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龍姫ブラウンと出会う

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 ブラウンは高速移動しつつ大きな気配を探っていた。
 ブラウンの気配察知にはまだ大きな気配は引っかからない、更に木の枝から枝に飛び移りつつ感にあわせて方向を修正していく。
 そこから暫くの場所に大きな気配を捉えると、ブラウンは更に速度を上げ枝から枝に駆け抜けていく。

「あれは」
 
 ブラウンの視線の先には白銀に輝く鬣を持った、シャイニング・レオとそれと争うようなシルエットが見えた。
 レオ族の長が魔物化した姿は獅子の顔を持つ巨人である、その速度は目で捉えることすら出来ぬと言われ、力は地龍ほどと言われる。
 素早く鋭い爪を振るうと風刃が4本飛び、シルエットはまるで舞うようにかわして行くが、ブラウンには違和感が見えた。
 高速移動が伴う武踊は瞬発力がものを言う分、消耗が激しいデメリットがある、それが出たのか、怪我をしたのか解らないが精彩をかいでいた。

「よっと」

 軽い声を上げるとシルエットの後ろから迫る爪を弾いてそのまま抱えて飛び上がった。

「大丈夫か?」

「お、おねがい・・・父をと・め・て」

 シルエット、女性は気を失ってしまいブラウンは女性を抱えたまま、降ろす隙もないためにハンディを負った戦いが始まった。

 少し後、猛スピードで木々が飛ぶ方へと飛んでいく龍姫たちが見たのは大木を投げる姿で首を飛ばされたシャイニング・レオの姿だった。
 シャイニング・レオのそばで、綺麗なドレスを着たプラチナブロンドの獅子獣人を片手で抱きしめたブラウンがゆっくりと降りて来る姿が見えた。

「ブラウン様・・・その女性はどなたですの?」

 異様な空気を纏いつつ降りて来るニンニルと炎を体に纏ったミネルバがブラウンの前に降りて来る。
 放り投げられた二人を片手ずつで持ちながら空を飛ぶヘーラはその様子をうかがっている。

「貴方はいかないんですか?」

 恐る恐るドラグがたずねるとヘーラはため息をつきつつ

「あの二人は沸点が低いのじゃ、あんなのとの戦闘中にナンパやおかしなことが出来るはずもなかろう、それにあの二人が嫌われれば、わらわにもチャンスが出てこよう」

 ニヤリとした笑みを浮かべるその姿は策士のそれであり、ドラグは背中に冷たい汗を掻いていた。

 当のブラウンは気にした風も無く、女性を横に寝かせながら。

「シャイニング・レオとの戦いの最中に気を失ったから抱えて戦ってただけだ」

「「信じられない(ませんわ)」」

 二人は左右から炎の弾と氷の矢を放つ。
 ブラウンに片手でかき消される、が、それと同時に低い体制で駆け出した二人は、左右から猛烈なラッシュを仕掛ける、まるで何処から何が来るのか解っている様に片手で対処していく。

「この!!」

「はぁあ!」

 二人は一旦距離を取ると龍気を練り、自分の身長大の炎の弾と氷の弾を二枚同時に飛ばすと、それを追いかけるように駆け出す。
 ブラウンは両手をクロスさせると拳に気を纏わせ
「ふん!」
 気合一閃両方の弾を打ち消す。
 二人の一発目の拳を掴むとそのまま逆方向の地面に叩きつける、地面が陥没し二人は目を回してしまった。

「ふー、おおいそこの、ちょっと説明してくれ」

 ヘーラに声をかけると、ヘーラは空から降りて来て二人を見つつ

「これでも女子じゃ、もう少し優しくしてやって欲しかったが・・・コホン、地龍王が娘にしてエンシェントドラゴンが孫ヘーラと申します、祖父の言葉通り嫁ぎに参りました、二人も同じ理由なのじゃが、旦那様が女性を抱いておったので頭に血が上ったのでしょう」

「ああ、バーヒュムの孫か?こうなると解っていて止めなかったヘーラ、お前もたいがいだな」

 ブラウンの指摘に言葉を詰まらせるが、ニヤリと一瞬笑うと、自分の姿を確認しつつ

「140ほどの背丈に金髪の巻髪、色も白く他の者からは地の龍族の至宝といわれるわらわがたいがいかのう?」

「見た目じゃ無い、状況を上手く使って観察する所だ」

 ブランが突っ込むと、心底嬉しそうな笑顔を浮かべてブラウンに抱きつく。

「うお」

「ブラウン様はやっぱり、わらわの旦那様じゃ」

 ヘーラは地龍の姫として育てられたため自由奔放な行動や発言も許されてきた、自分に突っ込みや反応を返してくれるのは母や龍姫、祖父だけだった。
 祖父は良くヘーラに言っていった。

「怒る、突っ込むのはその者に良くなって欲しいとか、その者に良い変化を求めるからだ」

 ゆえにヘーラは悪戯をし相手の反応を見る癖があり、言葉の中に嫌悪感は無く冷静に自分を判断してくれることが嬉しかったらしい。

「あんたね~」

「知ってたなら教えて欲しかったですわ」

 クレーターから二人は怖い声を出しながら這い出てくる。

「二人も会った事あるじゃろう?キング・レオの娘じゃ」

「え?あのイチゴ?」

「違うわよエチゴでしょ?」

「はぁ~フェルチゴじゃ、シャイニング・レオが出ておる、元はキング・レオであろうし、間違いない」

 二人の間違いを軽く訂正しつつ、改めてフェルチゴを観察すると、気絶してるだけで特に問題は無かった。

「流石ブラウンさんですね、SSランクをもう討伐されるなんて」

「あれ?ドラグ?こんな所で奇遇だな」

 ブラウンは少しずれた会話をしていた。

「あの、ブラウン様」

 ニンニルが恐る恐る声をかけるとブラウンは振り返り、子供のように笑うと

「お前達がバーヒュムの孫なんだな、話も聞きたいから村に来ないか?」

「「は、はい」」

「わらわの行きたいのじゃ」

 こうして3龍姫とドラグ、ブラウンは村に戻って行ったのだった。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ 

忘れられた受付嬢の場合

 私が眼を覚ますと巨大な体が横たわる森の中でした。

「きゃぁぁぁ、ここ何処ですかぁ」

 叫んでも誰もいなくて、私一人みたいです・・・あの龍人は何処に行ったんでしょうか?
 暫く待っても帰ってこないし、目の前の死体が怖くて太陽の方に向かって歩き出してしまいました。

「だれか~、いませんか~」

 怖くて恐る恐る声を出していますが、人の気配がしないです。
 泣きそうな自分を奮い立たせて進みますが、怖いのは怖いです


「にゃ~」

 暫く後私は今自分の全速力を超えているはずです。
 後ろから多分ですが、ブラットワイルドボアの子供に追いかけられています。
 死ぬかも・・・わ
 私は盛大にこけてその背中を気配が通り過ぎます、助かった~

 暫く進むと、右手の茂みから声が聞こえます、そーっと覗いてみると眼が合っちゃいました。
 盗賊と、逃げる力もなく私は座り込んでしまいます。
 私これからどうなるんでしょう?
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