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ジャカンからの出発

龍神族の目的

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その日の夜
私達はユウナさんと、トシキさんと共にションさんの自宅に招待された。
ユウナさんのグランプリ受賞祝いと、命の恩人をもてなしたいということで。

私達は豪華なジャカン料理に舌鼓をうった。

「そういえば、あいつらがションさんを誘拐した理由ってなんだったの?」
ユウナが食事の途中でションさんに聞いた。

「うむ。それなんじゃが。
奴らはワシに大きな黒色の宝玉を見せてきての、その宝玉が発している魔力と同じ魔力を感知できるレーダーを作れということじゃった」

「黒色の宝玉?」

「うむ。
奴ら龍神族はまだ全員は復活しておらんのじゃ。
あの宝玉には龍神族が封印をされておるらしく、世界中に散らばる残り7つの宝玉を全て集めることで、一族全員が復活出来ると言っておった」

「石を7個集めるとか、それ探すレーダーってなんかの漫画みたいだな」
ジークは1人でケラケラ笑っている。

「その宝玉が7つ集まった時点で復活するの?」
ユウナはジークを無視して聞いた。

「あの宝玉は砕いた時点で効力を発揮しなくなると言っておった。
あやつらが持っていた宝玉もあの場で砕いていたら、他の龍神族が数十名は復活していたはずじゃ。
だがそれをしなかったのは、他の宝玉を探すのに、あの宝玉が放つ魔力を頼りにしているからに他ならない」

「そうか元々はその7つ以外にもその宝玉があって、それが壊れたかなんかして、数人の龍神族だけ復活したんだな!
それで復活した龍神族は仲間を復活させようと世界中の宝玉を探し回ってるのか」
ユウナはそう言いながら、1人で納得したようにうんうんと頷いていた。

「それならトワイザランとルクス族が襲われた理由もわかりますね。
トワイザランの初代王宮魔道士とルクス族のかつての族長は1200年前の龍神族封印を施した10賢者の1人でしたから。
そこに宝玉があると思ったのでしょう」

私がそう答えると、マオさんが私の方を向いた。
「なぁ、クリス。その10賢者にはハイエルフ族というのはいたのか?」

「ハイエルフ族ですか?
1200年前の大戦の記録にはハイエルフ族の名前は出てこないですね」

「あいつ……私がこの世界のハイエルフ族だと言っていた…。」

「そういえば、俺のこともファルファーの末裔だとか言ってたな」

あの刺青の龍神族は確かにそう言っていた。

「確かにハイエルフ族もファルファーもこちらの世界に1200年前に確かに存在していたと文献には残っています」

「魔族に伝わっていた、レヴィーアのことや、ファルファーの英雄伝説も、もともと私達の祖先がこちらの世界にいたとすれば、辻褄があう…」

確かにその通りだ。

「だが……時間が合わない」
マオさんが言った。

「時間…ですか?」

「あぁ。そのハイエルフがいたのもファルファーがいたのも1200年前の話なんだろ?
私達魔族の魔界での歴史は7000年にも及ぶのだ」

するとユウナがまた口を開いた。

「異世界転移をした時に、亜空間ゲートだけでなく、時空間ゲートも一緒に開けてしまったんだろう」

「時空間?」

「そう。亜空間ゲートは同じ世界の離れた場所を繋げたり、別の世界とを繋げたりするトンネルのようなものだ。
時空間ゲートは過去、現在、未来などの時を超えるトンネルだ。
わざとやったのか、偶然そうなったのかはわからないけどな」

「ユウナさん詳しいんですね」

「あぁ、あのコンテストで発表した瞬間移動装置は亜空間ゲートを利用しているっていっただろ?
その時に色んな文献を調べたり、色んな知識を持った種族やルクスの3賢者にも取材取ったりしたからな」

「そんなんですね!」

「そういえば、コンテスト終わったらうちらを元の世界に戻す協力をしてくれるんだよな?
出来そうなのか?」
ジークは刺身を食べながらユウナに聞いた。

「すぐにとは言わないができると思うぞ。
龍神族も可能だと言っていたし、ジーク達がこちらの世界に来たこと、そしてマオの祖先がこっちの世界から転移したことなどを考えると、異世界転移は可能だし、ジーク達と私達の世界は亜空間で繋がりやすい関係性にある、近しい世界なのかもしれないからな」

「ほう!それは心強い!
じゃあその研究が終わるまでは、ジャカンでダラダラ待ってればいいわけだな!」
ジークは嬉しそうに言った。

「いや。異世界転移の詳細を調べたい。
その為にはジーク達がこちらの世界に現れたという場所を調べてみたい。
なんかの異世界転移の痕跡が残ってるかもしれないからな」

「トワイザランの祈りの間ですね!」
私が言った。

「ならまずはそこに行ってみよう。
私はもうコンテストも終わったし、ションさんやM&Sの人達を見返したいなんて気持ちもなくなったからな。
私も旅に同行してあげるよ」
とユウナさんが言った。

「次の行き先はまたトワイザランか」
私は自分の意思でこの旅に同行してきたが、久々に故郷に帰れるのは正直に嬉しかった。
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