84 / 300
番外編 魔王城のとある一日
魔王城への帰還
しおりを挟む
これは、真緒達の冒険の途中エジタスが、魔王であるサタニアと一週間に一度会いに行くという約束の時に起こった、様々な出来事である。
「~~~♪~~♪~~~♪」
魔王城自室。サタニアは鼻歌を歌いながら、楽しそうに今日着る服を選んでいた。
「エジタスは、どんな服が好きなのかな?」
サタニアの目の前には、幾つかの種類に分けられた色とりどりの服が揃えられていた。
「やっぱり、赤かな?」
そう言うとサタニアは、その中でも一際目立つ赤を基調とした、赤と黒の二色を使った服を手に取った。
「うーん、少し派手かもしれないな?」
「あらー、そう?あたしはその色、好きよ」
「…………うわぁあああ!!アルシア、いつの間に!」
声がすると思った矢先、サタニアの背後から覗く形でアルシアが立っていた。
「おほほほ、何だか今日魔王ちゃんはやけにめかし込んでいる様じゃない?いつもは、おしゃれになんて興味すら無いのに……」
「…………だ、だって」
「?」
「だって今日はエジタスが帰ってくる日だから、どうせならちゃんとした格好でお迎えしたいなって思って…………」
サタニアはまるで恋する乙女の様に、指をもじもじとさせる。しかし、忘れてはいけないが、サタニアは“男”だ。
「分かるわー!その気持ち!!好きな人の前では、いつも以上の姿で会いたい…………魔王ちゃんは、本当にエジタスちゃんが好きなのね」
「そ、そんな僕は只少しでもエジタスが喜んでくれたら良いなって…………それにやっぱり間違ってるよ、男なのに男が好きだなんて…………」
「…………」
俯き、思い詰めてしまったサタニアを見かねて、アルシアがサタニアの両肩に手を乗せた。そして、骸骨で目は無いがしっかりと見つめ合い、話始める。
「魔王ちゃん…………前にも言ったと思うけど、恋をするのに年齢や種族や性別は関係ないわ。だって、恋愛は自由なんですもの!年齢が離れすぎてるから駄目、種族が違うから駄目、性別が同じだから駄目、そんな考え誰が決めたの?皆がそうだから、自分もそうしなくてはならない。そんなの不公平じゃない!!周りに合わせなくていい、魔王ちゃんは魔王ちゃん自身の心に正直になれば良いのよ」
「アルシア…………」
長々と語ったアルシアの言葉は、サタニアの心に染み込んだ。今まで縛り付けていた恋愛という名の鎖が解かれた瞬間である。
「まぁあたしの場合、男か女かは分からないのよねー。だってスケルトンだから!」
「…………ぷっ、あはははは」
アルシアのちょっとした冗談に、思わず笑ってしまうサタニア。
「それで…………どう?魔王ちゃんは、エジタスちゃんの事が好き?」
「…………うん、僕やっぱりエジタスが好き。この気持ちをエジタスに伝えたい!」
サタニアは両手を胸に当て、自身の思いを口にした。
「それなら、やる事は一つ……告白よ」
「え…………ええーーー!!」
まさかの言葉に、サタニアの顔は赤く染まった。暑すぎるのか、頭から湯気が見える程であった。
「そそ、そんなき、急にこ、告白って言われても…………」
「勿論、今すぐなんて野暮な事は言わないわ。恋愛に最も大切なのはね、“時間”なのよ」
「時間…………?」
いまいちピンときていないサタニアに、アルシアが分かりやすく教える。
「時間があれば、好きな人の事を知る事が出来る。時間があれば、告白の言葉も考えられる。時間があれば、今日着ていく服も決められる。つまり時間は、恋愛においての下準備という事よ」
「時間があれば…………」
「ゆっくりでいい、魔王ちゃんの恋愛は始まったばかりなんだから」
恋愛は、どれだけ相手と距離を縮められるのかが重要である。その為、それに費やす時間は最も大切なのだ。
「ありがとうアルシア。僕、頑張ってみるよ!」
「その意気よ魔王ちゃん!あと、微力ながらあたしも手伝うわ。こう見えても、おしゃれにはうるさいのよ!」
そう言うとアルシアは指をパチンと鳴らした。すると、何処からともなく数匹のスケルトンが現れ、その手には多種多様な服が握られていた。
「さぁ、エジタスちゃんが帰ってくるまでそんなに時間が無いわ!急いで今日着ていく服を選びましょう!」
「うん!」
こうして、エジタスが帰ってくるまでの短い間、アルシアによるサタニア大変身プログラムは執り行われたのである。
***
魔王城玉座の間。玉座の前では、服選びを終えたサタニアとアルシア、四天王であるシーラとゴルガ、そしてクロウトの五人が集まっていた。
「…………ねぇ、アルシア?」
「どうしたの魔王ちゃん?」
「この服…………変じゃないかな?」
アルシアが選び出したサタニアの服装は、薄い黄緑色のワンピース、その下から白いレーススカートが見え隠れする。はっきり言おう、完全に女の子の格好である。
「そんな事無いわよー、とっても似合っているわ。ねぇ、皆?」
「ああ、良く似合っていると思います」
「ニアッテイマス」
「とても綺麗ですよ魔王様、“あの男”には勿体無い位…………」
シーラとゴルガは好意的な返事をするが、クロウトだけは何処か不機嫌な様子が見てとれた。
「そっか、それなら良かった」
「(…………正直な所、まさかここまで似合うだなんて思っても見なかった。流石は魔王ちゃんね……)」
女子顔負けのその格好は、長年おしゃれについて研究してきたアルシアを唸らせる程であった。
「…………そろそろの筈です」
クロウトは、地平線の向こうからゆっくりと顔を出す太陽を見ながら、呟いた。
「それにしても、エジタスちゃんも律儀よね。日の出と共に帰ってくるなんて言うんだから…………」
「けっ、カッコつけやがって……」
「センセイハ、ロマンチスト」
「ゴルガ様、そんな言葉何処で覚えたんですか?」
「私が教えたんですよ~、もっと流暢に話せたら良いな~って思って教えました~」
「「「「「!!?」」」」」
声のする方向を見ると、そこにはいつもと変わらない姿のエジタスが立っていた。
「あら、お帰りなさいエジタスちゃん」
「いつもながら、卑怯じみた能力してるな」
「サスガハ、センセイ…………」
「エジタス様、今度からは背後に立つのは控えて頂けますか?こちらもびっくりしてしまうので……」
「いや~すみません、つい驚かしたくなってしまって…………おや?」
帰ってきたエジタスが早々に怒られていると、アルシアの後ろに隠れるサタニアが視界に入った。
「ほら…………魔王ちゃん……」
アルシアが小声でサタニアに声を掛けると、エジタスの前へと押し出した。
「あ、あ……ひ、久しぶりだねエジタス…………」
「おお~これはこれは、サタニアさん。久しぶりと言っても、一週間振りなのでそこまで久しぶりではありませんよ。それよりも、いつもより可愛らしい服装で私驚きましたよ~!」
「!!ほ、ほんと!?」
「勿論ですとも~」
エジタスから服装の事を誉めて貰い、嬉しいサタニアは手伝ってくれたアルシアに目を向ける。アルシアは、親指をグッと立て意思表示をした。
「エジタス…………おかえりなさい!」
「はい、ただいま帰りましたよ~」
サタニアとアルシアのエジタスを出迎えるおしゃれ大作戦は、見事成功を納めたのであった。
「~~~♪~~♪~~~♪」
魔王城自室。サタニアは鼻歌を歌いながら、楽しそうに今日着る服を選んでいた。
「エジタスは、どんな服が好きなのかな?」
サタニアの目の前には、幾つかの種類に分けられた色とりどりの服が揃えられていた。
「やっぱり、赤かな?」
そう言うとサタニアは、その中でも一際目立つ赤を基調とした、赤と黒の二色を使った服を手に取った。
「うーん、少し派手かもしれないな?」
「あらー、そう?あたしはその色、好きよ」
「…………うわぁあああ!!アルシア、いつの間に!」
声がすると思った矢先、サタニアの背後から覗く形でアルシアが立っていた。
「おほほほ、何だか今日魔王ちゃんはやけにめかし込んでいる様じゃない?いつもは、おしゃれになんて興味すら無いのに……」
「…………だ、だって」
「?」
「だって今日はエジタスが帰ってくる日だから、どうせならちゃんとした格好でお迎えしたいなって思って…………」
サタニアはまるで恋する乙女の様に、指をもじもじとさせる。しかし、忘れてはいけないが、サタニアは“男”だ。
「分かるわー!その気持ち!!好きな人の前では、いつも以上の姿で会いたい…………魔王ちゃんは、本当にエジタスちゃんが好きなのね」
「そ、そんな僕は只少しでもエジタスが喜んでくれたら良いなって…………それにやっぱり間違ってるよ、男なのに男が好きだなんて…………」
「…………」
俯き、思い詰めてしまったサタニアを見かねて、アルシアがサタニアの両肩に手を乗せた。そして、骸骨で目は無いがしっかりと見つめ合い、話始める。
「魔王ちゃん…………前にも言ったと思うけど、恋をするのに年齢や種族や性別は関係ないわ。だって、恋愛は自由なんですもの!年齢が離れすぎてるから駄目、種族が違うから駄目、性別が同じだから駄目、そんな考え誰が決めたの?皆がそうだから、自分もそうしなくてはならない。そんなの不公平じゃない!!周りに合わせなくていい、魔王ちゃんは魔王ちゃん自身の心に正直になれば良いのよ」
「アルシア…………」
長々と語ったアルシアの言葉は、サタニアの心に染み込んだ。今まで縛り付けていた恋愛という名の鎖が解かれた瞬間である。
「まぁあたしの場合、男か女かは分からないのよねー。だってスケルトンだから!」
「…………ぷっ、あはははは」
アルシアのちょっとした冗談に、思わず笑ってしまうサタニア。
「それで…………どう?魔王ちゃんは、エジタスちゃんの事が好き?」
「…………うん、僕やっぱりエジタスが好き。この気持ちをエジタスに伝えたい!」
サタニアは両手を胸に当て、自身の思いを口にした。
「それなら、やる事は一つ……告白よ」
「え…………ええーーー!!」
まさかの言葉に、サタニアの顔は赤く染まった。暑すぎるのか、頭から湯気が見える程であった。
「そそ、そんなき、急にこ、告白って言われても…………」
「勿論、今すぐなんて野暮な事は言わないわ。恋愛に最も大切なのはね、“時間”なのよ」
「時間…………?」
いまいちピンときていないサタニアに、アルシアが分かりやすく教える。
「時間があれば、好きな人の事を知る事が出来る。時間があれば、告白の言葉も考えられる。時間があれば、今日着ていく服も決められる。つまり時間は、恋愛においての下準備という事よ」
「時間があれば…………」
「ゆっくりでいい、魔王ちゃんの恋愛は始まったばかりなんだから」
恋愛は、どれだけ相手と距離を縮められるのかが重要である。その為、それに費やす時間は最も大切なのだ。
「ありがとうアルシア。僕、頑張ってみるよ!」
「その意気よ魔王ちゃん!あと、微力ながらあたしも手伝うわ。こう見えても、おしゃれにはうるさいのよ!」
そう言うとアルシアは指をパチンと鳴らした。すると、何処からともなく数匹のスケルトンが現れ、その手には多種多様な服が握られていた。
「さぁ、エジタスちゃんが帰ってくるまでそんなに時間が無いわ!急いで今日着ていく服を選びましょう!」
「うん!」
こうして、エジタスが帰ってくるまでの短い間、アルシアによるサタニア大変身プログラムは執り行われたのである。
***
魔王城玉座の間。玉座の前では、服選びを終えたサタニアとアルシア、四天王であるシーラとゴルガ、そしてクロウトの五人が集まっていた。
「…………ねぇ、アルシア?」
「どうしたの魔王ちゃん?」
「この服…………変じゃないかな?」
アルシアが選び出したサタニアの服装は、薄い黄緑色のワンピース、その下から白いレーススカートが見え隠れする。はっきり言おう、完全に女の子の格好である。
「そんな事無いわよー、とっても似合っているわ。ねぇ、皆?」
「ああ、良く似合っていると思います」
「ニアッテイマス」
「とても綺麗ですよ魔王様、“あの男”には勿体無い位…………」
シーラとゴルガは好意的な返事をするが、クロウトだけは何処か不機嫌な様子が見てとれた。
「そっか、それなら良かった」
「(…………正直な所、まさかここまで似合うだなんて思っても見なかった。流石は魔王ちゃんね……)」
女子顔負けのその格好は、長年おしゃれについて研究してきたアルシアを唸らせる程であった。
「…………そろそろの筈です」
クロウトは、地平線の向こうからゆっくりと顔を出す太陽を見ながら、呟いた。
「それにしても、エジタスちゃんも律儀よね。日の出と共に帰ってくるなんて言うんだから…………」
「けっ、カッコつけやがって……」
「センセイハ、ロマンチスト」
「ゴルガ様、そんな言葉何処で覚えたんですか?」
「私が教えたんですよ~、もっと流暢に話せたら良いな~って思って教えました~」
「「「「「!!?」」」」」
声のする方向を見ると、そこにはいつもと変わらない姿のエジタスが立っていた。
「あら、お帰りなさいエジタスちゃん」
「いつもながら、卑怯じみた能力してるな」
「サスガハ、センセイ…………」
「エジタス様、今度からは背後に立つのは控えて頂けますか?こちらもびっくりしてしまうので……」
「いや~すみません、つい驚かしたくなってしまって…………おや?」
帰ってきたエジタスが早々に怒られていると、アルシアの後ろに隠れるサタニアが視界に入った。
「ほら…………魔王ちゃん……」
アルシアが小声でサタニアに声を掛けると、エジタスの前へと押し出した。
「あ、あ……ひ、久しぶりだねエジタス…………」
「おお~これはこれは、サタニアさん。久しぶりと言っても、一週間振りなのでそこまで久しぶりではありませんよ。それよりも、いつもより可愛らしい服装で私驚きましたよ~!」
「!!ほ、ほんと!?」
「勿論ですとも~」
エジタスから服装の事を誉めて貰い、嬉しいサタニアは手伝ってくれたアルシアに目を向ける。アルシアは、親指をグッと立て意思表示をした。
「エジタス…………おかえりなさい!」
「はい、ただいま帰りましたよ~」
サタニアとアルシアのエジタスを出迎えるおしゃれ大作戦は、見事成功を納めたのであった。
0
お気に入りに追加
25
あなたにおすすめの小説
狼の子 ~教えてもらった常識はかなり古い!?~
一片
ファンタジー
バイト帰りに何かに引っ張られた俺は、次の瞬間突然山の中に放り出された。
しかも体をピクリとも動かせない様な瀕死の状態でだ。
流石に諦めかけていたのだけど、そんな俺を白い狼が救ってくれた。
その狼は天狼という神獣で、今俺がいるのは今までいた世界とは異なる世界だという。
右も左も分からないどころか、右も左も向けなかった俺は天狼さんに魔法で癒され、ついでに色々な知識を教えてもらう。
この世界の事、生き延び方、戦う術、そして魔法。
数年後、俺は天狼さんの庇護下から離れ新しい世界へと飛び出した。
元の世界に戻ることは無理かもしれない……でも両親に連絡くらいはしておきたい。
根拠は特にないけど、魔法がある世界なんだし……連絡くらいは出来るよね?
そんな些細な目標と、天狼さん以外の神獣様へとお使いを頼まれた俺はこの世界を東奔西走することになる。
色々な仲間に出会い、ダンジョンや遺跡を探索したり、何故か謎の組織の陰謀を防いだり……。
……これは、現代では失われた強大な魔法を使い、小さな目標とお使いの為に大陸をまたにかける小市民の冒険譚!
召喚アラサー女~ 自由に生きています!
マツユキ
ファンタジー
異世界に召喚された海藤美奈子32才。召喚されたものの、牢屋行きとなってしまう。
牢から出た美奈子は、冒険者となる。助け、助けられながら信頼できる仲間を得て行く美奈子。地球で大好きだった事もしつつ、異世界でも自由に生きる美奈子
信頼できる仲間と共に、異世界で奮闘する。
初めは一人だった美奈子のの周りには、いつの間にか仲間が集まって行き、家が村に、村が街にとどんどんと大きくなっていくのだった
***
異世界でも元の世界で出来ていた事をやっています。苦手、または気に入らないと言うかたは読まれない方が良いかと思います
かなりの無茶振りと、作者の妄想で出来たあり得ない魔法や設定が出てきます。こちらも抵抗のある方は読まれない方が良いかと思います
うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。
〈完結〉妹に婚約者を獲られた私は実家に居ても何なので、帝都でドレスを作ります。
江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」テンダー・ウッドマンズ伯爵令嬢は両親から婚約者を妹に渡せ、と言われる。
了承した彼女は帝都でドレスメーカーの独立工房をやっている叔母のもとに行くことにする。
テンダーがあっさりと了承し、家を離れるのには理由があった。
それは三つ下の妹が生まれて以来の両親の扱いの差だった。
やがてテンダーは叔母のもとで服飾を学び、ついには?
100話まではヒロインのテンダー視点、幕間と101話以降は俯瞰視点となります。
200話で完結しました。
今回はあとがきは無しです。
【完結】実家に捨てられた私は侯爵邸に拾われ、使用人としてのんびりとスローライフを満喫しています〜なお、実家はどんどん崩壊しているようです〜
よどら文鳥
恋愛
フィアラの父は、再婚してから新たな妻と子供だけの生活を望んでいたため、フィアラは邪魔者だった。
フィアラは毎日毎日、家事だけではなく父の仕事までも強制的にやらされる毎日である。
だがフィアラが十四歳になったとある日、長く奴隷生活を続けていたデジョレーン子爵邸から抹消される運命になる。
侯爵がフィアラを除名したうえで専属使用人として雇いたいという申し出があったからだ。
金銭面で余裕のないデジョレーン子爵にとってはこのうえない案件であったため、フィアラはゴミのように捨てられた。
父の発言では『侯爵一家は非常に悪名高く、さらに過酷な日々になるだろう』と宣言していたため、フィアラは不安なまま侯爵邸へ向かう。
だが侯爵邸で待っていたのは過酷な毎日ではなくむしろ……。
いっぽう、フィアラのいなくなった子爵邸では大金が入ってきて全員が大喜び。
さっそくこの大金を手にして新たな使用人を雇う。
お金にも困らずのびのびとした生活ができるかと思っていたのだが、現実は……。
【完結】では、なぜ貴方も生きているのですか?
月白ヤトヒコ
恋愛
父から呼び出された。
ああ、いや。父、と呼ぶと憎しみの籠る眼差しで、「彼女の命を奪ったお前に父などと呼ばれる謂われは無い。穢らわしい」と言われるので、わたしは彼のことを『侯爵様』と呼ぶべき相手か。
「……貴様の婚約が決まった。彼女の命を奪ったお前が幸せになることなど絶対に赦されることではないが、家の為だ。憎いお前が幸せになることは赦せんが、結婚して後継ぎを作れ」
単刀直入な言葉と共に、釣り書きが放り投げられた。
「婚約はお断り致します。というか、婚約はできません。わたしは、母の命を奪って生を受けた罪深い存在ですので。教会へ入り、祈りを捧げようと思います。わたしはこの家を継ぐつもりはありませんので、養子を迎え、その子へこの家を継がせてください」
「貴様、自分がなにを言っているのか判っているのかっ!? このわたしが、罪深い貴様にこの家を継がせてやると言っているんだぞっ!? 有難く思えっ!!」
「いえ、わたしは自分の罪深さを自覚しておりますので。このようなわたしが、家を継ぐなど赦されないことです。常々侯爵様が仰っているではありませんか。『生かしておいているだけで有難いと思え。この罪人め』と。なので、罪人であるわたしは自分の罪を償い、母の冥福を祈る為、教会に参ります」
という感じの重めでダークな話。
設定はふわっと。
人によっては胸くそ。
異世界転生はもう飽きた。100回転生した結果、レベル10兆になった俺が神を殺す話
もち
ファンタジー
なんと、なんと、世にも珍しい事に、トラックにはねられて死んでしまった男子高校生『閃(セン)』。気付いたら、びっくり仰天、驚くべき事に、異世界なるものへと転生していて、
だから、冒険者になって、ゴブリンを倒して、オーガを倒して、ドラゴンを倒して、なんやかんやでレベル300くらいの時、寿命を迎えて死んだ。
で、目を覚ましたら、記憶と能力を継いだまま、魔物に転生していた。サクっと魔王になって世界を統治して、なんやかんやしていたら、レベル700くらいの時、寿命を迎えて死んだ。
で、目を覚ましたら……というのを100回くりかえした主人公の話。
「もういい! 異世界転生、もう飽きた! 何なんだよ、この、死んでも死んでも転生し続ける、精神的にも肉体的にもハンパなくキツい拷問! えっぐい地獄なんですけど!」
これは、なんやかんやでレベル(存在値)が十兆を超えて、神よりも遥かに強くなった摩訶不思議アドベンチャーな主人公が、
「もういい! もう終わりたい! 終わってくれ! 俺、すでにカンストしてんだよ! 俺、本気出したら、最強神より強いんだぞ! これ以上、やる事ねぇんだよ! もう、マジで、飽きてんの! だから、終わってくれ!」
などと喚きながら、その百回目に転生した、
『それまでの99回とは、ちょいと様子が違う異世界』で、
『神様として、日本人を召喚してチートを与えて』みたり、
『さらに輪をかけて強くなって』しまったり――などと、色々、楽しそうな事をはじめる物語です。
『世界が進化(アップデート)しました』
「え? できる事が増えるの? まさかの上限解放? ちょっと、それなら話が違うんですけど」
――みたいな事もあるお話です。
しょうせつかになろうで、毎日2話のペースで投稿をしています。
2019年1月時点で、120日以上、毎日2話投稿していますw
投稿ペースだけなら、自信があります!
ちなみに、全1000話以上をめざしています!
なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた
下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。
ご都合主義のハッピーエンドのSSです。
でも周りは全くハッピーじゃないです。
小説家になろう様でも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる