香りの聖女と婚約破棄

「近寄るな、お前は臭いから」

 ゼダ伯爵令嬢エヴァは婚約者にいつもそう言われ、傷心を抱えていた。
 婚約者の第三王子マシューは、臭いを理由に彼女との婚約を破棄しようとする。

「エヴァ、いつも告げてきたが、お前のその香りには耐えられない。この高貴な僕まで、周囲から奇異の目で見られて疎外される始末だ。もう別れてくれ‥‥‥婚約破棄だ」
「なあ、それは王族の横暴じゃないのか?」

 共通の幼馴染、ロランが疑問の声を上げた。
 
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