上 下
260 / 300
最終章 笑顔の絶えない世界

道楽の道化師(後編)

しおりを挟む
 真緒、サタニア、アーメイデの三人を助けに来た筈の六人はエジタスのスキルにより、その心を殺意で満たされてしまった。しかし、心が殺意で満たされ様とも、当初の目標は見失っていなかった。人類統一まで、残り十分。虚像の殺し合いを演じながら、九人全員がワールドクラウンを外しに掛かる。六人が殺し合っている中、真緒、サタニア、アーメイデの三人はクロウトが座っている玉座目掛けて走り出した。



 「“クリスタルウィップ”!!」



 「おや~、いいのですか~?“MP”が回復出来ないのに、魔法を使ってしまって~?」



 すると、アーメイデが先行して魔法を唱えた。アーメイデの右手に、結晶型の鞭が生成された。アーメイデは鞭を巧みに操り、エジタスの体に巻き付けて動きを拘束する。



 「捕らえた!!」



 「う~ん、残念!!」



 鞭が体に巻き付き、身動きが取れなくなったエジタスだったが、次の瞬間その場から姿が消えた。そして瞬く間に、アーメイデの背後へと姿を現した。



 「くっ!!やっぱり駄目か……ぐぁあああ!!」



 アーメイデは、背後から感じる気配に素早く振り返るが、間に合わずにエジタスの蹴りを食らってしまった。



 「アーメイデさん!!」



 「私に構うな!!あんた達は、あんた達の役目を果たしな!!」



 エジタスに蹴られたアーメイデを、心配する真緒とサタニアだったが、自分の役目を果たす様にと言い渡された。



 「「……はい!!」」



 アーメイデの言葉を受け取った真緒とサタニアは、そのまま足を緩める事無く、玉座へと走って行った。



 「はぁ~、お二人供……諦めが悪いですね~」



 玉座へと走って行く真緒とサタニアを見て、エジタスは深い溜め息を吐いた。そして転移によってその場から姿を消すと、瞬く間に二人の目の前へと姿を現した。



 「は~い、お疲れ様でした~」



 「マオ!!先に行って!!ここは僕が食い止める!!」



 「……任せました!!」



 サタニアの想いを汲み取り、真緒は二人を横切り先へと進んだ。



 「サタニアさ~ん、いい加減分かって下さいよ~。この世界から戦争や差別を無くすには、種族を……個性を統一するしか無いんですよ~」



 「それは違うよ!!確かに、この世界は戦争や差別が絶えない……でもだからと言って、種族を統一したり、個性を統一するのは……只の逃げだよ!!臭い物に蓋をしているだけだよ!!」



 「…………」



 「だから止める!!大切な人が道を踏み外しそうになっているのなら、僕が全力で止めて正しい道に戻してあげるんだ!!スキル“ブラックアウト”!!」



 サタニアの右手が黒く染まる。エジタス目掛けて、想いを乗せながら拳を振るった。



 「…………くだらない」



 するとエジタスは、一瞬でその場から姿を消した。



 「消えた……後ろ!?」



 「いいえ……上ですよ」



 予測したサタニアは素早く振り返るが、そこにエジタスの姿は無かった。するとエジタスは、サタニアの真上に姿を現し、サタニアの後頭部目掛けてかかとを振り下ろした。



 「がはぁ……!!」



 「只の逃げ?臭い物に蓋?大いに結構……この腐った世界を平和に出来るのなら、私は何度だって逃げましょう……臭い物に蓋をしましょう……」



 後頭部に強い衝撃を受けたサタニアは、その場に倒れ伏してしまった。



 「ふ~、やはり手加減しながらでは……加減が難しいですね…………両足を折りましょう」



 「!!!」



 「大丈夫ですよ、人類が統一されるまでの間だけですから、私の計画が無事に完了したら……ちゃんと直して差し上げますよ~」



 そう言いながらエジタスは、サタニアの両足を折る為に歩み寄る。



 「あ……ああ……」



 その場から離れ様とするサタニアだったが、後頭部を強く打った事で上手く動く事が出来なかった。



 「じっとしていて下さい……下手に暴れられると、余計な痛みを負う事になりま…………!!?」



 エジタスが、サタニアの両足を折ろうと近づいたその時、エジタスの真横に巨大な岩が迫っていた。



 「…………っ!!」



 しかし、そこは持ち前の反射神経で当たる直前に、転移を使って避けた。



 「この岩はいったい……」



 「そんな速度では、あたしを殺す事は出来ないわよ!!」



 「ウォオオオオオオ!!!ツギコソ、アテテミセル!!」



 するとそのすぐ近くで、ゴルガとアルシアの二人が殺し合いをしていた。



 「ゴルガ……アルシア……」



 「……くっ……時間を掛け過ぎた……先にあっちを処理するか……」



 そう言うとエジタスは、転移を使ってその場から姿を消した。



 「……ありがとう……ゴルガ、アルシア……」



 「礼には及ばないわ……早くクロウトちゃんを救いに行きましょう」



 「うん!!」







***







 一方、玉座に向かって走っていた真緒は、遂に玉座の前へと辿り着いた。



 「はぁ……はぁ……この王冠を取り外せばいいんですよね……」



 息を切らしながらも、真緒はクロウトが被っている王冠を取り外そうと、手を伸ばした。



 「おっと、そうは問屋が卸さな~い」



 「!!!」



 しかし、その腕を転移でやって来たエジタスに捕まれてしまった。



 「あ……が……!!」



 物凄い強い力。そのまま腕が折られてしまうのではないかと思ってしまう。



 「ふ~、危機一髪でした~。やはり取られない様に、両腕をへし折りますか~」



 「えっ!!?」



 サタニアの両足に続き、真緒の両腕までもが、エジタスに折られそうになる。



 「大丈夫ですよ~。痛みなんて……すぐに慣れてしまいますからね~」



 「ぐぅ……がぁ……ああ!!」



 ミシミシと、両腕から嫌な音が聞こえる。激しい痛みが、真緒に襲い掛かる。



 「“ウォーターキャノン”!!」



 「!!?」



 真緒の両腕が折れると思われたその瞬間、エジタス目掛けて水の塊が飛んで来た。突如として飛んで来た水の塊に対して、エジタスは思わず真緒から手を離し、転移を使って避けた。



 「…………」



 「くそー、ハナコさん。大人しく殺されて下さい!!」



 「ぞんな魔法、オラには通じないだよぉ!!」



 するとそのすぐ近くで、リーマとハナコの二人が殺し合いをしていた。



 「はぁ……はぁ……はぁ……」



 真緒は、折られそうになった両腕を垂れ下げながら、一旦玉座から離れた。



 「マオ、大丈夫!?」



 「サタニア……何とか……ね……」



 「エジタス!!逃がさないぞ!!」



 両腕を負傷した真緒の元に、サタニアとアーメイデが駆け寄る。そのすぐ近くでは、残りの六人それぞれが殺し合いを演じている。するとその時……。



 「……人類統一まで……残り……三分……」



 「「「!!!」」」



 玉座に座っているクロウトの口から、人類統一までの残り時間が告げられた。



 「遂に……遂にこの時が来ました……残り三分で、この世界は平和となる!!」



 「あんたの思い通りなんかには、させないよ!!“クリスタルソード”!!」



 アーメイデが魔法を唱えると、その右手に結晶型の剣が生成された。結晶型の剣を握り締め、エジタス目掛けて斬り掛かった。



 「あらよっと……」



 「!!!」



 そんなアーメイデの剣を、エジタスは食事用のナイフで受け止めた。



 「「今だ!!」」



 その隙を狙って、真緒とサタニアの二人が一斉に玉座へと走り出した。



 「おっと……忘れ物ですよ~」



 そう言うとエジタスは、アーメイデの腕を掴んで、真緒とサタニアに投げつけた。



 「「「うわぁあああ!!!」」」



 投げ飛ばされたアーメイデは、走って来た真緒とサタニアの二人にぶつかってしまった。



 「す、すまない……二人供……」



 「い、いえ……」



 「僕達なら……大丈夫です……」



 「……人類統一まで……残り……一分……」



 「「「!!!」」」



 残り一分。真緒、サタニア、アーメイデの三人はぶつかり合ってしまった事で、その場で倒れている。今から立ち上がって走り出したとしても、間に合わない。時間切れだ。



 「あぁ……漸くこの時が訪れた……さようなら旧世界……おはよう新世界!!」



 「(よし……ここまでは作戦通り……!!)」



 「(残り一分、勝利を確信して最も気が緩む時……!!)」



 「(頼んだぞ!!若き世代よ!!)」



 勝利を確信して、感情が高ぶっているエジタス。そんな中、真緒、サタニア、アーメイデの三人は残りの六人に全てを託した。



 「行くぞ!!シーラ!!」



 「いつでも来い!!」



 「うぉおおおおお!!!スキル“一点集中”!!」



 この時の為に、フォルスはギリギリまで時間を掛けて、ワールドクラウンに狙いを定めていた。



 「貫け!!」



 フォルスが渾身の矢を放ち、シーラがそれを避ける。放たれた矢はワールドクラウン目掛けて、肉眼では捉えきれない速さで飛んで行く。



 「「「(行けぇえええええ!!!)」」」



 「……もうすぐ……残り一分……だからこそ……最後まで油断は出来ませんよね~」



 「「「「「!!!」」」」」



 しかし、フォルスが放った渾身の矢はワールドクラウンに当たる直前で、エジタスに掴み取られてしまった。



 「私が気付かないとでも、思いましたか~?“一触即発”は、私のスキルなんですよ~。私自身がその欠点を見逃す訳がありませんよ~」



 全て見抜かれていた。虚像の殺し合いも、残り一分で仕掛けて来る事も、全てがエジタスの掌で踊らされていた。



 「……っ!!ゴルガ!!アルシア!!お願い!!」



 作戦が見抜かれてしまった以上、隠すのは無意味。サタニアは、残された希望に想いを託す。



 「ウォオオオオオ!!!」



 「おんどりゃあぁあああああ!!!」



 ゴルガの体を削り、作り上げた手頃な大きさの岩。その岩を、アルシア目掛けて投げ付ける。そしてアルシアは、投げ付けられた岩を両刀で、ワールドクラウン目掛けて全力で弾いた。弾かれた岩は、フォルスの矢よりも速い速度で飛んで行った。



 「…………ほい!!」



 「「!!!」」



 しかしその岩も、エジタスの食事用のナイフで弾かれてしまった。弾かれた岩は、見当違いの方向へと飛ばされてしまう。



 「まだです!!リーマ、ハナちゃん!!」



 正真正銘、最後の希望。これを逃せば、エジタスの勝利が決定する。真緒は、リーマとハナコの二人に最後の希望を託す。



 「はぁあああああ!!!“ウォーターキャノン”!!」



 リーマの魔導書から、巨大な水の塊が生成された。そして巨大な水の塊を、ワールドクラウン目掛けて放った。



 「大きいですね~。ですが先程の岩と比べれば、かなり遅いですよ~」



 エジタスは食事用のナイフで、迫り来る巨大な水の塊を斬り裂いた。斬り裂かれた巨大な水の塊は左右に分かれ床に落ちると、大きな水柱を上げた。こうして、最後の希望も潰えてしまうのであった。



 「そんな……」



 「これだけ手を尽くしたのに……」



 「くそっ!!もっと私が早くに決断していれば……すまない……コウスケ……」



 真緒、サタニア、アーメイデの三人は、エジタスの計画を止められなかった事に対して嘆き悲しむ。



 「……人類統一まで……残り……十、九、八、七、六…………」



 「これをもって……人類は統一される!!そして、世界は……“笑顔の絶えない世界”になるの……!!?」



 その瞬間、エジタスは目を疑った。リーマが放った巨大な水の塊によって出来た左右の水柱。その水柱を突き抜けて、突如一個の岩がエジタスの横を通り過ぎたのだ。



 「(な、何!?あの岩は……ゴルガさんとアルシアさんが投げた岩!?で、ですがあの岩は確かに……別の方向へと弾いた筈……)」



 決して、戻って来る筈の無い岩が戻って来た。エジタスが突き抜けた水柱の穴から、向こう側に目線を向ける。するとそこには……。



 「皆!!諦めぢゃ、駄目だぁ!!!」



 「「「ハナコ!!?」」」



 そこには、ハナコが立っていた。まさかの出来事に真緒、リーマ、フォルスは驚きの声を上げた。思い返せば、確かにリーマが“ウォーターキャノン”を放つ時、側にいなかった。あの時ハナコは、ゴルガの岩が弾かれるのを見て、咄嗟に動き出していた。そして水柱で死角になった所で、最後の悪足掻きとして岩を投げつけていたのだ。もしも、エジタスが岩を弾いていなかったら……もしも、ハナコが咄嗟に動いていなかったら……もしも、水柱が死角になっていなかったら……いくつもの偶然が重なり合い、奇跡を引き起こしたのだ。



 「(そんな……馬鹿な……こんな事が……くそっ!!間に合え……!!)」



 咄嗟にエジタスは、食事用のナイフで岩を弾こうとするが時既に遅し、ハナコが投げた最後の悪足掻きは、ワールドクラウンを貫いた。



 「!!!」



 貫かれたワールドクラウンは、数メートル先まで吹き飛ばされた。それを見て、エジタスは慌てて吹き飛ばされたワールドクラウンの元へと駆け寄る。



 「……人類統一まで……残り……残り……残……り……」



 「クロウト!!」



 一方、ワールドクラウンが取り外された事により、クロウトは力が抜けた様に玉座から転げ落ちる。そんなクロウトの元にサタニア、ゴルガ、シーラ、アルシアが駆け寄る。



 「クロウト!!クロウト!!」



 「魔王ちゃん落ち着いて、気絶しているだけよ」



 「そっか……良かった……」



 気を失っているだけと知り、ホッと一安心するサタニア。



 「あぁ!!そ、そんな!!こ、こんな事が!!」



 すると突然、エジタスが奇声を発した。今まで聞いた事の無い程に、慌てふためいていた。



 「師匠……」



 「エジタス……」



 「まだ大丈夫!!壊れた部品を組み合わせれば…………」



 エジタスはその場に座り込み、貫かれ穴の空いたワールドクラウンを恐る恐る触る。しかし触った瞬間、砂と化してしまった。



 「!!!あ……ああ……!!嘘だ!!嘘だ!!嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ!!!」



 エジタスは、一心不乱になって砂と化してしまったワールドクラウンをかき集める。しかし、手を動かした事で風が生まれ、その風に乗って辺り一面に散ってしまった。



 「あ……ああ……あああ……ああああ……あああああ!!!」



 「これが……あのエジタスなのか……?」



 エジタスの計画は阻止された。なのに素直に喜ぶ事が出来ない。エジタスの豹変振りに、戸惑いを見せる九人。



 「し、師匠……あの……「二千年」……えっ?」



 「……この計画を実行させるのに……二千年掛かったんだ……色んな国を巡り……裏から手を回し……万が一の時の為に……時間稼ぎ様の駒まで用意した……それなのに……こんな……こんな一瞬で終わってしまうだなんて……」



 エジタスは、二千年前と同じ様に失敗したとしても、再び六つの王冠に分かれると思っていた。そうしたら、また時間を掛けて集め直せば良い。そう思っていた。しかし、今回ハナコが岩で貫き穴を開けてしまったせいで、ワールドクラウン自体が分かれる前に壊れてしまった。そうなれば、もう二度と六つの王冠に戻る事も無ければ、ワールドクラウンになる事も無いのだ。



 「もう……この世界を……“笑顔の絶えない世界”にする事が出来ない……」



 「そ、そんな事無いよ!!ワールドクラウンを使わなくても……きっと世界を……笑顔の絶えない世界に出来る筈だよ!!」



 「…………」



 「だ、だからその……僕と一緒に……笑顔の絶えない……「何故」……えっ?」



 「何故……平和を望まない……」



 「エ、エジタス……?」



 エジタスは、サタニアの話を聞いていなかった。聞く耳すら持っていなかった。只ぶつぶつと独り言を発するだけだった。



 「戦争……貧困……虐め……差別……全てが無くなるというのに……何故受け入れない……何故否定する……」



 「こ、これは!!?」



 座っていたエジタスが、ゆっくりと立ち上がる。しかし、今までのエジタスとは明らかに違った。それは殺意。明確なる殺意が、エジタスから伝わって来た。



 「はぁ……はぁ……空気が……重い……です……」



 「オ、オラの毛が……恐怖で逆立っているだぁ……」



 「あぁ……俺も……鳥肌が止まらない……」



 「嘘だろ……この私が震えているのか…………」



 「コ、コレガ……キョウフナノカ……」



 「この……骨の芯まで伝わって来る威圧感……これがエジタスの実力……」



 エジタスから伝わって来る、明確なる殺意が六人を震え上がらせた。



 「……世界の平和を否定するあなた達は……“悪”だ……悪は滅ぼさなければならない……あなた達を滅ぼし……平和への糧としましょう…………」



 「師匠……」



 「エジタス……」



 「こうなってしまったら仕方無いよ、覚悟を決めな。今のエジタスは、私達を本気で殺しに掛かって来るだろう。油断してると……死ぬよ!!」



 人類統一化は阻止された。しかしそれによって、目覚めさせてはいけない怪物を、目覚めさせてしまった様だ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界転生者〜バケモノ級ダンジョンの攻略〜

海月 結城
ファンタジー
私こと、佐賀 花蓮が地球で、建設途中だったビルの近くを歩いてる時に上から降ってきた柱に押しつぶされて死に、この世界最強の2人、賢王マーリンと剣王アーサーにカレンとして転生してすぐに拾われた。そこから、厳しい訓練という試練が始まり、あらゆるものを吸収していったカレンが最後の試練だと言われ、世界最難関のダンジョンに挑む、異世界転生ダンジョン攻略物語である。

狼の子 ~教えてもらった常識はかなり古い!?~

一片
ファンタジー
バイト帰りに何かに引っ張られた俺は、次の瞬間突然山の中に放り出された。 しかも体をピクリとも動かせない様な瀕死の状態でだ。 流石に諦めかけていたのだけど、そんな俺を白い狼が救ってくれた。 その狼は天狼という神獣で、今俺がいるのは今までいた世界とは異なる世界だという。 右も左も分からないどころか、右も左も向けなかった俺は天狼さんに魔法で癒され、ついでに色々な知識を教えてもらう。 この世界の事、生き延び方、戦う術、そして魔法。 数年後、俺は天狼さんの庇護下から離れ新しい世界へと飛び出した。 元の世界に戻ることは無理かもしれない……でも両親に連絡くらいはしておきたい。 根拠は特にないけど、魔法がある世界なんだし……連絡くらいは出来るよね? そんな些細な目標と、天狼さん以外の神獣様へとお使いを頼まれた俺はこの世界を東奔西走することになる。 色々な仲間に出会い、ダンジョンや遺跡を探索したり、何故か謎の組織の陰謀を防いだり……。 ……これは、現代では失われた強大な魔法を使い、小さな目標とお使いの為に大陸をまたにかける小市民の冒険譚!

【完結】実家に捨てられた私は侯爵邸に拾われ、使用人としてのんびりとスローライフを満喫しています〜なお、実家はどんどん崩壊しているようです〜

よどら文鳥
恋愛
 フィアラの父は、再婚してから新たな妻と子供だけの生活を望んでいたため、フィアラは邪魔者だった。  フィアラは毎日毎日、家事だけではなく父の仕事までも強制的にやらされる毎日である。  だがフィアラが十四歳になったとある日、長く奴隷生活を続けていたデジョレーン子爵邸から抹消される運命になる。  侯爵がフィアラを除名したうえで専属使用人として雇いたいという申し出があったからだ。  金銭面で余裕のないデジョレーン子爵にとってはこのうえない案件であったため、フィアラはゴミのように捨てられた。  父の発言では『侯爵一家は非常に悪名高く、さらに過酷な日々になるだろう』と宣言していたため、フィアラは不安なまま侯爵邸へ向かう。  だが侯爵邸で待っていたのは過酷な毎日ではなくむしろ……。  いっぽう、フィアラのいなくなった子爵邸では大金が入ってきて全員が大喜び。  さっそくこの大金を手にして新たな使用人を雇う。  お金にも困らずのびのびとした生活ができるかと思っていたのだが、現実は……。

【完結】では、なぜ貴方も生きているのですか?

月白ヤトヒコ
恋愛
父から呼び出された。 ああ、いや。父、と呼ぶと憎しみの籠る眼差しで、「彼女の命を奪ったお前に父などと呼ばれる謂われは無い。穢らわしい」と言われるので、わたしは彼のことを『侯爵様』と呼ぶべき相手か。 「……貴様の婚約が決まった。彼女の命を奪ったお前が幸せになることなど絶対に赦されることではないが、家の為だ。憎いお前が幸せになることは赦せんが、結婚して後継ぎを作れ」 単刀直入な言葉と共に、釣り書きが放り投げられた。 「婚約はお断り致します。というか、婚約はできません。わたしは、母の命を奪って生を受けた罪深い存在ですので。教会へ入り、祈りを捧げようと思います。わたしはこの家を継ぐつもりはありませんので、養子を迎え、その子へこの家を継がせてください」 「貴様、自分がなにを言っているのか判っているのかっ!? このわたしが、罪深い貴様にこの家を継がせてやると言っているんだぞっ!? 有難く思えっ!!」 「いえ、わたしは自分の罪深さを自覚しておりますので。このようなわたしが、家を継ぐなど赦されないことです。常々侯爵様が仰っているではありませんか。『生かしておいているだけで有難いと思え。この罪人め』と。なので、罪人であるわたしは自分の罪を償い、母の冥福を祈る為、教会に参ります」 という感じの重めでダークな話。 設定はふわっと。 人によっては胸くそ。

なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた

下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。 ご都合主義のハッピーエンドのSSです。 でも周りは全くハッピーじゃないです。 小説家になろう様でも投稿しています。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

【完結】私だけが知らない

綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

私はお母様の奴隷じゃありません。「出てけ」とおっしゃるなら、望み通り出ていきます【完結】

小平ニコ
ファンタジー
主人公レベッカは、幼いころから母親に冷たく当たられ、家庭内の雑務を全て押し付けられてきた。 他の姉妹たちとは明らかに違う、奴隷のような扱いを受けても、いつか母親が自分を愛してくれると信じ、出来得る限りの努力を続けてきたレベッカだったが、16歳の誕生日に突然、公爵の館に奉公に行けと命じられる。 それは『家を出て行け』と言われているのと同じであり、レベッカはショックを受ける。しかし、奉公先の人々は皆優しく、主であるハーヴィン公爵はとても美しい人で、レベッカは彼にとても気に入られる。 友達もでき、忙しいながらも幸せな毎日を送るレベッカ。そんなある日のこと、妹のキャリーがいきなり公爵の館を訪れた。……キャリーは、レベッカに支払われた給料を回収しに来たのだ。 レベッカは、金銭に対する執着などなかったが、あまりにも身勝手で悪辣なキャリーに怒り、彼女を追い返す。それをきっかけに、公爵家の人々も巻き込む形で、レベッカと実家の姉妹たちは争うことになる。 そして、姉妹たちがそれぞれ悪行の報いを受けた後。 レベッカはとうとう、母親と直接対峙するのだった……

処理中です...