上 下
20 / 117
ルクス族の村へ

3人の賢者の卵

しおりを挟む
ようやく閃光魔法も解け、視界が戻り始めた。
5人は相変わらず魔法陣に立って浮遊魔法を使っている
当然ながら魔法を使っている間は5人は魔法陣から離れられない。

5人は魔法をかけながら会話を始めた。

「あなた達は何者なの?」

マオさんが問いかけた。

すると3人のリーダーのような女性が口を開いた。

「私達はルクス族の者です。今まで旅をしていて、故郷に帰る途中にこの客船に乗っていたんです。
私はパル。このコがプル。こっちコがポルです」

パルと名乗った女性は身長が150センチほどでピンクの長髪。
丸眼鏡をかけており知的な雰囲気をだしているがマオさんに負けず劣らずの美女だ。

プルは少し小さめで140センチほど、ショートカットで少し子供っぽさはあるが、やはり綺麗な顔立ちをしている。

ポルはパルよりほんの少しだけ背が高く、綺麗な顔立ちをしているが、表情は常に険しくクールな感じを漂わせている。
だが、それよりも大きな胸に目がいってしまう。

そうか。
この人達はルクス族だったのか!

そういえば、ルクス族は男性は銀髪で女性はピンクの髪が特徴だと聞いていた。
髪の色をみればルクス族だとすぐに分かっただろうが、さっきはレヴィーアのことで精一杯で3人の髪の色など気にもかけていなかった。

「そう!?あなた達がルクス族だったのね!」

マオがニコリと笑った。

「はい。そうですが。それがどうかしたのですか?」
パルが不思議そうに聞き返す。

「えぇ。私達もルクス族の村に向かうつもりで旅をしていたの。
あなた達は魔法に詳しい種族と聞いていたから。
…噂通り魔法にはかなり詳しいようね。
正直不安だったのよ。どっかの誰かは世界で一番大きな王国の騎士団長だと言っておきながら弱かったから、この世界のレベルにはあまり期待していなかったけど、この魔法陣の術式を見ればあなた達の凄さがわかるわ」

マオさんはさらっと私をディスっている。。。

「いえいえ!
私達なんかより、あなた達の方が数倍凄いです。
先程のレヴィーアとの戦いをみてましたけど、あれだけの威力の魔法を全属性使いこなすなんて、とても信じられないです。
しかもレヴィーアの攻撃を耐えるほどの防御壁を作って、その後に上級魔法を連発して戦っておきながら、浮遊魔法でこんな大きな客船を長時間浮かせる魔力の許容量も。
魔法に長けたルクス族でもこんな凄い人は見たことありません!」

パルは驚いた表情をしている。
やはりこの人達は誰から見ても凄いんだなと痛感した。

「それならあなた達だって防御壁一緒に作ったり、今も一緒にこの船浮かせてるじゃない」

「私達のは補助魔法ばかりなので、魔力はそんなに使ってないんです。
先程の防御壁も お2人が作った堅固なものを少し強化させてもらっただけですし、この浮遊魔法もあなた達が使用しているものを私達が補助、強化しているに過ぎないんです」

パルは2人に尊敬に似た眼差しを向けた。

「私達3人は魔法に長けたルクス族の中でも魔力が高く、将来はルクス族を治める3賢者になる予定です。今回の旅も将来に村を治めるに当たって外の世界を知らなければならないと旅をしていたのですが、私達を遥かに凌駕する魔力の持ち主に会ったのは初めてです!
やはり世界は広いんですね」

パルは目をキラキラと輝かせている。

「これだけの魔力と強さ。
お前達、まさか噂の龍神族じゃないよな?」
ポルが和やかな雰囲気を切り裂くように突然口を割った。
ポルはそのまま鋭い眼差しでジークとマオさんを睨む。

「安心して。私達は龍神族じゃないわ。
理由は分からないけど私とそこのジークという男は異世界から紛れ込んできたの。
それで魔法や知識に長けたルクス族なら、私達が元の世界に戻れるような何かを知ってるんじゃないかと思って、ルクス族の村に向かってたのよ」

マオさんが答えた。

「そうだったんですか。
異世界というと、亜空間転移魔法のことですかね?
実在する魔法なのか、私達は詳しくは分かりませんが、現在のルクス族を治めている3賢者様であれば何か知ってるかもしれません」

それを聞いて、2人の表情が明るくなった。

もしこれで本当に2人が帰る手段が見つかったらこの旅もお終いなのか。

2人にとっては喜ばしいことかもしれないが、私にとっては寂しかった。

ようやく心から師と仰げそうな人を見つけたというのに……。

「うちらの旅に光明が見えたのはいいが、まずはレヴィーアの脅威から逃れないことには始まらないぞ。
そろそろうちらの魔力も限界だ。
降り始めるぞ。
レヴィーアがいなくなってることを祈ろう」

ジークがそう言うと、船はゆっくりと海に向かって下降し始めた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い

平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。 ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。 かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。

【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する

雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。 その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。 代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。 それを見た柊茜は 「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」 【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。 追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん….... 主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します

悠々自適な転生冒険者ライフ ~実力がバレると面倒だから周りのみんなにはナイショです~

こばやん2号
ファンタジー
とある大学に通う22歳の大学生である日比野秋雨は、通学途中にある工事現場の事故に巻き込まれてあっけなく死んでしまう。 それを不憫に思った女神が、異世界で生き返る権利と異世界転生定番のチート能力を与えてくれた。 かつて生きていた世界で趣味で読んでいた小説の知識から、自分の実力がバレてしまうと面倒事に巻き込まれると思った彼は、自身の実力を隠したまま自由気ままな冒険者をすることにした。 果たして彼の二度目の人生はうまくいくのか? そして彼は自分の実力を隠したまま平和な異世界生活をおくれるのか!? ※この作品はアルファポリス、小説家になろうの両サイトで同時配信しております。

残滓と呼ばれたウィザード、絶望の底で大覚醒! 僕を虐げてくれたみんなのおかげだよ(ニヤリ)

SHO
ファンタジー
15歳になり、女神からの神託の儀で魔法使い(ウィザード)のジョブを授かった少年ショーンは、幼馴染で剣闘士(ソードファイター)のジョブを授かったデライラと共に、冒険者になるべく街に出た。 しかし、着々と実績を上げていくデライラとは正反対に、ショーンはまともに魔法を発動する事すら出来ない。 相棒のデライラからは愛想を尽かされ、他の冒険者たちからも孤立していくショーンのたった一つの心の拠り所は、森で助けた黒ウサギのノワールだった。 そんなある日、ショーンに悲劇が襲い掛かる。しかしその悲劇が、彼の人生を一変させた。 無双あり、ザマァあり、復讐あり、もふもふありの大冒険、いざ開幕!

転生させて貰ったけど…これやりたかった事…だっけ?

N
ファンタジー
目が覚めたら…目の前には白い球が、、 生まれる世界が間違っていたって⁇ 自分が好きだった漫画の中のような世界に転生出来るって⁈ 嬉しいけど…これは一旦落ち着いてチートを勝ち取って最高に楽しい人生勝ち組にならねば!! そう意気込んで転生したものの、気がついたら……… 大切な人生の相棒との出会いや沢山の人との出会い! そして転生した本当の理由はいつ分かるのか…!! ーーーーーーーーーーーーーー ※誤字・脱字多いかもしれません💦  (教えて頂けたらめっちゃ助かります…) ※自分自身が句読点・改行多めが好きなのでそうしています、読みにくかったらすみません

悪役貴族の四男に転生した俺は、怠惰で自由な生活がしたいので、自由気ままな冒険者生活(スローライフ)を始めたかった。

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
俺は何もしてないのに兄達のせいで悪役貴族扱いされているんだが…… アーノルドは名門貴族クローリー家の四男に転生した。家の掲げる独立独行の家訓のため、剣技に魔術果ては鍛冶師の技術を身に着けた。 そして15歳となった現在。アーノルドは、魔剣士を育成する教育機関に入学するのだが、親戚や上の兄達のせいで悪役扱いをされ、付いた渾名は【悪役公子】。  実家ではやりたくもない【付与魔術】をやらされ、学園に通っていても心の無い言葉を投げかけられる日々に嫌気がさした俺は、自由を求めて冒険者になる事にした。  剣術ではなく刀を打ち刀を使う彼は、憧れの自由と、美味いメシとスローライフを求めて、時に戦い。時にメシを食らい、時に剣を打つ。  アーノルドの第二の人生が幕を開ける。しかし、同級生で仲の悪いメイザース家の娘ミナに学園での態度が演技だと知られてしまい。アーノルドの理想の生活は、ハチャメチャなものになって行く。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

処理中です...