篠崎×安西（旧カルーアミルク２）(R-18)

3-21

　ぽーっとしながら篠崎を見る。けれど篠崎は優しい微笑を湛えていた。余裕。経験の差。けれどそれでも良かった。だって篠崎の顔には慈しみしか感じなかったから。
「大丈夫か」
「だから、大丈夫ですって……」
　そんなに心配してくれることないのに。大丈夫ってもう伝えたのに。
「あぁ、違うよ。そうじゃない。息苦しそうだから」
　そう言って篠崎が微笑んだ。嬉しそう。だからこそ恥ずかしい。篠崎には息の乱れすらないのに自分ばかり息が上がっている。体温だって、動悸だって。
「……大丈夫です」
　少し拗ねたように言えば、篠崎はまた笑った。
「大丈夫なら、再開してくれるか」
「え？」
　キスを自分からしろということだろうか、と篠崎を見ると今度は苦笑された。
「まぁ、弄られなくても萎えそうにはないが」
　その言葉でペニスを扱く手が止まってしまっていたことに気付いた。自分のおちんちんを撫でてもらっていることは分かっていたのに、自分がすることは忘れてしまっていた。
「ごめんなさいっ！」
「そういうところが可愛いんだよな」
「え？」
「可愛い。俺のことなんて気にしなくていい。もっと感じているところを見せてくれ」
　おちんちんから篠崎の手が離れ、両手が背中に回される。そしてゆっくりとベッドに寝かされた。
「ぁ……篠崎……」
「もう大丈夫だと言っていたが、初めてはみんな怖いし緊張するものだ。過去のこととは関係なく、怖いと思ったら言ってくれ」
「……はい。よろしくお願いします」
　近付いてきた顔。キスだ、ともう分かる。目を閉じると濡れた唇が触れた。
「ん……」
　篠崎の手がわき腹を撫でる。その手はおちんちんに向かうかと思っていたのに、ゆっくりと肌を撫でながら上がってきた。そして胸に触れた。
「ん……」
　唇は塞がれ、尖らせた舌先が安西の舌先を撫でている。声は出せず、鼻から恥ずかしい声が漏れる。
「ンン……っ！」
　篠崎の指が乳頭に触れた。恥ずかしい。男なのに、気持ちいい。
「諒は乳首が好きだな」
「……え？」
「前も乳首で感じていた」
　そうだっただろうか。そんなことあっただろうか。
「初めてこういうことをしたとき、少し指が乳首に当たっただけで身体が跳ねていたよ」
「や、そんな……」
　恥ずかしい。篠崎はそんな小さなことまで覚えていたなんて。
「諒はあのときすごく緊張していたからな。覚えていなくてもしかたないよ」
「けど……」
　篠崎がしてくれたことを忘れてしまっていた。
「大丈夫。そのときは本当に掠めただけだったんだ。それだけなのに可愛い反応をしてくれたから俺も覚えていただけだ」
　篠崎はそう言って子供にするみたいに額にキスをくれた。
「それに、正直に言えばあのときは俺も緊張していたからな。細かいことは覚えていない」
　嘘だ、これは安西を守るための嘘だ。きっと篠崎はしっかりと覚えている。けれど篠崎だって緊張するし、忘れてしまうこともあるから大丈夫だと安心させようとしてくれているのだ。
「……はい……でも、僕忘れたくない」
「忘れてもいいんだ。これから何度でもするんだから」
「あ……」
「そうだろう？」
　篠崎が額を合わせて見つめてくる。すごく近い。この距離になるとき、いつもならキスをしているから目は閉じている。それなのに目を合わされて視線を外せない。逃げられない。