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(この顔が、見たかったのです)
しおりを挟む「…………でも、ありがとう」
噛み締めるような、小さなお声です。
「俺は人間に戻ることも、死ぬことも。絶対に無理だと思ってた」
そう呟くエルヴィス様に「どういたしまして」と微笑みながら、わたくしは深く息を吸いました。
生まれて初めて、緊張しています。思わずもじもじと握る手に力がこもりました。
「あの、エルヴィス様。……わたくし、一応は魔王にかどかわされたことになっておりますの」
「あー……そうだよな。君、この先どうするつもりか考えてた?」
俺は傭兵か何かになろうかなって思ってるけど……と心配そうな顔を見せるエルヴィス様に、わたくしは「も、もしもエルヴィス様がよろしければ!」と叫びました。
「お、王家の手の者がわたくしを探しにくるとも限りませんし……!? し、しばらく一緒に暮らしていただきたくて」
「一緒に?」
「ご迷惑はおかけしませんわ! わたくし個人の資産はたんまりございますし、ショウエッセンでもソプラノバイエルンでもジョンソンウィルでも、毎日好きなだけご用意致しますわ!」
「ジョンソンウィル……!?」
エルヴィス様はお顔をぱっと輝かせ、「いいよ」と頷きました。
「いいんですの!?」
「ああ。さすがに四百年も経って、この時代にすぐに順応できるかも不安だったし……俺も君にいてもらったら、助かる。多少の変人はエウレカで慣れてるしな」
そう言って少し気恥ずかしそうにエルヴィス様が微笑みます。
――ああ、この顔が見たかったのです。
女神とお話するたびに彼女が見せてくれていた、四百年前と変わらない笑顔です。
物心ついた時からずっと焦がれていた彼が、今目の前で微笑んでいます。
激しい動悸と眩暈に耐えるため手をぎゅうっと握っていると、何か誤解したのかエルヴィス様が慌てた様子で口を開きました。
「あ! 大丈夫。俺は男だけど、君に助けてもらった恩もあるし。君、十六歳だっけ? さすがに四百十三歳違う子に邪なことはしたりしないよ」
「ちっ」
「ねえ今舌打ちした?」
というかその魔王大丈夫? と私の手に視線を向けるエルヴィス様が恋愛ごとに疎いだろうことは、女神様のお話から知っています。
恋心ばかりは、聖力ではどうにもなりません。割と万能な聖力で多少の予知もできますが、自分の恋の行方だけはわからないのです。
(――だけど。わたくしだって、必ず約束を果たしてみせますわ)
そう心の中で誓って深く息を吸いながら、わたくしはずっと憧れていたエルヴィス様に手を伸ばそうとして、やっぱりやめました。
(……殿下のことをヘタレだなんて、言えませんわね)
そう思いながら、わたくしの手の中にいる魔王に「おい、大丈夫か?」と声をかけるエルヴィス様を、ずっと見つめておりました。
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感想ありがとうございます〜!!
魔王→勇者の双方向にチェンジ可能めちゃ良いですね!(勇者になる合言葉はなんなのか気になる…🌀笑)
そう、いろいろできたほうがね、よいですよね?
(勇者の俺を人外にするなという声が聞こえてきそう)
感想ありがとうございます〜!!
面白かったと言って頂けてとてもとても嬉しいです…!お腹が捩れるほどだなんて…!(投稿してよかった!)
ポエマー王太子の幸せも願って頂けて嬉しいです〜😭本当にありがとうございました☺️💕
ありがとうございます😭!そうです、女神から映像つきで話を聞いているうちにすっかり惚れ込んでしまいました☺️💕
エルヴィスはめちゃくちゃチョロいので、正攻法で好きです!と告白したら一発です!
でも逆に好きですと言わない限りは進展はなく、セルヴィは好きと言う勇気がなくじれじれしてたらよいなあと妄想してます…☺️💕笑
そしてソーセージで胃袋掴もうとして炭にして、逆に胃袋掴まれたらよいなあと思いました😘