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エピローグ
屍の果てまで
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帰りの飛行船で、ルイはアントワネットにプレゼントを渡した。
操縦席でみる夕焼けは格別で、ふたりは今日の出来事を消し去ろうと美味しいパンとカフェラテを啜っていた。
「あれ……これ、指輪?」
「そっ。感謝してよね、ユーバで一番高いダイヤモンドをあしらったんだから」
「まあ、それはありがとうございません」
「どっちだよ!?」
「私はピンクダイヤモンドが好きなのーっ」
実はアントワネットは17歳ではあるものの、ルイはその2つ下にあたる。
性別と年齢は国家秘密にあたり、知った者は処刑するというルイの独裁政治の真っ只中だ。
もちろん、指輪のサイズは女役であるアントワネットの方が大きく、男役であるルイはワンサイズ下にあたる。
それを誰にもうっかり知られたくなくて、誰にも触らせたくなかったのである。
指輪を見てニコニコするアントワネットをちらりと見て、ルイは僅かに頬を赤く染めた。
その頬は夕焼けより少し赤い。夕焼けの色が優しすぎて、矛盾してそう見えてしまう。
「なあ、アントワネット」
「なぁに?」
「俺がお前を嫁にもらって、お前は俺の国と自分の国……どっちにいる」
「えぇ?」
「合併は流石に無理だろ。あれ以上、王都が大きくなったら……。
それに文化の違いもあるだろうし……」
アントワネットはその質問に、唇をバラ色に染める。
「それは、ルイが決めることでしょう?」
カールした髪の毛が、女の子らしく身体の動きに合わせて揺れている。
「私はルイが女の子だって知って、貴方のフィアンセになったのよ。
分かるでしょ、私、男性が苦手なのよ。
それを理解してる私の国にとどまるのも良いと思ってるし。
ルイのことも大好きだし、ルイの国をもう一回じっくり見たいし、たっくさん知りたい。
だから嫁いでもいいかな~、なーんて」
「……欲張りめ」
ルイはふにゃりと身体の力を抜いて、アントワネットの譫言を聞いていた。
有る時、在る場所、在る国、有る人のお話。
このお話は、読み手である貴方に気に入ってもらえたでしょうか?
現代を生きる貴方に愛を込めて。
操縦席でみる夕焼けは格別で、ふたりは今日の出来事を消し去ろうと美味しいパンとカフェラテを啜っていた。
「あれ……これ、指輪?」
「そっ。感謝してよね、ユーバで一番高いダイヤモンドをあしらったんだから」
「まあ、それはありがとうございません」
「どっちだよ!?」
「私はピンクダイヤモンドが好きなのーっ」
実はアントワネットは17歳ではあるものの、ルイはその2つ下にあたる。
性別と年齢は国家秘密にあたり、知った者は処刑するというルイの独裁政治の真っ只中だ。
もちろん、指輪のサイズは女役であるアントワネットの方が大きく、男役であるルイはワンサイズ下にあたる。
それを誰にもうっかり知られたくなくて、誰にも触らせたくなかったのである。
指輪を見てニコニコするアントワネットをちらりと見て、ルイは僅かに頬を赤く染めた。
その頬は夕焼けより少し赤い。夕焼けの色が優しすぎて、矛盾してそう見えてしまう。
「なあ、アントワネット」
「なぁに?」
「俺がお前を嫁にもらって、お前は俺の国と自分の国……どっちにいる」
「えぇ?」
「合併は流石に無理だろ。あれ以上、王都が大きくなったら……。
それに文化の違いもあるだろうし……」
アントワネットはその質問に、唇をバラ色に染める。
「それは、ルイが決めることでしょう?」
カールした髪の毛が、女の子らしく身体の動きに合わせて揺れている。
「私はルイが女の子だって知って、貴方のフィアンセになったのよ。
分かるでしょ、私、男性が苦手なのよ。
それを理解してる私の国にとどまるのも良いと思ってるし。
ルイのことも大好きだし、ルイの国をもう一回じっくり見たいし、たっくさん知りたい。
だから嫁いでもいいかな~、なーんて」
「……欲張りめ」
ルイはふにゃりと身体の力を抜いて、アントワネットの譫言を聞いていた。
有る時、在る場所、在る国、有る人のお話。
このお話は、読み手である貴方に気に入ってもらえたでしょうか?
現代を生きる貴方に愛を込めて。
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