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永遠の約束
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「やだ、ユウトがいい……ユウト以外は絶対に嫌だよ……!」
荒い呼吸で懸命に吐き出す言葉が涙声になる。
「なのに、オレが逃げ続けてたからこんな……もう後悔したくないのに……ごめん……ごめんなさい、ユウト……」
そんなアキラを、ユウトは自分の心音が聞こえる胸元へと引き寄せた。
そのまま強く抱き締めると、はっきりとアキラに聞こえるよう耳元で囁く。
「大丈夫、お前は何も悪くない。だから謝らなくていいんだよ」
肌を通してユウトの鼓動がアキラに伝わる。
アキラは目を閉じて、その音に聞き入った。
(ああ、ユウトだ……オレの大好きなこの鼓動は……)
気持ちが落ち着いていくのが分かる。
呼吸が楽になり、震えも徐々に治まっていく。
アキラが落ち着いたのを見計らって、ユウトはまたアキラに囁いた。
「アキラ、本当に辛かったら無理しなくていいよ。今日はもう――」
「そ、それはダメ……! 今逃げたらまた後悔する。ユウトとなら大丈夫、大丈夫だから……!」
そう言ってアキラは慌ててユウトにしがみついた。
「もう嫌だよ……これ以上後悔はしたくない……本当に」
自分に対するアキラの決意が心の底から嬉しい。
そんなアキラが、ユウトは愛しくて仕方が無かった。
震えるアキラの頭にそっと触れる。
そのさらさらとした長い髪の上で、ユウトは優しく自分の指を滑らせた。
「そうか……分かった。なら、今日こそ俺がそのアザを消す。その為に俺はお前に傷を付けるよ。たった一度しか付けられない、一生消えない傷だ」
「傷……? え、い、痛いの?」
アキラにその意味は分からない。
その言葉に対して、ただ率直に怯えた。
「最初は多分、少し痛いと思うけど……だからどうしても、他の誰にも先を越されたくなかった」
「いいよ、ユウトなら我慢する。だからお願い、嫌なこと全部忘れさせて……オレの頭の中、ユウトでいっぱいにしてよ」
そう懇願するアキラの唇を、ユウトは自分の唇で塞ぐ。
「もう絶対誰にも渡さない。好きだアキラ……ずっと俺だけのものでいて」
アキラの方はもう言葉にならない。
ただ拒むこと無くその身をユウトへと委ねた。
荒い呼吸で懸命に吐き出す言葉が涙声になる。
「なのに、オレが逃げ続けてたからこんな……もう後悔したくないのに……ごめん……ごめんなさい、ユウト……」
そんなアキラを、ユウトは自分の心音が聞こえる胸元へと引き寄せた。
そのまま強く抱き締めると、はっきりとアキラに聞こえるよう耳元で囁く。
「大丈夫、お前は何も悪くない。だから謝らなくていいんだよ」
肌を通してユウトの鼓動がアキラに伝わる。
アキラは目を閉じて、その音に聞き入った。
(ああ、ユウトだ……オレの大好きなこの鼓動は……)
気持ちが落ち着いていくのが分かる。
呼吸が楽になり、震えも徐々に治まっていく。
アキラが落ち着いたのを見計らって、ユウトはまたアキラに囁いた。
「アキラ、本当に辛かったら無理しなくていいよ。今日はもう――」
「そ、それはダメ……! 今逃げたらまた後悔する。ユウトとなら大丈夫、大丈夫だから……!」
そう言ってアキラは慌ててユウトにしがみついた。
「もう嫌だよ……これ以上後悔はしたくない……本当に」
自分に対するアキラの決意が心の底から嬉しい。
そんなアキラが、ユウトは愛しくて仕方が無かった。
震えるアキラの頭にそっと触れる。
そのさらさらとした長い髪の上で、ユウトは優しく自分の指を滑らせた。
「そうか……分かった。なら、今日こそ俺がそのアザを消す。その為に俺はお前に傷を付けるよ。たった一度しか付けられない、一生消えない傷だ」
「傷……? え、い、痛いの?」
アキラにその意味は分からない。
その言葉に対して、ただ率直に怯えた。
「最初は多分、少し痛いと思うけど……だからどうしても、他の誰にも先を越されたくなかった」
「いいよ、ユウトなら我慢する。だからお願い、嫌なこと全部忘れさせて……オレの頭の中、ユウトでいっぱいにしてよ」
そう懇願するアキラの唇を、ユウトは自分の唇で塞ぐ。
「もう絶対誰にも渡さない。好きだアキラ……ずっと俺だけのものでいて」
アキラの方はもう言葉にならない。
ただ拒むこと無くその身をユウトへと委ねた。
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