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それぞれの夜
2人の神様
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敵わなかった…
まさか、龍神族以外に私達アーブルグ族の魔力無効が効かない相手がいるなんて…。
体がふわふわと浮いているのがわかる…
私はあの女魔族の魔法を受けて死んだのか…??
あの闇魔法は全てを飲み込むと言っていた。
私もあの魔法に飲み込まれ消滅し死んだのだろう。
うっすらと目を開けると私は空を舞っていた。
やはりそうか……
私は死んだんだ。
私達は神に仕えし種族。
このまま神の元へ帰るのか……
またゆっくりと目を閉じようとしたが、身体中の痛みに気が付いた。
痛い??
死んだはずなのに何故痛みを感じるのだ?
私はまだ生きているのか?
ばっと目を見開く。
かみ……さま……??
いや!違う!
私はジークと呼ばれていた男に抱き抱えられていた。
私を救い、抱き抱えている男の顔はりりしく、背中の後ろから射し込んでいる月明かりが後光のように見え、私は一瞬その男を神と勘違いした。
「おい。ジーク!どういうつもりだ?」
私に極大魔法をかけた女魔族が言った。
「俺は女性に優しいもんでね」
ジークはニヤリとし言った。
「だから私と闘った時は全力で殺しに来ただろうが!!!」
「ははは。
とか文句言っておきながら俺ならこうやって直前で助けると思って、剣でとどめを刺さずにわざわざ極大魔法なんか使ったんだろ?」
「ふん。別にそんなことは……」
ジークはゆっくりと地上に降り、私をおろした。
「くっ…。貴様 何故私を助けた」
この男の行動は理解できなかった。
敵である私を助けるなんて…。
「それはあいつがまだあんたに言いたいことありそうだったからな」
ジークは女魔族の方に視線を向けた。
「なんだと?」
私もその視線に導かれ女魔族の方を見る。
「これでわかったでしょ?
神じゃなくても、あなた達の力を破れる種族がいるの。
あなたを助けたその男も普通の人間でありながら、私と同じ程度の力を持っている」
「何が言いたいんだ…?」
「あなた達は自分達の今の力が通じないからといって、戦うことを諦めて楽な道に逃げただけ」
「貴様に私達の何がわかる!!?」
「確かにあなた達の気持ちは分からない。
けど、私も別の世界とはいえ、一族を束ねる者の気持ちはわかる。
何をやっても敵わない、どうしようもない敵を相手にしたら、私だって一族の存続のために敵の軍門に下ることも考えるだろう。
だけどな、私はたとえそうなったとしても、一族の誇りだけは失わないし、絶対に曲げない!!
例え一時は支配されようとも、いつかはそいつらから自由を手に入れるために足掻き続ける。
それが叶わず自分達の誇りが失われるのなら、それで種族が絶えてしまうのも、仕方ないと思う。
あなた達は神に仕えるという自分達の誇りを歪んだ解釈で捻じ曲げて、自分達のやっていることを正当化しようと逃げただけじゃない」
逃げただけ。
確かにそうなのかもしれない。
心のどこかではわかってた。
あんな残虐な奴らが神であるはずがないと…。
しかしどうしようもない力の差を見せられて、私達はは足掻くことを諦めた。
悪事を働く自分の心を救いたいがために全てをこじつけてきた。
この女は強いな。
力や魔法だけでなく心も…。
「なぁ。私達でも足掻けば、龍神族に勝てると思うか?」
「えぇ。もちろん。
私のダークマターを一瞬でも堪えられたのはあなたの魔力無効が効いてた証。
あなた自身もっと鍛錬を積めば、もっと強い魔力を打ち消せるようになるはず。
たとえ龍神族の魔力であっても」
マオと呼ばれている魔族はニコリと笑った。
その言葉と彼女の笑顔に、私の道が拓けて見えた気がした。
彼女の言葉はまるで神のお告げのように染み込んでいき、心の中で折れていた私の剣が修復されていく気がした。
「私は……
龍神族には屈しない」
無意識にそんな言葉を呟いていた。
まさか、龍神族以外に私達アーブルグ族の魔力無効が効かない相手がいるなんて…。
体がふわふわと浮いているのがわかる…
私はあの女魔族の魔法を受けて死んだのか…??
あの闇魔法は全てを飲み込むと言っていた。
私もあの魔法に飲み込まれ消滅し死んだのだろう。
うっすらと目を開けると私は空を舞っていた。
やはりそうか……
私は死んだんだ。
私達は神に仕えし種族。
このまま神の元へ帰るのか……
またゆっくりと目を閉じようとしたが、身体中の痛みに気が付いた。
痛い??
死んだはずなのに何故痛みを感じるのだ?
私はまだ生きているのか?
ばっと目を見開く。
かみ……さま……??
いや!違う!
私はジークと呼ばれていた男に抱き抱えられていた。
私を救い、抱き抱えている男の顔はりりしく、背中の後ろから射し込んでいる月明かりが後光のように見え、私は一瞬その男を神と勘違いした。
「おい。ジーク!どういうつもりだ?」
私に極大魔法をかけた女魔族が言った。
「俺は女性に優しいもんでね」
ジークはニヤリとし言った。
「だから私と闘った時は全力で殺しに来ただろうが!!!」
「ははは。
とか文句言っておきながら俺ならこうやって直前で助けると思って、剣でとどめを刺さずにわざわざ極大魔法なんか使ったんだろ?」
「ふん。別にそんなことは……」
ジークはゆっくりと地上に降り、私をおろした。
「くっ…。貴様 何故私を助けた」
この男の行動は理解できなかった。
敵である私を助けるなんて…。
「それはあいつがまだあんたに言いたいことありそうだったからな」
ジークは女魔族の方に視線を向けた。
「なんだと?」
私もその視線に導かれ女魔族の方を見る。
「これでわかったでしょ?
神じゃなくても、あなた達の力を破れる種族がいるの。
あなたを助けたその男も普通の人間でありながら、私と同じ程度の力を持っている」
「何が言いたいんだ…?」
「あなた達は自分達の今の力が通じないからといって、戦うことを諦めて楽な道に逃げただけ」
「貴様に私達の何がわかる!!?」
「確かにあなた達の気持ちは分からない。
けど、私も別の世界とはいえ、一族を束ねる者の気持ちはわかる。
何をやっても敵わない、どうしようもない敵を相手にしたら、私だって一族の存続のために敵の軍門に下ることも考えるだろう。
だけどな、私はたとえそうなったとしても、一族の誇りだけは失わないし、絶対に曲げない!!
例え一時は支配されようとも、いつかはそいつらから自由を手に入れるために足掻き続ける。
それが叶わず自分達の誇りが失われるのなら、それで種族が絶えてしまうのも、仕方ないと思う。
あなた達は神に仕えるという自分達の誇りを歪んだ解釈で捻じ曲げて、自分達のやっていることを正当化しようと逃げただけじゃない」
逃げただけ。
確かにそうなのかもしれない。
心のどこかではわかってた。
あんな残虐な奴らが神であるはずがないと…。
しかしどうしようもない力の差を見せられて、私達はは足掻くことを諦めた。
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「なぁ。私達でも足掻けば、龍神族に勝てると思うか?」
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その言葉と彼女の笑顔に、私の道が拓けて見えた気がした。
彼女の言葉はまるで神のお告げのように染み込んでいき、心の中で折れていた私の剣が修復されていく気がした。
「私は……
龍神族には屈しない」
無意識にそんな言葉を呟いていた。
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