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モテモテな息子たち…と夫?

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結果から言うと、式は滞りなく進んだ。夫のエスコートで席まで進み後はニコニコと笑っているだけでよかったからだ。
貴族たちの挨拶にもニコニコと返すだけでいいと夫の秘書が言っていたため、わたくしは読み上げられる貴族名簿とその顔を照らし合わせることに謹んだ。

秘書はニコニコと笑うことも出来ないだろうと目が笑っていたけれど…なるほど。と納得させられましたわ。

挨拶にきた貴族たちは驚いていて固まるし、扇は落とすし、会場ではグラスが割れる音が聞こえてくるし……以前のわたくしってそんなに笑っていなかったのねぇー

一通りの挨拶が終わると、ゆるやかな音楽から華やかな音楽へと演奏が変わった。

夫は立ち上がり「行くぞ」声を発し腕を組めるようにし待っているようだ。一度も口を開かず、こちらをみることもない夫にため息がでそうになるも、それを飲み込みゆっくりと立ち上がってその腕をとった。

何百人いるのか、皆の目がわたくしたちに注がれている。緊張で胸が気持ち悪かったがそんなことは言っていられない。曲が始まりゆっくりと踊りだす夫に回りに意識が向いていたのを無理やり切り替えダンスに集中することにした。

ダンス中も決して目線は合わせない夫。それに胸が痛むことはないけれど、どこか他人事に感じている自分に苦笑した。息子たちには覚えていなくても心が震えたのに夫に対して何も感情が起こらないことが不思議だった。

そういえば…と、至近距離で初めて見る夫の顔をそっと見つめた。40を過ぎていてもなお整ったその容姿に息子たちの顔を思い浮かべ、目はあの子と似てる。口はあの子ね。と自然と微笑んでいた。周りがほぅ…とうっとりしたように吐息をつくのが聞こえた。ずっと視線が合わなかった夫も視界に入ったのか視線が合わさり目を見開くのが見えた。その瞬間曲は終わりわたくしは手を離し、優雅に見えるようゆっくりとカーテシーをとった。
割れんばかりの拍手が巻き起こり、皆笑顔に包まれていることに安堵した。

(よかった……。無事に終わったわ。)
微笑みを浮かべ夫へと視線を向けると、今度は私を見つめてくれていたようで視線が合わさった瞬間ハッとしたように目線をそらされ、無言で腕を差し出された。そんな夫に苦笑し、また腕を組むとわたくしたちは元の席へと戻った。

その後ちらちらとこちらを見る夫に視線を向けるとすぐにそらされ、またちらちらとみてくるも言葉を発しないため、わたくしはもう気にしないことにした。

会場を見渡すと可愛らしいご令嬢に囲まれた息子たちの姿が目に入った。

一番囲まれているのは第二皇子のルイスね。あの少しチャラそうで色気たっぷりな感じは女性たちに人気でしょうね~次は第一皇子のシリウスね!こちらは女の子たちが本気そうね。次の王妃になれる確率が高いもの。女の子たちの目が肉食獣みたいでこわいわ~ッッ。
アレンももちろん囲まれているけど、男の子たちも多いわね。女の子たちも可愛らしいご令嬢が集まっていて、和やかな雰囲気のようだわ。

あ、ルイスがご令嬢の手をとって、ダンスに誘ったわ!ご令嬢なんてお顔がリンゴみたいに真っ赤だわ。微笑ましいわねぇー。ふふっ。
息子たちの様子を和やかに見つめていると、妖艶な美女三人組がこちらに歩いてくるわ。先ほどご挨拶していない方々かしら…?

「アーノルド~会いたかったわぁー」
とハートマークが付きそうな甘えた声で夫へ抱きつく美女たち。
わたくしはというと、あいた口が塞がらない。
これはこの国で普通の挨拶だったかしら?違うわよね?…あぁ、そういえば夫には愛人が何人もいるって話だったわね。この方たちが愛人?美人ね~と観察していると、美女の一人が私を視界に捉えいま気づきました! というように大袈裟に驚いてみせた。

「あらぁー。これはこれは、王妃様。ご機嫌よう~もうお身体はよろしいんですの?毒を盛られたんですってね?怖いわぁーまだ大事になさった方がよろしいのではなくて?大丈夫ですわ。陛下はわたくしたちがちゃんとお支えしますから~」

ねーみなさん。と頷き合っている美女たち。夫は視線を合わせず、美女たちを宥めることもしない。

これは…喧嘩を売られているのかしら?
ふふっ面白いわね。もちろん、買って差し上げるわ。にこっ
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