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第九章 冒険編 蘇る英雄達

鑑定

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 気が付くと真緒達は、レーチェル山に戻って来ていた。更に戦いで受けたダメージなどは、一切残っていなかった。



 「私達、無事に戻って来れたんですね……」



 「今でも信じられません。まさかあの魔王サタニアに勝ってしまうだなんて……」



 「まぁ、勝ったと言っても所詮は虚像。本物の足下にも及ばないだろうな」



 勝利の余韻に浸っている真緒達に対して、辛辣なコメントをするシーラ。



 勿論、そんな事は百も承知。だが、そうハッキリと言われてしまうと、さすがの真緒達も落ち込んでしまう。



 「お前な……もう少しオブラートに包めないのか。直球過ぎるぞ」



 「言葉を濁しても何にもならん。それに、虚像に勝てたからと慢心して、本物に負けてしまっては、話にならない」



 「そうかもしれないが、もっと言い方って物が……」



 「いいんですよフォルスさん。シーラさんの言う通り、私少し調子に乗り掛けていました」



 シーラの言葉を聞き、反省した真緒。フォルスは「マオがそれで良いなら……」と、それ以上の口は挟まなかった。



 「所でさ。私達って、具体的にどれ位強くなった訳?」



 「確かに……」



 「それなら私に任せて下さい!!」



 そう言いながら、真緒が自信満々に名乗りを上げる。



 「そう言えば、真緒は“鑑定”のスキルがあったんだな。それじゃあ頼む」



 「分かりました!! えーと、まず最初は……ハナちゃんからね」



 「緊張ずるだぁ……」



 「思えばマオの“鑑定”を見るの、凄く久し振りな気がするな」



 「いつも戦いに夢中で、いちいち“鑑定”する暇がありませんでしたからね」



 などと懐かしんでいる中、胸を高鳴らせながら、真緒の前に歩み出るハナコ。



 「行くよ……スキル“鑑定”!!」









 ハナコ Lv60       ハナコ Lv85

種族 熊人         種族 熊人

年齢 16          年齢 17

性別 女          性別 女

職業 拳闘士        職業 拳闘士

          ⇒

HP 860/860        HP 1450/1450

MP 0/0          MP 0/0



STR 1500         STR 1980

DEX 250          DEX 300

VIT 1050         VIT 1200

AGI 100          AGI 130

INT 0           INT 0

MND 185          MND 200

LUK 130          LUK 145



スキル

熊の一撃 インパクト・ベア 鋼鉄化 “NEW”獣王の一撃



魔法

なし



称号

破壊者 大食い “NEW”獣の頂点







 「こんな感じかな?」



 「おぉー!! 強ぐなっでいるだぁ!!」



 「凄いな。ハナコは魔力が無いせいで、修行に参加出来なかったから、そこまで強くなっていないと思っていたが……」



 「良い意味で予想を裏切ったな」



 「やったね、ハナちゃん!!」



 「嬉じいだぁ!!」



 「次!! 私、お願いします!!」



 ハナコの劇的な強さの変化に触発され、リーマも早く自分の成長を知りたがっていた。



 「了解、次はリーマだね。準備は良い?」



 「はい、いつでも大丈夫です!!」



 ワクワクしながら期待に胸を膨らませるリーマに、真緒はスキル“鑑定”を発動させる。







リーマ Lv40         リーマ Lv70

種族 人間          種族 人間

年齢 15           年齢 16

性別 女           性別 女

職業 魔法使い        職業 魔法使い

          ⇒

HP 350/350         HP 540/540

MP 750/750         MP 1050/1050



STR 35           STR 50

DEX 200           DEX 270

VIT 100           VIT 135

AGI 200           AGI 225

INT 650           INT 735

MND 310           MND 380

LUK 150           LUK 165



スキル

なし



魔法

音魔法 改変魔法 “NEW” 火属性魔法ジャイアントフレイムのみ



称号

なし



所持品

アーメイデの魔導書







 「やった!! やりました!!」



 納得のいく結果に跳び跳ねる程、喜ぶリーマ。



 「良かったね、リーマ」



 「これも皆さんのお陰です。ありがとうございます!!」



 「何言ってるんだ。リーマが強くなったのは、リーマ自身が努力した結果なんだぞ。もっと自分を誇っていいんだ」



 「……はい!!」



 「さて、次は俺の番かな?」



 ハナコ、リーマと続き、次はフォルスの順番が回って来た。



 「はい、そう……「えー、次は私を調べてよ」……エレットさん?」



 「おい、横入りするな」



 「横入り? そもそも順番なんて決めてたっけ?」



 「まぁまぁ、二人とも落ち着いて下さい。二人同時に“鑑定”しますから」



 「ホントに? ありがとう!!」



 「というか、複数人が可能なら全員一度に調べた方が手っ取り早いんじゃないか?」



 「えっと、一人ずつの方が感動も大きいかなって……」



 「あっそ……あぁ、私は調べなくてもいいからな」



 皆が鑑定される中、シーラだけ断った。



 「えっ、何でですか?」



 「……いいだろう別に……」



 「?」



 何故か言葉を濁すシーラ。その様子に少し違和感を覚える真緒。



 「おい、何してるんだ? 早くしてくれ」



 「あ、はい!! 今すぐ!!」



 しかし、それは今考える事では無いと割り切り、フォルスとエレットの二人に“鑑定”を発動させる。







フォルス Lv50        フォルス Lv75

種族 鳥人          種族 鳥人

年齢 35           年齢 36

性別 男           性別 男

職業 アーチャー        職業 アーチャー

          ⇒

HP 400/400         HP 600/600

MP 200/200         MP 300/300



STR 105           STR 165

DEX 340           DEX 385

VIT 200           VIT 300

AGI 260           AGI 310

INT 145           INT 175

MND 260           MND 300

LUK 180           LUK 190



スキル

ロックオン 急所感知 



魔法

風属性魔法



称号

空の支配者







 エレット Lv48       エレット Lv63

種族 サキュバス       種族 サキュバス

年齢 秘密❤️         年齢 秘密❤️

性別 女           性別 女

職業 夢魔          職業 夢魔

          ⇒

HP 1200/1200        HP 1350/1350

MP 850/850         MP 980/980



STR 140           STR 160

DEX 300           DEX 320

VIT 240           VIT 280

AGI 1600          AGI 1850

INT 480           INT 515

MND 450           MND 485

LUK 100           LUK 120



スキル

誘惑



魔法

雷魔法



称号

男を手玉に取る女







 「きゃああああ!!! 嘘でしょ!? 私、こんなに強くなったの!?」



 「ふむ、まずまずだな」



 大袈裟に喜ぶエレットに対してクールなフォルス。だが、よく見るとフォルスも小さくガッツポーズをしているのが伺えた。



 「さてと……最後は私だね」



 皆に勇気付けられ、自分自身に自信が付いたが、それでもやはり本当に強くなったのか不安だった。真緒は深呼吸し、自分に“鑑定”を発動させる。







サトウ マオ Lv45       サトウ マオ Lv75

種族 人間          種族 人間

年齢 17           年齢 18

性別 女           性別 女

職業 目覚めし勇者      職業 目覚めし勇者

           ⇒

HP 1500/1500       HP 2500/2500

MP 1030/1030       MP 1500/1500



STR 900          STR 1650

DEX 720          DEX 1000

VIT 680          VIT 850

AGI 860          AGI 980

INT 730          INT 950

MND 858          MND 1020

LUK 1000         LUK 1100



スキル

鑑定 ロストブレイク 過去への断罪 フィーリングストライク 乱激斬 “NEW” 明鏡止水 “NEW” グロースブレイク



魔法

光魔法 



称号

過去を克服せし者 







 「…………」



 「良かったな」



 「フォルスさん……」



 「マオさんなら当然の結果です」



 「リーマ……」



 「マオぢゃんも強ぐなれで良がっだだぁ」



 「ハナちゃん……」



 漸く実感を持つ事が出来た。数字は嘘を付かない。真緒は自分が強くなれたと認める事が出来た。



 「それで? これからどうする?」



 「一度、この山を降りよう。体も少し休ませたいからね」



 その意見には賛成だった。体は何処も傷付いてはいなかったが、精神的な疲労は感じていた。意見が一致した真緒達は山を降り、村へと戻るのであった。



























 その様子を遠くで見守る人影があった。草木に囲まれ、正確な顔までは判別する事は出来ない。



 「それでいい……突き進め。君達の冒険はまだまだこれからだ……ふふっ」



 その時、人影の背後に黒いローブを着た人物が現れる。何の前触れも無く、文字通り突然。



 しかし、人影は黒いローブが現れる事を知っていたのか。特に驚く素振りを見せなかった。



 「何、油売ってるんだ。行くぞ」



 「ごめんね。我が儘を聞いて貰って……」



 「全くだ。もっと自分の立場を自覚しろ。本来ならお前は、この世界に存在してはいけないんだぞ」



 「分かってるよ。けど、それは君も同じだよね」



 「っ!!!」



 「あはは、ごめん。ちょっと意地悪だったね……只、一目見ておきたかった。彼女達がどういう存在なのか」



 「それで? 感想は?」



 「うん、駄目だね。あれじゃあ、今の“エジタス”には絶対勝てないよ」



 「それを聞いて安心した。ほら、さっさと行くぞ」



 「……勿体無いな……本当に……」



 そう言うと人影と黒いローブは、森の奥へと姿を消すのであった。
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