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4-20最終話

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エピローグ

「……あの、このまま寝てもいいですか?」
「いいよ。寒くないか?」
「ぎゅうして……」
 篠崎は力強いハグをくれた。
「温かい……」
 大好きだ。やはりこの人と繋がれてよかった。
「諒、身体は痛くないか」
「……腰が……けど、大丈夫です」
 篠崎は何も言わなかったけれど、背にあった手を腰に回してくれた。じんわりと温かくなる。それだけで痛みが和らぐ気がした。
「仕事、辞めてくれてありがとう」
「いえ、むしろ僕お荷物になっちゃいますけど……」
 送別会は先週末にあった。少しでも早く、とぴったり一か月で退職日を決めたら平日になってしまったからだ。
 飲み会なんて篠崎は嫌がるかなと思ったけれど、送り迎えをするよと言って優しく送り出してくれた。
 大学を出てからずっと勤めていた会社。それほど長くはなかったけれど、部下もできてとても楽しかった。飲んでいるときは少し寂しくなったりもしたけれど、いざこうして最終日を終えて退職の花束を貰って帰宅し篠崎の体温に触れると、やはり自分の居場所はここなのだと思えた。
「荷物なわけないだろう。そんなこと言わないでくれ」
「だって、」
「だって、じゃない。あぁ、そうだ、俺は当分仕事はしない」
「え?」
 安西が退職してすぐのニート発言……なのだろうか。それでも構わないけれど。篠崎が仕事をしたくなくなったのなら安西が再就職すればいいだけの話だ。
「しばらく諒くんとの時間を過ごす。確かに多少やらなきゃならないことはあるが、今までみたいに朝から晩まで書斎にこもることはしないよ」
「……じゃあ、ずっと一緒?」
「もちろん。ずっとこうしてベッドにいよう」
「えっちだけ?」
「まさか! セックスしなくたってこうして諒くんを抱きしめていたいんだよ」
「……ちょっと嘘っぽいですけど」
「本当だ。あぁだがまた京都に行くのもいいな。だが他にも色々いいところがあるんだろう」
「えぇ……一緒に行きたいところはたくさんありますが、やっぱり僕もしばらくはこうして篠崎の腕の中にいたいです」
 初めてセックスしたあの日から、自分の中で何かが吹っ切れたような気がした。それまではたまに、本当に自分でいいのだろうか、と思うこともあったりもしたけれど、今はこうして堂々と篠崎の愛を信じて受け入れることができている。
「篠崎、大好きです」
「……諒くん、違うだろう」
「……恭介さん、愛してます」
 篠崎は満足そうに笑うと「いいこ」と額にキスをしてくれた。


―了―
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