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第五章
54:守り人の挑戦状② 守り人を倒せ
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「二番目の試練の条件、それはエペを倒すことだ。どんな手を使っても構わない。一人が前に出てエペを打ち倒せ。複数人の攻撃は失格と見做し、試練を受ける権利を失う」
剣の守り人を倒せとの試練。
彼女がどれほどの実力かはわからないが、一対一という条件がかなり厳しい。今まで全員で攻撃するスタイルだったため、そういうのに慣れていないのだ。
こういう時に一番役立ちそうなクリーガァは治りつつあるとはいえ傷の治療中だし、メンヒは元々専門外のためカレジャスとダームのどちらかだった。
「俺がやる」
「あたしがやるよ」
二人はそう言って同時に手を上げていた。
直後、互いの視線がぶつかる。
「お前は引っ込んでろ。俺に任せとけ」
「いや。あたし、ちょうど体力も元通りになったし、勇者様はさっき頑張ってくれたんだもん。あたしにやらせて」
強引に勇者を押し切った彼女は、まっすぐに天へと手を上げた。
「守り人さん、あたしがあなたを打ち倒す」
「ほぅ。それは面白い。剣も持たぬ魔法使いが、エペに勝てると?」
銀髪美女の赤い眼光を受け、魔法使いは頷く。
「もちろん。魔法使いだから、だよ」
カレジャスと違ってダームは、剣も持っていなければ盾もなし、兜の影もなく鎧も着ていない。
そんな軽装備で、剣に真っ向勝負を仕掛けるのは無理だった。だから、真っ向勝負にするつもりはない。
「勇者様、ちゃんと下がってて。ちょっと派手にやるから」
「っち。わかったよ」
舌打ちしつつ、カレジャスが後へ。
これで気兼ねなく戦える。そう思い、ダームは大きく息を吸った。
「準備はいい?」
「では、始めるとしよう」
エペが剣を構え、飛びかかってくる。
それと同時にダームは叫んでいた。
「『ファイアーΩ』!」
剣の守り人を倒せとの試練。
彼女がどれほどの実力かはわからないが、一対一という条件がかなり厳しい。今まで全員で攻撃するスタイルだったため、そういうのに慣れていないのだ。
こういう時に一番役立ちそうなクリーガァは治りつつあるとはいえ傷の治療中だし、メンヒは元々専門外のためカレジャスとダームのどちらかだった。
「俺がやる」
「あたしがやるよ」
二人はそう言って同時に手を上げていた。
直後、互いの視線がぶつかる。
「お前は引っ込んでろ。俺に任せとけ」
「いや。あたし、ちょうど体力も元通りになったし、勇者様はさっき頑張ってくれたんだもん。あたしにやらせて」
強引に勇者を押し切った彼女は、まっすぐに天へと手を上げた。
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「ほぅ。それは面白い。剣も持たぬ魔法使いが、エペに勝てると?」
銀髪美女の赤い眼光を受け、魔法使いは頷く。
「もちろん。魔法使いだから、だよ」
カレジャスと違ってダームは、剣も持っていなければ盾もなし、兜の影もなく鎧も着ていない。
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「っち。わかったよ」
舌打ちしつつ、カレジャスが後へ。
これで気兼ねなく戦える。そう思い、ダームは大きく息を吸った。
「準備はいい?」
「では、始めるとしよう」
エペが剣を構え、飛びかかってくる。
それと同時にダームは叫んでいた。
「『ファイアーΩ』!」
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