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第四章 冒険編 殺人犯サトウマオ
現状報告
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「そうですか……先を越されましたか……」
ゴルド帝国。大司教の間と呼ばれる部屋にはレッマイル、ヘッラアーデの創設者であり、双方の最高責任者である大司教エイリスと、三幹部の一人ロージェの姿があった。
「あぁ、偵察部隊の情報によると、ロストマジックアイテムと思わしき代物を、カルド王国の人間に手渡す勇者一行を目撃したらしい」
「……奪われたロストマジックアイテムの詳細は?」
「残念だが、そこまで詳しい情報は掴めていない」
「そうですか……残念です……」
エイリスはロージェに背を向けながら目線を下げて、分かりやすく落ち込む。
「……勇者一行が手に入れたロストマジックアイテムは二つ、私達がゴルド帝国で手に入れたロストマジックアイテムが一つ、これで残るロストマジックアイテムは三つ……」
現状整理し終えると、下げていた目線を元に戻し、ロージェがいる方向に振り返る。
「最早一刻の猶予もありません。早急に残りのロストマジックアイテムを回収しましょう」
「それは分かるが、何か情報はあるのか?」
「……残念ながら、それらしい情報は今の所ありません」
「だろうな。焦る気持ちは分かるが、闇雲に探しても意味は無いぞ」
「そうですね……ですが、情報が手に入るまで何もしない訳にはいきません。ロージェ、あなたは自身が管理するレッマイルの支部とヘッラアーデの支部に、ロストマジックアイテムの情報を探す様、それとなく指示を出しなさい」
「断る。前にも言ったが、私はあくまで利害関係の一致から協力しているに過ぎない。お前の命令を受ける義理は無い」
「いいえ、義理ならあります。形式上、あなたと私は部下と上司の立場にいます。上からの命令は絶対……それでも断ると言うのなら、あなたをレッマイル及びヘッラアーデから追放します」
「…………っ!!」
利害関係の一致から協力しているロージェだが、それで対等の立場かどうかと言えば、また別の話になる。エイリスの言う通り、ヘッラアーデという組織の目線から見れば、ロージェとエイリスは部下と上司の関係になる。そんな上司の命令を拒否する事は、組織全体の指揮を下げる行為として、即座に切り落とされてしまう。組織の立場を利用した命令に、ロージェは舌打ちをする。
「そんな仕事……フェスタスかノーフェイスにでもさせれば良いだろう……」
しかしロージェも簡単には食い下がらない。自分と同じ幹部であり、立場も同じなフェスタスとノーフェイスの二人を釣り合いに出した。
「残念ですが、それは無理な相談です」
「何故だ?」
「まず、フェスタスはこの前の勝手な行動に対する謹慎処分として、一ヶ月間の外出を禁止しています。そしてノーフェイスは見ての通り、コミュニケーションが苦手です。私以外の人物と会話する事は出来ません。よって必然的にロージェ、あなたしか適任者がいないのです」
「そう言う事か……はぁ……仕方無いか……分かった、やるよ」
「ありがとうございます。あなたにエジタス様のご加護がありますように……」
「そう言うのはいい、私からすればエジタスなんてどうでもいい。私は世界の幸せの為に動くだけだ」
「…………」
「それじゃあ、私はもう行くぞ」
「はい、よろしくお願いします」
用は済んだとして、ロージェは大司教の間を後にした。
「…………」
広い部屋で一人になったエイリスは、懐から歪な見た目をしている仮面を取り出し、優しく撫で始める。
「利用出来る物は何でも利用する……ふふふ、早くあなたに会いたいわ……エジタス……」
そう言うとエイリスは、歪な見た目の仮面にキスをするのであった。
***
「糞がぁあああああ!!!」
ゴルド帝国のとある一室。一人の男が激しい怒りに駆られていた。
「糞が糞が糞が糞が糞がぁあああああ!!!」
物は散乱し、ベッドは半壊していた。部屋を破壊しまくるその人物とは、フェスタスだった。疫病の一件以来、一ヶ月間の外出を禁止されてしまった。エジタスの息子として啖呵切ったのにも関わらず、結果は大失敗。自身が管理するヘッラアーデの支部をほぼ壊滅させてしまった。その悔しさと怒りから、毎日飽きもせず物に当たっていた。
「どうしてこの俺がこんな目に合っているんだ!!? 俺はエジタスの息子なんだぞ!!? こんな惨めな思いをしていい筈が無い!!」
物に当たるだけでは無く、自問自答も繰り返す日々。
「これも全てあの“サトウマオ”のせいだ!! サトウマオさえいなければ、全て上手く行っていた!! 全てのロストマジックアイテムを手に入れ、そしてエイリスの奴を失脚させ、俺がレッマイルとヘッラアーデの支配者となり、最終的にはこの世界を手に入れる筈だったのに……それなのに!!」
失敗した原因を全て真緒のせいにし、自分は何も悪く無いと責任逃れをする。そしてその事を考える内に、再び怒りが湧いて来た。
「糞ぉおおおおお!!! 糞ぉおおおおお!!! 糞ぉおおおおお!!!」
骨肉魔法で両腕を巨大化させて、半壊したベッドを持ち上げる。そして勢いに任せて、部屋の扉目掛けてベッドを投げ付けた。勿論、扉は木っ端微塵となり、投げたベッドも粉々になった。扉が無くなった事で、廊下から部屋が丸見えになってしまった。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
血走った眼をしながら、息遣いを荒くする。少し落ち着いたのか、巨大化させた両腕を元に戻す。
「はぁ……はぁ……はぁ……あぁ?」
フェスタスが壊れた扉を通して廊下を見ていると、その廊下をノーフェイスが何気無く通り過ぎる。
「おい……おい!! ちょっと待てよ!!」
「…………」
ノーフェイスの姿を目にしたフェスタスは慌てて後を追い掛け、必死に声を掛ける。しかし、ノーフェイスは立ち止まらずに真っ直ぐと歩いて行く。
「おい!! 待てって言ってるだろ!!」
「…………」
声を掛けたのにも関わらず、止まる様子を見せないノーフェイスに、フェスタスは先回りをして、行く手を遮った。
「顔を隠したって、俺には分かるぞ……良い気味だって思っているんだろう?」
「…………」
行く手を遮りながら問い掛けるフェスタスに対して、歩みを止めずに向かって来るノーフェイス。
「エイリスのお気に入りらしいが、そんなの関係無い……俺はこのどん底から必ず這い上がって見せる……お前も今の内にエイリスから俺に鞍替えした方が身の為だぞ?」
「…………」
フェスタスが得意気に提案するが、ノーフェイスは一切歩みを止める事無く、無言を貫いたまま通り過ぎた。
「…………そうかい……そう言う態度を取るなら、こっちにも考えがある!!」
無視された事で、怒りが頂点に達したフェスタスは、骨肉魔法で右腕を巨大化させ、背後からノーフェイスに殴り掛かろうとする。
「……これならちょっとは聞き耳を持つか?」
フェスタスが巨大化させた拳で殴り掛かろうとしている。そんな状況に対しても無視を続け、歩みを止めないノーフェイス。
「そうかい……なら、ここで死ねぇえええええ!!!」
堪忍袋の緒が切れたフェスタスは、巨大化させた拳を、背後からノーフェイス目掛けて勢い良く突き出す。
「…………なっ!!?」
が、気が付くと突き出した筈の右腕は細切れになっていた。何が起こったのか分からないフェスタス。肝心のノーフェイスは、何事も無かったかの様に歩き続けていた。
「…………」
右腕を細切れにされたフェスタスだが、骨肉魔法によって直ぐに再生する。
「(一瞬だったが……ハッキリと見えた……俺の拳が当たる瞬間、ノーフェイスは剣を引き抜き、振り返らずに俺の右腕を細切れにした……)」
頭に血が上っていたフェスタスだが、右腕が切り落とされた事で、冷静な判断力を取り戻した。
「(背後にいる敵に対して、振り返らずに攻撃する……人間の骨格を無視した動き……いったい何者なんだ……)」
ノーフェイスに不信感を抱きながら、頭が冷えたフェスタスは、大人しく部屋へと戻るのであった。
ゴルド帝国。大司教の間と呼ばれる部屋にはレッマイル、ヘッラアーデの創設者であり、双方の最高責任者である大司教エイリスと、三幹部の一人ロージェの姿があった。
「あぁ、偵察部隊の情報によると、ロストマジックアイテムと思わしき代物を、カルド王国の人間に手渡す勇者一行を目撃したらしい」
「……奪われたロストマジックアイテムの詳細は?」
「残念だが、そこまで詳しい情報は掴めていない」
「そうですか……残念です……」
エイリスはロージェに背を向けながら目線を下げて、分かりやすく落ち込む。
「……勇者一行が手に入れたロストマジックアイテムは二つ、私達がゴルド帝国で手に入れたロストマジックアイテムが一つ、これで残るロストマジックアイテムは三つ……」
現状整理し終えると、下げていた目線を元に戻し、ロージェがいる方向に振り返る。
「最早一刻の猶予もありません。早急に残りのロストマジックアイテムを回収しましょう」
「それは分かるが、何か情報はあるのか?」
「……残念ながら、それらしい情報は今の所ありません」
「だろうな。焦る気持ちは分かるが、闇雲に探しても意味は無いぞ」
「そうですね……ですが、情報が手に入るまで何もしない訳にはいきません。ロージェ、あなたは自身が管理するレッマイルの支部とヘッラアーデの支部に、ロストマジックアイテムの情報を探す様、それとなく指示を出しなさい」
「断る。前にも言ったが、私はあくまで利害関係の一致から協力しているに過ぎない。お前の命令を受ける義理は無い」
「いいえ、義理ならあります。形式上、あなたと私は部下と上司の立場にいます。上からの命令は絶対……それでも断ると言うのなら、あなたをレッマイル及びヘッラアーデから追放します」
「…………っ!!」
利害関係の一致から協力しているロージェだが、それで対等の立場かどうかと言えば、また別の話になる。エイリスの言う通り、ヘッラアーデという組織の目線から見れば、ロージェとエイリスは部下と上司の関係になる。そんな上司の命令を拒否する事は、組織全体の指揮を下げる行為として、即座に切り落とされてしまう。組織の立場を利用した命令に、ロージェは舌打ちをする。
「そんな仕事……フェスタスかノーフェイスにでもさせれば良いだろう……」
しかしロージェも簡単には食い下がらない。自分と同じ幹部であり、立場も同じなフェスタスとノーフェイスの二人を釣り合いに出した。
「残念ですが、それは無理な相談です」
「何故だ?」
「まず、フェスタスはこの前の勝手な行動に対する謹慎処分として、一ヶ月間の外出を禁止しています。そしてノーフェイスは見ての通り、コミュニケーションが苦手です。私以外の人物と会話する事は出来ません。よって必然的にロージェ、あなたしか適任者がいないのです」
「そう言う事か……はぁ……仕方無いか……分かった、やるよ」
「ありがとうございます。あなたにエジタス様のご加護がありますように……」
「そう言うのはいい、私からすればエジタスなんてどうでもいい。私は世界の幸せの為に動くだけだ」
「…………」
「それじゃあ、私はもう行くぞ」
「はい、よろしくお願いします」
用は済んだとして、ロージェは大司教の間を後にした。
「…………」
広い部屋で一人になったエイリスは、懐から歪な見た目をしている仮面を取り出し、優しく撫で始める。
「利用出来る物は何でも利用する……ふふふ、早くあなたに会いたいわ……エジタス……」
そう言うとエイリスは、歪な見た目の仮面にキスをするのであった。
***
「糞がぁあああああ!!!」
ゴルド帝国のとある一室。一人の男が激しい怒りに駆られていた。
「糞が糞が糞が糞が糞がぁあああああ!!!」
物は散乱し、ベッドは半壊していた。部屋を破壊しまくるその人物とは、フェスタスだった。疫病の一件以来、一ヶ月間の外出を禁止されてしまった。エジタスの息子として啖呵切ったのにも関わらず、結果は大失敗。自身が管理するヘッラアーデの支部をほぼ壊滅させてしまった。その悔しさと怒りから、毎日飽きもせず物に当たっていた。
「どうしてこの俺がこんな目に合っているんだ!!? 俺はエジタスの息子なんだぞ!!? こんな惨めな思いをしていい筈が無い!!」
物に当たるだけでは無く、自問自答も繰り返す日々。
「これも全てあの“サトウマオ”のせいだ!! サトウマオさえいなければ、全て上手く行っていた!! 全てのロストマジックアイテムを手に入れ、そしてエイリスの奴を失脚させ、俺がレッマイルとヘッラアーデの支配者となり、最終的にはこの世界を手に入れる筈だったのに……それなのに!!」
失敗した原因を全て真緒のせいにし、自分は何も悪く無いと責任逃れをする。そしてその事を考える内に、再び怒りが湧いて来た。
「糞ぉおおおおお!!! 糞ぉおおおおお!!! 糞ぉおおおおお!!!」
骨肉魔法で両腕を巨大化させて、半壊したベッドを持ち上げる。そして勢いに任せて、部屋の扉目掛けてベッドを投げ付けた。勿論、扉は木っ端微塵となり、投げたベッドも粉々になった。扉が無くなった事で、廊下から部屋が丸見えになってしまった。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
血走った眼をしながら、息遣いを荒くする。少し落ち着いたのか、巨大化させた両腕を元に戻す。
「はぁ……はぁ……はぁ……あぁ?」
フェスタスが壊れた扉を通して廊下を見ていると、その廊下をノーフェイスが何気無く通り過ぎる。
「おい……おい!! ちょっと待てよ!!」
「…………」
ノーフェイスの姿を目にしたフェスタスは慌てて後を追い掛け、必死に声を掛ける。しかし、ノーフェイスは立ち止まらずに真っ直ぐと歩いて行く。
「おい!! 待てって言ってるだろ!!」
「…………」
声を掛けたのにも関わらず、止まる様子を見せないノーフェイスに、フェスタスは先回りをして、行く手を遮った。
「顔を隠したって、俺には分かるぞ……良い気味だって思っているんだろう?」
「…………」
行く手を遮りながら問い掛けるフェスタスに対して、歩みを止めずに向かって来るノーフェイス。
「エイリスのお気に入りらしいが、そんなの関係無い……俺はこのどん底から必ず這い上がって見せる……お前も今の内にエイリスから俺に鞍替えした方が身の為だぞ?」
「…………」
フェスタスが得意気に提案するが、ノーフェイスは一切歩みを止める事無く、無言を貫いたまま通り過ぎた。
「…………そうかい……そう言う態度を取るなら、こっちにも考えがある!!」
無視された事で、怒りが頂点に達したフェスタスは、骨肉魔法で右腕を巨大化させ、背後からノーフェイスに殴り掛かろうとする。
「……これならちょっとは聞き耳を持つか?」
フェスタスが巨大化させた拳で殴り掛かろうとしている。そんな状況に対しても無視を続け、歩みを止めないノーフェイス。
「そうかい……なら、ここで死ねぇえええええ!!!」
堪忍袋の緒が切れたフェスタスは、巨大化させた拳を、背後からノーフェイス目掛けて勢い良く突き出す。
「…………なっ!!?」
が、気が付くと突き出した筈の右腕は細切れになっていた。何が起こったのか分からないフェスタス。肝心のノーフェイスは、何事も無かったかの様に歩き続けていた。
「…………」
右腕を細切れにされたフェスタスだが、骨肉魔法によって直ぐに再生する。
「(一瞬だったが……ハッキリと見えた……俺の拳が当たる瞬間、ノーフェイスは剣を引き抜き、振り返らずに俺の右腕を細切れにした……)」
頭に血が上っていたフェスタスだが、右腕が切り落とされた事で、冷静な判断力を取り戻した。
「(背後にいる敵に対して、振り返らずに攻撃する……人間の骨格を無視した動き……いったい何者なんだ……)」
ノーフェイスに不信感を抱きながら、頭が冷えたフェスタスは、大人しく部屋へと戻るのであった。
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