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第九章 冒険編 蘇る英雄達
戦略的撤退
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「“フェニクス”だと!!?」
突如、真緒達の目の前に現れた謎の鳥人。その中でも唯一、同じ鳥人であるフォルスだけが驚きの表情を浮かべていた。
「知っているんですか?」
「俺達、鳥人族にとっては伝説の存在だ。でもまさか、実在するだなんて……」
目の前にいる事が、未だに信じられないフォルス。驚きのあまり、先程受けた傷の痛みなど忘れてしまう程であった。
「たった一本の矢で数千の軍を仕留めただとか、何週間も掛かる距離を物の数時間で渡り切っただとか、決して朽ちる事の無い永遠の肉体を持っているだとか、数え切れない程の伝説を残している。俺も子供だった頃、よくお婆ちゃんからフェニクスの伝説を聞かされた。だけどそれは子供に夢を持たせる為に、大人が作り出した架空の存在だとずっと思っていた……」
それが今、目の前にいる。その圧倒的な存在感に、心なしかフォルスの腰が引けている様に感じられた。すると当のフェニクスは、フォルスの言葉にくちばしの口角を少し上げ、くすりと笑って見せる。
「ふっ、随分と誇張されて伝わっている様だが……そうとも、我こそが伝説の鳥人フェニクスその人である!!」
「そ、そんな伝説の鳥人が何故こんな所に!? そして何故私達を襲うんですか!?」
フェニクスの登場に気を取られてしまっていたが、リーマの言う通り、いったい何故こんな所に姿を現したのか。そして何故真緒達を襲ったのか。正に根本的な疑問であった。
「至極真っ当な疑問だな。良いだろう教えてやろう。まず我がここにいる理由だが、他の者達と同じ、蘇ったのだよ」
「蘇った……という事は、あなたもエジタスによって!?」
「で、でも確か伝説では決して朽ちる事の無い永遠の肉体を持っているって……」
「馬鹿言うな。そんな夢の様な肉体、この世にある訳が無いだろう。只、我は他の鳥人よりも肉体に対する老化が遅かったに過ぎない。最後は普通に寿命で亡くなった」
「そ、そんな……」
伝説の存在が、只の鳥人と変わらなかった事に対して、個人的にショックを受けるフォルス。
「所詮、伝説の正体などそんな物だ。そして君達を襲った理由だが、エジタスの指示による物だ」
「な、何だと!?」
「“カルド王と供に勇者マオ、三代目魔王サタニアを始末しろ”と言われた。だから我は外で君達が逃げ出さない様に見張っていたという訳だ」
「そんな……フェニクスは自由を愛する鳥人だと聞いた。そんなあなたが、どうしてエジタスの言う事を聞くんだ!?」
フォルスは困惑していた。子供の頃に聞いていたフェニクスの印象と、目の前にいるフェニクスの印象が全く異なる事に。
「カルド王は利害の一致と言っていたが……我の場合、存在の証明と言うべきだろうな」
「存在の証明……?」
「自分という存在をこの世に刻み込む為にはどうすれば良いか、考えた事はないか? 我は生前、ずっと考えていた。このまま何もせずに、一生を終わらせたくないと。どうにかして、歴史に名を残したい。後世に自分の名前を轟かせたい。だが、我にはこれといった特技が無かった。特別頭が良い訳でも、特別な生まれという訳でも無かった。そんな中で唯一、自分自身の存在を色濃く残せる方法を見つけた。それが戦いだ」
フェニクスは過去の思い出を懐かしむ様に、持っていた弓矢を見つめる。よく見るとその弓矢はボロボロで、所々傷が付いていた。
「戦いには家柄も、頭の良さもいらない。必要なのはやる気と度胸だけ。そして戦えば戦う程、周りが注目してくれる。戦場こそ、我が我であるという事の存在を証明してくれる唯一の場所なのだ」
カルド王はまた違った意味で恐ろしい戦闘狂。いや、戦いを楽しむだけのカルド王よりも、戦いを生きる目的だと思っているフェニクスの方が狂っているかもしれない。
「そんな訳で、我にとって戦いはかけがえのない物なのだ。エジタスは他国を滅ぼして欲しい、我は自身の証明の為に戦いたい。そう言う意味では、我もカルド王と同じ利害が一致している関係なのかもしれないな」
「(フォルスさん……フォルスさん……)」
「(どうした?)」
フェニクスが物思いに耽っている中、フォルスに捕まっている真緒がフォルスに向かって、小声で話し掛ける。それに気が付いたフォルスは、同じ様に小声で話し掛ける。
「(今の内にここを離れましょう)」
「(戦わないのか?)」
「(今、無理に戦っても勝ち目はありません。それに下には数百万の兵士がいます。万が一地上に落下したら、絶対に助かりません。ここは卑怯だと言われたとしても逃げる一択です)」
「(そう言う事なら分かった……が、あのフェニクスが素直に通してくれるか?)」
「(…………)」
「(悪い、愚問だったな。いちいちそんな事を考えていたら、逃げられる物も逃げられなくなるな)」
真緒の作戦を聞いたフォルスは、隣にいるエレットにも同様の内容を伝えた。エレットも賛成の意を示す一方、フェニクスはまだ喋り続けていた。
「……確かに我は空中での戦いの方が得意だが、だからと言って地上での戦いが苦手かと言われればそう言う訳じゃない。我がその気になれば地上でも充分に戦う事が出来る。だが、我の武器は弓矢である為、地上の戦いは若干不利な一面があると言える。まぁ、それでも我から言わせればそんなのは意図も簡単に覆す事が出来る。例えば我が117回目の戦場に赴いた時、敵は空にいる我を警戒して罠を…………」
「(相手はお喋りに夢中だ。今の内にこっそりと逃げるぞ)」
「(了解)」
真緒達はフェニクスに気付かれない様、慎重に動き出す。フェニクスの動きに警戒しながら目立たず、ゆっくり遠ざかろうとする。
「(よし、行ける!!)」
フォルスがそう思った次の瞬間、何処から途もなく一本の矢がフォルスの背中に直撃する。
「ぐはぁ!!?」
「フォルスさん!!」
「そんな!? どうして!? フェニクスは“矢を射ってない”のに!!?」
慌ててフェニクスの方に顔を向ける一同だったが、フェニクスはまだ喋り続けており、真緒達が側を離れた事に気付いた様子は見られなかった。
「……それで我は言ったのさ……ん? 何処に行った? あぁ、何だそこにいたのか。話の途中でいなくなるとは、君達は意外に失礼なのだな。そしてどうやら見事に我の矢の餌食になった様だな」
「いったいどうやって……?」
「残念だがそれを君達が知る事は無い。永遠にな」
するとフェニクスは、負傷しているフォルス目掛けて矢を放とうとする。
「フォルスさん!! 早く私達を落として身軽になって下さい!!」
「駄目だ……そんな事をしたら……下にいる兵士達に……真緒達が殺られてしまう……」
「だけどこのままじゃ!!!」
「悪いが我はそう言う互いに擁護し合う、甘ったるい会話が大嫌いなのだ。さっさと死ね」
そう言うとフェニクスは、何の躊躇いも無く、フォルス目掛けて矢を放った。
「フォルスさん!!!」
フォルスに矢が突き刺さると思われたその瞬間、真上から灼熱の炎が降り注ぎ、放たれた矢だけをピンポイントに焼き払う。
「こ、これは!!?」
『グォオオオオオ!!!』
突然の出来事にフェニクスが狼狽えていると、大地を揺るがす程の雄叫びが響き渡る。また、地上にいる兵士達も軽いパニックに陥っていた。
「見て下さい!! あれ!!」
真緒が見つめる視線の先。そこには全身真っ赤な鱗をした巨大なドラゴンの姿があった。そして真緒達はそのドラゴンに見覚えがあった。
「もしかしてあのドラゴンって!!?」
「ほぅ、大丈夫か!!? 助けに来たぞ!!!」
「ぞ、族長!!!」
「話は後だ。とにかくドラゴンの背中に乗るんだ!!」
更にドラゴンの背中には、鳥人の里の族長がいた。そして族長は真緒達にドラゴンの背中に乗る様促す。真緒達は急いでドラゴンの背中に乗り込んだ。
「全員乗ったか!? よし!! 急いでここを離れるぞ!!」
そう言うと族長は形振り構わず、ドラゴンを猛スピードで飛ばし、その場からあっという間に消え去ってしまうのであった。
「…………まさかあれはドラゴン……そして背中に乗っているのは我と同じ鳥人か。いったい何がどうなっている……」
あまりに唐突な出来事に、さすがのフェニクスも対応が遅れ、まんまと真緒達を取り逃がしてしまった。しかし、フェニクスは悔しがるどころか、嬉しそうに笑みを浮かべる。
「良い時代に蘇れた。ここの連中は猛者ばかりの様だ。あぁ、早く戦いたい……」
そう遠くない未来で起こるであろう戦いに、胸を膨らませる。
「それに、こっちには手頃な“人質”もいる訳だしな」
そう言うフェニクスの目線は、窓が割れたカルド城の会議室に向けられる。そしてその割れた窓から、傷だらけになって倒れるゴルガと、その頭を踏みつけるカルド王の姿が見えるのであった。
突如、真緒達の目の前に現れた謎の鳥人。その中でも唯一、同じ鳥人であるフォルスだけが驚きの表情を浮かべていた。
「知っているんですか?」
「俺達、鳥人族にとっては伝説の存在だ。でもまさか、実在するだなんて……」
目の前にいる事が、未だに信じられないフォルス。驚きのあまり、先程受けた傷の痛みなど忘れてしまう程であった。
「たった一本の矢で数千の軍を仕留めただとか、何週間も掛かる距離を物の数時間で渡り切っただとか、決して朽ちる事の無い永遠の肉体を持っているだとか、数え切れない程の伝説を残している。俺も子供だった頃、よくお婆ちゃんからフェニクスの伝説を聞かされた。だけどそれは子供に夢を持たせる為に、大人が作り出した架空の存在だとずっと思っていた……」
それが今、目の前にいる。その圧倒的な存在感に、心なしかフォルスの腰が引けている様に感じられた。すると当のフェニクスは、フォルスの言葉にくちばしの口角を少し上げ、くすりと笑って見せる。
「ふっ、随分と誇張されて伝わっている様だが……そうとも、我こそが伝説の鳥人フェニクスその人である!!」
「そ、そんな伝説の鳥人が何故こんな所に!? そして何故私達を襲うんですか!?」
フェニクスの登場に気を取られてしまっていたが、リーマの言う通り、いったい何故こんな所に姿を現したのか。そして何故真緒達を襲ったのか。正に根本的な疑問であった。
「至極真っ当な疑問だな。良いだろう教えてやろう。まず我がここにいる理由だが、他の者達と同じ、蘇ったのだよ」
「蘇った……という事は、あなたもエジタスによって!?」
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「そ、そんな……」
伝説の存在が、只の鳥人と変わらなかった事に対して、個人的にショックを受けるフォルス。
「所詮、伝説の正体などそんな物だ。そして君達を襲った理由だが、エジタスの指示による物だ」
「な、何だと!?」
「“カルド王と供に勇者マオ、三代目魔王サタニアを始末しろ”と言われた。だから我は外で君達が逃げ出さない様に見張っていたという訳だ」
「そんな……フェニクスは自由を愛する鳥人だと聞いた。そんなあなたが、どうしてエジタスの言う事を聞くんだ!?」
フォルスは困惑していた。子供の頃に聞いていたフェニクスの印象と、目の前にいるフェニクスの印象が全く異なる事に。
「カルド王は利害の一致と言っていたが……我の場合、存在の証明と言うべきだろうな」
「存在の証明……?」
「自分という存在をこの世に刻み込む為にはどうすれば良いか、考えた事はないか? 我は生前、ずっと考えていた。このまま何もせずに、一生を終わらせたくないと。どうにかして、歴史に名を残したい。後世に自分の名前を轟かせたい。だが、我にはこれといった特技が無かった。特別頭が良い訳でも、特別な生まれという訳でも無かった。そんな中で唯一、自分自身の存在を色濃く残せる方法を見つけた。それが戦いだ」
フェニクスは過去の思い出を懐かしむ様に、持っていた弓矢を見つめる。よく見るとその弓矢はボロボロで、所々傷が付いていた。
「戦いには家柄も、頭の良さもいらない。必要なのはやる気と度胸だけ。そして戦えば戦う程、周りが注目してくれる。戦場こそ、我が我であるという事の存在を証明してくれる唯一の場所なのだ」
カルド王はまた違った意味で恐ろしい戦闘狂。いや、戦いを楽しむだけのカルド王よりも、戦いを生きる目的だと思っているフェニクスの方が狂っているかもしれない。
「そんな訳で、我にとって戦いはかけがえのない物なのだ。エジタスは他国を滅ぼして欲しい、我は自身の証明の為に戦いたい。そう言う意味では、我もカルド王と同じ利害が一致している関係なのかもしれないな」
「(フォルスさん……フォルスさん……)」
「(どうした?)」
フェニクスが物思いに耽っている中、フォルスに捕まっている真緒がフォルスに向かって、小声で話し掛ける。それに気が付いたフォルスは、同じ様に小声で話し掛ける。
「(今の内にここを離れましょう)」
「(戦わないのか?)」
「(今、無理に戦っても勝ち目はありません。それに下には数百万の兵士がいます。万が一地上に落下したら、絶対に助かりません。ここは卑怯だと言われたとしても逃げる一択です)」
「(そう言う事なら分かった……が、あのフェニクスが素直に通してくれるか?)」
「(…………)」
「(悪い、愚問だったな。いちいちそんな事を考えていたら、逃げられる物も逃げられなくなるな)」
真緒の作戦を聞いたフォルスは、隣にいるエレットにも同様の内容を伝えた。エレットも賛成の意を示す一方、フェニクスはまだ喋り続けていた。
「……確かに我は空中での戦いの方が得意だが、だからと言って地上での戦いが苦手かと言われればそう言う訳じゃない。我がその気になれば地上でも充分に戦う事が出来る。だが、我の武器は弓矢である為、地上の戦いは若干不利な一面があると言える。まぁ、それでも我から言わせればそんなのは意図も簡単に覆す事が出来る。例えば我が117回目の戦場に赴いた時、敵は空にいる我を警戒して罠を…………」
「(相手はお喋りに夢中だ。今の内にこっそりと逃げるぞ)」
「(了解)」
真緒達はフェニクスに気付かれない様、慎重に動き出す。フェニクスの動きに警戒しながら目立たず、ゆっくり遠ざかろうとする。
「(よし、行ける!!)」
フォルスがそう思った次の瞬間、何処から途もなく一本の矢がフォルスの背中に直撃する。
「ぐはぁ!!?」
「フォルスさん!!」
「そんな!? どうして!? フェニクスは“矢を射ってない”のに!!?」
慌ててフェニクスの方に顔を向ける一同だったが、フェニクスはまだ喋り続けており、真緒達が側を離れた事に気付いた様子は見られなかった。
「……それで我は言ったのさ……ん? 何処に行った? あぁ、何だそこにいたのか。話の途中でいなくなるとは、君達は意外に失礼なのだな。そしてどうやら見事に我の矢の餌食になった様だな」
「いったいどうやって……?」
「残念だがそれを君達が知る事は無い。永遠にな」
するとフェニクスは、負傷しているフォルス目掛けて矢を放とうとする。
「フォルスさん!! 早く私達を落として身軽になって下さい!!」
「駄目だ……そんな事をしたら……下にいる兵士達に……真緒達が殺られてしまう……」
「だけどこのままじゃ!!!」
「悪いが我はそう言う互いに擁護し合う、甘ったるい会話が大嫌いなのだ。さっさと死ね」
そう言うとフェニクスは、何の躊躇いも無く、フォルス目掛けて矢を放った。
「フォルスさん!!!」
フォルスに矢が突き刺さると思われたその瞬間、真上から灼熱の炎が降り注ぎ、放たれた矢だけをピンポイントに焼き払う。
「こ、これは!!?」
『グォオオオオオ!!!』
突然の出来事にフェニクスが狼狽えていると、大地を揺るがす程の雄叫びが響き渡る。また、地上にいる兵士達も軽いパニックに陥っていた。
「見て下さい!! あれ!!」
真緒が見つめる視線の先。そこには全身真っ赤な鱗をした巨大なドラゴンの姿があった。そして真緒達はそのドラゴンに見覚えがあった。
「もしかしてあのドラゴンって!!?」
「ほぅ、大丈夫か!!? 助けに来たぞ!!!」
「ぞ、族長!!!」
「話は後だ。とにかくドラゴンの背中に乗るんだ!!」
更にドラゴンの背中には、鳥人の里の族長がいた。そして族長は真緒達にドラゴンの背中に乗る様促す。真緒達は急いでドラゴンの背中に乗り込んだ。
「全員乗ったか!? よし!! 急いでここを離れるぞ!!」
そう言うと族長は形振り構わず、ドラゴンを猛スピードで飛ばし、その場からあっという間に消え去ってしまうのであった。
「…………まさかあれはドラゴン……そして背中に乗っているのは我と同じ鳥人か。いったい何がどうなっている……」
あまりに唐突な出来事に、さすがのフェニクスも対応が遅れ、まんまと真緒達を取り逃がしてしまった。しかし、フェニクスは悔しがるどころか、嬉しそうに笑みを浮かべる。
「良い時代に蘇れた。ここの連中は猛者ばかりの様だ。あぁ、早く戦いたい……」
そう遠くない未来で起こるであろう戦いに、胸を膨らませる。
「それに、こっちには手頃な“人質”もいる訳だしな」
そう言うフェニクスの目線は、窓が割れたカルド城の会議室に向けられる。そしてその割れた窓から、傷だらけになって倒れるゴルガと、その頭を踏みつけるカルド王の姿が見えるのであった。
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