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~陛下視点~(語り)

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7才の頃…出会った君にわたしはすぐに恋をした。

溢れるような笑顔が眩しくて…イタズラをしようときらきらした瞳が可愛くて、泣き虫なソフィが叱られて泣いているのを慰めたくて。

ただ…ソフィに会いたくて。

わたしは毎日のように城を抜け出しては、ソフィに会いにいった。

…幸せだった。あの頃が一番。隣にソフィが居てわたしに笑いかけてくれる、それだけでいいと本当に思っていたんだ。

だが…ソフィの母君が亡くなり、悲しんでいるだろう彼女の支えになりたくてわたしは何度も会いにいった。けれど…彼女が家から出て来てくれることはなかった。門前払いされても毎日会いに行って…どれだけの月日が経ったか…君が出てきてくれたんだ。

そのとき、ソフィは言ったんだ。はじめまして、王子…と。

忘れられたことは辛かった。だが、辛い記憶を閉じ込めて全部忘れたのだろうと分かったから…わたしは彼女に挨拶した。

はじめまして、ソフィーナ嬢。わたしと友達になって頂けませんか?

また一から思い出を作ればいい。そう自分にいい聞かせて。


笑わなくなった彼女を支えようと、それからまたわたしは頻回に会いにいった。少しずつわたしにも感情を見せてくれるようになった。
だが、笑わなくなった理由は母君の死だけではなかった。彼女の実の父である公爵はソフィを見なくなった。それが…彼女から笑顔を奪っていた。

まだ幼かったわたしは彼女の側にいることしか出来なくて、ただ時間が流れていった。

10才のとき、ソフィが怪我をしたと、療養を理由に会うのを断られる日々が続いた。心配しながらも、彼女に見舞いの花束や手紙を何度も送った。
それから彼女が回復した知らせを聞いて、急いで彼女に会いに行ったら……まるでソフィは別人のようだった。

そしてまた、あの言葉を口にしたんだ。はじめまして、皇太子殿下…と。

どうして…そんな思いで彼女の後ろに控える侍女のミランダに視線を向けるも彼女は応えてくれず、視線を下げたままだった。

それでも、なんとか彼女との交流を止めたくないと…また自分の気持ちに蓋をして、ソフィと関係を築いていった。

けれどまた…彼女が倒れたと連絡を受け会えなくなった。まさか……そんな考えが頭をよぎった。

そしてまた、彼女は口にしたんだ、あの言葉を。

わたしはミランダを捕まえ、問い質した。

どうして…彼女はまた記憶を失っているんだ!と。
ミランダはしばらく悩んだ後、わたしに教えくれた。公爵が自分が公爵で居続けるために手を回してソフィを害していると。いつか…殺されるかも知れない…と。

わたしは憤慨した。すぐに公爵に問い質そうと足を向けようとしたら、ミランダに止められてしまった。それではソフィの心が壊れてしまうと。母君を亡くし、心を閉ざしてしまったソフィ。唯一の肉親である父まで失ったら……。

わたしは考えた。どうしたらソフィを守れるか。
そして導きだされたのはソフィを王妃とすることだった。彼女が王妃になれば、後継のいない公爵家ではソフィの子が成人するまで現公爵が務めることになる。
只の問題の先送りだが…これで公爵の憂いはなくなるはずだ。

けれど、そこでまた問題が生じた。自分が王妃に…娘を王妃にさせたい者たちが嫌がらせを始めたんだ。

ソフィは強かった。いや、弱さを見せなかった。
王妃教育に耐え抜き、わたしの婚約者として人前に出るときも毅然とした態度で婚約者を努めあげた。

そして18歳でわたしたちは式を挙げ王と王妃となった。ソフィの毅然とした態度と王妃として手腕に一時期は嫌がらせも止んでいた。それにわたしはほっとしたんだ。

だが…それから4年わたしたちに子はできなかった。
3年たった頃、わたしに側妃をという声が上がるようになった。ソフィ以外を娶る?冗談じゃない!
そんな貴族たちの声を突っぱねていたとき、ソフィが側妃を迎えるように言ってきた。リストも作ってきたと渡されたその紙には子爵から公爵までいろんな年代の少女たちの名が連なっていた。

やめてくれ!わたしはソフィ以外を娶る気はない、そう何度も説得すると、ならばまずは愛人から…と薦めてきた。
会うだけでも…とソフィにセッティングされたお茶会で初めて会ったのは5歳年上の未亡人だった。

その女性から聞いたのは…若い女性たちからソフィへの嫌がらせが続いていること。子に恵まれないことで貴族たちも先を憂い、ソフィを責めているとのことだった。この前のリストも高位貴族がソフィに渡したものだったと。

愛人に子を産ませ、ソフィーナ様が育てればよいのです。王子でも、王女でも…子が出来れば少なくとも貴族からのソフィーナ様の圧力はなくなるでしょう。

そう言われて、わたしは渋々その話に乗ることにした。
だが…下世話な話だが、その女性とは出来なかったんだ。若い方がいいのかと他の娘を紹介されたが…ダメだった。
わたしはソフィじゃなきゃだめなんだ。そう自分では再認識されたが…貴族たちは違った。あの娘にも会ったなら家の娘にも会うだけでも!と収集が着かなくなってしまった。

会っていた女性たちに矛先が向きそうになり、わたしは貴族たちの娘と会う機会を設けた。その後何人もの娘たちと会って断るようにしていたが、パーティーなどで彼女たちはわたしに侍るようになった。

そんなとき、ソフィが懐妊した。第一王子であるシリウスが誕生してから、すぐに、ルイス、その二年後にはアレンも誕生した。

これで貴族の憂いもなくなっただろうと、わたしは愛するソフィと愛する子供たちに囲まれる幸せを噛み締めていた。

だが、ソフィは子は産んだのだから…と子供たちを乳母に預け、その腕に抱くこともなかった。

ソフィは子供が嫌いだったのか…?それでも、産んでくれたことにわたしは感謝しかなかった。

そのときの気持ちをソフィに聞くこともなく、わたしたちの歯車は狂っていった。
ソフィはわたしとの面会も子供たちとの面会も避け、部屋に閉じ籠るようになった。

何度扉の前で理由を訪ねても、気分が優れない、それだけの返答で王妃としての仕事はきちんとこなしてくれていた。

理由がわからず戸惑ったが、医師に診察させるが体調は変わりないと聞き…話してくれるまで待つことにした。

3週間ほど過ぎて夜会でまた令嬢たちに囲まれ話し相手をしていると…ソフィが会場に入ってきた。気分が良くなったのかとソフィに話しかけようとすると…娘たちは目に見えてソフィを嘲笑し始めた。用済みの王妃さま…と。
どうやら、彼女たちの中ではわたしがソフィに会わなくなったと間違って伝わっているようで…わたしは訂正しようと口を開くと…

「あら。皆様ごきげんよう。役目はちゃんと果たしたでしょう?子は三人も為したのだから貴方たちに笑われる筋合いはないわ。
陛下とわたくしの間に愛なんてないもの。どのように聞いているのか知らないけれど…陛下と仲が悪いわけじゃないのよ?会う必要がなくなっただけだもの。」

なに…を…言ってるんだ…?愛はなかった…?
会う必要がない…?

愛するソフィから次々と発せられる言葉に、困惑し…胸が引き裂かれそうな痛みが走った。

言い終わるとソフィはやっとわたしと視線を合わせた。いままでにない冷たい瞳で。

「陛下、彼女たちは愛人かしら…?作るのは勝手ですけれど、ちゃんと手綱を握っていたくださいね。それでは…わたくしはこれで。」

そう言い残し一礼すると、彼女は高位貴族たちに挨拶にいった。

馬鹿にされたと怒る娘たちは口々に不満を口にしているが…それを宥める余裕もなく呆然とソフィを目で追っていた。

後日愛人はいないと…ソフィを愛していると話したが…

わたくしは義務で王妃となり、子を産んだだけ、、、子をなしても彼女たちからの嫌がらせはなくならないし、娘可愛さに貴族たちからの圧力もなくならない。面倒だから愛人になさるならなさるで陛下がどうにかしてください。

そう無機質に淡々とした声で返された。

落胆、怒り、虚しさ…それらがわたしの心を支配して…わたしは愛人を作った。キスをし、甘い嘘の言葉を囁いた。身体の関係は持てないが、それだけでも彼女たちといる時間は虚しさを忘れられた。

あんなに愛しいと思っていた子供たちとも、会うとソフィの言葉が蘇って…どんどん会わなくなっていった。あの子達に寂しい想いをさせているだろうと分かっていても、会いに行くことができなかった。

そうしてソフィとは政務で会うだけの付き合いになって年月だけが過ぎて…またソフィが記憶を失って……。王妃は昔のソフィになった。

昔のように天真爛漫な彼女にわたしの心は高鳴った。
もしかしたら…また、ソフィとあの頃のような関係になれるのではないか…そんな希望が沸き上がったが、同時に底辺まで堕落した自分を思い知った。

あの頃のようにもう一度友達になど…なれるはずもない。わたしは王で、ソフィはもう王妃なのだから。そして…何十人もいる自分の愛人たち。

そんな状態でやり直したいなど、言えるだろうか。

はやる気持ちを押し止めて、わたしはソフィに嫌がらせを続けるものたちを排除することに全力を注いだ。シリウスもまた…そんな私を見て、手伝ってくれるようになった。ずっと一人で抱え込んでいたものが、誰かに頼れば良かったのだと、この歳になってようやく気づいたんだ。

それでも相手は貴族。なかなか尻尾が掴めず手をこまねいていたが……そんなとき、戦争が起こった。
敵に捕らえられたあの時…なぜ、ソフィが記憶を何度も無くしたのか。なぜ、ソフィが家族との関係を絶ったのか、ようやく分かった。それが一人で闘ってきた彼女なりの守る方法だったのだろう…と。

それに比べて自分は…と、己の不甲斐なさを悔いた。

戦争終結後の忙しさを理由に愛人たちと会うのをやめ、その間に貴族の膿を出すために手を回すことに奔走した。息子たちにも恥を承知で話し、協力を仰いだ。

その他の…王妃が晩餐会に呼んだ娘たちは脅威ではないと判断し、手紙を送り付け関係を清算したつもりだった。正直、脅威ではないものたちに裂く時間などないと思っていた。彼女たちの気持ちなど…考えもしなかったんだ。

その結果がまたソフィに迷惑をかけ…
あれだけ排除するのに手が出せなかった高位貴族たちをも、ソフィは意図も簡単に捕らえ終わらせてしまった。

情けなかった。今回だけならず、幼い頃から守りたいと思っていた相手に自分はずっと守られてきたと知ったのだから。
嫉妬も起きないほどに力も頭脳も到底ソフィには敵わない。

それでも…もう、間違いたくないんだ。
どれだけソフィに嫌われようと…わたしは、いままでもこれからもソフィしか愛せない。

許してなんてくれなくてもいい。憎んでもいい。
それでも、わたしはソフィを離してやれない。
側にいたいんだ。

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