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神獣ドルギアガとの闘い

戦利品

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私達は身体能力強化を使いながら、全力で10分ほど無我夢中で山を下った。
「はぁはぁ。ここまでくればもう大丈夫だろう」

私達は川のほとりで少し休憩を取ることにした。

「それにしても信じられません。
完全に倒せなかったとはいえ、神獣相手にあそこまで戦うなんて」

「神獣って言っても強さはまちまちみたいだな。
レヴィーア級の強さだったらハッキリ言って勝ち目はなかった」

レヴィーアはそんなに強かったのか。
私の目からみたら、凄すぎてドルギアガとレヴィーアの強さの違いなんて分からなかった。

「とりあえず目的の魔晶石も手に入ったし、全員無事に済んだな。
少し休んだら、モンスターのレベルがそんなに高くない所まで移動して、今日はそこに泊まろう」


その日は私でも倒せるモンスターしか出ない安全な場所移動し野宿をし、翌日に山を下り船に向かった。

船ではリガンが1人で待っていた。

「リガン。もうあのコは行ったのか?」

「うん。」

「なぁーんだ。てっきりあの女に惚れて一緒に行っちまったかと思ってたのに」
ジークはケラケラと笑った。

「僕には世界一のモンスターになるって夢がありますから!
まだまだジークさん達に教えてもらいたいことは山ほどあるんです。
そういえば大型の魔晶石は見つかったんですか?」

「あぁ!バッチリだ!」
私はカバンから魔晶石を取り出し、リガンに見せて、ドルギアガとの戦いのことを説明した。

「あの伝説の神獣ドルギアガと……」
リガンは目を丸くして驚いていた。
当然だ。
ドルギアガの伝説はこの世界では知らない人はいないぐらい有名な神話だ。

「でもかなり苦しかったわ。
ルクスの宝剣は悪くないけど、やっぱりもう少しスペックの高い武器が必要ね。
私達の魔力が本来の力を取り戻せない以上は武器の性能を上げていかないと、今後の旅も心配だわ」
マオさんがそう言うと、ジークはニッカリと笑った。

「実は俺もそう思ってな!」
ジークは自分の鞄をゴソゴソあさり、白銀の板の様なものを取り出した。

「そ!それは!?」

「ドルギアガの鱗だ!
俺が剥がしたやつ!
確かマオちゃんのペットの黒豚が前に言ってたよな?
神獣から取れる素材は魔法伝導も魔法増幅も高いって!
しかもこの硬度。かなりの武器が作れるんじゃないか?」

「ジーク。あなたって抜け目ないのね!
あんな苦しい戦いの中でそんな余裕があったなんて!」

「武器はジャカンに着いたら作ってもらおう!トシキが使ってた『刀』っていう剣かっこよかったし!」
ジークは子供のように目をキラキラさせて言った。

こうして無事に魔晶石を手に入れた私達は再びジャカンへと向かった。
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