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最終章 笑顔の絶えない世界
聖剣フォアリーフ(中編)
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「あたしとハナコちゃん……二人のステータスを兼ね備えているだなんて……」
「ぞんな能力が存在ずるだなんで…………」
フォアリーフの能力に、ハナコとアルシアは言い知れぬ絶望を味わっていた。
「……いえ、寧ろ運が良かったのかもしれないわね…………」
「えっ?」
「もしも……皆と合流してから戦っていたら、あのフォアリーフは全員のステータスを兼ね備える事になっていたという訳よ…………」
「!!!」
真緒、サタニア、アーメイデ、各々が国家戦力に並ぶステータスを秘めている。そんな三人のステータスを兼ね備える事になれば、世界は瞬く間に支配されてしまうであろう。
「えぇ、その通りよ。あなた達には合流してから来て欲しかったけど、思った以上に合流しないから残念だった……でも、あなた達二人が来てくれたのは嬉しかった。特にスケルトンのあなた、あなたは他の四天王よりも飛び抜けて高いステータスを秘めていた」
「…………っ!!」
全員が合流しなかった事に関しては、運が良かった。しかし、四天王の中でも一番の実力者であるアルシアが戦う事になったのは運が悪かった。
「本当は、勇者と魔王に来て欲しかったけど、あの二人はエジタス様自らが相手をするらしいから我慢するわ」
「マオぢゃんが!?」
「エジタスちゃんが相手をするって……どういう意味よ!?」
フォアリーフの言葉に、強く反応を示す二人。
「そのままの意味よ。エジタス様は仰られていた……『勇者と魔王……あの二人は私が作り上げた……ならば、終わらせるのも私でなければならない……それこそが……創造した者の責務なのだ』……つまりエジタス様は、自らが築き上げた始まりを、自らの手で終わらせようとしているのよ!!」
「…………ふざけるなよ」
「アルシアざん…………」
アルシアの言葉遣いが変わる。
「魔王様を作り上げた……?じゃあ、魔王様の性格は作られた物だったのか…………違う!!魔王様の感情は作られた物だったのか…………違う!!魔王様は常に考えていた……魔王としての在り方……周囲からの重圧に苦しみながらも……必死に生きて来た!!確かに……エジタスと関わった事で、魔王様はよく笑う様になった。純粋な……とても純粋な笑顔だった……決して作られた笑顔なんかじゃない!!“創造した者の責務”?……魔王様は道具じゃねぇえええええええええええええ!!!」
アルシアの魂の叫び。言葉遣いが戻る程、エジタスの発言に怒りを覚えたのだ。
「…………アルシアざんの言う通りだぁ……マオぢゃんは明るぐで、いづも皆を楽じまぜようどじでいる。でも、ぞれ以上に心がどでも傷付ぎやずぐで……人一倍問題事を抱え込んでじまう……例えぞれが、エジタスざんに関わっだ事で変わっだ事だどじでも…………ぞんなマオぢゃんが、作り上げられだ存在だなんであり得ないだぁ!!心は……揺れ動ぐ物……エジタスざんであろうど、人の心を意図的に作り出ず事は出来ない!!!」
アルシアの叫びに触発されて、ハナコも魂の叫びを上げた。
「お前を倒して、エジタスに直接言ってやる!!」
「人の人生は、ぞう簡単に作り上げる事は出来ない!!」
覚悟を決めた。大切な者の為に、二人は戦う。例え、勝ち目の無い絶望的状況でも二人は足を止める事無く、フォアリーフへと近づいて行く。
「「うぉおおおおおおおおおお!!!」」
「…………“ペチャクチャペチャクチャ”……煩いわね……」
「「!!!」」
迫り来るハナコとアルシアに対して、フォアリーフは剣を横に一振りした。すると剣先から強い衝撃波が生まれ、ハナコとアルシア目掛けて放たれた。
「「ああああああ!!!」」
「私ね……そう言う馴れ合いが一番嫌いなの……」
突然の衝撃波に、ハナコとアルシアは吹き飛ばされてしまった。
「それとね、私はエジタス様から意図的に、心を作り上げられたのよ。勿論、道具としてね」
「そ、それを自覚していて……何故エジタスに肩入れするんだ!?」
「心を勝手に作り上げられで……辛ぐないんだがぁ……?」
「以前の私は……所有者を依存させる事でしか、自分の存在意義を証明出来なかった。そんな時、エジタス様と出会い私の中に自我という物が生まれた。自分で考え、行動する……私は自由を手に入れた。そんな今の私を作り上げて下さったエジタス様に、私なりの恩返しをしているのよ。だから、あなた達をここで始末する!!」
ハナコとアルシアの二人に、戦う理由がある様に、フォアリーフにも戦う明確な理由がある。フォアリーフは目にも止まらぬ速さで、ハナコとアルシアの二人に近づいて来る。
「スキル“真・裁きの剣”」
「「!!!」」
フォアリーフの剣が、眩い光に包まれる。そしてそのまま、ハナコとアルシア目掛けて薙ぎ払った。
「くっ!!」
咄嗟にアルシアは、両刀を使ってフォアリーフの斬激を防いだ。
「やっぱり強いわね……今の一撃を防ぐだなんて……でも、スキル“セーフティーリング”」
「しまっ……!!」
「アルシアざん!!」
アルシアは、斬激を防ぐのに夢中になってしまい、フォアリーフのスキルによって生成された、黄色い光輝く輪に捕らえられてしまった。
「驚いた?体を乗っ取る事で、その者のスキルや魔法を、そのまま使用する事が出来るのよ」
「うぐっ……動けない……」
「もう知っていると思うけど、何があろうとも一分間は身動きが取れないわよ」
「ぞれだっだら、オラが倒じでやるだぁ!!スキル“インパクト・ベア”!!」
身動きが取れないアルシアに代わって、ハナコがフォアリーフ目掛けてスキルを放った。
「スキル“罪の盾”」
「!!!」
しかし、フォアリーフのスキルにより半透明な盾が生成された。ハナコのスキルは、意図も簡単に受け止められてしまう。
「残念、少し遅かったわね。“子熊”ちゃん……スキル“セーフティーリング”」
「あっ…………」
「ハナコ!!スキル“黒縄地獄”!!」
「おわぁああああ!!?」
ハナコも、黄色い光輝く輪に捕らわれそうになったその時、アルシアが持っていた黒刀を指先だけで扱い、ハナコの影を操ると後方へと吹き飛ばした。
「……それで助けたつもり?一時的な避難にしか過ぎないわよ!!」
すると、フォアリーフは黄色い光輝く輪を動かして、ハナコを捕らえ様とする。
「ハナコ、避けろ!!」
「!!!」
アルシアの言葉に従い、ハナコは迫り来る黄色い光輝く輪から、逃げる様に駆け出した。
「逃がさないわよ!!」
「ぐっ!!……やぁ!!……どりゃ!!」
何としてでも捕らえ様とする、黄色い光輝く輪を必死で避けるハナコ。避けては逃げて、避けては逃げてを繰り返す。それに対してフォアリーフは、黄色い光輝く輪を動かして追い詰める。
「逃げ回っているだけじゃ、勝てないわよ?」
「……逃げでいないだぁ……」
「!!?」
気が付くと、ハナコとフォアリーフの距離が近づいていた。必死に避けながら、その間合いを詰めていたのだ。
「このまま一気に決めるだよぉ!!」
充分な距離へと近づいたハナコは、黄色い光輝く輪に追い付かれるよりも速くフォアリーフの元まで走って来た。
「スキル“インパクト・ベア”!!」
「スキル“罪の盾”」
だがしかし、ハナコの一撃もフォアリーフのスキルによって、意図も簡単に防がれてしまった。
「もうちょっとで一撃与えられていたのに、惜しかったわね“子熊”ちゃん」
「……オラの役目は……一撃与える事じゃない……ぞのスキルを使わぜる事だぁ……」
「何ですって!?」
「助かったぜハナコ……これで遠慮無く、一撃を与える事が出来る……」
「!!?」
フォアリーフが慌てて振り返ると、アルシアが黒刀を振り上げていた。
「あ、あり得ない!!まだ一分も経っていない筈……それなのに何故……なっ!!?」
フォアリーフの目に飛び込んで来たのは、信じられない光景だった。
「と、捕らえられたままですって!!?」
そう、アルシアは未だに捕らえられたまま、身動きが取れない状態であった。只少し違うのは、アルシアの左腕が無くなっており、その無くなった左腕を右手の指先で掴んでいた。つまり、黒刀を掴んでいる左腕を、右手の指先で振り上げていたのだ。
「俺はスケルトンなんだぜ?骨の取り外し位は余裕だ。スキル“大炎熱地獄”!!」
「行げぇえええええええええええ!!!」
黒刀を掴んでいる左腕が右手の指先によって、フォアリーフ目掛けて振り下ろされる。
「まさか……そんな手があっただなんて……見事だわ…………スキル“サンクチュアリ”」
「「!!?」」
その瞬間、フォアリーフは持っていた剣を地面に突き刺した。すると半透明でドーム状の膜が現れ、その身を守った。
「ふふふ、残念だったわね。“ホワイトサークル”」
「「ぐぁあああああ!!!」」
鼻で笑うとフォアリーフは、光魔法を唱えた。すると、フォアリーフを中心に白い輪が波紋状に広がり、ハナコとアルシアを吹き飛ばした。
「うっ……強すぎる……」
吹き飛ばされ、一分経ったのかアルシアを拘束していた黄色い光輝く輪は、消滅した。
「全然歯が立だないだぁ……」
満身創痍の二人。絶対に当たると思っていた攻撃を防がれ、精神的にも限界を迎えていた。
「あなた達との戦い、楽しかったわ。それじゃあ……お別れね」
「「…………っ!!!」」
死を覚悟した二人。そんな二人の側へと、フォアリーフがゆっくりと歩み寄る。
「…………あら?」
「「???」」
その時だった。フォアリーフの鼻から、血が流れて来たのだ。
「……これは……“鼻血”?」
フォアリーフは自身の鼻に指を当てて、鼻血の事を確かめながら首を傾げた。
「いったいどうし…………ごふっ!!」
「「!!?」」
突如として、フォアリーフが口から血を吹き出したのだ。
「な、何これ……どうしたと言うの……?」
「……そうか……そう言う事か……」
何かに気がついたのか、アルシアはフォアリーフの元へと歩み寄る。一方フォアリーフは、訳が分からず混乱していた。そして、近づいて来るアルシアに顔を向けた。
「この勝負、お前の負けだ。お前はもうすぐ…………死ぬ」
「!!?」
「ぞんな能力が存在ずるだなんで…………」
フォアリーフの能力に、ハナコとアルシアは言い知れぬ絶望を味わっていた。
「……いえ、寧ろ運が良かったのかもしれないわね…………」
「えっ?」
「もしも……皆と合流してから戦っていたら、あのフォアリーフは全員のステータスを兼ね備える事になっていたという訳よ…………」
「!!!」
真緒、サタニア、アーメイデ、各々が国家戦力に並ぶステータスを秘めている。そんな三人のステータスを兼ね備える事になれば、世界は瞬く間に支配されてしまうであろう。
「えぇ、その通りよ。あなた達には合流してから来て欲しかったけど、思った以上に合流しないから残念だった……でも、あなた達二人が来てくれたのは嬉しかった。特にスケルトンのあなた、あなたは他の四天王よりも飛び抜けて高いステータスを秘めていた」
「…………っ!!」
全員が合流しなかった事に関しては、運が良かった。しかし、四天王の中でも一番の実力者であるアルシアが戦う事になったのは運が悪かった。
「本当は、勇者と魔王に来て欲しかったけど、あの二人はエジタス様自らが相手をするらしいから我慢するわ」
「マオぢゃんが!?」
「エジタスちゃんが相手をするって……どういう意味よ!?」
フォアリーフの言葉に、強く反応を示す二人。
「そのままの意味よ。エジタス様は仰られていた……『勇者と魔王……あの二人は私が作り上げた……ならば、終わらせるのも私でなければならない……それこそが……創造した者の責務なのだ』……つまりエジタス様は、自らが築き上げた始まりを、自らの手で終わらせようとしているのよ!!」
「…………ふざけるなよ」
「アルシアざん…………」
アルシアの言葉遣いが変わる。
「魔王様を作り上げた……?じゃあ、魔王様の性格は作られた物だったのか…………違う!!魔王様の感情は作られた物だったのか…………違う!!魔王様は常に考えていた……魔王としての在り方……周囲からの重圧に苦しみながらも……必死に生きて来た!!確かに……エジタスと関わった事で、魔王様はよく笑う様になった。純粋な……とても純粋な笑顔だった……決して作られた笑顔なんかじゃない!!“創造した者の責務”?……魔王様は道具じゃねぇえええええええええええええ!!!」
アルシアの魂の叫び。言葉遣いが戻る程、エジタスの発言に怒りを覚えたのだ。
「…………アルシアざんの言う通りだぁ……マオぢゃんは明るぐで、いづも皆を楽じまぜようどじでいる。でも、ぞれ以上に心がどでも傷付ぎやずぐで……人一倍問題事を抱え込んでじまう……例えぞれが、エジタスざんに関わっだ事で変わっだ事だどじでも…………ぞんなマオぢゃんが、作り上げられだ存在だなんであり得ないだぁ!!心は……揺れ動ぐ物……エジタスざんであろうど、人の心を意図的に作り出ず事は出来ない!!!」
アルシアの叫びに触発されて、ハナコも魂の叫びを上げた。
「お前を倒して、エジタスに直接言ってやる!!」
「人の人生は、ぞう簡単に作り上げる事は出来ない!!」
覚悟を決めた。大切な者の為に、二人は戦う。例え、勝ち目の無い絶望的状況でも二人は足を止める事無く、フォアリーフへと近づいて行く。
「「うぉおおおおおおおおおお!!!」」
「…………“ペチャクチャペチャクチャ”……煩いわね……」
「「!!!」」
迫り来るハナコとアルシアに対して、フォアリーフは剣を横に一振りした。すると剣先から強い衝撃波が生まれ、ハナコとアルシア目掛けて放たれた。
「「ああああああ!!!」」
「私ね……そう言う馴れ合いが一番嫌いなの……」
突然の衝撃波に、ハナコとアルシアは吹き飛ばされてしまった。
「それとね、私はエジタス様から意図的に、心を作り上げられたのよ。勿論、道具としてね」
「そ、それを自覚していて……何故エジタスに肩入れするんだ!?」
「心を勝手に作り上げられで……辛ぐないんだがぁ……?」
「以前の私は……所有者を依存させる事でしか、自分の存在意義を証明出来なかった。そんな時、エジタス様と出会い私の中に自我という物が生まれた。自分で考え、行動する……私は自由を手に入れた。そんな今の私を作り上げて下さったエジタス様に、私なりの恩返しをしているのよ。だから、あなた達をここで始末する!!」
ハナコとアルシアの二人に、戦う理由がある様に、フォアリーフにも戦う明確な理由がある。フォアリーフは目にも止まらぬ速さで、ハナコとアルシアの二人に近づいて来る。
「スキル“真・裁きの剣”」
「「!!!」」
フォアリーフの剣が、眩い光に包まれる。そしてそのまま、ハナコとアルシア目掛けて薙ぎ払った。
「くっ!!」
咄嗟にアルシアは、両刀を使ってフォアリーフの斬激を防いだ。
「やっぱり強いわね……今の一撃を防ぐだなんて……でも、スキル“セーフティーリング”」
「しまっ……!!」
「アルシアざん!!」
アルシアは、斬激を防ぐのに夢中になってしまい、フォアリーフのスキルによって生成された、黄色い光輝く輪に捕らえられてしまった。
「驚いた?体を乗っ取る事で、その者のスキルや魔法を、そのまま使用する事が出来るのよ」
「うぐっ……動けない……」
「もう知っていると思うけど、何があろうとも一分間は身動きが取れないわよ」
「ぞれだっだら、オラが倒じでやるだぁ!!スキル“インパクト・ベア”!!」
身動きが取れないアルシアに代わって、ハナコがフォアリーフ目掛けてスキルを放った。
「スキル“罪の盾”」
「!!!」
しかし、フォアリーフのスキルにより半透明な盾が生成された。ハナコのスキルは、意図も簡単に受け止められてしまう。
「残念、少し遅かったわね。“子熊”ちゃん……スキル“セーフティーリング”」
「あっ…………」
「ハナコ!!スキル“黒縄地獄”!!」
「おわぁああああ!!?」
ハナコも、黄色い光輝く輪に捕らわれそうになったその時、アルシアが持っていた黒刀を指先だけで扱い、ハナコの影を操ると後方へと吹き飛ばした。
「……それで助けたつもり?一時的な避難にしか過ぎないわよ!!」
すると、フォアリーフは黄色い光輝く輪を動かして、ハナコを捕らえ様とする。
「ハナコ、避けろ!!」
「!!!」
アルシアの言葉に従い、ハナコは迫り来る黄色い光輝く輪から、逃げる様に駆け出した。
「逃がさないわよ!!」
「ぐっ!!……やぁ!!……どりゃ!!」
何としてでも捕らえ様とする、黄色い光輝く輪を必死で避けるハナコ。避けては逃げて、避けては逃げてを繰り返す。それに対してフォアリーフは、黄色い光輝く輪を動かして追い詰める。
「逃げ回っているだけじゃ、勝てないわよ?」
「……逃げでいないだぁ……」
「!!?」
気が付くと、ハナコとフォアリーフの距離が近づいていた。必死に避けながら、その間合いを詰めていたのだ。
「このまま一気に決めるだよぉ!!」
充分な距離へと近づいたハナコは、黄色い光輝く輪に追い付かれるよりも速くフォアリーフの元まで走って来た。
「スキル“インパクト・ベア”!!」
「スキル“罪の盾”」
だがしかし、ハナコの一撃もフォアリーフのスキルによって、意図も簡単に防がれてしまった。
「もうちょっとで一撃与えられていたのに、惜しかったわね“子熊”ちゃん」
「……オラの役目は……一撃与える事じゃない……ぞのスキルを使わぜる事だぁ……」
「何ですって!?」
「助かったぜハナコ……これで遠慮無く、一撃を与える事が出来る……」
「!!?」
フォアリーフが慌てて振り返ると、アルシアが黒刀を振り上げていた。
「あ、あり得ない!!まだ一分も経っていない筈……それなのに何故……なっ!!?」
フォアリーフの目に飛び込んで来たのは、信じられない光景だった。
「と、捕らえられたままですって!!?」
そう、アルシアは未だに捕らえられたまま、身動きが取れない状態であった。只少し違うのは、アルシアの左腕が無くなっており、その無くなった左腕を右手の指先で掴んでいた。つまり、黒刀を掴んでいる左腕を、右手の指先で振り上げていたのだ。
「俺はスケルトンなんだぜ?骨の取り外し位は余裕だ。スキル“大炎熱地獄”!!」
「行げぇえええええええええええ!!!」
黒刀を掴んでいる左腕が右手の指先によって、フォアリーフ目掛けて振り下ろされる。
「まさか……そんな手があっただなんて……見事だわ…………スキル“サンクチュアリ”」
「「!!?」」
その瞬間、フォアリーフは持っていた剣を地面に突き刺した。すると半透明でドーム状の膜が現れ、その身を守った。
「ふふふ、残念だったわね。“ホワイトサークル”」
「「ぐぁあああああ!!!」」
鼻で笑うとフォアリーフは、光魔法を唱えた。すると、フォアリーフを中心に白い輪が波紋状に広がり、ハナコとアルシアを吹き飛ばした。
「うっ……強すぎる……」
吹き飛ばされ、一分経ったのかアルシアを拘束していた黄色い光輝く輪は、消滅した。
「全然歯が立だないだぁ……」
満身創痍の二人。絶対に当たると思っていた攻撃を防がれ、精神的にも限界を迎えていた。
「あなた達との戦い、楽しかったわ。それじゃあ……お別れね」
「「…………っ!!!」」
死を覚悟した二人。そんな二人の側へと、フォアリーフがゆっくりと歩み寄る。
「…………あら?」
「「???」」
その時だった。フォアリーフの鼻から、血が流れて来たのだ。
「……これは……“鼻血”?」
フォアリーフは自身の鼻に指を当てて、鼻血の事を確かめながら首を傾げた。
「いったいどうし…………ごふっ!!」
「「!!?」」
突如として、フォアリーフが口から血を吹き出したのだ。
「な、何これ……どうしたと言うの……?」
「……そうか……そう言う事か……」
何かに気がついたのか、アルシアはフォアリーフの元へと歩み寄る。一方フォアリーフは、訳が分からず混乱していた。そして、近づいて来るアルシアに顔を向けた。
「この勝負、お前の負けだ。お前はもうすぐ…………死ぬ」
「!!?」
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