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変化
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◇◆◇
薬が効いたのか、少し経つとアキラの表情は穏やかになり、顔色も良くなり始めた。
紫色だった唇にも赤みが差して来ている。
そんな中、ユウトはアキラの顔を見ることができずにいた。
見てはいけない気がした。
(だめだ、やっぱりやめとけば良かった……)
どうしてだか分からない。
今まではこんなこと、一度だって無かったのに。
(何で、よりにもよってアキラ相手にこんな)
でも……もう一度触れたい、あの唇に。
いてもたってもいられない、どうしようもない衝動に駆られる。
しばらくの間、一人悶々と葛藤を続けていたが--
(……っ、ごめんアキラ! 一回……もう一回だけ!)
割とあっさり理性が負けた。
アキラを覗き込むようにして、ユウトは静かに顔を近付けていく。
最後まで躊躇しながら、そっと軽く唇を重ねてみた。
さっきは冷たかった唇からぬくもりが伝わってくる。
何とも言えない心地よさが、ユウトの理性を占拠していった。
(やっぱりだめだ……なんだろう、この甘くてとろけそうな感触は――)
一度だけと言いながら、疑問を確かめるように二度、三度と口づけを交わす。
(何やってんだ、俺は。早くやめないとアキラが――)
頭では分かっている。
けれど、自分にそう言い聞かせるもどうにも止められない。
その内に、ぴくり、アキラが小さく反応を見せた。
「……!」
「ん……? んー、ユウトぉ……?」
目の前にある魅惑の唇からぼんやりと言葉が発せられ、ユウトの熱はさあっと急降下した。
「い、いや、これはそのっ! どど、どうもすみませんっ!!」
思い切り動揺した挙げ句の、思わず土下座。
先程の比では無いくらいのものすごい勢いで、ユウトはアキラから飛び退いていた。
心臓をバクバクとさせながら、しどろもどろの言い訳をしようとしたが――
すうすうと、アキラから静かな寝息が聞こえてくる。
(え、寝てる?)
もう一度そろそろと近付いて、ユウトはアキラを観察した。
どうやら先程のは寝言を言っただけのようだ。
「マジかよ……」
よろりと腰が抜けたように尻もちをつき、そしてぽつりと呟いた。
「この先大丈夫なのか……俺……?」
薬が効いたのか、少し経つとアキラの表情は穏やかになり、顔色も良くなり始めた。
紫色だった唇にも赤みが差して来ている。
そんな中、ユウトはアキラの顔を見ることができずにいた。
見てはいけない気がした。
(だめだ、やっぱりやめとけば良かった……)
どうしてだか分からない。
今まではこんなこと、一度だって無かったのに。
(何で、よりにもよってアキラ相手にこんな)
でも……もう一度触れたい、あの唇に。
いてもたってもいられない、どうしようもない衝動に駆られる。
しばらくの間、一人悶々と葛藤を続けていたが--
(……っ、ごめんアキラ! 一回……もう一回だけ!)
割とあっさり理性が負けた。
アキラを覗き込むようにして、ユウトは静かに顔を近付けていく。
最後まで躊躇しながら、そっと軽く唇を重ねてみた。
さっきは冷たかった唇からぬくもりが伝わってくる。
何とも言えない心地よさが、ユウトの理性を占拠していった。
(やっぱりだめだ……なんだろう、この甘くてとろけそうな感触は――)
一度だけと言いながら、疑問を確かめるように二度、三度と口づけを交わす。
(何やってんだ、俺は。早くやめないとアキラが――)
頭では分かっている。
けれど、自分にそう言い聞かせるもどうにも止められない。
その内に、ぴくり、アキラが小さく反応を見せた。
「……!」
「ん……? んー、ユウトぉ……?」
目の前にある魅惑の唇からぼんやりと言葉が発せられ、ユウトの熱はさあっと急降下した。
「い、いや、これはそのっ! どど、どうもすみませんっ!!」
思い切り動揺した挙げ句の、思わず土下座。
先程の比では無いくらいのものすごい勢いで、ユウトはアキラから飛び退いていた。
心臓をバクバクとさせながら、しどろもどろの言い訳をしようとしたが――
すうすうと、アキラから静かな寝息が聞こえてくる。
(え、寝てる?)
もう一度そろそろと近付いて、ユウトはアキラを観察した。
どうやら先程のは寝言を言っただけのようだ。
「マジかよ……」
よろりと腰が抜けたように尻もちをつき、そしてぽつりと呟いた。
「この先大丈夫なのか……俺……?」
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