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永遠の約束

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 ◇◆◇


 静まり返った暗闇の中、白いしなやかな肢体は月の光に照らされて、ほのかに青白く浮かび上がって見える。
 頻りに口づけを交わしながら、二人は幻想の中にいるような気分に酔いしれた。

「アキラ……」

「……っ」

 ユウトが身体を抱き寄せると、アキラは少し表情を歪ませた。

「ごめん、まだ痛むか?」

「だ、大丈夫だよ。気にしないで――」

 脇腹の傷は、まだアザになって残っている。
 首の噛み傷も未だ絆創膏で隠していた。

 そうして忌まわしいあの記憶を思い出さないようにしていた。
 なのに――


 ドクン……!


 それはいつも些細なきっかけで傷口を押し広げる。
 急激な不安がアキラの心を支配しだした。

(あ……だめ……来るな……!)

 堪えようとしても、ジワジワと込み上げてくる恐怖に震えが止まらない。
 苦しそうな息づかいと共に呼吸も乱れ出す。

 自由を奪われ、ただ苦痛と絶望を強いられたあの時間……
 アキラの中でその辛い記憶が蘇ってきていた。

「アキラ、大丈夫か……?」

 ユウトはアキラの肩に手を置いて、その顔を覗き込んだ。

「や……っ、さ、触るな!」

 その時、アキラはユウトとは違う何かを見て怯えていた。
 見えない何かから逃れようと、ユウトの手を懸命に振り払う。

「お、おい、アキラ」

「あ、ああ……やだ、ユウト……ユウト助けて!」

 逃れようとしている相手に向かって助けを求めるという、奇妙な構図となっていた。
 いつものフラッシュバックという恐れていた現象。

 危険だった。
 このままではまたアキラは『男』に――
 今戻ってしまえば、自分たちの決意はきっと無駄になってしまう。

「だめだ!」

 ユウトは力ずくで、半ば強引にアキラをその腕の中へと連れ戻した。
 逃れようともがくアキラを抱きすくめると、極力穏やかな声で語り掛ける。

「アキラよく見てみろ。大丈夫、俺はお前の目の前にいるから」

「え……あ」

 抵抗の力が弱まり、ようやくアキラはユウトの目を捉えた。

「俺が分かるか、アキラ」

「ユ、ユウ……ト? ユウト……!」

 ユウトの声で我に返ると、アキラは夢中でその腕にすがった。 
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