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第四章
45:因果応報
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『復讐大作戦』は見事なまでに成功を収めた。
その後、王子は衛兵に捕らえられ一旦地下牢へ。散々に尋問を受けた後、たくさんの罪に問われて国外追放の刑を受けた。
因果応報。そんな言葉がある。
これはまさにそれだった。人を陥れ騙し、その上に幾多の殺人を犯した罪は重い。
彼は国外のどこかで、苦しみに喘ぎながら死んでいくのがお似合いだ。
お詫びとして、伝説の鎧までゲット。これにはカレジャスと一緒に大喜びした。
「ダーム、ありがとうな。お前がいなけりゃこれは手に入らなかったぜ」
「どういたしまして。勇者様が喜んでくれるとあたしもやり甲斐があるってものだよ」
もちろん、復讐が鎧の取り引きに役立つとは思ってもいなかったのだが。
風が吹けば桶屋が儲かるというような感じだろう。
そしておまけに、ダームは晴れて公爵令嬢の地位を取り戻した。
急いで屋敷に戻ると両親が待ってくれていて、ダームは思い切り抱きしめられた。
「ダーム。ダーム……。ごめんね、私たちが騙されてしまったせいで辛い目に遭わせて」
「いいんだよ母様、父様。あたしはまた帰って来れたことだけで満足なんだから」
思う存分再会の時を心ゆくまで分かち合う。
それはそれは贅沢で、もう得られないと思っていた幸せがこの手に戻ってきたような感覚だ。ダームはそれはもう嬉しくて嬉しくて仕方なかった。
* * * * * * * * * * * * * * *
「ダーム。またこの屋敷で一緒に暮らしましょう」
ひとしきりはしゃいだ後、母親にそう言われた。
もちろんその誘いは喜ばしい。だが、
「ごめん母様。あたし、もう少し勇者様の旅に付き合うよ」
「どうして?」と問われ、ダームは決心を伝える。
「あたしね、勇者様のお手伝いがしたいの。でも大丈夫、絶対に戻ってくるから」
反発がなかったわけではないが、結局父も母も旅の同行を許してくれた。
手を振り、別れを告げる。
「またね、バイバイ!」
公爵邸を旅立ち、馬車がカラカラと音を立てて石畳を駆け出した。
二度目の旅に出る。そんな気分だった。
その後、王子は衛兵に捕らえられ一旦地下牢へ。散々に尋問を受けた後、たくさんの罪に問われて国外追放の刑を受けた。
因果応報。そんな言葉がある。
これはまさにそれだった。人を陥れ騙し、その上に幾多の殺人を犯した罪は重い。
彼は国外のどこかで、苦しみに喘ぎながら死んでいくのがお似合いだ。
お詫びとして、伝説の鎧までゲット。これにはカレジャスと一緒に大喜びした。
「ダーム、ありがとうな。お前がいなけりゃこれは手に入らなかったぜ」
「どういたしまして。勇者様が喜んでくれるとあたしもやり甲斐があるってものだよ」
もちろん、復讐が鎧の取り引きに役立つとは思ってもいなかったのだが。
風が吹けば桶屋が儲かるというような感じだろう。
そしておまけに、ダームは晴れて公爵令嬢の地位を取り戻した。
急いで屋敷に戻ると両親が待ってくれていて、ダームは思い切り抱きしめられた。
「ダーム。ダーム……。ごめんね、私たちが騙されてしまったせいで辛い目に遭わせて」
「いいんだよ母様、父様。あたしはまた帰って来れたことだけで満足なんだから」
思う存分再会の時を心ゆくまで分かち合う。
それはそれは贅沢で、もう得られないと思っていた幸せがこの手に戻ってきたような感覚だ。ダームはそれはもう嬉しくて嬉しくて仕方なかった。
* * * * * * * * * * * * * * *
「ダーム。またこの屋敷で一緒に暮らしましょう」
ひとしきりはしゃいだ後、母親にそう言われた。
もちろんその誘いは喜ばしい。だが、
「ごめん母様。あたし、もう少し勇者様の旅に付き合うよ」
「どうして?」と問われ、ダームは決心を伝える。
「あたしね、勇者様のお手伝いがしたいの。でも大丈夫、絶対に戻ってくるから」
反発がなかったわけではないが、結局父も母も旅の同行を許してくれた。
手を振り、別れを告げる。
「またね、バイバイ!」
公爵邸を旅立ち、馬車がカラカラと音を立てて石畳を駆け出した。
二度目の旅に出る。そんな気分だった。
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