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サーシャは静かに暮らしたい
家出115日目 月が見守る夜
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家出115日目
サーシャはセドリックを連れてアリマ温泉に遊びに来ていた。
アリマ温泉は金の湯、銀の湯があり、泉質が違うことで有名で、湯治客が多く居る人気の湯治場だった。
「このアリマサイダー美味しいよ、飲んでみて」
少し照れたように陶器の器を差し出すセドリックとそれを嬉しそうに受け取るサーシャ
「この温泉饅頭も美味しいわよ、はい、半分」
イチャラブな空気を醸し出しつつ、金の湯の近くにあるおもちゃ博物館に行って色々なおもちゃを見たり、温泉神社にお参りに行ったりと充実した時間を過ごしていた。
「けっ、セドリックさんが羨ましいのですよ」
ミーは少し離れた所で二人の様子を見ながらサーシャ特性の米酒を飲んでいた。
「荒れてるな」
心配そうにカークスが声をかけると、ミーは愚痴モードに入ったのか
「荒れもするですよ、マスターが幸せそうなのは良いんですよ。
セドリックさんにも問題無い・・・けど。
感情が納得できないのですよ」
「そうか、解るよ
ナナヤとスーケが護衛をしてくれるから、少し飲もう」
そう言ってミーのお猪口に米酒を注ぎ、自分のにも注ごうとすると
「手酌はダメですよ」
そう言ってミーがカークスのお猪口に注ぎ返す。
「では、ゆっくりと語ろう」
そう言って二人はゆっくりと飲みながら、サーシャとセドリックの事を語り合った。
そしてナナヤはセドリック達の後をつける怪しい男達を見つけていた。
スーケは素早く男達とセドリック達の間に立つと、けん制するように歩く速度を落とした。
暫くは男達も粘っていたが、ついにじれた男は、サーシャの後ろを風呂敷包みを抱えて歩いていた白狐を小脇に抱えて路地に駆け込んだ。
「あ、ゴンちゃんが」
「お任せを」
そう言ってスーケが路地に駆け込みナナヤは二人を連れて宿に戻った。
スーケが男を追いかけると、マロ眉のデップリと太った男が座る御輿に近づき、ゴンちゃんを献上している所だった。
「おうおう、めんこいでおじゃる・・・そこな男これはもう麻呂の物じゃ諦めよ」
「断る」
スーケがそう言うと護衛の男達が刀を抜いてスーケに殺到してきた。
スーケは短刀を抜き峰に返すと次々と護衛を薙ぎ払っていく。
「ひぃ、輿を出せ」
麻呂は慌てて逃げようとするが時遅く、全ての護衛がなぎ倒され、御輿を担ぐものも倒された後だった。
「ひぃぃ、ま、麻呂は枢機卿 キクマロでおじゃやるぞ、公家じゃ、何をしても許されるのでおじゃる」
「貴様は主神の神使を盗んだのだ・・・死して償え」
「ヴぇ?しゅ、主神・・・あのヨシテルを甦らせ、鬼のような神器を与えた。
キョウの街を二日で復興し、地面を宙に浮かせたあの?」
さび付いた音を立てて首を動かし、自分が押さえつけている白狐をみると。
「か、返す、返すから無かったことにするでおじゃる」
そう言ってゴンちゃんをスーケに投げつけると、文字通り転がるように逃げていった。
「まったく・・・なんて奴だ」
スーケはゴンちゃんを回収して、宿に帰って行った。
その後カークスとミーは飲み続けていた。
ミーとカークスはすっかり意気投合し、ミーもカークスも始めて時間を忘れて酒を飲み続けていた。
「店主!荒くれどもを集めるでおじゃる」
金切り声を上げて、デップリと太ったマロ眉が入ってきた。
「主神サーシャと名乗る奴を殺したら金貨100枚、参加しただけでも20枚出すでおじゃる」
ピクリと二人は反応すると、報酬の高さに引かれた男達が10人ほどあつまってきたが、それ以外は
「主神に手を出すなんて無謀だ」
「ヨシテル様に攻め滅ぼされる」
などと口々に言い、参加しようとしなかった。
「よし!貴様らさっさと行くでおじゃる!マロを馬鹿にした償いをさせるでおじゃる」
カークスは店主に店の回復を約束し、金貨50枚を支払っていた。
「おまいら、マスターを襲うつもりだにゃ、ミーが叩き潰すのにゃ♪」
そう言ってミーはゴロツキと麻呂に飛び掛る。
ミーを見た麻呂は鼻水をたらして青い顔をして逃げようとするが、逃げるゴロツキに押され壁際に追い詰められた。
飛び掛ったミーは腕だけをネコ化してボコボコにしたり、引っ掻き回す。
カークスはそこから逃げ出したゴロツキを倒したり、その中に放り込んだりしていた。
暫く後スッキリしたミーがその場で眠ると、カークスが辛うじて意識のある麻呂に近づき
「サーシャ様を傷つければ、これ以上の不幸が起こるだろう。
特に、創造神様が直接世界を消すかもしれない・・・その全ての責任が取れるなら・・・かかって来い」
最終的にゴリラの身体に変化して、麻呂の頭を握り締めると、ショックからか痛みからか、気絶してしまった。
眠るミーを背負って宿に戻るカークスは、とても穏やかな顔をしていた。
その姿を月が同じく穏やかな光で見守っていた。
サーシャはセドリックを連れてアリマ温泉に遊びに来ていた。
アリマ温泉は金の湯、銀の湯があり、泉質が違うことで有名で、湯治客が多く居る人気の湯治場だった。
「このアリマサイダー美味しいよ、飲んでみて」
少し照れたように陶器の器を差し出すセドリックとそれを嬉しそうに受け取るサーシャ
「この温泉饅頭も美味しいわよ、はい、半分」
イチャラブな空気を醸し出しつつ、金の湯の近くにあるおもちゃ博物館に行って色々なおもちゃを見たり、温泉神社にお参りに行ったりと充実した時間を過ごしていた。
「けっ、セドリックさんが羨ましいのですよ」
ミーは少し離れた所で二人の様子を見ながらサーシャ特性の米酒を飲んでいた。
「荒れてるな」
心配そうにカークスが声をかけると、ミーは愚痴モードに入ったのか
「荒れもするですよ、マスターが幸せそうなのは良いんですよ。
セドリックさんにも問題無い・・・けど。
感情が納得できないのですよ」
「そうか、解るよ
ナナヤとスーケが護衛をしてくれるから、少し飲もう」
そう言ってミーのお猪口に米酒を注ぎ、自分のにも注ごうとすると
「手酌はダメですよ」
そう言ってミーがカークスのお猪口に注ぎ返す。
「では、ゆっくりと語ろう」
そう言って二人はゆっくりと飲みながら、サーシャとセドリックの事を語り合った。
そしてナナヤはセドリック達の後をつける怪しい男達を見つけていた。
スーケは素早く男達とセドリック達の間に立つと、けん制するように歩く速度を落とした。
暫くは男達も粘っていたが、ついにじれた男は、サーシャの後ろを風呂敷包みを抱えて歩いていた白狐を小脇に抱えて路地に駆け込んだ。
「あ、ゴンちゃんが」
「お任せを」
そう言ってスーケが路地に駆け込みナナヤは二人を連れて宿に戻った。
スーケが男を追いかけると、マロ眉のデップリと太った男が座る御輿に近づき、ゴンちゃんを献上している所だった。
「おうおう、めんこいでおじゃる・・・そこな男これはもう麻呂の物じゃ諦めよ」
「断る」
スーケがそう言うと護衛の男達が刀を抜いてスーケに殺到してきた。
スーケは短刀を抜き峰に返すと次々と護衛を薙ぎ払っていく。
「ひぃ、輿を出せ」
麻呂は慌てて逃げようとするが時遅く、全ての護衛がなぎ倒され、御輿を担ぐものも倒された後だった。
「ひぃぃ、ま、麻呂は枢機卿 キクマロでおじゃやるぞ、公家じゃ、何をしても許されるのでおじゃる」
「貴様は主神の神使を盗んだのだ・・・死して償え」
「ヴぇ?しゅ、主神・・・あのヨシテルを甦らせ、鬼のような神器を与えた。
キョウの街を二日で復興し、地面を宙に浮かせたあの?」
さび付いた音を立てて首を動かし、自分が押さえつけている白狐をみると。
「か、返す、返すから無かったことにするでおじゃる」
そう言ってゴンちゃんをスーケに投げつけると、文字通り転がるように逃げていった。
「まったく・・・なんて奴だ」
スーケはゴンちゃんを回収して、宿に帰って行った。
その後カークスとミーは飲み続けていた。
ミーとカークスはすっかり意気投合し、ミーもカークスも始めて時間を忘れて酒を飲み続けていた。
「店主!荒くれどもを集めるでおじゃる」
金切り声を上げて、デップリと太ったマロ眉が入ってきた。
「主神サーシャと名乗る奴を殺したら金貨100枚、参加しただけでも20枚出すでおじゃる」
ピクリと二人は反応すると、報酬の高さに引かれた男達が10人ほどあつまってきたが、それ以外は
「主神に手を出すなんて無謀だ」
「ヨシテル様に攻め滅ぼされる」
などと口々に言い、参加しようとしなかった。
「よし!貴様らさっさと行くでおじゃる!マロを馬鹿にした償いをさせるでおじゃる」
カークスは店主に店の回復を約束し、金貨50枚を支払っていた。
「おまいら、マスターを襲うつもりだにゃ、ミーが叩き潰すのにゃ♪」
そう言ってミーはゴロツキと麻呂に飛び掛る。
ミーを見た麻呂は鼻水をたらして青い顔をして逃げようとするが、逃げるゴロツキに押され壁際に追い詰められた。
飛び掛ったミーは腕だけをネコ化してボコボコにしたり、引っ掻き回す。
カークスはそこから逃げ出したゴロツキを倒したり、その中に放り込んだりしていた。
暫く後スッキリしたミーがその場で眠ると、カークスが辛うじて意識のある麻呂に近づき
「サーシャ様を傷つければ、これ以上の不幸が起こるだろう。
特に、創造神様が直接世界を消すかもしれない・・・その全ての責任が取れるなら・・・かかって来い」
最終的にゴリラの身体に変化して、麻呂の頭を握り締めると、ショックからか痛みからか、気絶してしまった。
眠るミーを背負って宿に戻るカークスは、とても穏やかな顔をしていた。
その姿を月が同じく穏やかな光で見守っていた。
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