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逆襲
154話
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「うーん、やっぱり空を飛ぶと速いな」
ゼオンで空を飛んでいると、どうしてもそんな感想が浮かんでくる。
地上を歩いて移動するのと、こうして空を飛んで移動するのとでは、やはり進む速度は大きく違う。
あっという間に地上に残った仲間たちの姿が消えたのを見ながら、アランはしみじみと移動速度の差について考える。
その思考の中に結構な余裕があったのは、巨大な鷲との戦いでは苦戦がすると分かっていても、これだけの戦力がいれば間違いなく勝てると、そう思っていたからだろう。
地下八階の砂漠で戦ったときは、ゼオンと黄金のドラゴンで互角以上に戦えた。
……もっとも、首を切断してもすぐに再生――あれを再生と呼んでもいいのかどうかは、アランにも分からなかったが――していたのだが。
ともあれ、倒しきることは出来なかったが、それでも自分たちに有利な戦いだったのは間違いない。
であれば、次に戦うことになっても倒すのは難しいだろうが、それでも自分たちが負けるという思いはなかった。
(前回の戦いで向こうが全力を出したかどうかは分からないから、油断は出来ないけど)
そんなことを考えている間に、遠くに見えていた大樹が急速に大きくなっていく。
地上を歩いているときは大樹は大樹……植物として認識出来ていたのだが、ここまで近付くと植物ではなく巨大な壁のように思えてしまう。
「うわぁ……これまた……」
映像モニタに映し出された大樹を見たアランの口から出るのは、そんな驚きの声だ。
これは人から話を聞いても、理解は出来ないだろう。
実際にこうして自分の目で見て、それで初めてなるほどと理解出来るような光景だ。
『アラン、見てあそこ!』
大樹の姿に圧倒されていたアランの頭に、レオノーラからの念話が響く。
あそこ? と疑問を抱いたアランだったが、黄金のドラゴンの首が向けられている光景を映像モニタに表示すれば、レオノーラが何を言っているのかはすぐに分かった。
そこでは、先程アランたちを追い越していった巨大な鷲が、大樹に向かって風のブレスを放って攻撃していたのだ。
それはじゃれているといったような行為ではなく、明らかに敵意を抱いて攻撃しているようにしか見えない。
放たれた風のブレスは、大樹を傷つけ、皮を引き裂く。
「嫌な予想ってのは当たるものだな。とはいえ……ここから攻撃するのは難しいな」
射程範囲外であるというのもあるが、何よりの問題は巨大な鷲の向こう側に大樹が存在するということだ。
巨大な鷲に攻撃が命中すればいい。
だが、もし外れた場合、その攻撃は大樹に命中することになる。
それだけではなく、巨大な鷲の身体を貫通して、攻撃が大樹に命中するという可能性もあった。
ゼオンのビーム攻撃の威力は非常に高い。
それこそ、この世界においては最高峰の攻撃力を持っていると言ってもいいだろう。
そんな攻撃が大樹に命中すれば、それこそ巨大な鷲の手伝いをするようなものだ。
そのような真似は出来ない以上、アランに出来るのは少しでも早く大樹の下に到着し、そこにいる巨大な鷲を追い払うなり、倒すなりすることだけだ。
「レオノーラ、俺は先に行く」
『ええ、こちらも追いかけるわ』
レオノーラの変身した黄金のドラゴンは、背中に心核使い三人を乗せている分、どうしても全速力を出すようなことはできない。
本当の意味で全速力を出した場合、それこそ三人はどこかに吹き飛ぶ可能性すらあった。
その辺の事情を考えると、ある程度速度を加減する必要があるのは間違いないだろう。
「頼む」
短く一言だけ言って、アランはゼオンのウィングバインダーを全開にして、全速で大樹に向かう。
その間も、巨大な鷲は風のブレスを使ったり、凶悪な爪の伸びている足、鋭いクチバシで大樹を攻撃し続けていた。
映像モニタに表示されている光景を眺めつつ、大樹や巨大な鷲に急速に近付いていく。
(取りあえず相手は大樹に攻撃をしていてこっちに気が付いてないみたいだし、先制攻撃をした方がいいな。……となると、上か)
敵が一体どのようにして周囲の状況を把握しているのか分からない。
鷲という姿をしているだけに、普通の鳥と同様なのか、それともモンスターだけにそれ以外の何かなのか。
ともあれ、向こうに見つからないように不意打ちが出来ればアランとしては最善だったし、もし不意打ちが出来なくても巨大な鷲を大樹から離すことが出来れば最低限の仕事はこなしたことになる。
そんな訳で、ビームライフルを有効に使えるよう、アランはゼオンの高度を上げていく。
幸いなことに、この地下二十階は大樹という存在があるためか、空は高い。
巨大な鷲と初めて遭遇した砂漠も空は高かったが、この地下二十階はそんな砂漠よりも高い空を持っていた。
(というか、本当に今更の話だけど、鍾乳洞になってる場所とか、あの巨大な鷲は一体どうやって通ってきたんだろうな。とてもじゃないけど、ああいう狭い場所をどうにか出来るような大きさじゃないだろうに)
ふとそんな疑問を抱くが、取りあえずここにいる以上は何を言っても無駄だろうと判断する。
どのような手段を使ったのかは分からないが、巨大な鷲がこの地下二十階にいるというのは、間違いのない……どうしようもない事実なのだ。
そうである以上、今はまず敵を倒すか撃退することを優先し、最悪でも大樹に対して攻撃出来ないようにする必要があった。
そんなことを考えている間にも、ゼオンと巨大な鷲との距離は縮まっていく。
巨大な鷲がいるよりもかなり高い場所を飛んでいるということもあってか、巨大な鷲がゼオンの姿に気が付いた様子はない。
とはいえ、それでも時間が経てばいつゼオンの存在に気が付くか分からない。もしくは気が付かなくてもゼオンが一度攻撃すれば間違いなく気が付く。
そうである以上、今は向こうに気が付かれるよりも前に、一気に攻撃をする必要があった。
(とはいえ、ビームサーベルで首を切断しても死なない以上、その辺はどうしようもないんだよな。そうなると、現状の俺が出来るのはレオノーラや他の面々が到着するまでの時間稼ぎと認識しておいた方がいいか。もちろん、倒せるのならここで倒したいけど。ただ、問題なのはあの巨大な鷲がビームライフルの威力を知ってるってことか)
そう破断し、アランはゼオンが巨大な鷲の真上まで到着したところで、ビームライフルを構え……撃つ。
だがその瞬間、巨大な鷲は不意に何か気が付いたかのように、現在いた場所から移動しようとし、それでも巨体故に攻撃を完全には回避出来ず、翼を上空から放たれビームに貫かれた。
『ギョガアアガガガガアアア!』
翼を貫かれた痛みに、悲鳴を上げる巨大な鷲。
以前戦ったときもそうだったが、相変わらずその口から出る悲鳴や鳴き声は、とてもではないが鳥から出るものだとは思えない。
ともあれ、ビームライフルで翼を貫かれた巨大な鷲は、空中でバランスを崩すとそのまま地上に向かって滑空するように飛んでいく。
そんな相手に対し、アランはビームライフルを連射する。
向こうは、ビームライフルの威力を知っているのだ。
そうである以上、ここで追撃を加えなけられば、翼の再生が終わったあとで次にビームライフルの攻撃が命中するかどうかは分からなかった。
だからこそ、ここは少しでも早く急ぎ、敵に追撃をする必要があった。
(やっぱり背中にいるのか。あいつに命中させることが出来れば!)
以前砂漠で遭遇したときと同じように、巨大な鷲の背中には布で顔を覆った者の姿があった。
明らかにその布で顔を覆った者が巨大な鷲を操っているように見えたアランとしては、鷲との間合いを詰めながら……それも、鷲と大樹の間に入るようにして、大樹を背中側にしながら腹部拡散ビーム砲を撃つ。
鷲の背後に大樹がなければ、攻撃をするのは難しい話ではない。
「フェルス!」
背後に空間の波紋が浮かび、そこから三角錐のフェルスが飛び出してくる。
先端からビーム砲を連射しつつ、巨大な鷲に襲いかるが、巨大な鷲はフェルスからのビームは特に効果がないかのようにゼオンとの間合いを開けようとする。
……正確には、フェルスのビーム砲やゼオンの腹部拡散ビーム砲も命中しているのだが、命中する端から再生して傷を封じているのだ。
(くそっ、頭部を切断されてもすぐに再生するから、予想はしてたけど……そうなると、やっぱり攻撃するのは背中に乗ってる奴か?)
ウィングバインダーのスラスターを全開にしつつ、間合いを詰めつつあったゼオンは、巨大な鷲の背中に乗っている相手に頭部バルカンを発射する。
「ばっ……」
アランの口から驚愕の声が漏れたのは、布を被った相手が鞘から引き抜いた長剣を素早く振るい、頭部バルカンの弾丸を全て斬り落としたからだ。
頭部バルカンの弾丸は、ゼオンの武器の中でも一番攻撃力が低い。
だが、だからといって、それを長剣で斬り落とすことが出来るかと言えば、不可能ではないが非常に高い技量と身体能力が必要となる。
少なくても、同じ長剣を使っているアランには不可能だ。
頭部バルカンの弾丸を全て斬り捨てた相手は、挑発するようにアランに長剣の切っ先を向けてくる。
「どうする? ……いや、巨大な鷲の方を攻撃するのを優先するしかない、か」
そう呟くアランだったが、この場合問題なのは巨大な鷲を攻撃するのが優先であっても、そのとんでもない回復力……いや、再生力とでも呼ぶべき力を持っていることだろう。
現に頭部バルカンで布を被った相手に攻撃している間にも、先端からビーム砲を発射したり、先端にビームソードを展開して巨大な鷲の身体に攻撃するといったような真似をしてりうが、巨大な鷲はそんな攻撃など全く気にした様子もなく飛び続け……
「不味いっ!?」
首をだけを自分の方に向け、大きくクチバシを開いたのを見たアランはスラスターを使って強引にその場から移動する。
次の瞬間……巨大な鷲の口からは風のブレスが放たれ、ゼオンのいた空間を貫き、そして大樹に命中するのだった。
ゼオンで空を飛んでいると、どうしてもそんな感想が浮かんでくる。
地上を歩いて移動するのと、こうして空を飛んで移動するのとでは、やはり進む速度は大きく違う。
あっという間に地上に残った仲間たちの姿が消えたのを見ながら、アランはしみじみと移動速度の差について考える。
その思考の中に結構な余裕があったのは、巨大な鷲との戦いでは苦戦がすると分かっていても、これだけの戦力がいれば間違いなく勝てると、そう思っていたからだろう。
地下八階の砂漠で戦ったときは、ゼオンと黄金のドラゴンで互角以上に戦えた。
……もっとも、首を切断してもすぐに再生――あれを再生と呼んでもいいのかどうかは、アランにも分からなかったが――していたのだが。
ともあれ、倒しきることは出来なかったが、それでも自分たちに有利な戦いだったのは間違いない。
であれば、次に戦うことになっても倒すのは難しいだろうが、それでも自分たちが負けるという思いはなかった。
(前回の戦いで向こうが全力を出したかどうかは分からないから、油断は出来ないけど)
そんなことを考えている間に、遠くに見えていた大樹が急速に大きくなっていく。
地上を歩いているときは大樹は大樹……植物として認識出来ていたのだが、ここまで近付くと植物ではなく巨大な壁のように思えてしまう。
「うわぁ……これまた……」
映像モニタに映し出された大樹を見たアランの口から出るのは、そんな驚きの声だ。
これは人から話を聞いても、理解は出来ないだろう。
実際にこうして自分の目で見て、それで初めてなるほどと理解出来るような光景だ。
『アラン、見てあそこ!』
大樹の姿に圧倒されていたアランの頭に、レオノーラからの念話が響く。
あそこ? と疑問を抱いたアランだったが、黄金のドラゴンの首が向けられている光景を映像モニタに表示すれば、レオノーラが何を言っているのかはすぐに分かった。
そこでは、先程アランたちを追い越していった巨大な鷲が、大樹に向かって風のブレスを放って攻撃していたのだ。
それはじゃれているといったような行為ではなく、明らかに敵意を抱いて攻撃しているようにしか見えない。
放たれた風のブレスは、大樹を傷つけ、皮を引き裂く。
「嫌な予想ってのは当たるものだな。とはいえ……ここから攻撃するのは難しいな」
射程範囲外であるというのもあるが、何よりの問題は巨大な鷲の向こう側に大樹が存在するということだ。
巨大な鷲に攻撃が命中すればいい。
だが、もし外れた場合、その攻撃は大樹に命中することになる。
それだけではなく、巨大な鷲の身体を貫通して、攻撃が大樹に命中するという可能性もあった。
ゼオンのビーム攻撃の威力は非常に高い。
それこそ、この世界においては最高峰の攻撃力を持っていると言ってもいいだろう。
そんな攻撃が大樹に命中すれば、それこそ巨大な鷲の手伝いをするようなものだ。
そのような真似は出来ない以上、アランに出来るのは少しでも早く大樹の下に到着し、そこにいる巨大な鷲を追い払うなり、倒すなりすることだけだ。
「レオノーラ、俺は先に行く」
『ええ、こちらも追いかけるわ』
レオノーラの変身した黄金のドラゴンは、背中に心核使い三人を乗せている分、どうしても全速力を出すようなことはできない。
本当の意味で全速力を出した場合、それこそ三人はどこかに吹き飛ぶ可能性すらあった。
その辺の事情を考えると、ある程度速度を加減する必要があるのは間違いないだろう。
「頼む」
短く一言だけ言って、アランはゼオンのウィングバインダーを全開にして、全速で大樹に向かう。
その間も、巨大な鷲は風のブレスを使ったり、凶悪な爪の伸びている足、鋭いクチバシで大樹を攻撃し続けていた。
映像モニタに表示されている光景を眺めつつ、大樹や巨大な鷲に急速に近付いていく。
(取りあえず相手は大樹に攻撃をしていてこっちに気が付いてないみたいだし、先制攻撃をした方がいいな。……となると、上か)
敵が一体どのようにして周囲の状況を把握しているのか分からない。
鷲という姿をしているだけに、普通の鳥と同様なのか、それともモンスターだけにそれ以外の何かなのか。
ともあれ、向こうに見つからないように不意打ちが出来ればアランとしては最善だったし、もし不意打ちが出来なくても巨大な鷲を大樹から離すことが出来れば最低限の仕事はこなしたことになる。
そんな訳で、ビームライフルを有効に使えるよう、アランはゼオンの高度を上げていく。
幸いなことに、この地下二十階は大樹という存在があるためか、空は高い。
巨大な鷲と初めて遭遇した砂漠も空は高かったが、この地下二十階はそんな砂漠よりも高い空を持っていた。
(というか、本当に今更の話だけど、鍾乳洞になってる場所とか、あの巨大な鷲は一体どうやって通ってきたんだろうな。とてもじゃないけど、ああいう狭い場所をどうにか出来るような大きさじゃないだろうに)
ふとそんな疑問を抱くが、取りあえずここにいる以上は何を言っても無駄だろうと判断する。
どのような手段を使ったのかは分からないが、巨大な鷲がこの地下二十階にいるというのは、間違いのない……どうしようもない事実なのだ。
そうである以上、今はまず敵を倒すか撃退することを優先し、最悪でも大樹に対して攻撃出来ないようにする必要があった。
そんなことを考えている間にも、ゼオンと巨大な鷲との距離は縮まっていく。
巨大な鷲がいるよりもかなり高い場所を飛んでいるということもあってか、巨大な鷲がゼオンの姿に気が付いた様子はない。
とはいえ、それでも時間が経てばいつゼオンの存在に気が付くか分からない。もしくは気が付かなくてもゼオンが一度攻撃すれば間違いなく気が付く。
そうである以上、今は向こうに気が付かれるよりも前に、一気に攻撃をする必要があった。
(とはいえ、ビームサーベルで首を切断しても死なない以上、その辺はどうしようもないんだよな。そうなると、現状の俺が出来るのはレオノーラや他の面々が到着するまでの時間稼ぎと認識しておいた方がいいか。もちろん、倒せるのならここで倒したいけど。ただ、問題なのはあの巨大な鷲がビームライフルの威力を知ってるってことか)
そう破断し、アランはゼオンが巨大な鷲の真上まで到着したところで、ビームライフルを構え……撃つ。
だがその瞬間、巨大な鷲は不意に何か気が付いたかのように、現在いた場所から移動しようとし、それでも巨体故に攻撃を完全には回避出来ず、翼を上空から放たれビームに貫かれた。
『ギョガアアガガガガアアア!』
翼を貫かれた痛みに、悲鳴を上げる巨大な鷲。
以前戦ったときもそうだったが、相変わらずその口から出る悲鳴や鳴き声は、とてもではないが鳥から出るものだとは思えない。
ともあれ、ビームライフルで翼を貫かれた巨大な鷲は、空中でバランスを崩すとそのまま地上に向かって滑空するように飛んでいく。
そんな相手に対し、アランはビームライフルを連射する。
向こうは、ビームライフルの威力を知っているのだ。
そうである以上、ここで追撃を加えなけられば、翼の再生が終わったあとで次にビームライフルの攻撃が命中するかどうかは分からなかった。
だからこそ、ここは少しでも早く急ぎ、敵に追撃をする必要があった。
(やっぱり背中にいるのか。あいつに命中させることが出来れば!)
以前砂漠で遭遇したときと同じように、巨大な鷲の背中には布で顔を覆った者の姿があった。
明らかにその布で顔を覆った者が巨大な鷲を操っているように見えたアランとしては、鷲との間合いを詰めながら……それも、鷲と大樹の間に入るようにして、大樹を背中側にしながら腹部拡散ビーム砲を撃つ。
鷲の背後に大樹がなければ、攻撃をするのは難しい話ではない。
「フェルス!」
背後に空間の波紋が浮かび、そこから三角錐のフェルスが飛び出してくる。
先端からビーム砲を連射しつつ、巨大な鷲に襲いかるが、巨大な鷲はフェルスからのビームは特に効果がないかのようにゼオンとの間合いを開けようとする。
……正確には、フェルスのビーム砲やゼオンの腹部拡散ビーム砲も命中しているのだが、命中する端から再生して傷を封じているのだ。
(くそっ、頭部を切断されてもすぐに再生するから、予想はしてたけど……そうなると、やっぱり攻撃するのは背中に乗ってる奴か?)
ウィングバインダーのスラスターを全開にしつつ、間合いを詰めつつあったゼオンは、巨大な鷲の背中に乗っている相手に頭部バルカンを発射する。
「ばっ……」
アランの口から驚愕の声が漏れたのは、布を被った相手が鞘から引き抜いた長剣を素早く振るい、頭部バルカンの弾丸を全て斬り落としたからだ。
頭部バルカンの弾丸は、ゼオンの武器の中でも一番攻撃力が低い。
だが、だからといって、それを長剣で斬り落とすことが出来るかと言えば、不可能ではないが非常に高い技量と身体能力が必要となる。
少なくても、同じ長剣を使っているアランには不可能だ。
頭部バルカンの弾丸を全て斬り捨てた相手は、挑発するようにアランに長剣の切っ先を向けてくる。
「どうする? ……いや、巨大な鷲の方を攻撃するのを優先するしかない、か」
そう呟くアランだったが、この場合問題なのは巨大な鷲を攻撃するのが優先であっても、そのとんでもない回復力……いや、再生力とでも呼ぶべき力を持っていることだろう。
現に頭部バルカンで布を被った相手に攻撃している間にも、先端からビーム砲を発射したり、先端にビームソードを展開して巨大な鷲の身体に攻撃するといったような真似をしてりうが、巨大な鷲はそんな攻撃など全く気にした様子もなく飛び続け……
「不味いっ!?」
首をだけを自分の方に向け、大きくクチバシを開いたのを見たアランはスラスターを使って強引にその場から移動する。
次の瞬間……巨大な鷲の口からは風のブレスが放たれ、ゼオンのいた空間を貫き、そして大樹に命中するのだった。
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