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ガリンダミア帝国との決着
370話
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『本当によかったの?』
ゼオンのコックピットの中にいたアランの頭の中、レオノーラの声が響く。
何について言ってるのかは、アランも考えるまでもなく理解出来た。
先程助けたレジスタンスにかんしてだろう。
もしアランやレオノーラがその気になれば、あのレジスタンスたちを守りながら他のレジスタンス……因縁のあるレジスタンスたちではなく、離れた場所にいるレジスタンスたちと合流するまで一緒に行動してもよかったのだ。
しかし、アランはその選択肢を選ばなかった。
アランとしては、若干ではあるがそうした方がいいのかも? という思いがなかった訳でもない。
しかし、現在アランたちに任されているのは、本隊とも言うべき雲海や黄金の薔薇と合流しなかったレジスタンスの救援……兼、ガリンダミア帝国軍の目を自分たちに向けさせるというものだ。
それを思えば、ここで一ヶ所に固まっているというのは自殺行為に等しい。
もちろん、ガリンダミア帝国の勢力圏内は広い。
そう簡単に目標としているアランを見つけることが出来るとは限らなかったが。
(その割には、ケルベロスを配置していたりしたけど。これが偶然ケルベロスのいる場所に俺たちが来てしまったのか、もしくは俺たちの行動を先読みして行きそうな場所にケルベロスを待機させていたのか。……はたまた、何らかの手段でこっちの行動を見通しているのか。最後のだと嫌だな)
そう思うも、大量の心核使いを擁しているガリンダミア帝国だ。
中には相手を追跡したりするといったような能力を持つ心核使いがいておかしくはない。
……とはいえ、そうなればそうなったで不思議なこともあるのだが。
具体的には、そのような能力の持ち主がいるのなら、何故今までその能力を使わなかったのか。
(つまり、そういう能力を持つ者がガリンダミア帝国に所属したのは最近になってとか、あるいは使用する能力に制限があるとか?)
常に心核使いを集めているガリンダミア帝国だけに、アランが帝都から脱出した後……いや、メルリアナの一件が終わった後で、そのような能力を持つ心核使いが合流したとしても、おかしな話はない。
そんな風に思っていると、ゼオンの隣を飛んでいた黄金のドラゴンが少し離れていくのに気が付く。
何だ? と疑問に思ったアランだったが、取りあえず今は特に急いでやるべきことがある訳でもないので、黄金のドラゴンを追う。
「レオノーラ、どうした? 何かあったのか?」
そう尋ねるアランに、レオノーラは即座に念話で言葉を返してくる。
『ええ、ガリンダミア帝国軍の野営と思しき場所を見つけたわ。人数もそれなりにいるようだし、今のうち殲滅してしまった方がいいわ。ここで見逃すなんて真似をしたら、間違いなく面倒なこといなるでしょうし』
レオノーラの言葉には、アランも納得する。
ガリンダミア帝国軍がこうして隙を見せてくれているのだから、この機会を見逃すといった選択肢はない。
先程助けたレジスタンスたちのいる場所からは随分と離れているので、もうあのレジスタンスに危害が加えられるとは思わないが。
あのレジスタンスたちと別れてから、そこまで時間が経っている訳ではない。
だが、ドラゴンと人型機動兵器だ。
当然だが、空を飛ぶ速度は普通に地面を歩いて移動するのとは比べものにならない。
すでにアランたちとレジスタンスの距離はかなり離れており、その安全を心配する必要はなかった。
……あくまでも、この野営地から出撃する兵士たちに限っては、の話だが。
現在ガリンダミア帝国軍がレジスタンスを潰すために派遣している戦力は、かなりの数に及ぶ。
それこそ、侵略中の戦線からも戦力を引き抜いてまで、今回の一件に参加させているのだ。
それを思えば、この野営地以外にも複数の野営地があってもおかしくはない。
実際、アランとレオノーラが見つけたガリンダミア帝国軍の野営地は、これが初めてではない。
これまでにも、他にいくつか見つけては殲滅している。
だからこそ、アランもそんなレオノーラの言葉に対し、即座に頷いた。
「分かった。なら今まで通り上空から一気に攻撃ってことでいいか?」
『それで構わないわ。問題なのは、相手に心核使いが……それも空を飛ぶ心核使いがいるかどうかでしょうね』
レオノーラの心配は、アランにも理解出来た。
黄金のドラゴンに変身したレオノーラにも、そしてアランが乗っているゼオンにも、敵の攻撃が届かない上空から一方的に攻撃することが出来る手段がある。
それこそ、地上から弓や魔法、もしくは何らかの攻城兵器の類があっても、攻撃を命中させることが出来ないような、そんな上空から一方的に攻撃出来るのだから、その効果は凄まじい。
ましてや、その攻撃手段はゼオンのビームライフルであったり、黄金のドラゴンのレーザーブレスだったりするのだ。
野営地に空を飛べるモンスターに変身出来る心核使いでもいない限り、上空から一方的に行われる攻撃に抵抗する手段はない。
また、たとえ空を飛べるモンスターに変身出来る心核使いがいても、その空を飛ぶというのはそれぞれ大きな違いがある。
かろうじて空を飛べる……もしくは滑空しながら地上に降りることが出来るといったようなモンスターもいれば、空で飛ぶのを日常にしているようなモンスターもいる。
しかし、もしそのようなモンスターが相手であっても、ゼオンと黄金のドラゴンを相手にするというのは、普通のモンスターに荷が重いだろう。
それこそ、下手に空に上がってきても、あっさりと倒されて終わってしまう可能性は否定出来ない。
(あのケルベロスのようなモンスターに変身出来る心核使いが大量にいいたりしたら、こっちも危険かもしれないけど)
そう思うアランだったが、さすがにあのケルベロス程に強い心核使いは、そう多くはいないと思う。
あるいは、いるのかもしれないが、そのような強力な心核使いであれば、出来るだけ温存しておきたいと思うだろう。
少し前に戦ったケルベロスの件を考えると、あるいは各個撃破出来る絶好の好機を与えてくれる可能性もあったが。
「とにかく、今はあの野営地を壊滅させるのが先決だな。ここでやっておかないと、後々色々と不味い事になってもおかしくはないし」
『そうね。……じゃあ、行くわよ』
そう言い、レオノーラが変身した黄金のドラゴンは、まだ野営地まで多少の距離があるにも関わらず、レーザーブレスを放つ。
それが着弾した瞬間、一瞬にして野営地の一部が爆発して吹き飛ぶ。
アランはそんなな光景を映像モニタで確認しながら、ビームライフルを連射していく。
次々と放たれるビームは、レーザーブレスに負けないほどの被害を野営地に与えていく。
突然の攻撃に野営地では多くの者が戸惑う。
精鋭揃いのガリンダミア帝国軍とはいえ、野営地でゆっくりしているところを攻撃される……といったような真似をすれば、混乱するのは当然の話だった。
これがせめてこれから戦いだという意識を持っている中での戦いであれば、また話も若干違ったのだろうが。
とはいえ、当然だが人間というのは四六時中気を張ってるといった真似が出来る筈もない。
こうして野営地でゆっくりとしている時は、リラックスしていいる……つまり、気が抜けているのは当然だった。
もちろん、そんな中でも野営地の周囲で見張りをしているような者たちは話が別だが、そのような者たちも見張っているのはレジスタンスによる襲撃だ。
上空に対して完全に無警戒といった訳ではないのだが、それでもやはり地上の方を重視するのは当然だろう。
……もっとも、空を見上げていてゼオンたちの襲撃に気が付いたのかは、微妙なところだろう。
かなりの高度を取っていたし、レーザーブレスやビームライフルが放たれた時の距離はかなり遠くからでもあったのだから。
最初の一撃で混乱した様子を見せた野営地だったが、当然ながら攻撃はそれだけで終わらない。
黄金のドラゴンから放たれるレーザーブレスは、放ったまま顔を動かすことにより野営地そのものを取り囲むようにしてダメージを与えていく。
ビームサーベルならぬ、レーザーサーベルとでも表現するような攻撃により、野営地の周囲の大地は煮えたぎり、とてもではないが生身では移動出来ない。
多少時間が経てば熱も収まるのだろうが、今の状況ではその時間を待っていられるような余裕はどこにもなかった。
それでも、中には次々に降り注いでくるレーザーブレスやビームライフルの攻撃に怯え、一か八かといったようにレーザーブレスによって生み出された灼熱地獄を跳び越そうとする者がいたが……
「ぎゃああああああああああああああっ!」
跳躍した距離が足りず、煮えたぎり……それこそ溶岩のような状況になっている場所に着地した兵士は、地面の熱によって燃やされる。
悲鳴を上げるその声は、聞いている者に絶望を感じさせるには十分だった。
生きたまま焼かれるといった光景を見れば、野営地で逃げ惑っている兵士たちもそこを跳び越そうなどといは考えなくなり、今の状況で出来るのはただひたすらに上空からの攻撃に命中しないように走り回り、もしくは隠れるだけだった。
兵士たちにとっては不幸中の幸いと言うべきか、レーザーブレスは野営地の周囲を焼いたように連続して放たれるといったことはない。
ゼオンの放つビームライフルの攻撃も、一撃の威力は高いものの単発の攻撃だ。
そういう意味では、野営地に集まっていたガリンダミア帝国軍の被害は大きいが、それでも壊滅的だった訳ではない。……そう、あくまでも今このときまでは、だが。
ゼオンが野営地の真上までやって来ると、頭部バルカンを地上に向かって放ち、腹部拡散ビーム砲を放ち、ビームライフルを放つ。
野営地にいる兵士たちにしてみれば、上から降り注ぐ攻撃の密度が一気に増した形だ。
ゼオンの持つ兵器の中でも、一番攻撃力が低い頭部バルカンだが、それでも容易に人を殺す威力を持っている。
ましてや、腹部拡散ビーム砲は拡散しているので一撃の威力こそビームライフルより低いが、その拡散した状態であっても命中すれば人を消滅させるには十分な威力だ。
そうして……十分もしないうちに、ガリンダミア帝国軍の野営地は文字通りの意味で全滅するのだった。
ゼオンのコックピットの中にいたアランの頭の中、レオノーラの声が響く。
何について言ってるのかは、アランも考えるまでもなく理解出来た。
先程助けたレジスタンスにかんしてだろう。
もしアランやレオノーラがその気になれば、あのレジスタンスたちを守りながら他のレジスタンス……因縁のあるレジスタンスたちではなく、離れた場所にいるレジスタンスたちと合流するまで一緒に行動してもよかったのだ。
しかし、アランはその選択肢を選ばなかった。
アランとしては、若干ではあるがそうした方がいいのかも? という思いがなかった訳でもない。
しかし、現在アランたちに任されているのは、本隊とも言うべき雲海や黄金の薔薇と合流しなかったレジスタンスの救援……兼、ガリンダミア帝国軍の目を自分たちに向けさせるというものだ。
それを思えば、ここで一ヶ所に固まっているというのは自殺行為に等しい。
もちろん、ガリンダミア帝国の勢力圏内は広い。
そう簡単に目標としているアランを見つけることが出来るとは限らなかったが。
(その割には、ケルベロスを配置していたりしたけど。これが偶然ケルベロスのいる場所に俺たちが来てしまったのか、もしくは俺たちの行動を先読みして行きそうな場所にケルベロスを待機させていたのか。……はたまた、何らかの手段でこっちの行動を見通しているのか。最後のだと嫌だな)
そう思うも、大量の心核使いを擁しているガリンダミア帝国だ。
中には相手を追跡したりするといったような能力を持つ心核使いがいておかしくはない。
……とはいえ、そうなればそうなったで不思議なこともあるのだが。
具体的には、そのような能力の持ち主がいるのなら、何故今までその能力を使わなかったのか。
(つまり、そういう能力を持つ者がガリンダミア帝国に所属したのは最近になってとか、あるいは使用する能力に制限があるとか?)
常に心核使いを集めているガリンダミア帝国だけに、アランが帝都から脱出した後……いや、メルリアナの一件が終わった後で、そのような能力を持つ心核使いが合流したとしても、おかしな話はない。
そんな風に思っていると、ゼオンの隣を飛んでいた黄金のドラゴンが少し離れていくのに気が付く。
何だ? と疑問に思ったアランだったが、取りあえず今は特に急いでやるべきことがある訳でもないので、黄金のドラゴンを追う。
「レオノーラ、どうした? 何かあったのか?」
そう尋ねるアランに、レオノーラは即座に念話で言葉を返してくる。
『ええ、ガリンダミア帝国軍の野営と思しき場所を見つけたわ。人数もそれなりにいるようだし、今のうち殲滅してしまった方がいいわ。ここで見逃すなんて真似をしたら、間違いなく面倒なこといなるでしょうし』
レオノーラの言葉には、アランも納得する。
ガリンダミア帝国軍がこうして隙を見せてくれているのだから、この機会を見逃すといった選択肢はない。
先程助けたレジスタンスたちのいる場所からは随分と離れているので、もうあのレジスタンスに危害が加えられるとは思わないが。
あのレジスタンスたちと別れてから、そこまで時間が経っている訳ではない。
だが、ドラゴンと人型機動兵器だ。
当然だが、空を飛ぶ速度は普通に地面を歩いて移動するのとは比べものにならない。
すでにアランたちとレジスタンスの距離はかなり離れており、その安全を心配する必要はなかった。
……あくまでも、この野営地から出撃する兵士たちに限っては、の話だが。
現在ガリンダミア帝国軍がレジスタンスを潰すために派遣している戦力は、かなりの数に及ぶ。
それこそ、侵略中の戦線からも戦力を引き抜いてまで、今回の一件に参加させているのだ。
それを思えば、この野営地以外にも複数の野営地があってもおかしくはない。
実際、アランとレオノーラが見つけたガリンダミア帝国軍の野営地は、これが初めてではない。
これまでにも、他にいくつか見つけては殲滅している。
だからこそ、アランもそんなレオノーラの言葉に対し、即座に頷いた。
「分かった。なら今まで通り上空から一気に攻撃ってことでいいか?」
『それで構わないわ。問題なのは、相手に心核使いが……それも空を飛ぶ心核使いがいるかどうかでしょうね』
レオノーラの心配は、アランにも理解出来た。
黄金のドラゴンに変身したレオノーラにも、そしてアランが乗っているゼオンにも、敵の攻撃が届かない上空から一方的に攻撃することが出来る手段がある。
それこそ、地上から弓や魔法、もしくは何らかの攻城兵器の類があっても、攻撃を命中させることが出来ないような、そんな上空から一方的に攻撃出来るのだから、その効果は凄まじい。
ましてや、その攻撃手段はゼオンのビームライフルであったり、黄金のドラゴンのレーザーブレスだったりするのだ。
野営地に空を飛べるモンスターに変身出来る心核使いでもいない限り、上空から一方的に行われる攻撃に抵抗する手段はない。
また、たとえ空を飛べるモンスターに変身出来る心核使いがいても、その空を飛ぶというのはそれぞれ大きな違いがある。
かろうじて空を飛べる……もしくは滑空しながら地上に降りることが出来るといったようなモンスターもいれば、空で飛ぶのを日常にしているようなモンスターもいる。
しかし、もしそのようなモンスターが相手であっても、ゼオンと黄金のドラゴンを相手にするというのは、普通のモンスターに荷が重いだろう。
それこそ、下手に空に上がってきても、あっさりと倒されて終わってしまう可能性は否定出来ない。
(あのケルベロスのようなモンスターに変身出来る心核使いが大量にいいたりしたら、こっちも危険かもしれないけど)
そう思うアランだったが、さすがにあのケルベロス程に強い心核使いは、そう多くはいないと思う。
あるいは、いるのかもしれないが、そのような強力な心核使いであれば、出来るだけ温存しておきたいと思うだろう。
少し前に戦ったケルベロスの件を考えると、あるいは各個撃破出来る絶好の好機を与えてくれる可能性もあったが。
「とにかく、今はあの野営地を壊滅させるのが先決だな。ここでやっておかないと、後々色々と不味い事になってもおかしくはないし」
『そうね。……じゃあ、行くわよ』
そう言い、レオノーラが変身した黄金のドラゴンは、まだ野営地まで多少の距離があるにも関わらず、レーザーブレスを放つ。
それが着弾した瞬間、一瞬にして野営地の一部が爆発して吹き飛ぶ。
アランはそんなな光景を映像モニタで確認しながら、ビームライフルを連射していく。
次々と放たれるビームは、レーザーブレスに負けないほどの被害を野営地に与えていく。
突然の攻撃に野営地では多くの者が戸惑う。
精鋭揃いのガリンダミア帝国軍とはいえ、野営地でゆっくりしているところを攻撃される……といったような真似をすれば、混乱するのは当然の話だった。
これがせめてこれから戦いだという意識を持っている中での戦いであれば、また話も若干違ったのだろうが。
とはいえ、当然だが人間というのは四六時中気を張ってるといった真似が出来る筈もない。
こうして野営地でゆっくりとしている時は、リラックスしていいる……つまり、気が抜けているのは当然だった。
もちろん、そんな中でも野営地の周囲で見張りをしているような者たちは話が別だが、そのような者たちも見張っているのはレジスタンスによる襲撃だ。
上空に対して完全に無警戒といった訳ではないのだが、それでもやはり地上の方を重視するのは当然だろう。
……もっとも、空を見上げていてゼオンたちの襲撃に気が付いたのかは、微妙なところだろう。
かなりの高度を取っていたし、レーザーブレスやビームライフルが放たれた時の距離はかなり遠くからでもあったのだから。
最初の一撃で混乱した様子を見せた野営地だったが、当然ながら攻撃はそれだけで終わらない。
黄金のドラゴンから放たれるレーザーブレスは、放ったまま顔を動かすことにより野営地そのものを取り囲むようにしてダメージを与えていく。
ビームサーベルならぬ、レーザーサーベルとでも表現するような攻撃により、野営地の周囲の大地は煮えたぎり、とてもではないが生身では移動出来ない。
多少時間が経てば熱も収まるのだろうが、今の状況ではその時間を待っていられるような余裕はどこにもなかった。
それでも、中には次々に降り注いでくるレーザーブレスやビームライフルの攻撃に怯え、一か八かといったようにレーザーブレスによって生み出された灼熱地獄を跳び越そうとする者がいたが……
「ぎゃああああああああああああああっ!」
跳躍した距離が足りず、煮えたぎり……それこそ溶岩のような状況になっている場所に着地した兵士は、地面の熱によって燃やされる。
悲鳴を上げるその声は、聞いている者に絶望を感じさせるには十分だった。
生きたまま焼かれるといった光景を見れば、野営地で逃げ惑っている兵士たちもそこを跳び越そうなどといは考えなくなり、今の状況で出来るのはただひたすらに上空からの攻撃に命中しないように走り回り、もしくは隠れるだけだった。
兵士たちにとっては不幸中の幸いと言うべきか、レーザーブレスは野営地の周囲を焼いたように連続して放たれるといったことはない。
ゼオンの放つビームライフルの攻撃も、一撃の威力は高いものの単発の攻撃だ。
そういう意味では、野営地に集まっていたガリンダミア帝国軍の被害は大きいが、それでも壊滅的だった訳ではない。……そう、あくまでも今このときまでは、だが。
ゼオンが野営地の真上までやって来ると、頭部バルカンを地上に向かって放ち、腹部拡散ビーム砲を放ち、ビームライフルを放つ。
野営地にいる兵士たちにしてみれば、上から降り注ぐ攻撃の密度が一気に増した形だ。
ゼオンの持つ兵器の中でも、一番攻撃力が低い頭部バルカンだが、それでも容易に人を殺す威力を持っている。
ましてや、腹部拡散ビーム砲は拡散しているので一撃の威力こそビームライフルより低いが、その拡散した状態であっても命中すれば人を消滅させるには十分な威力だ。
そうして……十分もしないうちに、ガリンダミア帝国軍の野営地は文字通りの意味で全滅するのだった。
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