笑顔の絶えない世界~道楽の道化師の軌跡~

マーキ・ヘイト

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最終章 笑顔の絶えない世界

リーマ&ゴルガ VS エピロ(前編)

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 「…………以上が、私とエジタス様が初めて出会った麗しき思い出よ」



 「「…………」」



 リーマとゴルガは、驚きを隠せなかった。しかしそれは、エピロの壮絶な過去に対してでは無かった。



 「あら、どうしたの?」



 「エ、エピロさん……あなたは本当に……初めて会ったエジタスさんの言う事を信じて、里の人達を殺したんですか……?何の疑問を持たずに…………」



 「モシ、ソウダトシタラ……オマエハ、クルッテイル……」



 リーマとゴルガが驚いたのは、エピロの狂喜性であった。何処の誰かも分からない仮面の男の言う事を信じ、自分の育って来た里を皆殺しにするなど、とても正常な思考の持ち主とは思えなかった。



 「酷い言い草ねー、エジタス様は傷付いた私の心を癒してくれた唯一の人物、私の事を虐めるだけだった里の連中とは全く違う。言い換えれば命の恩人、そんな命の恩人に仕えるのは当然じゃない?」



 「そ、それは……そうかもしれませんが…………」



 「…………」



 エジタスが、裏で動いていた事を知らないリーマとゴルガは、何も言い返す事が出来なかった。また、同じ様に何も知らないエピロは、心の底からエジタスにその身を捧げている。



 「エジタス様の為、あなた達をここで始末させて貰うわ。悪く思わないでよね」



 「「!!!」」



 エピロの言葉に、リーマとゴルガは咄嗟に身構える。



 「私達だって、エピロさんを倒して先へ進みます!!」



 「ソシテ、ミナトゴウリュウヲハタシテ、センセイノモトニイクノダ!!」



 「“先生”…………?」



 その瞬間、エピロの姿が突如として消え去った。



 「「!!?」」



 「お前程度のゴーレムが…………」



 「ゴルガさん後ろ!!」



 いつの間にか、ゴルガの背後に回り込んでいたエピロ。リーマが逸早く気が付き、ゴルガに向かって叫んだ。



 「エジタス様の事を“先生”と呼ぶな!!!」



 「シ、シマッ……!!?」



 「“少雷弾”」



 完全に不意を突かれた。エピロは、ゴルガに十本の指を向け魔法を唱えた。すると、エピロの十本の指先から電気を帯びた無数の弾が、ゴルガ目掛けて放たれた。



 「グッ……ガァアアアアア!!!」



 「ゴルガさん!!」



 無数の弾を浴びたゴルガは、倒れこそはしなかったが、そのまま後退りをした。



 「大丈夫ですか!?」



 「ア、アァ……オレハゴーレムデ、キホンテキニハ、ガンセキデツクラレテイル……ダカラデンキハトオサナイ……ト、オモッテイタノダガナ……」



 「!!…………これは……」



 リーマが心配し駆け寄ると、ゴルガの体は炎を押し当てたかの様に、焦げ後が付いていた。また、その影響でゴルガの体の一部が崩れ落ちていた。



 「ふふふ……エジタス様の事を“先生”なんて呼んだ報いよ」



 「キヲツケロ……ドウヤラアノカミナリマホウハ、タダシビレサセルダケジャナイヨウダ…………」



 「……ゴルガさんは、しばらく休んでいて下さい。ここは私が引き受けます!!」



 そう言いながら、リーマは懐から魔導書を取り出して開いた。



 「あら、あなたが戦うの?」



 「エピロさんは魔法使い……それなら、同じ魔法使いである私が相手に相応しい筈です!!“スネークフレイム”!!」



 するとリーマの魔導書から、炎で形成された蛇が生み出され、エピロに放たれる。



 「成る程……目には目を、歯には歯を、魔法使いには魔法使いを……という事……確かに、常人の魔法使いなら通じていたかもしれない。だけど私をそこらにいる魔法使いと、一緒にして欲しく無いわね!!」



 するとエピロは、リーマから放たれた炎の蛇を意図も簡単に避けて見せると同時に、姿を消し去ってしまった。



 「!!!」



 リーマは、エピロが何処から現れるのか、必死になりながら辺りを警戒する。



 「右……左……いや、上!!?」



 左右から現れないエピロ、それに対してリーマは上にいると読み取り、急いで見上げた。



 「気づくのがちょっと、遅かったわねー“少雷弾”」



 見上げるとそこには、エピロがリーマの真上にいた。エピロは十本の指をリーマに向けて、先程と同じ魔法を唱えた。すると十本の指先から、電気を帯びた無数の弾がリーマ目掛けて放たれた。



 「ああああ!!!」



 「リーマ!!!」



 一瞬反応が遅れたリーマは、エピロから放たれた無数の弾を浴びてしまった。



 「うぅ…………」



 全身に電流が流れる。痺れるという感覚を通り越して、痛いと感じていた。



 「リーマ、ダイジョウブカ?」



 「ゴルガさん……すみません……油断してしまいました……」



 「あらあら、傷の舐め合い?他人の心配より、自分達の心配をした方が良いんじゃない?」



 「「!!!」」



 リーマとゴルガの二人、お互いに心配し合っていると、エピロが追撃とばかりに襲い掛かって来た。



 「“少雷弾”」



 「アブナイ!!」



 「ゴルガさん!?」



 エピロの指先から放たれる、電気を帯びた無数の弾に対して、ゴルガがリーマを庇った。



 「グッ……ウグッ……!!」



 「ゴルガさん!!」



 ゴルガは、エピロから放たれた無数の弾をまともに浴びてしまった。その結果、ゴルガはその場で膝をついた。



 「ナゼダ……ナゼダメージヲウケル……オレハゴーレム……ガンセキデツクラレテイル……デンキヲトオスハズガナイ……」



 「ふふふ、教えてあげましょうか?」



 ゴルガは、自身が岩石で造られたゴーレムな為、電気を通す訳が無いと思っていた。しかし、実際こうして傷を負ってしまっている。その疑問に、エピロ本人が答えてくれた。



 「本来雷は、二万度を軽く越すと言われている。だけどそれは実際の温度では無く、空中放電した場合の放電路でそれだけの温度になる場所があるという意味、瞬間的に熱された空気は、音速を超えて一気に膨張し今度は温度が下がる。けど、それはあくまで自然発生した雷の場合、私の雷魔法は瞬間的に熱せられた空気を、ある程度まで意図的に維持させる事が出来るのよ!!!」



 「そうか……それでゴルガさんの体は、まるで炎に焼かれたかの様に…………」



 エピロの雷魔法は、自然発生した雷とは異なり人為的な物。その為、エピロの思い通りに操る事が出来るのだ。



 「……マサカ、タッタヒトリニ……ココマデ、オイツメラレルトハナ……」



 「電気だけでも厄介なのに、その熱まで自由に操れるだなんて……私達は勝てるのでしょうか…………」



 圧倒的な速さに、圧倒的な攻撃力、リーマとゴルガの二人に言い知れぬ絶望感が押し寄せる。



 「さぁ……説明も済んだ所で、続き……始めましょうか?」
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