婚約者の死の悼(いた)み方を、彼女は知らない。
愛した者の死を悼むことは、当然の行いだ。
死んだ者の罪を問うことも、間違っている。
彼はもうこの世にいないのだから。
だが、婚約者が浮気をしたあとに去ってしまった後――。
彼の死の悼り方を、マーシャは知らなかった。
婚約者のケインは逞しく、カルアドネでも有数の水魔法使いとして知られていた。
彼はいつもマーシャだけを見ていて、彼女のためだけに懸命に尽くしてくれている。
そう、周囲も思っていたし、そんな生き方をしてくれる彼にマーシャもまた、感謝を捧げていた。
こんな幸せそうな二人に、あんな未来が待ち受けているなんて――。
ある早朝、マーシャは特別な用事で市場を訪れていた。
そこで彼女は、風俗街のホテルに女性たちと足を運ぶ婚約者を発見する。
浮気の決定的な現場だった。
マーシャは婚約者との婚約破棄を決断する。
水の都を守るといわれている精霊王に、恋人を呪う言葉を吐いた。
彼が罰を受けるようにとも願った。
そして、彼は漁に出たっきり、戻らない人になった。
浮気をして、勝手に死んでいった婚約者の死の悼み方を、マーシャは知らなかった。
他の投稿サイトにも掲載しています。
死んだ者の罪を問うことも、間違っている。
彼はもうこの世にいないのだから。
だが、婚約者が浮気をしたあとに去ってしまった後――。
彼の死の悼り方を、マーシャは知らなかった。
婚約者のケインは逞しく、カルアドネでも有数の水魔法使いとして知られていた。
彼はいつもマーシャだけを見ていて、彼女のためだけに懸命に尽くしてくれている。
そう、周囲も思っていたし、そんな生き方をしてくれる彼にマーシャもまた、感謝を捧げていた。
こんな幸せそうな二人に、あんな未来が待ち受けているなんて――。
ある早朝、マーシャは特別な用事で市場を訪れていた。
そこで彼女は、風俗街のホテルに女性たちと足を運ぶ婚約者を発見する。
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そして、彼は漁に出たっきり、戻らない人になった。
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マーシャの逞しさ?が羨ましいです。
心に響くお話で納得の終わり方でした。
読ませて頂いて有難うございました。
ありがとうございます。
マーシャはこれから先新しい幸せがやってくることを祈りたい作者です。
感想、ありがとうございました。
いつも楽しみに読ませて頂いています。
不勉強なのですが、タイトルは何と読めばよろしいでしょうか。
ありがとうございます!
お世話になっています。
悼(いた)み、と読みます。
これからもよろしくお願いします。
Hotリストから見つけて、あらすじが面白そうなので読み始めました。ボートが交通手段の描写が想像しやすく、真っ暗の中の魚のところなんか、一緒にぞぞっとしています。
一つ見つけたのですが、彷徨える恋人、のなかで、『マンションのボートが』となっていましたが、マーシャの、でしょうか?
続きを読みに行ってきます。
ありがとうございます。
マーシャのボートですね変更しときます。
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