透明令嬢は、カジノ王の不器用な溺愛に、気づかない。

 シュヴァルト伯第二令嬢アイネは、婚約者であるオルビエート殿下から間接的に婚約破棄宣告を受ける。
 彼の視線は自分ではなく、美しい美貌と才能溢れる義理の妹へと向いていた。
 殿下の想いが二度と自分に向くことはない。

 それに気づいたアイネは、彼に持っていた愛情がだんだんと彩りを失っていくことに気づいてしまう――。
 透明になった私の心に、彼はもう必要ない。
 アイネの心は生きる気力に乏しくなっていく。
 彼女の瞳に映る風景は、いつしかモノクロへと変化していた。

 そんなアイネにあてがわれたのは、ヤクザ大公と悪名高い大公ブラック。
 彼は国内で違法カジノを経営し、裏社会では名を知らぬ者がいないほど、有名なカジノ王として、名を馳せていた。
 十六歳のアイネは五十歳の大公の新妻となる。
 粗暴に見えるが、実は人情味に厚く愛情表現が多彩な彼は、ゆっくりとアイネの心を癒して色彩を取り戻していく。
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