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告白
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「お、おいちょっと……くっつきすぎだって」
「何で? 別にいいじゃん。昔はよく寒い時、二人でこうしてたよ?」
「子供の頃の話だろ。それに……」
あの頃はお互いに小さな男の子だった。
今のアキラは子供どころが『男』ですらない。
しかも、今の自分は『女』であるアキラを――
(ああもう! 人の気も知らないでこいつは……)
自分に寄りかかるアキラの長い髪が、風でふわりと揺れた。
触れている肌は温かくて柔らかくて、とても心地が良い。
ずっとこの温もりに触れていられたら……
そんな想いに駆られども、全てはアキラの気持ち次第だ。
ユウトはアキラから目を逸らすと、意を決して重い口を開いた。
「お前さ、『女』は面倒だとか言ってたけど、戻れるなら『男』に戻りたいとか……そう思ってる?」
「え……? ああ、んー……」
そう言ったきり、アキラはなかなか口を開こうとしない。
内心で少し焦りを感じながら、ユウトはアキラの声を静かに待った。
「わかんない……」
アキラはぽつりとそう呟いた。
「正直、いくら考えてもよく分からないんだよね。自分がどうしたいのか、そもそも自分がどうして『女』になっちゃったのかも。本当に、何にも分からない」
「……そっか」
教授は、アキラが『女』になった理由に、自分が絡んでいるのではないのかと言っていた。
それが本当なら嬉しいけれど、ただの自惚れだとしたら……
そう思うとなかなか聞きづらいものがあったが、ユウトは思い切って聞いてみた。
「なあ……お前俺のこと……好き?」
「え? うん、好きだよ。何で?」
あっさりと答える。
ユウトは少し拍子抜けした。
「そ、そんな簡単に……す、好きにもいろいろあるだろ? いつから? どういう風に好きな訳?」
「好きなのはずっと前からだけど、どういう風にって言われても好きは好きとしか……」
「それって小さい頃からってことか? じゃあ『女』になってからもずっと同じ『好き』なのか? 恋愛感情とか、そういうのはどうなんだ?」
「え、恋愛感情って、オレが? ユウトに?」
……無いのかよ……と少々落胆しながらも、ユウトは止まらない。
「だいたい、俺にキスされて何にも思わなかったのか?」
「そ、それは」
矢継ぎ早な質問に、アキラはたじろいでしまった。
「何で? 別にいいじゃん。昔はよく寒い時、二人でこうしてたよ?」
「子供の頃の話だろ。それに……」
あの頃はお互いに小さな男の子だった。
今のアキラは子供どころが『男』ですらない。
しかも、今の自分は『女』であるアキラを――
(ああもう! 人の気も知らないでこいつは……)
自分に寄りかかるアキラの長い髪が、風でふわりと揺れた。
触れている肌は温かくて柔らかくて、とても心地が良い。
ずっとこの温もりに触れていられたら……
そんな想いに駆られども、全てはアキラの気持ち次第だ。
ユウトはアキラから目を逸らすと、意を決して重い口を開いた。
「お前さ、『女』は面倒だとか言ってたけど、戻れるなら『男』に戻りたいとか……そう思ってる?」
「え……? ああ、んー……」
そう言ったきり、アキラはなかなか口を開こうとしない。
内心で少し焦りを感じながら、ユウトはアキラの声を静かに待った。
「わかんない……」
アキラはぽつりとそう呟いた。
「正直、いくら考えてもよく分からないんだよね。自分がどうしたいのか、そもそも自分がどうして『女』になっちゃったのかも。本当に、何にも分からない」
「……そっか」
教授は、アキラが『女』になった理由に、自分が絡んでいるのではないのかと言っていた。
それが本当なら嬉しいけれど、ただの自惚れだとしたら……
そう思うとなかなか聞きづらいものがあったが、ユウトは思い切って聞いてみた。
「なあ……お前俺のこと……好き?」
「え? うん、好きだよ。何で?」
あっさりと答える。
ユウトは少し拍子抜けした。
「そ、そんな簡単に……す、好きにもいろいろあるだろ? いつから? どういう風に好きな訳?」
「好きなのはずっと前からだけど、どういう風にって言われても好きは好きとしか……」
「それって小さい頃からってことか? じゃあ『女』になってからもずっと同じ『好き』なのか? 恋愛感情とか、そういうのはどうなんだ?」
「え、恋愛感情って、オレが? ユウトに?」
……無いのかよ……と少々落胆しながらも、ユウトは止まらない。
「だいたい、俺にキスされて何にも思わなかったのか?」
「そ、それは」
矢継ぎ早な質問に、アキラはたじろいでしまった。
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