知的メガネになりたいアホの子王子様と、メイドの私の話

「モテたい」
「はぁ」
「自慢じゃないが僕は顔はすっっごくいいはずなのに、頭のいい奴ばかりがモテる。おかしいだろう」
「それはただの嫉妬では?」

私のご主人様、ジークハルト殿下は生粋のアホである。
超絶美形だし優しいし、決して悪い人ではないのだ。ただ、為政者に向かないどころか貴族の名前一つ覚えられない、王族にあるまじきアホなだけで。

複数あった縁談も、顔合わせを行った時点で全て断られてしまって、婚約者がいない。

「よし決めた、僕は知的メガネを目指す!」
「……さようでございますか」

メガネをかけてもアホはアホなままだろうけれど、メイドの私はジークハルト殿下の思いつきに付き合って差し上げる。
知的メガネになんてならなくても、もう充分に素敵なのに――なんて思いながら。

※小説家になろうに重複投稿しています。
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