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琴乃錦の現世蘇生
6話 地球を管理するのも大変な異世界事情なので
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暗い部屋、というより闇の空間といった方がいい。
ただ、強く白い光に照らされた円柱の檻があるだけで、そのほかにどんなものが置いてあるのかわからないからだ。そんな闇の空間の静寂を崩すように、指を檻に打ち付けリズムを取る男がいた。
その男は胡散臭い恰好をし、檻の中で座り込んでいた。
カン! カカ! カン! カカン!
一定のリズムではなく、強く打ち付けているため、彼がイラついているのかよくわかる。
「またせましたな、管理者」
しわがれた声が、闇の空間すべて届き終わったと同時に、光の柱が檻を囲むように天上から差し込む。光の柱は全部で5つで、それぞれの光の元に人が立っている。五角形の頂点上に並び、彼の目の前の光に照らされ現れたのは、表情が見えない大柄の男。
大柄の男の付き人だろうか、ウルと呼ばれた男の後ろに小さな男が立っていて、檻の中の男の耳に聞こえるか、聞こえないか微妙な音量で言っている。
ウルと呼ばれた男は小さくうなずく。それを見て、檻の中の男は動き出す。
「あー、ちょっといい」
彼は檻の柱をつかみ、立ち上がりながらそう言った。
「あんたら、待ち合わせの時間に間に合わせようとする努力はしたかい? 受付のおねーさんから、『ここで待ってて』って言われてから、かれこれ二時間は経ったと思うよ」
彼は、受付のおねーさんの声マネを入れながら、ポケットに入れていたスマホを取り出し、時間を見ながら言う。檻に囚われた彼以外はそのまま無言。しかし、彼は続ける。
「あと、ここにフリーwi-fi とかないかなぁ?ただでさえここ圏外なんだから、何もすることなくって暇すぎだったよ・・・・・・。普段遊んでいるゲームもこんな時に限ってアップデートだよ。早くアプデしないとイベントに乗り遅れちゃうよ。」
彼の口調はおどけている。
「ねぇ、ウルさんなんか言ってよ」
ウルに声をかける彼だったが、ウルは反応しない。柵の間から延ばした両腕を引っ込める。
「口を慎め、殺人者の仲間め」
「ん? なに? あっ返事しちゃった・・・」
彼は左後ろの光から届いてきた言葉に、彼は素直に反応した。
「んんー、見ない顔のメガネ君だね、新入り君かな?」
「ふん。貴様に、顔を覚えられたくもない。おしゃべりは時間の無駄だ、質問に答えろ」
メガネをくいッと上げ、手元にある紙を持ち上げ、叫ぶ。
「管理者 カシマ!!」
「うおぅ! いきなり叫ぶのはやめておくれ」
「貴様は、ここアルデヒートと地球人との世界間で争いが起きないよう、日々管理をおこなう立場であるのにも関わらず、先日、我々の研究員が何者かによって惨殺されるというおぞましい事件が起きた。しかも、容疑者の目撃条件によれば殺害したのはお前ではなく、大剣を振るう地球人であったのとのことだ」
カシマは耳をふさぎ、うつむく。
しばしの静寂。
「・・・・・・いや、しりませんよ。そんな話」
カシマは「とぼける」を使った!
「とぼけるなぁ!カシマァ!」
「ひいー」
逆・効果ばつぐんだった!
「まぁまぁ、落ち着きなされ」
こんどは左斜め前の老人。
「ここに皆が集まったのは、この男が例の地球人になんらかの指示を行った事実があるかどうかをしりたいのじゃよ」
老人は顎から伸びた白い髭を揉む。
「まぁ、地球人はどちらにしろ殺害の容疑で処刑だがなぁ~ ふぇふぇふぇ!」
老人は意地の悪い口調で話し、笑う。
「へぇ、そりゃ大変だ。ちなみに関与してた場合、僕はどうなっちまうんだい?」
カシマは人ごとのように聞く。
「そりゃ、お前は未来永劫地球から追放し、我々の奴隷として過ごすのじゃ。いや、お前が死なない体であるということを知ったうえで、徹底的に痛めつけるか・・・・・・ふぁふぁふぁ!」
「へぇ~、まぁ聞いてみただけだけどね。僕はその地球人とは関わってないのは確かだからねぇ。逆に僕は、その研究員とやらが何をしていたのかが気になるよ。目撃情報があるってことは、よっぽど大所帯だったのかな?」
場の空気が凍り付いたかのような静寂。それに答えたのは左後ろのメガネ男。
「ふんっ、毎年行っている環境調査だ。お前らの世界に行くアルデヒート人も多い故、戦争や環境汚染のレベルに応じて異世界転移の規制をかけなければならないからな。異世界の存在を一般人に伝えていないお前に、この調査の大変さはわからないだろうな!」
「なるほど・・・・・・ね」
カシマは納得する振りをおおげさにする。
「じゃあどうやって僕とその地球人の接点を暴くの?君のいった通り、僕は異世界の存在を地球人には伝えていない。伝えているのは僕の仲間だけさ。だけど、残念ながら大剣を振るうやつは僕の仲間にも友達にもいない。一応言っとくけど僕に拷問は効かないよ。死の恐怖なんて感じやしないからね」
「例の指名手配した地球人はもう確保しています」
次は右後ろの女。カシマは振り向く。
「おいおい、あまりにも早すぎないかい?」
「昨日、全地域に犯罪者の顔を公開しました。久しぶりに大金がでる案件でしたので、賞金稼ぎ共やそうでないもの達もこぞって地球で捜索を開始しました。まさか、賞金稼ぎでもない一般の女性が捕まえてくるとは予想にしませんでしたが、その代わり5体満足で捕まえてきてくれました」
賞金稼ぎに捕まった場合、足をちょん切られたりするのだろうか?
「これから、その地球人の記憶を覗き、カシマと接点があるかを調べます」
「えっ記憶を見る?! それはプライバシーの侵害とかで良くないんじゃ・・・・・・」
カシマはおどおどする。
「クラウさんの研究の成果です」
右斜め前の男性がしゃべる。カシマは首だけを左に。
「私もよく理解できていませんが、異空間上に地球人の記憶を反映することでのぞくことが出来るようです。うふふっ。過去を変えることは出来ません!これで、なぜ彼が我々を襲ったのかが1~10まで理解できます」
「あの、みんなさ一列に並ばない? 振り向くの大変なんだけど」
「確かにそうですね・・・・・・次回の議題にしましょう」
誰かが、ウヴンッと咳払いをする。
「失敬。話がそれました。うふふ。早めに観念した方が捕まった彼のためです。彼を担当する拷問官は手加減をしないことで有名なんですよ!」
右斜め前の男性は興奮して話している。
「拷問も必要ないと思うけどね・・・・・・僕はどこかの異世界がアルデヒートを攻撃して、その罪を僕らに擦り付けようとしているという意見に一票いれるよ」
「それは、彼の記憶を覗いてから考えても遅くない」
右後ろの女性は冷たく言い放つ。
「それまであなたは地下の牢屋で待機しててください」
カシマはハァ~とため息をつきその場に座り込む。
「わかったよ。ここで暴れても無駄だしね。じゃあせめて僕のギターを返しておくれよ。本当に暇なんだよここ」
「わかりました、では解散でよろしいですかウル様」
女性はそういってウル様の方へ視線を移す。ウルは依然と口を開かず、その場にいるだけだった。
「では解散とする」
小さな付き人は久しぶりに声を発した。光の柱は消え、ポツンとカシマは暗闇に取り残される。
「・・・・・・」
牢屋に連れていくのなら早く迎えに来て欲しいなと思うカシマであった。
ただ、強く白い光に照らされた円柱の檻があるだけで、そのほかにどんなものが置いてあるのかわからないからだ。そんな闇の空間の静寂を崩すように、指を檻に打ち付けリズムを取る男がいた。
その男は胡散臭い恰好をし、檻の中で座り込んでいた。
カン! カカ! カン! カカン!
一定のリズムではなく、強く打ち付けているため、彼がイラついているのかよくわかる。
「またせましたな、管理者」
しわがれた声が、闇の空間すべて届き終わったと同時に、光の柱が檻を囲むように天上から差し込む。光の柱は全部で5つで、それぞれの光の元に人が立っている。五角形の頂点上に並び、彼の目の前の光に照らされ現れたのは、表情が見えない大柄の男。
大柄の男の付き人だろうか、ウルと呼ばれた男の後ろに小さな男が立っていて、檻の中の男の耳に聞こえるか、聞こえないか微妙な音量で言っている。
ウルと呼ばれた男は小さくうなずく。それを見て、檻の中の男は動き出す。
「あー、ちょっといい」
彼は檻の柱をつかみ、立ち上がりながらそう言った。
「あんたら、待ち合わせの時間に間に合わせようとする努力はしたかい? 受付のおねーさんから、『ここで待ってて』って言われてから、かれこれ二時間は経ったと思うよ」
彼は、受付のおねーさんの声マネを入れながら、ポケットに入れていたスマホを取り出し、時間を見ながら言う。檻に囚われた彼以外はそのまま無言。しかし、彼は続ける。
「あと、ここにフリーwi-fi とかないかなぁ?ただでさえここ圏外なんだから、何もすることなくって暇すぎだったよ・・・・・・。普段遊んでいるゲームもこんな時に限ってアップデートだよ。早くアプデしないとイベントに乗り遅れちゃうよ。」
彼の口調はおどけている。
「ねぇ、ウルさんなんか言ってよ」
ウルに声をかける彼だったが、ウルは反応しない。柵の間から延ばした両腕を引っ込める。
「口を慎め、殺人者の仲間め」
「ん? なに? あっ返事しちゃった・・・」
彼は左後ろの光から届いてきた言葉に、彼は素直に反応した。
「んんー、見ない顔のメガネ君だね、新入り君かな?」
「ふん。貴様に、顔を覚えられたくもない。おしゃべりは時間の無駄だ、質問に答えろ」
メガネをくいッと上げ、手元にある紙を持ち上げ、叫ぶ。
「管理者 カシマ!!」
「うおぅ! いきなり叫ぶのはやめておくれ」
「貴様は、ここアルデヒートと地球人との世界間で争いが起きないよう、日々管理をおこなう立場であるのにも関わらず、先日、我々の研究員が何者かによって惨殺されるというおぞましい事件が起きた。しかも、容疑者の目撃条件によれば殺害したのはお前ではなく、大剣を振るう地球人であったのとのことだ」
カシマは耳をふさぎ、うつむく。
しばしの静寂。
「・・・・・・いや、しりませんよ。そんな話」
カシマは「とぼける」を使った!
「とぼけるなぁ!カシマァ!」
「ひいー」
逆・効果ばつぐんだった!
「まぁまぁ、落ち着きなされ」
こんどは左斜め前の老人。
「ここに皆が集まったのは、この男が例の地球人になんらかの指示を行った事実があるかどうかをしりたいのじゃよ」
老人は顎から伸びた白い髭を揉む。
「まぁ、地球人はどちらにしろ殺害の容疑で処刑だがなぁ~ ふぇふぇふぇ!」
老人は意地の悪い口調で話し、笑う。
「へぇ、そりゃ大変だ。ちなみに関与してた場合、僕はどうなっちまうんだい?」
カシマは人ごとのように聞く。
「そりゃ、お前は未来永劫地球から追放し、我々の奴隷として過ごすのじゃ。いや、お前が死なない体であるということを知ったうえで、徹底的に痛めつけるか・・・・・・ふぁふぁふぁ!」
「へぇ~、まぁ聞いてみただけだけどね。僕はその地球人とは関わってないのは確かだからねぇ。逆に僕は、その研究員とやらが何をしていたのかが気になるよ。目撃情報があるってことは、よっぽど大所帯だったのかな?」
場の空気が凍り付いたかのような静寂。それに答えたのは左後ろのメガネ男。
「ふんっ、毎年行っている環境調査だ。お前らの世界に行くアルデヒート人も多い故、戦争や環境汚染のレベルに応じて異世界転移の規制をかけなければならないからな。異世界の存在を一般人に伝えていないお前に、この調査の大変さはわからないだろうな!」
「なるほど・・・・・・ね」
カシマは納得する振りをおおげさにする。
「じゃあどうやって僕とその地球人の接点を暴くの?君のいった通り、僕は異世界の存在を地球人には伝えていない。伝えているのは僕の仲間だけさ。だけど、残念ながら大剣を振るうやつは僕の仲間にも友達にもいない。一応言っとくけど僕に拷問は効かないよ。死の恐怖なんて感じやしないからね」
「例の指名手配した地球人はもう確保しています」
次は右後ろの女。カシマは振り向く。
「おいおい、あまりにも早すぎないかい?」
「昨日、全地域に犯罪者の顔を公開しました。久しぶりに大金がでる案件でしたので、賞金稼ぎ共やそうでないもの達もこぞって地球で捜索を開始しました。まさか、賞金稼ぎでもない一般の女性が捕まえてくるとは予想にしませんでしたが、その代わり5体満足で捕まえてきてくれました」
賞金稼ぎに捕まった場合、足をちょん切られたりするのだろうか?
「これから、その地球人の記憶を覗き、カシマと接点があるかを調べます」
「えっ記憶を見る?! それはプライバシーの侵害とかで良くないんじゃ・・・・・・」
カシマはおどおどする。
「クラウさんの研究の成果です」
右斜め前の男性がしゃべる。カシマは首だけを左に。
「私もよく理解できていませんが、異空間上に地球人の記憶を反映することでのぞくことが出来るようです。うふふっ。過去を変えることは出来ません!これで、なぜ彼が我々を襲ったのかが1~10まで理解できます」
「あの、みんなさ一列に並ばない? 振り向くの大変なんだけど」
「確かにそうですね・・・・・・次回の議題にしましょう」
誰かが、ウヴンッと咳払いをする。
「失敬。話がそれました。うふふ。早めに観念した方が捕まった彼のためです。彼を担当する拷問官は手加減をしないことで有名なんですよ!」
右斜め前の男性は興奮して話している。
「拷問も必要ないと思うけどね・・・・・・僕はどこかの異世界がアルデヒートを攻撃して、その罪を僕らに擦り付けようとしているという意見に一票いれるよ」
「それは、彼の記憶を覗いてから考えても遅くない」
右後ろの女性は冷たく言い放つ。
「それまであなたは地下の牢屋で待機しててください」
カシマはハァ~とため息をつきその場に座り込む。
「わかったよ。ここで暴れても無駄だしね。じゃあせめて僕のギターを返しておくれよ。本当に暇なんだよここ」
「わかりました、では解散でよろしいですかウル様」
女性はそういってウル様の方へ視線を移す。ウルは依然と口を開かず、その場にいるだけだった。
「では解散とする」
小さな付き人は久しぶりに声を発した。光の柱は消え、ポツンとカシマは暗闇に取り残される。
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