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暴露

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 ◇◆◇


 父親との思い出にふける中、ユウトはふとある場所を思い出した。
 自分とアキラにとっての、大切な思い出の場所。
 あそこなら、誰の何の邪魔も入らない筈だった。

(けど、あそこをそういうことに使っていいのかって思うと、正直ちょっと抵抗があるかな……それ以前に、入れて貰えない可能性だってあるし)


 桜の巨樹が守る二人の秘密基地。
 あの樹が『女』のアキラを受け入れてくれるかどうか、それが問題だった。

 しかも、ここからは少し距離がある。
 アキラを連れ出すにはまだ無理があった。
 今はただ、アキラの回復を待つしか無い。

 とにかく野次馬根性旺盛の人たちが集う、この場所でだけは絶対に嫌だ。
 ユウトはそう強く思わずにはいられなかった。


(それまで、俺はこの環境に晒される訳か……正直、メンタルが保つかどうかだよなあ――)

 ふっと遠い目をする。
 色んな意味で、ユウトは不安を隠せないでいた。


 ガタァーン!


 突然アキラの部屋から大きな物音が聞こえてきた。
 ユウトが慌てて部屋へ戻ると、床の上にアキラが倒れている。

「おい! 何やってんだよ、大丈夫か?」

「ご、ごめんユウト。ちょっと荷物が取りたかっただけなんだけど」

「無理すんなよ、呼んでくれたら俺が取ってやるのに」

「でも、正直自分がここまで動けないとは思ってなくて……」

 しゅんとした顔をして、アキラは改めてショックを受けているようだった。
 こんなに身体の自由が効かなくなったのは、恐らく初めてのことなのだろうから。

「ほら、ベッドに戻してやるから掴まれ」

「え! う、うん、ありがと……」

 ユウトは慣れた動作でアキラを抱きかかえるが、アキラの方は未だお姫様抱っこには抵抗があるようで、照れが抜けない。

「で、何を取ろうとしてたんだ?」

「チビが遊びに来てくれたから、ボールを貸してあげようと思って」

 見ると、ユウトの足下でチビがちょこんと座ってこちらを見上げていた。 
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