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第六章
79:全てが終わった場所で
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「……やったぜ」
カレジャスがそう言うと同時に、魔王の体が崩れ出す。
強固な胴体も、太い手足もボロボロと崩壊し、消えていく。後には何も残らなかった。
「消失してしまうとは……意外だな!」
クリーガァは驚いている様子。
でもダームはそんなことどうでもよかった。
「終わったんだね」
戦いが、今、終わった。
非常に呆気ないようにも思えたが、とてもとても長かったようにも感じられる。
安堵に目が潤んだ。
「皆さん、ご無事で何よりです」
「僧侶くん。ありがとう、祈っててくれたおかげであたしたち勝てたよ」
「いえいえ、ダーム殿やカレジャス殿、クリーガァ殿の奮闘あってのことですよ」
そんなことを言い合いながら、皆で無事を喜ぶ。
しかし物語はこれで終了ではないようだ。
「とりあえず帝城に戻り、魔王の打倒を伝えなければならない! そして褒美をもらおうではないか!」
「えっ、ご褒美?」
ダームの胸が高鳴る。そういえば帝国の城へ行ったことがないのを思い出した。
どんなところなのだろう? 途端にワクワクが止まらなくなった。
「そうだな。それじゃ、そろそろ戻るとするか。こんな悪魔臭い場所に長居しても仕方ねえ」
「そうですね。まず、魔王城を脱出しましょう」
* * * * * * * * * * * * * * *
大穴を風の魔法で飛び上がり、一行は難なく地上へ帰ることができた。
逆に魔法がなければどうやって戻るつもりだったのだろう? と勇者への疑問は尽きないが、それは置いておく。
向かうは帝国の帝城。
馬車は大穴に背を向け、静かに走り出した。
カレジャスがそう言うと同時に、魔王の体が崩れ出す。
強固な胴体も、太い手足もボロボロと崩壊し、消えていく。後には何も残らなかった。
「消失してしまうとは……意外だな!」
クリーガァは驚いている様子。
でもダームはそんなことどうでもよかった。
「終わったんだね」
戦いが、今、終わった。
非常に呆気ないようにも思えたが、とてもとても長かったようにも感じられる。
安堵に目が潤んだ。
「皆さん、ご無事で何よりです」
「僧侶くん。ありがとう、祈っててくれたおかげであたしたち勝てたよ」
「いえいえ、ダーム殿やカレジャス殿、クリーガァ殿の奮闘あってのことですよ」
そんなことを言い合いながら、皆で無事を喜ぶ。
しかし物語はこれで終了ではないようだ。
「とりあえず帝城に戻り、魔王の打倒を伝えなければならない! そして褒美をもらおうではないか!」
「えっ、ご褒美?」
ダームの胸が高鳴る。そういえば帝国の城へ行ったことがないのを思い出した。
どんなところなのだろう? 途端にワクワクが止まらなくなった。
「そうだな。それじゃ、そろそろ戻るとするか。こんな悪魔臭い場所に長居しても仕方ねえ」
「そうですね。まず、魔王城を脱出しましょう」
* * * * * * * * * * * * * * *
大穴を風の魔法で飛び上がり、一行は難なく地上へ帰ることができた。
逆に魔法がなければどうやって戻るつもりだったのだろう? と勇者への疑問は尽きないが、それは置いておく。
向かうは帝国の帝城。
馬車は大穴に背を向け、静かに走り出した。
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