1 / 19
琴乃錦の現世蘇生
1話 英雄の転生
しおりを挟む
ポチャンと俺の投げた石が川に沈む。
僕もあんな感じで沈むことが出来たらどれだけいいだろう。
橋の日陰で僕はしゃがみながら、日が暮れるのを待っている。
「ねぇ!あなたはここで何してるの?」
声のする方を振り向く。ちょうど夕日が眩しくてどんな顔なのかよく見えない。
まぁ、声からして女の子なのは確か。
「別に・・・・・・、父さんが女を連れてきてるから家に居たくないだけ」
石を掴み、また投げる。今度はドポンっと音を立てて落ちる。
「あなた、服がよれよれね。顔も怪我して痛そう・・・・・・」
そう言って彼女は俺の顔に触れる。身長からして、俺と同じ年かな。綺麗な銀髪・・・・・・。
はっと我に返り、女の子の手を払いのける。
「やめろよっ」
「きゃっ」
強くしすぎたかもしれない。でも後悔はしていない。きっと、俺はこの子と関わらない方がいいだろう。
「・・・・・・ねえ、ほかの遊びしない?そうだ!私の得意なことやってあげる!」
「へぇ・・・・・・、おもしろそう」
嘘、別に期待はしていない。
そういって銀髪の少女は目の前で手を組む。
「私わね~、こうやって会いたい人を祈るとね。ここに呼ぶことができるんだよ~、好きな人でも亡くなった人でもね!」
「はぁ?」
なんだそりゃ。アニメや漫画の見過ぎなんじゃないかこの子。からかってやろうかな。
「じゃあさ、俺の母さんを呼んでみてよ」
「じゃあ、お母さんの顔と名前を思い浮かべて!」
といい、少女は俺の手を握る。
「えっ・・・・・・?」
「うーーーーんっ!」
少女は力を込めているようだ。綺麗な銀髪が風によるものなのかわからないが、ふわふわと浮いた。
「う~ん、おかしいな?来ないな~」
「もういいよ」
そういえば、俺、母さんの名前も顔も知らなかった。
母さんに会えるかもしれないと少しだけ期待しそうになったが、ばかばからしくなった。
俺は彼女の手を振り払う。そもそも、亡くなった人を呼ぶことなんてできやしないんだから。
「う~ん悔しいなぁ。いつもなら上手くいくのに・・・・・・じゃあ、私が思う人でやってみるね!」
そういい、少女はもう一度胸の前で手を組む。それが基本姿勢なのか・・・・・・。
「うーーーーん。思い浮かべるのは、将来の旦那様!」
そう言って、また銀髪がふわふわ浮く。風で彼女のスカートがめくれそうになって、いっしゅんドキッとした。
「ほら!来たよ!」
そう言い、少女は川の真ん中を指さす。
「マジ・・・・・・で?」
マジだ。川の上にふわふわと浮く白く輝いた物体が現れた。俺はその物体から目を離せない。
「すっすげぇ・・・・・・」
「でしょ!すごいでしょ!」
そう言い少女は手を組むのをやめた。その後、彼女の親だろうか。彼女を呼ぶ。
「姫。時間です。もういかないと」
「そっか・・・・・・、じゃあまたね」
そういい、彼女はその親らしき人についていった。姫っていっていることは執事っぽい感じもするけどね。結局、最後まで少女の名前も顔も見ることは出来なかった。でも、またここにくれば会えるかもしれない。
「んっ?」
俺はもう一度、石を掴み投げようとした。しかし、目の前にまだあの白い物体は浮いている。
俺は石を置いた。
物体はふわふわと浮き、まるで彼も家に帰れないのだろうかという雰囲気を感じ取る。
「なぁ、お前はなんなんだ」
俺は吸い寄せられるように、彼のもとへ。もしかしたら、彼も急に呼び出されて迷子なのかもしれない。
川の中へ足を入れる。冷たさは特に感じなかった。
「・・・・・・」
白い物体は何も言わない。ただ、そこに浮いているだけ。もやもやと。
「なぁ、お前も一人なのか・・・・・・」
そういい俺は手を伸ばし、白い物体に触れようと足をさらに一歩踏み出した。
白い物体に触れたその瞬間、足は水中での支えを失って俺は水の中へ。
「やっっばっ!」
しまった、こんなに深いところがあったなんて・・・・・・。誰か助けて・・・・・・
そのまま、急流で流される
苦しい、助けて、誰か・・・・・・
「ハッ!!」
自分は布団から飛び起きる。汗びっしょり。
なんだろう嫌な夢というか、懐かしい記憶を見ていたかもしれない。
となりで、ニワタリがぐーぐー言っている。畳の香りが俺を落ち着かせる。
僕もあんな感じで沈むことが出来たらどれだけいいだろう。
橋の日陰で僕はしゃがみながら、日が暮れるのを待っている。
「ねぇ!あなたはここで何してるの?」
声のする方を振り向く。ちょうど夕日が眩しくてどんな顔なのかよく見えない。
まぁ、声からして女の子なのは確か。
「別に・・・・・・、父さんが女を連れてきてるから家に居たくないだけ」
石を掴み、また投げる。今度はドポンっと音を立てて落ちる。
「あなた、服がよれよれね。顔も怪我して痛そう・・・・・・」
そう言って彼女は俺の顔に触れる。身長からして、俺と同じ年かな。綺麗な銀髪・・・・・・。
はっと我に返り、女の子の手を払いのける。
「やめろよっ」
「きゃっ」
強くしすぎたかもしれない。でも後悔はしていない。きっと、俺はこの子と関わらない方がいいだろう。
「・・・・・・ねえ、ほかの遊びしない?そうだ!私の得意なことやってあげる!」
「へぇ・・・・・・、おもしろそう」
嘘、別に期待はしていない。
そういって銀髪の少女は目の前で手を組む。
「私わね~、こうやって会いたい人を祈るとね。ここに呼ぶことができるんだよ~、好きな人でも亡くなった人でもね!」
「はぁ?」
なんだそりゃ。アニメや漫画の見過ぎなんじゃないかこの子。からかってやろうかな。
「じゃあさ、俺の母さんを呼んでみてよ」
「じゃあ、お母さんの顔と名前を思い浮かべて!」
といい、少女は俺の手を握る。
「えっ・・・・・・?」
「うーーーーんっ!」
少女は力を込めているようだ。綺麗な銀髪が風によるものなのかわからないが、ふわふわと浮いた。
「う~ん、おかしいな?来ないな~」
「もういいよ」
そういえば、俺、母さんの名前も顔も知らなかった。
母さんに会えるかもしれないと少しだけ期待しそうになったが、ばかばからしくなった。
俺は彼女の手を振り払う。そもそも、亡くなった人を呼ぶことなんてできやしないんだから。
「う~ん悔しいなぁ。いつもなら上手くいくのに・・・・・・じゃあ、私が思う人でやってみるね!」
そういい、少女はもう一度胸の前で手を組む。それが基本姿勢なのか・・・・・・。
「うーーーーん。思い浮かべるのは、将来の旦那様!」
そう言って、また銀髪がふわふわ浮く。風で彼女のスカートがめくれそうになって、いっしゅんドキッとした。
「ほら!来たよ!」
そう言い、少女は川の真ん中を指さす。
「マジ・・・・・・で?」
マジだ。川の上にふわふわと浮く白く輝いた物体が現れた。俺はその物体から目を離せない。
「すっすげぇ・・・・・・」
「でしょ!すごいでしょ!」
そう言い少女は手を組むのをやめた。その後、彼女の親だろうか。彼女を呼ぶ。
「姫。時間です。もういかないと」
「そっか・・・・・・、じゃあまたね」
そういい、彼女はその親らしき人についていった。姫っていっていることは執事っぽい感じもするけどね。結局、最後まで少女の名前も顔も見ることは出来なかった。でも、またここにくれば会えるかもしれない。
「んっ?」
俺はもう一度、石を掴み投げようとした。しかし、目の前にまだあの白い物体は浮いている。
俺は石を置いた。
物体はふわふわと浮き、まるで彼も家に帰れないのだろうかという雰囲気を感じ取る。
「なぁ、お前はなんなんだ」
俺は吸い寄せられるように、彼のもとへ。もしかしたら、彼も急に呼び出されて迷子なのかもしれない。
川の中へ足を入れる。冷たさは特に感じなかった。
「・・・・・・」
白い物体は何も言わない。ただ、そこに浮いているだけ。もやもやと。
「なぁ、お前も一人なのか・・・・・・」
そういい俺は手を伸ばし、白い物体に触れようと足をさらに一歩踏み出した。
白い物体に触れたその瞬間、足は水中での支えを失って俺は水の中へ。
「やっっばっ!」
しまった、こんなに深いところがあったなんて・・・・・・。誰か助けて・・・・・・
そのまま、急流で流される
苦しい、助けて、誰か・・・・・・
「ハッ!!」
自分は布団から飛び起きる。汗びっしょり。
なんだろう嫌な夢というか、懐かしい記憶を見ていたかもしれない。
となりで、ニワタリがぐーぐー言っている。畳の香りが俺を落ち着かせる。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
俺のスキル『性行為』がセクハラ扱いで追放されたけど、実は最強の魔王対策でした
宮富タマジ
ファンタジー
アレンのスキルはたった一つ、『性行為』。職業は『愛の剣士』で、勇者パーティの中で唯一の男性だった。
聖都ラヴィリス王国から新たな魔王討伐任務を受けたパーティは、女勇者イリスを中心に数々の魔物を倒してきたが、突如アレンのスキル名が原因で不穏な空気が漂い始める。
「アレン、あなたのスキル『性行為』について、少し話したいことがあるの」
イリスが深刻な顔で切り出した。イリスはラベンダー色の髪を少し掻き上げ、他の女性メンバーに視線を向ける。彼女たちは皆、少なからず戸惑った表情を浮かべていた。
「……どうしたんだ、イリス?」
アレンのスキル『性行為』は、女性の愛の力を取り込み、戦闘中の力として変えることができるものだった。
だがその名の通り、スキル発動には女性の『愛』、それもかなりの性的な刺激が必要で、アレンのスキルをフルに発揮するためには、女性たちとの特別な愛の共有が必要だった。
そんなアレンが周りから違和感を抱かれることは、本人も薄々感じてはいた。
「あなたのスキル、なんだか、少し不快感を覚えるようになってきたのよ」
女勇者イリスが口にした言葉に、アレンの眉がぴくりと動く。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
異世界隠密冒険記
リュース
ファンタジー
ごく普通の人間だと自認している高校生の少年、御影黒斗。
人と違うところといえばほんの少し影が薄いことと、頭の回転が少し速いことくらい。
ある日、唐突に真っ白な空間に飛ばされる。そこにいた老人の管理者が言うには、この空間は世界の狭間であり、元の世界に戻るための路は、すでに閉じているとのこと。
黒斗は老人から色々説明を受けた後、現在開いている路から続いている世界へ旅立つことを決める。
その世界はステータスというものが存在しており、黒斗は自らのステータスを確認するのだが、そこには、とんでもない隠密系の才能が表示されており・・・。
冷静沈着で中性的な容姿を持つ主人公の、バトルあり、恋愛ありの、気ままな異世界隠密生活が、今、始まる。
現在、1日に2回は投稿します。それ以外の投稿は適当に。
改稿を始めました。
以前より読みやすくなっているはずです。
第一部完結しました。第二部完結しました。
ただのFランク探索者さん、うっかりSランク魔物をぶっとばして大バズりしてしまう~今まで住んでいた自宅は、最強種が住む規格外ダンジョンでした~
むらくも航
ファンタジー
Fランク探索者の『彦根ホシ』は、幼馴染のダンジョン配信に助っ人として参加する。
配信は順調に進むが、二人はトラップによって誰も討伐したことのないSランク魔物がいる階層へ飛ばされてしまう。
誰もが生還を諦めたその時、Fランク探索者のはずのホシが立ち上がり、撮れ高を気にしながら余裕でSランク魔物をボコボコにしてしまう。
そんなホシは、ぼそっと一言。
「うちのペット達の方が手応えあるかな」
それからホシが配信を始めると、彼の自宅に映る最強の魔物たち・超希少アイテムに世間はひっくり返り、バズりにバズっていく──。
☆10/25からは、毎日18時に更新予定!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる