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心核の入手
015話
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「どうやら、私の心核はアランの心核と違って、喋ったりはしないみたいね」
それが、黄金のドラゴンから人の姿に戻ったレオノーラの口から最初に出た言葉だった。
なお、ロボットではない以上当然なのだが、レオノーラが黄金のドラゴンから分離といった真似は出来ず、ドラゴンの身体は魔力に戻っていき、最終的にその場に残ったのがレオノーラであり、その点もアランとは大きく違う。
類い希なほどの力を得たレオノーラだったが、そのレオノーラがアランに向けてくる視線は強い疑問と、それを解消しろという強烈な意思がある。
とはいえ、まさかアランは自分が異世界で死んでこの世界で転生したなどと言えるはずもない。
いや、もし言ったとしても、間違いなく誤魔化すための戯れ言だと、そう判断されるだろう。
「なら、その辺はあとで考えるとして……取りあえず、俺もレオノーラも心核を入手するという最大の目的は果たしたんだから、この遺跡をどうにかして脱出する必要があるな」
「……そうね」
あからさまに話を誤魔化したアランだったが、実際にこの場所から出なければいけない以上、レオノーラとしてもその言葉には頷かざるを得ない。
「そうなると……問題はどうやってここを脱出するかだけど……」
「ぴ!」
アランの言葉に答えるように、掌の心核が鳴き声を上げる。
(ペットロボットだろうがなんだろうが、こうして自我がある以上、いつまでも心核とは呼べないよな。何か名前をつけてやらないと)
この世界の人間であれば、心核が自我を持つということに混乱していただろう。
そんな状況でもすぐそのように考えることが出来たのは、やはりアランが日本で生きていたときはロボットが大好きだったからだろう。
「アラン、向こうを見て」
心核の名前について考えていたアランは、不意にレオノーラに名前を呼ばれ、我に返る。
そうしてレオノーラが指さした方向……今いる場所からは随分と離れているが、そこには間違いなく巨大な扉があった。
「あー……ここ、本当ならあの扉から入ってくる場所なんだろうな」
心核があった場所なのだから、当然のように遺跡の中でもかなり深い部分にあったのは間違いない。
本来なら、遺跡の奥深くにあるこの場所までやってきて、それからあの扉を潜ってこの部屋に入る……と、そういう流れだったのだろう。
「もしかしたら、この空間は心核の試験場だったのかもしれないわね」
レオノーラの言葉に、アランも頷きを返す。
ここがダンジョンであれば、お宝が奥深くにあってもおかしくはない。
だが、ここはあくまでも遺跡だ。
そうである以上、この空間は何か必然性があって存在していたということになる。
「もしかして、心核を使ったときに巨大になるというのを前提としているとか?」
アランが自分の呼び出したゼオンとレオノーラが変化した黄金のドラゴンを思い出し、そう呟く。
雲海に所属している心核使いは、オーガと白い猿をそれぞれ使うが、そのどちらもそこまで大きくはない。
それでもオーガはかなりの身長を誇るが……ゼオンや黄金のドラゴンに比べれば、明らかに小さいという表現が相応しい。
また、ここが広大な地下空間であるというのも、アランの予想の裏付けにもなる。
(遺跡は何だかんだと結構巨大な通路も多いけど……ゼオンだと、自由に動くというのは難しいだろうな)
遺跡探索者としての最大の仕事は、当然今回のように遺跡に潜ることだ。
正確には、その遺跡に眠っている古代魔法文明の遺産を見つけ、持ち帰ることか。
ともあれ、そういう仕事が主である以上、当然遺跡に潜ることが多くなるのだが……全高十八メートル程のゼオンは、当然のように使える場所はどうしても限られてくる。
特に浅い遺跡、そこまで重要度が高くないような遺跡であれば、とてもではないがゼオンを呼び出すことは出来ないだろう。
遺跡ではなく、普通に地上で使う分には全く問題ないのだが。
……もっとも、それはアランのゼオンだけではなく、レオノーラの黄金のドラゴンにも言えることだ。
全高はゼオンよりも小さいが、全長という点では明らかにゼオンよりも上で、純粋な質量や体積で考えても黄金のドラゴンの方がゼオンよりも上だ。
「アラン、行くわよ。ここでじっとしていても始まらないわ。とにかく、ここを脱出しないと。多分、上で皆が心配しているわ」
「ぴ!」
考え込むアランに、レオノーラが行動を急かし、心核もそれに同意するように鳴き声を上げる。
「そうだな。……ああ、それとお前をいつまでも心核って呼ぶのは少し可哀想だから、名前を付けることにしたんだけど、構わないか?」
「ぴ! ぴぴぴ!」
アランの言葉に、その掌の中で心核は嬉しそうに鳴き声を上げる。
そして、巨大扉の方に歩きながらも、レオノーラはそんなアランの様子に興味深そうな視線を向けていた。
当然だろう。心核が自我を持つというのも、レオノーラにとっては初めて見ることなのだから。
そして、当然ながら心核に対して名前を付けるような相手も、レオノーラにとっては初めて見る相手だ。
「カロ。お前の名前は、カロだ」
アランが日本にいたときに好きだったロボットアニメ。
それに出てくるマスコットキャラの名前を参考に、呼びやすい名前として思いついたのだが、カロだった。
「ぴ!」
その名前が気に入ったのか、カロは嬉しそうに鳴き声を上げる。
そんなカロの様子に、アランも即興で決めた割には喜んで貰えたようで何よりだと、満足そうに頷く。
『感謝する。異界より来た者よ』
「……え?」
ふと、聞こえてきたその声。
一瞬カロから聞こえてきたのかと思ったが、アランが知ってる限りはカロの口からはきちんとした言葉は出てこない。
何より、今のはまるで耳で直接その声を聞いたのではなく、レオノーラが黄金のドラゴンになったときに使ったテレパシーに似た何かのように思えた。
特にアランの意識を奪ったのは、やはり『異界』という言葉だろう。
それはつまり、アランが異世界……日本で死んで、この世界に転生したということを知っている相手がいるということになる。
「どうしたのよ、いきなり止まって」
レオノーラのその言葉に、アランは今の声……正確にはテレパシーが自分にしか聞こえていなかったということを理解する。
自分が異世界から転生した存在であることを知られなかったのは、幸いと言うべきだろう。
そう思いつつ、首を横に振る。
すると、まるでそれが合図だったかのように、急にアランとレオノーラの足下が光る。
その光が何なのかというのは、それこそ考えるまでもない。
アランとレオノーラの二人は、その光に触れることによって強制的に転移させられ、恐らく遺跡の中でもかなり奥の方にあるだろうこの場所までやって来たのだから。
「ちょっ、アラン!?」
レオノーラもアランと同じことに気が付いたのか、戸惑ったように叫ぶ。
この期に及んで、再びどこか訳の分からない場所に転移させられては堪ったものではないということなのだろう。
もっとも、その言葉に絶望的なものがないのは、レオノーラが元々かなりの実力者で、何があっても対応出来るという自信を抱いているから……であると同時に、心核を手に入れたというのも大きい。
あるいは心核を使えば、もしかしてこの光……転移の光からどうにか回避することも出来たかもしれなかったが、その光はそんな暇を与えるようなことはなく、やがて二人を呑み込もうとし……
「レオノーラ!」
叫び、心核を持っていない方の手を伸ばすアランに、レオノーラは半ば反射的にその手を握る。
普段であれば、とてもではないが許さないような行為だったが、このような……それこそ、遺跡の奥深くと思しき場所で、ゼオンによって間違いなく戦力になるだろうアランと離れるのは、絶対に避けたかった。
そして……二人は、手を繋いだまま光に包まれ……その心核の眠っていた空間から姿を消すのだった。
「きゃあっ!」
「っと!?」
光に包まれたと思った次の瞬間、いきなりどこかに転移させられた二人は、それぞれに声を上げながら周囲を見回す。
まず見えたのは、青空と太陽。
そして、忙しく働いている大勢の人。
「えーっと……なぁ、これって……」
「そうね。何がどうなったのかは分からないけど、向こうは親切にも私たちを遺跡の外まで転移したんでしょうね。……一体、何を考えてるのかは、分からないけど」
不満そうに呟くレオノーラだったが、アランは何となくこの現象を起こした人物……いや、存在に思い当たることがあった。
テレパシーか何かで、直接アランの頭の中に話しかけてきた相手。
そして何より、どのような手段によってかは分からないが、アランが異世界からこの世界に転生してきたということを知っている相手。
明らかにあの遺跡について何かを知っているだろう相手だったが、アランはそのことをレオノーラに説明する気にはならなかった。
もしそれを説明すれば、話の流れ上、自分が異世界からの転生者であるということも話さなければならないだろうから。
二人揃って半ば呆然としながら周囲を見ていれば、当然のようにその存在に気が付く者も出てくる。
ただでさえ、アランとレオノーラの二人は遺跡を調べている途中で強制的に転移させられたのだから、それも当然だろう。
「アラン! 無事だったのね!」
アランにとって驚いたことに、周囲に響いた声は母親のリアのものだった。
てっきり、まだ遺跡の中にいるのかとばかり思っていたのだが……と、意外に思っていると、他にも父親のニコラスや雲海を率いているイルゼン、それ以外にもアランにとっては小さいときから一緒だった仲間たちが走り寄ってくる。
当然アランたちの方に近づいてくるのは雲海だけではなく、レオノーラの率いる黄金の薔薇の面々もいる。
いや、むしろ自分たちを率いているレオノーラの姿を見つけたことで、黄金の薔薇の方が喜んでいる面々が多かったのは間違いない。
そんな風に近づいてきた者たちが見たのは……手を繋いだままでいた、アランとレオノーラの姿で、それが原因でまた一騒動起きるのだった。
それが、黄金のドラゴンから人の姿に戻ったレオノーラの口から最初に出た言葉だった。
なお、ロボットではない以上当然なのだが、レオノーラが黄金のドラゴンから分離といった真似は出来ず、ドラゴンの身体は魔力に戻っていき、最終的にその場に残ったのがレオノーラであり、その点もアランとは大きく違う。
類い希なほどの力を得たレオノーラだったが、そのレオノーラがアランに向けてくる視線は強い疑問と、それを解消しろという強烈な意思がある。
とはいえ、まさかアランは自分が異世界で死んでこの世界で転生したなどと言えるはずもない。
いや、もし言ったとしても、間違いなく誤魔化すための戯れ言だと、そう判断されるだろう。
「なら、その辺はあとで考えるとして……取りあえず、俺もレオノーラも心核を入手するという最大の目的は果たしたんだから、この遺跡をどうにかして脱出する必要があるな」
「……そうね」
あからさまに話を誤魔化したアランだったが、実際にこの場所から出なければいけない以上、レオノーラとしてもその言葉には頷かざるを得ない。
「そうなると……問題はどうやってここを脱出するかだけど……」
「ぴ!」
アランの言葉に答えるように、掌の心核が鳴き声を上げる。
(ペットロボットだろうがなんだろうが、こうして自我がある以上、いつまでも心核とは呼べないよな。何か名前をつけてやらないと)
この世界の人間であれば、心核が自我を持つということに混乱していただろう。
そんな状況でもすぐそのように考えることが出来たのは、やはりアランが日本で生きていたときはロボットが大好きだったからだろう。
「アラン、向こうを見て」
心核の名前について考えていたアランは、不意にレオノーラに名前を呼ばれ、我に返る。
そうしてレオノーラが指さした方向……今いる場所からは随分と離れているが、そこには間違いなく巨大な扉があった。
「あー……ここ、本当ならあの扉から入ってくる場所なんだろうな」
心核があった場所なのだから、当然のように遺跡の中でもかなり深い部分にあったのは間違いない。
本来なら、遺跡の奥深くにあるこの場所までやってきて、それからあの扉を潜ってこの部屋に入る……と、そういう流れだったのだろう。
「もしかしたら、この空間は心核の試験場だったのかもしれないわね」
レオノーラの言葉に、アランも頷きを返す。
ここがダンジョンであれば、お宝が奥深くにあってもおかしくはない。
だが、ここはあくまでも遺跡だ。
そうである以上、この空間は何か必然性があって存在していたということになる。
「もしかして、心核を使ったときに巨大になるというのを前提としているとか?」
アランが自分の呼び出したゼオンとレオノーラが変化した黄金のドラゴンを思い出し、そう呟く。
雲海に所属している心核使いは、オーガと白い猿をそれぞれ使うが、そのどちらもそこまで大きくはない。
それでもオーガはかなりの身長を誇るが……ゼオンや黄金のドラゴンに比べれば、明らかに小さいという表現が相応しい。
また、ここが広大な地下空間であるというのも、アランの予想の裏付けにもなる。
(遺跡は何だかんだと結構巨大な通路も多いけど……ゼオンだと、自由に動くというのは難しいだろうな)
遺跡探索者としての最大の仕事は、当然今回のように遺跡に潜ることだ。
正確には、その遺跡に眠っている古代魔法文明の遺産を見つけ、持ち帰ることか。
ともあれ、そういう仕事が主である以上、当然遺跡に潜ることが多くなるのだが……全高十八メートル程のゼオンは、当然のように使える場所はどうしても限られてくる。
特に浅い遺跡、そこまで重要度が高くないような遺跡であれば、とてもではないがゼオンを呼び出すことは出来ないだろう。
遺跡ではなく、普通に地上で使う分には全く問題ないのだが。
……もっとも、それはアランのゼオンだけではなく、レオノーラの黄金のドラゴンにも言えることだ。
全高はゼオンよりも小さいが、全長という点では明らかにゼオンよりも上で、純粋な質量や体積で考えても黄金のドラゴンの方がゼオンよりも上だ。
「アラン、行くわよ。ここでじっとしていても始まらないわ。とにかく、ここを脱出しないと。多分、上で皆が心配しているわ」
「ぴ!」
考え込むアランに、レオノーラが行動を急かし、心核もそれに同意するように鳴き声を上げる。
「そうだな。……ああ、それとお前をいつまでも心核って呼ぶのは少し可哀想だから、名前を付けることにしたんだけど、構わないか?」
「ぴ! ぴぴぴ!」
アランの言葉に、その掌の中で心核は嬉しそうに鳴き声を上げる。
そして、巨大扉の方に歩きながらも、レオノーラはそんなアランの様子に興味深そうな視線を向けていた。
当然だろう。心核が自我を持つというのも、レオノーラにとっては初めて見ることなのだから。
そして、当然ながら心核に対して名前を付けるような相手も、レオノーラにとっては初めて見る相手だ。
「カロ。お前の名前は、カロだ」
アランが日本にいたときに好きだったロボットアニメ。
それに出てくるマスコットキャラの名前を参考に、呼びやすい名前として思いついたのだが、カロだった。
「ぴ!」
その名前が気に入ったのか、カロは嬉しそうに鳴き声を上げる。
そんなカロの様子に、アランも即興で決めた割には喜んで貰えたようで何よりだと、満足そうに頷く。
『感謝する。異界より来た者よ』
「……え?」
ふと、聞こえてきたその声。
一瞬カロから聞こえてきたのかと思ったが、アランが知ってる限りはカロの口からはきちんとした言葉は出てこない。
何より、今のはまるで耳で直接その声を聞いたのではなく、レオノーラが黄金のドラゴンになったときに使ったテレパシーに似た何かのように思えた。
特にアランの意識を奪ったのは、やはり『異界』という言葉だろう。
それはつまり、アランが異世界……日本で死んで、この世界に転生したということを知っている相手がいるということになる。
「どうしたのよ、いきなり止まって」
レオノーラのその言葉に、アランは今の声……正確にはテレパシーが自分にしか聞こえていなかったということを理解する。
自分が異世界から転生した存在であることを知られなかったのは、幸いと言うべきだろう。
そう思いつつ、首を横に振る。
すると、まるでそれが合図だったかのように、急にアランとレオノーラの足下が光る。
その光が何なのかというのは、それこそ考えるまでもない。
アランとレオノーラの二人は、その光に触れることによって強制的に転移させられ、恐らく遺跡の中でもかなり奥の方にあるだろうこの場所までやって来たのだから。
「ちょっ、アラン!?」
レオノーラもアランと同じことに気が付いたのか、戸惑ったように叫ぶ。
この期に及んで、再びどこか訳の分からない場所に転移させられては堪ったものではないということなのだろう。
もっとも、その言葉に絶望的なものがないのは、レオノーラが元々かなりの実力者で、何があっても対応出来るという自信を抱いているから……であると同時に、心核を手に入れたというのも大きい。
あるいは心核を使えば、もしかしてこの光……転移の光からどうにか回避することも出来たかもしれなかったが、その光はそんな暇を与えるようなことはなく、やがて二人を呑み込もうとし……
「レオノーラ!」
叫び、心核を持っていない方の手を伸ばすアランに、レオノーラは半ば反射的にその手を握る。
普段であれば、とてもではないが許さないような行為だったが、このような……それこそ、遺跡の奥深くと思しき場所で、ゼオンによって間違いなく戦力になるだろうアランと離れるのは、絶対に避けたかった。
そして……二人は、手を繋いだまま光に包まれ……その心核の眠っていた空間から姿を消すのだった。
「きゃあっ!」
「っと!?」
光に包まれたと思った次の瞬間、いきなりどこかに転移させられた二人は、それぞれに声を上げながら周囲を見回す。
まず見えたのは、青空と太陽。
そして、忙しく働いている大勢の人。
「えーっと……なぁ、これって……」
「そうね。何がどうなったのかは分からないけど、向こうは親切にも私たちを遺跡の外まで転移したんでしょうね。……一体、何を考えてるのかは、分からないけど」
不満そうに呟くレオノーラだったが、アランは何となくこの現象を起こした人物……いや、存在に思い当たることがあった。
テレパシーか何かで、直接アランの頭の中に話しかけてきた相手。
そして何より、どのような手段によってかは分からないが、アランが異世界からこの世界に転生してきたということを知っている相手。
明らかにあの遺跡について何かを知っているだろう相手だったが、アランはそのことをレオノーラに説明する気にはならなかった。
もしそれを説明すれば、話の流れ上、自分が異世界からの転生者であるということも話さなければならないだろうから。
二人揃って半ば呆然としながら周囲を見ていれば、当然のようにその存在に気が付く者も出てくる。
ただでさえ、アランとレオノーラの二人は遺跡を調べている途中で強制的に転移させられたのだから、それも当然だろう。
「アラン! 無事だったのね!」
アランにとって驚いたことに、周囲に響いた声は母親のリアのものだった。
てっきり、まだ遺跡の中にいるのかとばかり思っていたのだが……と、意外に思っていると、他にも父親のニコラスや雲海を率いているイルゼン、それ以外にもアランにとっては小さいときから一緒だった仲間たちが走り寄ってくる。
当然アランたちの方に近づいてくるのは雲海だけではなく、レオノーラの率いる黄金の薔薇の面々もいる。
いや、むしろ自分たちを率いているレオノーラの姿を見つけたことで、黄金の薔薇の方が喜んでいる面々が多かったのは間違いない。
そんな風に近づいてきた者たちが見たのは……手を繋いだままでいた、アランとレオノーラの姿で、それが原因でまた一騒動起きるのだった。
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