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16.仮初の魂
しおりを挟む木に刺さって一日と半分が過ぎた昼時かな?多分。
さて、この木の下を通ったやつに適当に襲い掛かって”ソウルイーター”に”パぺマジ(パペットマジック)”か”ネクマジ(ネクロマジック)”のコンボで自由に動かせる体を手に入れる予定でずっと待ってたんだけど・・・だーれも来ない!
この島ったら魔物らしい魔物もいないし安全面では割と安心できそうなもんなんだからもっと頻繁にこっちに来ればいいのに、だーれもここまで近づいてこない!
こうなったら自力で動くかな。
まずは深々と刺さっている俺本体の大きさを一回り小さくします、すると抜けやすくなると思います。
次に先端が平らになっている棒を棘を伸ばす感覚と同じ要領で伸ばします、この時に勢いよく伸ばすとまた海面にダイブすることになるので注意しましょう。
無事木から抜けたので棒を戻し地面に垂直に自由落下したら木からの脱出は成功です、ご視聴あっりがとう!
とまぁ木から脱出はできたんだけどどうすっかなー、とりあえず船があった方まで移動してみるかな?
というわけでさっき出した棒を駆使して角度を付けて跳び過ぎないように刀身の伸びるスピードに気を付けてっと、よし!ジャンプ!
今回は傾き75度くらいで跳んだからか高さの割に距離が出なかった、え?跳びすぎないようにって何だったのかって?過去のことは気にしちゃだめさ!
で自由落下したんだけどなんかおっさんの脳天にさっくり刺さってんだよね。
この体使おうかと思ったけど・・・なんか汚いから嫌だな、だって下半身丸出しでいろいろびくびくしながら排泄処理が行われ始めたんだもん、”オールイーター”すら使いたくないな。
とりあえず”ソウルイーター”で抜け殻にしておく・・・死んだようなので”ネクマジ”をかけてみる。
うまくかかったけどイチイチ術使い分けるのもめんどいなというわけで新術開発してみようっていうか爺さんが既に試行錯誤してくれてたみたいだから丁度使えそうな術をちょいちょいで・・・よしこんなもんかな?
もともと”パぺマジ”は相手の自由意思を封じて人形にして操るって魔法らしいしけど”ネクマジ”は魂のない死体にかける魔法らしい、じゃあ魂のない生きた体ならどうだろう?答えはかからない、爺さんの考えが複雑になりすぎてよく分かんなくなったが理由は魂はなくても生命力はあるかららしい。
生きる気力はなくても生命力はあるか・・・じゃあもう外部から魔力で疑似的に俺の魂創って埋め込んじゃえばいいじゃん!っていうのが今回創った”ソウルハック”である。
ファルシオンから伸びる俺の魔力を体につないで疑似的に創った俺の魂を魂のなくなった体に埋め込む。
するとその体は俺の体として違和感や支持出しによるラグもなく動けるのです!
創ったの俺(9割爺さんの知識とか)なんだけどこれ超便利かも♪
まぁこの死体には使えんけどさ。
とりあえず排泄物で汚れたみたいだから他の奴がいるとこまで歩かせる・・・下半身丸出しで・・・触りたくないし見たくないもん、こんなズル剥け。
すたすた歩いていくと丁度良く一人のチンピラみたいな兄ちゃんが歩いてきた。
「おいっ!なんて格好してやがるズボンくらい穿け!ってかクッサ!お前クソ漏らしたのか?その頭馬鹿じゃねーのダサいんだよ?つかクッサ!お前無視してんじゃねーよ!なんだ?舐めてんのか?舐めてんだろ?やったろーかくらぁ・・・ギャーギャー」
おおうさすがチンピラ、マシンガントークにより相手にしゃべらせることなくまくし立てて勝手に切れてケンカを売ってきおった、ほんとこういう人種ってなんでみんなこんな感じなんだろうね?話も聞かないで自分の言葉でヒートアップして勝手に切れる。
黙って聞いてたら前の世界でも絡まれてこっちが先に手を出してしまったことを思い出す・・・あの頃は若かった。
さてこいつも勝手にヒートアップしてきたからいいかげん黙らすかね。
そうして刀身からチンピラの肩に刺さるように棘を一瞬で伸ばす、んで”ソウルイーター”からの”ソウルハック”っと。
うまく乗っ取れた、今の俺は見た目チンピラの中身は好青年・・・好中年?
ふむ、爺さんと視界を共有していた時と大体一緒だね、全周囲モニターが使えない状態なのは、まぁ使い慣れた視界に戻ったと考えたらいいかね。
よし、爺さんの時と違って自由に動ける!
「こんにちわ異世界」
よし声も出せる、爺さんの知識や発声の技術なんかも使えるようだ!
「ウァッチャーネーム」
なんちゃってw
「がががgでぶううuuu」
うお!こわっ!でもちゃんと答えたってことは剣の時にかけた術でも体からの命令も聞いてくるるみたいね、ちょっと安心。
「んじゃお前はこのまま立ってて俺が10秒以上動かなくなったら一歩ずつ近づいてこい、いいな!」
返事はない、少し不安。
でもゆっくり離れていくちなみに本体である剣はガデブ(仮)の頭にまだ刺さっている。
と5メートルくらい離れたかというときに視界が全周囲モニターに切り替わる。
やっぱこの距離が限界かな?チンピラの体が停止している、距離が離れすぎて魔力でのつながりが切れたからだ。
10秒たったのでガデブが歩き出す、指示どうりゆっくりと。
そしてチンピラの目の前まで歩いたところで俺の本体からストップ指示を出す。
ふむ、近づくだけじゃ魔力のつながりは復元しないらしい魔力を糸状になったようなイメージとともにそれをチンピラに伸ばしてみた。
視界がチンピラの視界に戻る。
「魔力のつながりが切れても繋ぎ直すだけでいいみたいだな、イチイチ疑似魂創る必要はないと」
疑似魂っていっても地味に大量の魔力を使う量だけで言えば一回で魂一個分だ!
疑似っていっても体にはまるようにしっかり圧縮もしないといけないのだ!
その工程も実際は一瞬だけど”ソウルイーター”で取り出した魂を魔力に還元した後そのまま俺の魂として作り変えて疑似魂にする、つまり”ソウルハック”一回の魔力消費量だけなら人一人分の魂の総量と同じ消費量が必要となる、いちいちかけ直してたら面倒この上ないのだ!
などの一人の体ではやりにくい実験という遊びをこなしていると辺りは既に真っ暗になっていた。
ちなみに剣の時の視界は明るさとか関係ないけど明るくないと色とかは認識できなかったりするんだよ。
などと考えていると少し遠くから「がっシャーン!」という気持ちのいい音が聞こえてきた。
面白いことでも起きるのかな?
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