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承黒寺の乱

ジークの無茶振り

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ジークとマオさんの強さは常軌を逸しており、数十分後には残す敵はヤオ老師だけとなっていた。

「さて、あとはあんただけだぞ?
とりあえず龍神族の居場所を吐きな!」

ジークが刀をヤオ老師に向けた。


「言っただろう!ワシを倒してみろと!!」
ヤオは目にも留まらぬ速さで連続攻撃を仕掛ける。
しかしジークはそれを全て軽々と躱す。

「何故じゃ!!何故当たらぬ!さっきまでは当たっていたのに!」

「おい、じじい。何か勘違いしてないか?
あんたの攻撃は今までまともに1発も喰らってないんだよ。確かに避けきれないこともあったけど、全て刀の峰や腕、足で防御していた。
それもあれだけの数の手下を従えての乱戦の中でだ。
1対1ならまともに当たるわけもない」

「何故じゃ!何故なのじゃ!!
ワシは今や龍神族よりも強いはずなのに!」

ヤオはその後も攻撃を繰り返すが、それは全て虚しく空を切った。

ジークは猛攻を躱しながら、ヤオのミゾオチに強烈なパンチを1発入れると、ヤオはその1撃で地に膝をついた。
さすがだ。
たったの1撃だけであのヤオ老師の動きを止めてしまった。

「簡単な話だ。龍神族よりも俺とマオちゃんは強い」

「龍神族よりも、ワシよりも強いだと……そんなバカなことが…」

「あるんだよ。それどころか、お前じゃうちのリガンにすら勝てないぞ」

「なに!あのモンスターの小僧にもだと!
冗談もいい加減にしろ!どこまでワシを愚弄するか!」

ヤオ老師は額に血管を浮かび上がらせて激昂した。

「ならやってみるか?」

「ふん。そんな雑魚と闘ってもワシになんの得もない」

「じゃあジジイがリガンに勝てたら、今回は見逃してやるよ。それでどうだ?」

その言葉を聞きヤオ老師は一刻考えた。

「本当か!?その言葉に二言はないな!?」

ジークがニヤリと笑った。

「おい、リガン!ちょっとこっち来てくれ!」
ジークがリガンを呼ぶ

「ちょっと待ってくださいジークさん!
リガンはさっきの大武闘祭でかなりのダメージを負っていて、ここまで私がおぶってきた程ですよ!いくらなんでも無茶です!」

クリスはジークに意を唱えた。

「待って……クリス……
ジークが出来るって言ってるんだ…。きっと勝てる。
それにジークはいつも破茶滅茶なように見えて何か先の事を考えてる。今回もきっと何かあるんだ。僕じゃなきゃいけない特別な意味が。
だから僕、やるよ」

たしかにリガンの言う通りかもしれない。
ジークは勇者のくせにだらしなくて、怠け者で何考えてるか分からないけど、あの人はいつも私達が考えもつかない先を見ている。

「わかった。リガン。気を付けてな」

リガンはフラフラとした足取りでジークの元に向かった。

「リガン。大怪我してる所悪いな。
かなりキツイかもしれないけど、頑張ってくれ」

ジークがリガンの肩をポンと叩いた。

「じゃあ、俺疲れたから寝てるね。
終わったら起こしてくれ!」

ジークがそう言った瞬間、ジークの背後からマオさんが棒のような物でジークの頭部を叩きつけた。
ジークはうずくまり悶絶している。

「はい。リガン。『獅子王』よ」

「ありがとう。マオさん」

リガンは獅子王を手にし、ヤオ老師に向けて構えをとった。
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