堂で数は少ないが黎明の覇者の傭兵が食事をしたり、談笑したりといったようなことをしていたこと。
そしてもう一つは、ウルフィはソロのランクB傭兵として相応に名前が売れていたということ。
そんなウルフィがイオに頭を下げたのだ。
食堂の中でその光景を見ていた者たちの多くは、一体何があったのかとざわめく。
「あ……」
最初に周囲の状況に気が付いたのは、イオ。
いくつかのテーブルにいた傭兵たちの多くが、驚愕の視線をイオに向けているのだ。
幸か不幸か、食堂に残っていた傭兵の中にはイオの真実……流星魔法が使えるということを知ってる者はいない。
イオがゴブリンの軍勢を倒したのは、あくまでも使い捨ての強力なマジックアイテムを使ってのものだと思っていた者たちだ。
だからこそ、一体何故ウルフィがイオに頭を下げるようなことになるのかと、驚くと共にそんな疑問を抱くのは当然だった。
「頭を上げて下さい! 別に俺はもうその件については気にしてませんから!」
「そうかい? なら、そうさせて貰うよ。ただ、私の不注意でイオに迷惑をかけたのは事実だ。だからイオに許して貰っても、今回の一件は借りということにしておこう。今度何かあったら、私は一度だけは無条件で君を助けると約束するよ」
ウルフィの口から出たのは、イオにとっても予想外の言葉だった。
ソロのランクB傭兵という腕利きが、一度だけとはいえ自分に協力してくれるのだから。
それが一体どれだけの価値を持つのかは、考えるまでもない。
それこそ、イオが昨日の騒動で受けた被害など比べものにならない。
そもそもの話、何だかんだと昨日の騒動ではイオは無傷で潜り抜けたのだから。
複数の傭兵に見知らぬ街で追われるという恐怖はあったものの、言ってみれば受けた被害はそれだけでしかない。
そうである以上、イオとしては特に気にするようなことはないと思う。
……普通なら見知らぬ相手に追われたという時点で被害を受けていると認識してもいいのだが、実際にイオはその辺はあまり気にしていなかったし、ウルフィのせいでないというのも分かっていた。
それに何より、最終的な損益を見れば明らかにイオの方が得をしている。
そうである以上、イオにとってこの結果は決して悪いものではない。
そんなイオの様子を見て、ウルフィもまたイオは今回の件を許してくれたと判断したのろう。
安堵した様子を浮かべ、笑みを浮かべるのだった。
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