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崩壊前夜
飼い主の役目
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なっちゃんと別れて部屋に戻った後、早速純から連絡が入っていた。
折り返し純に電話をかければ、思ったよりも早く通話はつながった。
『仙道さんっ』
「うわ、声おっきい」
『……あ、すんません』
「いいよお。……で、どうしたの?」
『どうしたの、じゃないっすよ。さっきのメッセージのあれ、本当なんですか』
「純は俺が嘘吐くと思ってんの?」
『仙道さんは割と吐くでしょ』
……そうかもしんない。
今までの純で遊んできたときの記憶を振り返って、つい納得しかけててしまう。
「信用ないなあ」
『って、そんなことよりも。……さっきの情報って誰からですか』
「ちーちゃんの親衛隊の子だってよ」
『あーなるほど、そういうことっすか……』
端末越しに純の溜息が聞こえてきた。
どうしたのだろうか。
なんとなく引っ掛かり、「それがどうしたの」と尋ねれば純は『えー、実は……』と口籠る。
『丁度今、俺、会長の部屋の辺りにいるんすけど』
「え? もう?」
まさかとっくに情報仕入れてたってことなのか。
驚く俺に、『いやそれがちょっと、別件で』と純はもにょもにょと続ける。
「別件ってなに」
『花崗って分かりますか』
「みかげ……あー、あの会長の親衛隊の子か」
いつの日かもマコちゃんの病院で会ったな。
「その花崗君がどうしたの?」
『親衛隊長の同士の話し合いがあるだとか言って呼び出されてたんすけど、その……待ち合わせ行く途中なんか妙なもの見つけて』
「妙なもの?」
『気のせいかと思ったんですけど、さっき仙道さんからのメッセージ見て確信しました。多分あれ、石動千春の親衛隊の子だと思います』
「…………それで?」
『見ねー顔の連中に会長の部屋に連れて行かれてたんですよね』
あー、と思った。
あまり考えたくない二択が浮かぶ。
一つ目はちーちゃん、もしくはその親衛隊の子の目撃情報自体が偽物でわざと俺に流してる。
そんで二つ目は、情報は本物でその情報流したあと見つかってしまった。という最悪のパターン。
「ねえ、一つ気になったことあるんだけどさ」
『はい』
「もしかして、純もそれハメられてない?」
『やっぱ仙道さんもそう思いますか?』
「花崗君には悪いけど、かいちょーには関わらない方がいい。だから、すぐに戻っておいで」
『けど、仙道さん』
「純が言いたいことも分かるよ。……そのちーちゃんの親衛隊の子が心配なんだよね?」
「近くになっちゃんいるから風紀に頼んでみるよ」だから、すぐにそこから離れて。
そう言いかけたとき、端末の向こうからなにやら騒がしい音が聞こえてきた。人の声だ。
なんて言ってるのかまで分からなかったが、次の瞬間鼓膜破れそうなほどの雑音が入る。
「……純?」
携帯を落としたのだろう。純の声が遠くなる。
「……っ」
――嫌な予感がする。
俺は通話が繋がったままの端末を手にしたまま、すぐに部屋の扉を開いた。
「うお、なんだよいきなり」
扉の横には通路で待機していたなっちゃんがいた。
いきなり開く扉から出てくる俺を見て驚くなっちゃん。
俺はそのままなっちゃんの腕を掴む。
「なっちゃん、会長たちのところ行くよ」
「ああ? なんだよいきなり」
「後でちゃんと言う。それと、あと他の風紀もなるべくたくさん呼んで」
「おい、なに勝手に……あっ、おい!」
思ったよりもなっちゃんが重かったので、そのままなっちゃんから手を離した俺は会長の部屋へと向かって駆け出した。
背後からなっちゃんの怒ったような声を聞きながら、俺は純と繋がったままになってたはずの端末を確認する。
通話は切れたあとだった。
折り返し純に電話をかければ、思ったよりも早く通話はつながった。
『仙道さんっ』
「うわ、声おっきい」
『……あ、すんません』
「いいよお。……で、どうしたの?」
『どうしたの、じゃないっすよ。さっきのメッセージのあれ、本当なんですか』
「純は俺が嘘吐くと思ってんの?」
『仙道さんは割と吐くでしょ』
……そうかもしんない。
今までの純で遊んできたときの記憶を振り返って、つい納得しかけててしまう。
「信用ないなあ」
『って、そんなことよりも。……さっきの情報って誰からですか』
「ちーちゃんの親衛隊の子だってよ」
『あーなるほど、そういうことっすか……』
端末越しに純の溜息が聞こえてきた。
どうしたのだろうか。
なんとなく引っ掛かり、「それがどうしたの」と尋ねれば純は『えー、実は……』と口籠る。
『丁度今、俺、会長の部屋の辺りにいるんすけど』
「え? もう?」
まさかとっくに情報仕入れてたってことなのか。
驚く俺に、『いやそれがちょっと、別件で』と純はもにょもにょと続ける。
「別件ってなに」
『花崗って分かりますか』
「みかげ……あー、あの会長の親衛隊の子か」
いつの日かもマコちゃんの病院で会ったな。
「その花崗君がどうしたの?」
『親衛隊長の同士の話し合いがあるだとか言って呼び出されてたんすけど、その……待ち合わせ行く途中なんか妙なもの見つけて』
「妙なもの?」
『気のせいかと思ったんですけど、さっき仙道さんからのメッセージ見て確信しました。多分あれ、石動千春の親衛隊の子だと思います』
「…………それで?」
『見ねー顔の連中に会長の部屋に連れて行かれてたんですよね』
あー、と思った。
あまり考えたくない二択が浮かぶ。
一つ目はちーちゃん、もしくはその親衛隊の子の目撃情報自体が偽物でわざと俺に流してる。
そんで二つ目は、情報は本物でその情報流したあと見つかってしまった。という最悪のパターン。
「ねえ、一つ気になったことあるんだけどさ」
『はい』
「もしかして、純もそれハメられてない?」
『やっぱ仙道さんもそう思いますか?』
「花崗君には悪いけど、かいちょーには関わらない方がいい。だから、すぐに戻っておいで」
『けど、仙道さん』
「純が言いたいことも分かるよ。……そのちーちゃんの親衛隊の子が心配なんだよね?」
「近くになっちゃんいるから風紀に頼んでみるよ」だから、すぐにそこから離れて。
そう言いかけたとき、端末の向こうからなにやら騒がしい音が聞こえてきた。人の声だ。
なんて言ってるのかまで分からなかったが、次の瞬間鼓膜破れそうなほどの雑音が入る。
「……純?」
携帯を落としたのだろう。純の声が遠くなる。
「……っ」
――嫌な予感がする。
俺は通話が繋がったままの端末を手にしたまま、すぐに部屋の扉を開いた。
「うお、なんだよいきなり」
扉の横には通路で待機していたなっちゃんがいた。
いきなり開く扉から出てくる俺を見て驚くなっちゃん。
俺はそのままなっちゃんの腕を掴む。
「なっちゃん、会長たちのところ行くよ」
「ああ? なんだよいきなり」
「後でちゃんと言う。それと、あと他の風紀もなるべくたくさん呼んで」
「おい、なに勝手に……あっ、おい!」
思ったよりもなっちゃんが重かったので、そのままなっちゃんから手を離した俺は会長の部屋へと向かって駆け出した。
背後からなっちゃんの怒ったような声を聞きながら、俺は純と繋がったままになってたはずの端末を確認する。
通話は切れたあとだった。
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