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ヒューレー・ミリュー編

93頁 探索ユグドラシル!! 2.

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そんなこんなで、やってきました西の森!

いやぁ、1本1本の木がデカイのなんの。

空気は水分を含んで、ほのかに土の香りがする。マイナスイオンバリバリである。


明確に入り口が決まっている訳じゃないけど、お爺さんの地図にはオススメの入り口が記載されてたので、そこから入ることにする。

着いてみれば、たしかに、ほかに比べてちゃんと道があった。どうやら、素材採集のために人がちょいちょい通るんだとか。

まぁ、道といっても、草が生えてるかどうかくらいの差なのだが。







キョロキョロとせわしなく視線を動かす火乃の手を握り、踏み固められた道を道なりに進んでいく。

先頭は藍斗だ。今のところ魔物モンスターの気配はないらしい。

お爺さんからもらった地図にも、この辺は安全地帯だと記されている。



鳥のさえずり。

虫の鳴き声。

ほんのりと甘い空気に、俺たちの足音が響く。

うーん………のどか…。



この時間は、日が照って結構暑いはずなのだが、巨大な樹木が日光を遮っているから、若干薄暗く、空気はヒンヤリとしている。

むしろ、少し肌寒いくらいだが、延々と歩く俺にとっては、ちょうどいい気温である。








……



…………。





しばらく歩き続け、コケが生えた岩が見つかった。


「おー、これまたデケェな」

「だな」


岩…というか、大岩?大大岩?

広場のように開けたその場所は、中央に下手な家より大きな岩がドーンと鎮座し、岩のテッペンからチョロチョロと水が流れ出ている。今まで歩いてきた道よりジメジメ感があるのはそのせいだろう。

中央の大大岩には、お爺さんの話通りビッシリと苔が生えていた。
ノーマルな緑系の色。
神秘的な青系の色。
そして、まるでこの先キケンと言わんばかりに自己主張をする毒々しい赤色。


広場から先は、獣道がある程度で、踏み固められた道はここで終わっている。

…虫除けを買うことを今決めた。絶対買う。

森の中には、獣道の両脇に大きめの岩が点在していて、大きさはそれぞれ、丸まったパンダサイズから、勉強机3段重ねサイズまで様々である。

そして、青い苔の岩、緑の苔の岩、赤い苔の岩、と分かれ、森の奥へ続いている。
うん。目印にはちょうどいいかもな。なんでこんな1岩に1カラーついてんのかは不思議だけど。






そして、今はちょうどお昼時。この辺で昼メシにするか。

比較的に苔少なめの岩に、油敷布を敷く。
地面が水分過多な時にお役立ちの撥水はっすい加工された敷布は、雨天時に仕方なし野宿する時なんかにも使うから、結構デカイ。

よって、地面に敷けば、3人座っても十分な大きさ!お尻が濡れずに済む!便利なのである!


収納の腕輪から、ツェントルムの屋台で買った食べ物を取り出した。
本当は町で食べようかとも思ったんだけど、時間的に微妙だったし、今日はピクニックです!
火を焚いたから、弱めの魔物モンスターは近寄らない……はず。

匂いに惹かれて、ハラペコモンスターが来る可能性もあるから、本当は森を出てから昼メシにした方がいいんだろうけど、火乃にピクニック的なのをさせてやりたいのと単純に俺が腹減ったのでここで昼食とする。





さて、取りだしたるは細い串に刺さった肉!(特売、一串100ファラン。なかなかデカイ。ただし焼いてしばらく経っているため油が固まり始めている)
この串焼きを、焚き火で炙っていただきます!

パチパチとぜる焚き火に、肉を近づける。

……あぁ、よきかな…。

俺、藍斗、火乃の手で炙られる串焼きから、塩胡椒と肉の脂の匂いが立ち上る。

なんの肉かは不明だが…肉の見た目は鶏皮がついた豚バラ肉って感じで、ちょっと炙っただけで肉汁が…ジュルリ。


………うん、そろそろいいかな。


「いただきまーす!」

「いただきます」

「…いただき、ます」


三者三様のいただきますをして、炙った串焼きにかぶりつく。

アッつぅ!けどウマァアっ!

シンプルな塩胡椒がムシャァ、肉の甘みとマッチし、ムシャァ、かつ、ピリッとした胡椒が味にアクセントを……ムシャァ。


ヤベェ、咀嚼そしゃくが止まらねぇ…!ムシャァ!!



串焼きを堪能したら、次はクレープだ。

俗に言うおかずクレープみたいなやつで、ちょっと厚めの生地で葉野菜、根菜のサラダを巻いている。
野菜はしっかり食べましょう。

こちらも大胆にかぶりつくと、シャッキシャキ&シャッキシャキの野菜の食感が素晴らしい!
マヨネーズっぽい、酸味のあるソースがこれまたうまい!

生地はモッチリしてて…クレープより、ナンに近いかも。
うん。薄めのナンだ。


食感を楽しんでいるうちに、1個目は完食していた。

お、恐ろしや、シャキシャキ野菜…。



しかし、だいぶお腹に溜まってきたので、食後のデザートに入ろう。

こちらもおかずクレープと同じ店で購入した、フルーツクレープである。

同じく完食していた火乃と一緒に、デザートを頬張る。



んぐ?!

「……甘っ…」

……こ、これはハズレだったかも…。

激甘シロップに砂糖ドサっと入れてフルーツと煮詰めましたみたいな味で、正直フルーツの味も風味も何もない…。甘い。

生地にも砂糖が入ってるっぽくて、噛むたびにジャリっとする。甘い。

とにかく甘い。

食えないほどじゃないけど、全部食べたら頭痛がしそうなほど甘い。


チラッと火乃を見ると、串焼きより、野菜クレープより美味しそうに、至福の表情で咀嚼している。

…そして、あっという間に食べ終わった。

「…火乃、俺のも食う?」

「えっ?あっ、う、うーん…カイトは食べないの?」

若干の遠慮を入れるが、その視線はガッツリ俺の激甘クレープにそそがれている。


「俺には甘すぎたから、食べたいならやるよ」

「ありがとう!!」


ブンブンと揺れる耳と尻尾の幻が見えそうなほど喜びの色をあらわにして、火乃がクレープを手にした。

今度はゆっくりと味わって食べている。
さっきのは一瞬で完食してたもんな。


一方の藍斗は、串焼き50本を完食、野菜クレープ20個も完食。残るデザート、激甘クレープをちびりちびりと食べていた。

……別に食べれないってほどじゃないもんな。
クッソ甘いだけで。


火乃はデザートを食べ終わり、我満足と言わんばかりにふぅー、と、息を吐いた。



じゃ、苔岩までの道はわかったし、追加で必要なものも検討がついた。


って事で、一旦帰還します!
















ーステータスー 「カイト」 LV49

職業ジョブ 勇者
種族 人間

HP400   MP120
攻300+10    防200+???
器用さ100   運20

スキル
『神の加護ON』『剥ぎ取りLV49』『洗濯の魔法』『調理の魔法』『眠りと警戒の魔法』


ー装備ー
武器
•古木の手槍
•剥ぎ取りナイフ

防具
頭•なし
体•異世界の服
腕•なし
腰•異世界のズボン
足•異世界のシューズ
その他•なし 
アクセサリー•収納の腕輪•守護の脚護符プロテクト•アンクレット森人エルフ首飾りネックレス

ー収納の腕輪ー収納スペース小
 1地図×1
 2コンパス×1
 3水筒(水)×1
 4永久砥石(無限インフィニティ級)×1
 5油敷布×1
 6血晶寄石×112
 7寄生植物パラサイティックプラントの葉×15
 8寄生植物パラサイティックプラントのツタ×12
 9寄生植物パラサイティックプラントの根×5
10吸血果×3
11
12剥ぎ取りナイフ×4
13
14
15

守護の脚護符プロテクト•アンクレット
抵抗レジスト内容

・物理攻撃・魔法攻撃

所持金 16570ファラン




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