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「……乳首……もっとして……」
「乳首だけ?」
 篠崎はまだ額を擦りつけている。可愛いと思ってしまう。
「やっ……お尻……動いてほしい……あと、おちんちんも……」
 欲張りすぎだと自分でも思う。でも篠崎が全部言えって言ったから。だから。
「いいこだ」
「っ!」
 顔を上げた篠崎の口角はにやりと上がっていた。ずるい。騙された。甘えるふりだったのか。
「えっちな諒くんも可愛いな。最高だ」
「やっ……」
 えっちな、なんて。教えたのは篠崎なのに。
「乳首と、おちんちんと、アナルだな」
「やっ!」
 わざわざ言わないでほしい。もうこのまま布団に潜り込みたいくらい恥ずかしいのに。
「諒。虐められたいんだろう?」
「え……?」
「虐められたいって言ったのは諒だろう」
「あ……」
 確かに言った。
「だってっ……篠崎が好きな人は虐めたくなるってっ」
「あぁ、言ったよ。けれどそれだけか?」
 篠崎はまた意地悪な顔を見せた。普段は決してしない顔。
「諒くん、虐められてみたいと自分から思っているだろう」
「やっ!!」
 なんでっ。なんで知っているのだろう。
「あぁ……やはり可愛いな。ほら、おちんちんがつらいだろう」
「あっ!」
 言葉で虐めるのは終わったのだろうか。でも今度は快感を待つおちんちんをぎゅっと握られた。痛くはないけれど圧迫感が苦しい。
「あぁ、でもこれだとおちんちんか乳首しか弄ってやれそうにないな。どっちがいいかな」
 そう言って、そのまま手は離れてしまった。寂しい。足りない。もう一度握って、今度は手を動かしてほしい。
「ほら」
 急かすように腰を振られた。でも一度だけ。
「っ……」
 そんな二択――そんなの篠崎が決めてくれたらいいのに。
「あぁ、腰を動かさなければ乳首を舐めながらおちんちんを扱いてあげられるよ」
「やっ……やだ、動いてほしいっ……」
 それがないのは嫌だ。だって腰を動かさないと篠崎は気持ち良くなれない。
「……こうかな?」
 力強い両手が安西の細い腰を掴む。そして内部を擦る熱。
「ああああっ!」
 なんで。さっきはあんなに痛かったのに。なのに今はすごく気持ちいい。篠崎のおちんちんが中のどこかを擦る度にぞわりとした快感が駆け上がる。
「ほら、ここ。諒くんの前立腺だよ」
「やっ、あっ、あっ!」
 気持ちいい。篠崎が腰を動かす度に強い快感が襲う。
「すごいな。諒くんは本当に気持ち良くなるのが上手だ」
「えっ? あっ、ああっ!」
 どうして話しながら腰が振れるのだろう。器用。ずるい。気持ちいい。あぁでもやっぱりおちんちんを一緒に弄ってほしい。
「初めてで中で気持ち良くなれるなんて才能だよ」
「えっ、ぁぁんっ、あっ」
 すごく気持ちいい。なのにこれは普通のことじゃないのだろうか。自分が淫乱なのかと不安になる。なるのに、気持ち良くてどうでもいいとさえ思ってしまう。
「あぁ、ほら、早く答えないと射精してしまうよ」
「えっ、何ッ、あっ」
 安西が感じているのが分かっているからか、最初は控えめだった動きがどんどん早くなっていく。気持ちいい。でもやはりそれだけで絶頂には至れそうにない。
「やあっ! 篠崎ッ、おちんちんっ」
「乳首はいいのか?」
 声が楽しそうだ。けれどそれに怒る余裕もない。
「いいっ! いいからあっ!」
 必死に言った。だってもうイきたくてイきたくて。
 篠崎を見上げるとすごく――雄の顔をしていた。
「あっ!」
「諒?」
「やっ、見ないでっ」
 篠崎の顔に感じてしまう。その目に捕食者の色が滲んでいる。食べられたい。食い尽くされたい。
「あっ、ああっ」
 腰の動きが早くなった。だめ、早くおちんちんを弄ってほしい。
「諒」
「やっ」
 ちゃんとお願いしたのに篠崎はおちんちんに触れてくれない。触れてくれないのに、腰から離れた手が顎を掴んでくる。そして強引に視線が合わせられる。
「諒、可愛い。どうして見ないでほしいんだ」
「やあっ! だめっ、見たくないっ」
「諒?」
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